前回のブログで申し上げたとおり、私の名前はひっつき虫。学問上の名前はしらない。
春から夏に白い花を咲かせ、その実は晩秋から冬にかけてひっつき虫と化し、人間や犬猫の到来を待っている。
たまたまカメラを持った老人がやってきた。ラッキーとばかり、私は老人のズボンにひっついたのだ。
それとも知らず、老人はシャッターの押し続け。
葱、大根、菊、カラス、スズメ、、柿、………………。
とにかく、人間以外であれば、カシャカシャと撮りまくった。
私は老人の脳内を覗きたくなった。撮影の意図や方向性が分からなかったからだ。
上の柿の木はその内の一枚。まだこんなに実が残っているところをみると、渋柿なのだろうか。
やっと家路を急ぐらしい足どりとなった。
その間、幾度か、その辺りで飛び降りようとも思ったのだが、思いとどまった。
老人の生活を覗きたかったからだ。
「タダイマー」 老人は玄関に入った。
「オカエリー」 声が返ってきた。どうやら独居老人ではないらしい。
しかし、部屋に入って驚いた。
カメラ、カメラ、カメラ。レンズ、レンズ、レンズ、………。
書籍、書籍、書籍………。
呆気にとられながら、私はひょいと飛び降りた。座布団の上だった。