新・ほろ酔い気分

酔っているような気分のまま、
愚にもつかない身辺雑記や俳句で遊んでおります。
お目に留めて下されば嬉しいです。

ひっつき虫(その2)

2014年12月02日 19時27分05秒 | 身辺雑記

 

 前回のブログで申し上げたとおり、私の名前はひっつき虫。学問上の名前はしらない。

 春から夏に白い花を咲かせ、その実は晩秋から冬にかけてひっつき虫と化し、人間や犬猫の到来を待っている。

 たまたまカメラを持った老人がやってきた。ラッキーとばかり、私は老人のズボンにひっついたのだ。

 それとも知らず、老人はシャッターの押し続け。

 葱、大根、菊、カラス、スズメ、、柿、………………。

 とにかく、人間以外であれば、カシャカシャと撮りまくった。

 私は老人の脳内を覗きたくなった。撮影の意図や方向性が分からなかったからだ。

 上の柿の木はその内の一枚。まだこんなに実が残っているところをみると、渋柿なのだろうか。

 やっと家路を急ぐらしい足どりとなった。

 その間、幾度か、その辺りで飛び降りようとも思ったのだが、思いとどまった。

 老人の生活を覗きたかったからだ。

 「タダイマー」 老人は玄関に入った。

 「オカエリー」 声が返ってきた。どうやら独居老人ではないらしい。

 しかし、部屋に入って驚いた。

 カメラ、カメラ、カメラ。レンズ、レンズ、レンズ、………。

 書籍、書籍、書籍………。

 呆気にとられながら、私はひょいと飛び降りた。座布団の上だった。

 

コメント (4)
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