沖縄 8 Scene

沖縄で生まれ沖縄に生きる
      8郎家の日記

腹の脂肪をたべたい

2020年12月27日 | 読書

 意味不明のタイトルですいません。読書好きの方には、つまらないオヤジギャグだとすぐに分かったことでしょう(笑)。

 久々のカテゴリー「読書」です。以下の2冊です。

 まずは8郎が敬愛してやまない巨匠・松本清張の『鬼畜』(1957年刊)です。半世紀以上も前の作品ですが、今に通じる格差社会がもたらす悲劇を清張らしく、感情を込めず淡々と描いています。ファンでありながら、この有名作を読んでいなかった自分をちょっと恥じています。

 主人公である冴えない印刷会社の男性社長が、不倫によってできてしまった3人の子の養育を不倫相手から押し付けられることで悲劇が始まります。事情を知った妻が鬼のように変貌し、「この3人を棄ててきなさい(殺してもいい)」という指令を下すのです。末っ子は、妻が先手を打ち自然死を装って殺すのですが、長女と長男は主人公に課せられた任務となります。捨てられる、殺される直前まで、無邪気な子供たちがあまりにかわいそうです。自分の子をよくも、という感じもしますが、主人公の心に「不倫相手が別の男との間につくった3人で、俺の子ではないのでは?」と疑い始めたところから凶行は加速します。

 毒饅頭で殺そうとして、嫌がる長男の口に「おいしいから。さあ、お食べ」と無理やり突っ込もうして失敗、逆に長男に慰められて涙するシーンは、人間ってなんて哀れな生き物なんだと悲しくなります。もちろん清張はそのくだりすら淡々と描いています。それが逆に、悲しみ、恐ろしさを増長させるのです。映画は見ていませんが、ラストに関しては映画の方がうまくまとめているようです。

 ただただ、3人の子供たちが哀れでなりません。生き残った2人がその後犯罪に手を染めるような大人になってしまったとしても、社会は彼らを本当に責めることができるのでしょうか。そもそも、「鬼畜」である親すらを責めることができるのでしょうか。彼らを棄てた、あるいは殺めた親もそういう悲しい生い立ちを背負っているのではないでしょうか。それを無視して親だけに責任を擦り付ける道徳観がはびこる社会が、民主主義を標榜する資格はありません(もちろん親子間の感情は否定できません。自分を殺そうとした親を許せなんて誰にも言えませんので)。「鬼畜」というタイトルはこの親だけを指しているのではなくて、社会全体に投げかけたメッセージだと考えています。

 今、そういった社会の矛盾に対する怒りのエネルギーから小説を書いている作家ってどれだけいるのかなと思います。もちろんいるのでしょうが、これほど多くの国民に読ませる力量を併せ持った人はまずいないでしょうね。小説は多くの人に読まれなければ、ほとんど意味がありませんので。あらためて松本清張、偉大なり。

 

 お次は一転、心がピュアになる純愛小説『君の膵臓をたべたい』(住野よる著 2016年)です。300万部超のベストセラーであり、映画化もされたので内容を知っている方が多いとは思いますが、当ブログの読者の多くは中年以上だと思うので(笑)、日々の生活に心が荒みつつあるというおじさんたちにあえて読んでほしいと思います。個人的には、韓国映画の傑作『猟奇的な彼女』を見たときのような想定外の爽やかな感動に包まれました。

 膵臓(すいぞう)に難病を患い余命いくばくもない女子高生と、地味な男子高校生が心を通わすラブストーリーです。前半は、何度も文庫本を閉じようと思ったほど〝恋愛ごっこ〟が続くのですが、半分過ぎたあたりからは、「これは傑作かも」という雰囲気が行間ににじみ出てきます(笑)。クライマックスに至っては前半の恋愛ごっこがうそのようにスピーディーな展開を見せ、次々とあきらからになる女子高生の秘めていた思いに、涙が止まりません。もはや作者の用意した展開に身をまかせるしかないのです(笑)。主人公の女子高生は亡くなってしまうのですが、彼女の思いが叶った形でのエンディングは、美しいの一言です。

 自分のことだけしか考えない恋愛が美しいはずがありません。恋した相手を思う自己犠牲があるからこそ、恋愛は永遠に美しくあり続けるのです(今年の流行語大賞に推薦願います。あ、もう終わったか)。それを『君の膵臓がたべたい』という万感の思いを遺言として残した女子高生が教えてくれました。 

 男性主人公の描き方があまりに中性的で(ホテルで二人きりになっても性的行動のかけらもありません)、そこはマイナス要素なのですが、それくらい中性的な男子高校生じゃないと、この世界観は成り立たなかったのかもしれません。

 47歳のおっさんが言うのもなんですが、お・す・す・めです! 

 あと、やっぱり恋愛は若いときにするものだなと、痛感しました(笑) 

 

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 久々のおいしゅうございましたシリーズです。と言ってもいずれも大衆向けの店です。

 COCO壱のロースカツカレーです。そのままでも美味しいのですが、当店自慢の芳醇ソースをかけるとさらにグレードが上がります。ぜひお試しください。間違いなく千㌔㌍を超えているのは分かっていますが、どうしても食べたくなって月に一度は足を運んでしまいますね~。

 お次は我が家の外食の定番「く●寿司」です。妻と10郎を待っている間、瓶ビールと貝3点セットで時間をつぶします。最高のつまみですね。

 でも当店、最近、品質が落ちてきてるな~と感じますね。メニューも減っていますよね。コスパがいいので多くを要求できないのは分かっているのですが。そろそろハチローならぬスシローに〝くら〟替えかなぁ・・・(中途半端にダジャレを交えるな)。

 そんなこんなで、11月からの減食で79㌔台を維持してきた8郎の体重が、またしても80㌔台に浮上! 引っ込みつつあった出っ腹もまた膨らみ始めています。何回繰り返すば~。新年は70㌔台で迎えるぞ~。

 さて、いろいろあった2020年。当ブログの更新は例年通り大晦日でラストの予定です。大したネタはありませんが、モノ好きな方はのぞいてみてください。酔っぱらって更新できなかったらすいません。

 今日はこれにて。