私は、前の事務所を辞めたときには、あらかじめ算段があって辞めたわけではありません。 10年勤めたら辞めようと思っていたのですが、満8年で辞めました。 当然、当面の仕事があるわけではなく、母からも借金をして過ごすことになりました。
結婚もして、その後、子供も生まれていたと思います。 そんなときに、学生時代のときの、級友のことを想い起こしたのです。 設計の演習課題で、いつも楽しいスケッチと提案をしていた級友のことです。
学校に藤沢の住まいから、パブリカという名の車に乗って、通っていたのです。 あいつは経済的に余裕があるから、精神的にも余裕があるんだな、したがって面白いことが考えられるんだな、と思ったのです。
よし、自分は現在、仕事もなく経済的にリッチではないけれども、精神的には余裕は持てるのではないかと考え、あえて、すぐ近くのテニスコートで、朝6時から9時ごろまで、汗びっしょりになって、テニスを始めたのです。 雨が降らない限り毎日3時間、3年間テニスをやりました。
練習方法を一緒に行うようになった友人と考え、最後はシングルスの試合を行っていました。 したがって、家に帰っても仕事どころではなかったのですが、少なくとも心に余裕は持てるようになりました。 お金が入るべき仕事が、ないにもかかわらずです。
連れ合いからは仕事もないのに、朝からテニスをやっていて、とそれなりの小言はいただいたのですが、幸いにしばらくしてから、順調に設計の仕事が作られていきました。
生まれて初めて座禅(静功)を行うようになったときにも、必ずしも経済的には余裕はなかったのですが、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで、はじめたのです。 結果的に、呼吸法が、座禅が、私に心の余裕を与えてくれました。
私の親しくしている友人には、これまで色々と実践するように話をするのですが、心の余裕がないからとか、まだそのような気持ちにならないだとか、何かにつけて、実践しない理由を並べては、何もしないのです(ちょっぴりはしているのかもしれません)。 親しいからこそ、いいにくいことを、ずばずばいうのですが。