RC・・・reinforced concrete の意味を考える-3

2006-11-19 12:13:48 | RC造

 前2回で紹介したM小学校の「地業(地形):地中梁」と「主要部のRC詳細」を、実施設計図から抜粋し編集したのが上の図。
 
 平屋建てが大部分を占めるため、建築面積は広大になる。敷地は火山灰の堆積した台地上にあるが、関東ロームほど堅固ではなく、杭工事が必要。
 そこで、地業(地形)・杭工事や基礎工事の比率を軽減するため、建物の屋根の木造化(校舎)、鐵骨化(体育館)とともに、地業(地形)と基礎に、上図のような方法を採った。
 これは、いわばベタ基礎を杭で支える方法。通常のフーティングと地中梁そして床スラブ(土間コン)を一体にまとめてしまったと言ってもよい。あるいは、竹園東小の2階床を地上に置き換えた、とも言える。
 いずれにしろ、根伐とコンクリート打設を単純化する計画。最大の問題は根伐の肩の部分(45度傾斜部分)。安定した根伐ができるか不安だったが、心配は無用だった。むしろ、建屋の載る部分すべてが同じ根伐深さであるため(ピット部分を除く)、根伐工事はもとより、鉄筋工事、コンクリート工事もスムーズに行われた。
 すなわち、この方法の利点として、形枠工事が減ること、鉄筋の加工・組立てが分かりやすい(梁寸法の種類が少ない)、コンクリート打設が容易である、それでいて所期の目的が十分に(あるいは十二分に)達成できる、といった点が挙げられるだろう。
 なお、図面にはないが、設備配管は、専用ピットを設け、地中梁中の配管は極力避けている。

 上屋の部分の十字型の柱型は、そこだけ見ると型枠が煩雑になるように見えるが、実際は、360mm厚の壁型枠を組むことを先行し、その小口をふさぐという手順を踏めば、それほど難しくはなく、コンクリートの打設も、鉄筋が混んでいるにしてはスムーズに打設できた。
 これは、壁に開けられた開口がハンチ付であること、スラブの端部(壁との接点)にも、逆スラブの箇所を除きハンチを付けたことが効いている。なお、スラブハンチのための型枠には90mm:3寸角の正角材を対角線で切り、使用した。

 ハンチは、隅部での力の伝達をスムーズにするとともに、コンクリート打設に際しては、いわば「じょうご」の役割をしてくれる。そういえば、コンクリートが使われだした大正・昭和初期の頃のRCの建物は、各所にハンチが付いていた(基礎のフーティングにも)。固練りのコンクリートを(人力だけで)打つには、ハンチは必要不可欠だったのだ。
 しかし、型枠が面倒と考えられたせいか、最近ではハンチを見かけることが少なくなっている(その一方で、複雑怪奇な形のコンクリート造は増えている!)。

 「基本的には組積造」、そしてまた「打設時点では流体」であるコンクリート造にとって、ハンチを設けること(流体を流しやすくし、力の流れをスムーズにすること)は、ふさわしい方法の一つなのではないだろうか。
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする