私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

ゴルバチョフは「ヌチドウタカラ」と言い残して死んだ

2022-10-20 22:29:26 | 日記・エッセイ・コラム

 今のひどい世界情勢を目の前にして、悪ふざけの一つでも口にしたくなります。何でこうまで、人間はお互いに痛めつけ合い殺し合うのでしょうか。

 我々人間は、誰しも、皮膚の色の如何を問わず、良い心と悪い心(EVIL)を持っています。しかし、今の全世界を闊歩しているのは、個々の人間の小さなEVILではありません。ほんものの悪魔たちの巨大なRADICAL EVIL です。

 ウクライナ戦争勃発から半年たった2022年8月30日、ミハエル・ゴルバチョフが亡くなりました。彼は私の好きな政治家の一人でした。何しろ、核廃絶を本気でやろうと考えていた人間なのですから。理由は他にもあります。奥さんのライサの尻に敷かれていると世間で噂されても、ニコニコしていたことです。ライサ夫人は急性白血病で、1999年9月20日に亡くなりました。

 ミハエル・ゴルバチョフが亡くなる数年前に制作された彼についてのドキュメンタリーの録画を私は持っていますが、その中で、彼は、ライサ夫人が眠る墓石に並ぶ自分の予定墓所のそばに立って「ここに入るのが楽しみだ」と言っています。

 ゴルバチョフの死を伝えるNHKのモスコワ駐在員は、8月31日朝7時のNHK第三のニュースで、ゴルバチョフの最後の発言の一つとして、「人の命ほど大切なものはない」と言い残したことを伝えましたが、その後は、私が知る限り、日本のメディアでは、この言葉は二度と報道されませんでした。ロシア語で何と言ったかも知りませんが、沖縄語に翻訳すれば「ヌチドウタカラ」になるはずです。

藤永茂(2022年10月20日)


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