私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

米国は実に汚いことをする

2018-11-25 19:42:54 | 日記・エッセイ・コラム
 去る11月6日、米国政府は、トルコの反政府組織PKK(クルディスタン労働者党)の現在の指導者ムラト・カラユラン(Murat Karayılan)と他の2名の指導者を捕獲するための情報の提供者に巨額の報奨金を与えると発表しました。カラユランの首には5百万ドル、他の二人には4百万ドルと3百万ドル:
https://www.al-monitor.com/pulse/originals/2018/11/intel-washington-bounty-kurdish-insurgents-pkk.html
人を馬鹿にするな、と言うも愚か、米国は実に汚いことをする国です。英国のタイムズ紙はa sop to Turkey(トルコの機嫌をとるための飴玉)と書いています。
 PKKについては、和文ウィキペディア:
https://ja.wikipedia.org/wiki/クルディスタン労働者党
をお読みください。ただのテロ武装集団では決してありません。トルコとの関係に気を配って米国もEUもPKKをテロ組織と認定してきましたが、PKKの性格から、この認定にはもともと無理があり、実際、この11月15日、リュクセンベルクにあるEU法廷では、「2014年から2017年の間、PKKをテロ組織のリストに含めていたのは間違いであった」ことが承認されました:
https://anfenglish.com/kurdistan/cjeu-rules-pkk-wrongly-on-the-terror-list-30975
PKKの名が生まれたのは1978年で、今年は40周年です。それを記念する談話をPKK執行委員会の委員Ruken Garzanが発表しています:
https://anfenglish.com/rojava-northern-syria/40th-anniversary-of-the-pkk-celebrated-in-kurdistan-mountains-30965
その一部を訳出しましょう:
「PKKは、この40年間、クルディスタンの歴史に貴重な遺産を積み上げてきた。中東地域のために自由な未来と生きるに値する社会の礎石を置いた。我らの指導者オジャランのもと、PKKは40年間自由のための闘争を高く掲げ、それを人類への贈り物としてきた。」これはテロリストたちの使う言葉ではありません。
 EU法廷が2014年から2017年、つまり、過去4年間だけPKKはテロ集団と決めつけるべきでなかった、とするのは、何故か? ここにも米国の汚らしい狡猾さが露呈しています。2014年といえば、いわゆる、“コバネの戦い”の年です。米国が、PKKと密接に繋がるロジャバのクルド人民防衛隊YPG,YPJを米国の代理地上戦力として利用し始めた年にあたります。懐柔の飴玉をもらったトルコは、まだ米国に対して「PKKの3人の幹部の居どころなら、あんた方が一番よく知ってんじゃないの」などと嫌味を言っています。
 仮に、私が何十億円かの自由になる資産を持ち、それで先ず、小型高性能の超遠隔操縦可能のドローンを開発し、その上で、ドナルド・トランプさん、ジョン・ボルトンさん、ヒラリー・クリントンさんの首に、それぞれ、6億円、5億円、4億円の報奨金を提供すると発表したら、どうなるでしょうか?

藤永茂(2018年11月25日)

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