「スイングジャーナル」、休刊

 月刊のジャズ専門誌「スイングジャーナル」が6月19日発売の2010年7月号をもって休刊との情報。と云う事は今日、最後から2番目の「スイングジャーナル」が書店に並んでいるということである。

 「スイングジャーナル」を買わなくなって何年が経つだろうか。って、何年じゃなくて何十年である。学生時代には、本屋での立ち読みか新宿や吉祥寺のジャズ喫茶!に行った時にすみからすみまで、それこそ舐めるようにして目を通して資金の目処がついた時に買うべきLP、エアチェック(お若い方はご存知ない言葉だろうな)すべき曲をメモったものだ。大学を卒業してからは時々買えるようになったけれど、やっぱり「スイングジャーナル」で次に買うべきLPの目星を付けたものである。「スイングジャーナル」は僕らのジャズの教科書であったのだなぁ。

 「スイングジャーナル選定ゴールド・ディスク」に至っては、飯に味噌を付けて食べる超貧困生活をしてでも買わないではいられなかったものであった。「スイングジャーナル選定ゴールド・ディスク」で一番インパクトが大きかったのはコルトレーンの「至上の愛」だな。最初は「何だ、これは」と思ったものだが「ジャズ友」に云えば馬鹿にされること必至であったから必死で聞き込んで「良かった、凄い!」と云ってはみたものの、ホントに良いと思えるようになったのは、恥ずかしながら30歳を過ぎてからであった。コルトレーンは然程に深く偉大なのである。

 買わなくもう何十年も経っているから、はっきり云えば「スイングジャーナル」が休刊しようがしまいが郷秋<Gauche>の日々の生活には何の影響もない。残念ながら。でも高校時代まではジャズなんか聴きもしなかった田舎者(郷秋<Gauche>のことだ)をジャズの世界に導く大きな力となった「スイングジャーナル」がなくなってしまうというのは、郷秋<Gauche>の生き方にまで影響を与えた恩師が亡くなるようなものであり、やはり淋しい。

 NAVIの休刊の際にも書いたが、雑誌の休刊は、イコール廃刊である。いくらスイングジャーナル社が「今後、支援企業が見つかれば復刊を検討したい」と語ってみたところで、支援企業が見つかるのならばこれまでに見つかっているわけで、これかから見つかる訳もない。残念ではあるが、やはり、休刊は即、廃刊なのである。

 しかしだ、ここで「スイングジャーナル」が廃刊となったとしても、「スイングジャーナル」のこれまでの仕事が否定されるわけでは勿論ない。むしろ、「スイングジャーナル」が廃刊になってこそ、「スイングジャーナル」がいかに偉大であったのかを多くの人が知ることになるんだろうな。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、谷空木(たにうつぎ)。恩田Nowでご紹介した箱根空木(はこねうつぎ)は、咲き始めは白色で時間の経過と共に紅色となるが、谷空木は最初から紅色で、枝に対する花の付き方も箱根空木とは異なる。
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