危機回避能力を持つ男

 今頃云っても何の意味もないけれど、韓国GPのウイナーはやっぱりアロンソであった。もちろん、ウェバーもベッテルもハミルトンもバトンも、シリーズチャンピョンになるために何としてでも韓国GPでは勝ちたいと思っていたことだろう。しかし、誰よりも強く勝ちたいと云う意思を持っていたのがアロンソ。そしてその意思を貫き通すための強い精神力とテクニックを併せ持っていたのがアロンソである。だからアロンソが勝った。って、やっぱりこれはレース前に云っておかないことには何の意味もないことだけれど。

 ますます面白くなった2010年チャンピョンシップだけれど、もう結果は見えているようなものだな。とすると残りのブラジルとアブダビは半ば消化試合の様相を呈して来るわけだが、それでもやっぱりアロンソがレース毎に三度目のチャンピョンに近づいてくるのを目の当たりにするのは、まさにF1観戦の醍醐味であり、語り継がれること必至の2010年シーズンの生き証人となる道なのである。

 さて、韓国GPの見どころはもう一つあった。それは今日の小文のタイトル、「危機回避能力を持つ男」、そう、小林可夢偉の素晴らしいいサバイバルレースである。残念ながら、何が主たる原因であったのかは知る由もないけれど、小林のザウバー・フェラーリC29に戦闘力がないのは一目瞭然であったが、それでも結果は12位スタートからの8位フィニッシュ。悪天候のレースでは、コースに留まってさえいれば結果がついて来るとは良く云われることだが、今回の彼のレースを見ていると、本人のテクニック以前に神がかり的危機回避能力が備わっているのではないかとさえ思えてならなかった。

 滑りやすい路面の中でマシン間隔わずか数十センチのところでの戦いが続いた韓国GPだったが、小林は目の前で幾度も起こった他のマシン、他のドライバーのアクシデントを紙一重のところで回避しチェッカードフラッグを受けるに至っている。中継を見ていると、目の前で起こるアクシデントを小林が避けていると云うよりも、アクシデントの起こるコンマ数秒前に、アクシデントの起こるマシンと接触しないためのほんの数十センチ間隔が「取られて」いるんだな。

 危機回避能力以前に危機予知能力が備わっていて、身に降りかかる危険を自身も気づかぬうちに回避しているかのような小林の走りっぷりであったな。韓国GPでたまたま起こった幸運であったのかも知れないが、小林が、そんな動物的感を生まれながらにして持っているように思えてならない郷秋<Gauche>であるが、それはワールドチャンピョンンになるために必要な能力あるいは感の一つであることは間違いのない事実である。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、道端の野菊。立派に育て上げられた大輪の菊もそれはそれで美しいと思うけれど、郷秋<Gauche>は路傍に咲く名も知らぬ野菊の方が好きだなぁ。
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