時代の区切り

 平成最後の日であると、世の中は喧しい。今日が20世紀最後の日、今日が今年最後の日、そして今日が平成最後の日。平成31年4月30日と令和元年5月1日は今日と明日の違いでしかないと云うのに、人はなんと区切りが好きなことか。

 1955年生まれの私は20世紀と21世紀の区切りも経験しているけれど、思い起こして見ても平成から令和に変わる今日のような「20世紀を振り返る」的大騒ぎは少なかったように思える。考えても見れば1世紀、100年とは人の一生を超える長さであり、一人の人間が実体験的に20世紀全体を俯瞰することは不可能だからなのだろ。

 それに比べて「平成」は僅か30年であり、しかも日本においてのことに限定される。30年が人間にとっての一世代の長さと符合することも振り返りが盛り上がる理由の一つなのだろう。40代以上の世代にとっての平成は、始まりから終わりまでも俯瞰することができる長さでもあるし。

 何れにせよ地球誕生から今日までの46億年、あるいは人類(ホモ・サピエンス)誕生からの20万年と比べれば30年なんぞは無いに等しいほどの長さだけれど、それでも人の一生の1/3の長さであり、人が過去を振り返るのには程よい長さであるのは確か。物事には所々に何がしかの区切りが必要であり、その区切りのたびに過去を振り返りそしてその先を見通すことはあるいは必要なことなのかもしれないから、この騒ぎもまんざら無駄ではないのかもしれないな。

 と云うわけで今日の一枚は、平成の前の昭和52(1977)年から昭和59(1984)年の間に発売されたNikon(ニコン)の広角レンズ群。

右から、
Ai Nikkor 20mm F2.8S(1884)
Ai Nikkor 24mm F2.8S(1981)
Ai Nikkor 24mm F2.8(1977)
Ai Nikkor 28mm F2.8(1977)
Ai Nikkor 28mm F2.8S(1981)
Ai Nikkor 35mm F2S(1981)

 昭和の時代に発売されたこれらのレンズのすごいのは、Ai Nikkor 20mm F2.8S(1884)とAi Nikkor 24mm F2.8S(1981)の2本が平成31(2019)年4月30日現在もいまだに販売されていること。カメラ業界以外も見渡してもモデルチェンジなしで昭和、平成、令和の三世代に渡って販売されている製品って、そう多くはないでしょうね。
注:つい最近まで28mmと35mmもラインナップされておりました。現在は他に50mmのF1.2と1.4、55mmマイクロがラインナップされておりますが、新たに製造されることはなく謂わば在庫処分の状態と思われます。箱入り保証書付きの新品が欲しい方は急がれた方がよろしいかと思います。

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