唐松林の中に小屋を建て、晴れた日には畑を耕し雨の日にはセロを弾いて暮したい、そんな郷秋の気ままな独り言。
郷秋<Gauche>の独り言
「また会う日まで」
小出しにされたものを毎日ちびりちびりと読む新聞小説などは、まったく性に合わずこれまでまともに読んだこともなかったが、現在朝日新聞で連載中の「また会う日まで」(池澤夏樹作)はなぜか毎日、ちびりちびりと読んでいる。
「また会う日まで」は池澤直樹の大伯父、秋吉利雄の生涯を書いたものだが概ね事実に沿って描かれたいるようである。秋吉はクリスチャン(聖公会)にして軍人(最終位は海軍少将)であり、同時に天文学者(東京帝国大学理学博士)である。私は、先の大戦へと続く世にあってキリスト者であることと海軍軍人であることを、どのように折り合いをつけて生きてきたのか興味を持ち読み始めた。
この連載小説の作者である池澤は、秋吉利雄の妹の子、つまり甥に当たり後にフランス文学者、詩人、小説家として知られるようになる福永武彦(1918-1979)の子であるが、一昨日の第439回では1945年7月7日、福永に長子が誕生し「夏樹」と名付けられたことが書かれている。この夏樹こそが「また会う日まで」の著者である池澤夏樹その人なのである。
昨年8月から連載が始まった「また会う日まで」であるが、当初は一年で終わるのだとうと考えていたのだが、今年8月時点では太平洋戦争の只中で、ようやく一昨日に7月7日から幾分過ぎたところ、つまり終戦のひと月前まで話が進んだところである。ここに来て自身の誕生について書くことで最終回の一つ手前にある山を越えようとしているところだろうか。
この先も楽しみな「また会う日まで」ではあるが連載開始からすでに一年三カ月が経過し、序盤の頃の話はすでに忘却の彼方。連載終了後には単行本として出版されることだろうから、その時には一気に読んでみたいものである。
横浜の住宅地の中に残された小さな里山の四季の移ろいを毎週撮影しているblog「恩田の森Now」に、ただいまは10月30日に撮影した秋から冬へと移ろう森の様子を掲載いたしております。ご覧いただけたら嬉しいです。
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