熟年の手習い

熟年老い易くチェロなり難し

美術館巡り

2009年05月05日 | アート
久々に、美術館2館もはしご。

○杉本博司「歴史の歴史」 @国際国立美術館

大御所写真家杉本氏の展覧会は初めて。
興味があった写真家なので、楽しみにしていました。
彼の多岐に渡る膨大なコレクションも同時に展示されるという珍しい構成。
とにもかくにも古くて珍しいモノのコレクターでいらっしゃる。
写真作品より、そちらの方が面白く見入ってしまいました。
特に、化石類は圧巻で、あんなに迫ってくるものとは思いませんでした。
「写真とは現在を化石化する行為であるという事に気がついた。」と写真家の弁。

最後の部屋、マン・レイが撮ったデュシャンの写真。(もちろんこれもコレクション)
その額のガラスが割れているのは、誰の仕業でしょうか。
出口近くの鏡の壁面にも、大きなクモの巣状のヒビ。
我思うゆえにワレあり、とオヤジギャグみたいなことらしいですが、いいのかなあ。
「現代美術の父、デュシャン」へのオマージュは一応わかりますけど。

以前、同じ美術館でデュシャン展があり、デュシャンのオマージュ作品コーナーもありました。
音楽の父バッハほどでもないとしても、父デュシャンもなかな人気者です。

○インシデンタル・アフェアーズ<うつろいゆく日常性の美学> @サントリーミュージアム

運良く、学芸員の説明ツアーの時間帯だったので、1時間参加させてもらいました。
前の写真展もそうだけど、現代美術というのは説明が必要なことが多いのです。
これって、現代美術の閉塞感を感じずにはいられません。

昔なら、美術の既成概念を打ち破ることに作家も見る側も闘志を燃やせたけど、
行き着くところまでいって、かなり細かい部分での特殊性を教えてもらって、
なるほどね~の美術なのです。
もっとも美術なのか、イラスト、フィギュア、コマーシャルCG等、その周辺のものか今時はボーダレス。
美術館に殿堂入りしたらポップアートが死んだ例もあるので、個人的には、「その周辺のもの」は自分の持ち場でしっかり成熟して後世につないでほしいです。

知らない若い方の作品ばかりで新鮮でした。
それに、企画の狙いもあって、親しみやすい作品が多いです。

宮島達男さんだけは、前に直島で見ています。
その時は大きな驚きと感激でした。
すでに作品の意味を知っていると、同じネタの漫才を聞いたみたいな気分になりました。
願わくは落語のように、同じネタを聞くことにも喜びがある、という作品が見たいです。
今回の作品は、センサーが仕組んであり、そこを踏むと真っ暗闇になると学芸員の方の説明があったので、ツアー後、戻って探索しました。
探している人も多かったのですが、私が見つけて部屋全体を真っ暗に!
2分半、身動きできません。迷惑だったかしらん。
オバハンもやるもんです。ハハハ。←子供

センスのある若いお客さんが多く、ステキなナチュラル系のファッションも目の保養になりました。
若さで着る色、形。
真似するとクスンでキタナク老けるので気をつけます。

それにしても、音楽鑑賞と違って、美術鑑賞はものすごく体力が入ると感じるようになりました。
それに、見てやろうという能動的な態度を取らないとつまりません。
丁寧に見て2館回れたから今はまだいいけど、これから大丈夫かしら。
オモシロそうなのを探して、美術館で体力、気力を養うのもいいかも。