まほろば日記

fujioの日常の出来事、記録等を思いつくままに書いた日記です

山岳会だからできる山行

2014-06-03 13:46:25 | 日常
平成26年6月3日
先日、この夏に計画している北方稜線縦走山行に参加予定の会員からお電話を頂きました。彼女の周辺の方々から「あなたのような初心者がいけるようなところではない。危険だからやめなさい。]
[あなたには無理だ。中止しなさい。」とのご意見が寄せれれ自分も不安に感じはじめました。[私は大丈夫でしょうか。]とのお言葉でした。私はその回答に下記のようなお手紙を差し上げました。

  ○○ ××子様

                                 福原不二雄
お電話いただきありがとうございます。
周囲の方のご心配も当然だと思います。
ですが、山岳会の山行についてあまりご存じないのでご説明させていただきます。
今回の山行は経験豊かなリーダーがいる山岳会だからできる山行です。
初めての経験のない方ではとてもできない計画です。
危険極まりないことです。
だから周囲の方のご心配も当然なのです。
我々は過去に何度も試行錯誤を繰り返し、その経験実績を踏まえて、後輩たちのために実際に現地に趣き、
安全な登山方法を指導し、その体験を次の時代の後輩たちに伝達してゆくための計画です。
今回のコースについては今までにも実施した計画にもとずき実施いたしますのでどこにどのような危険が存在するか、そのためにはいかなる方法により克服すべきかも熟知しております。
(途中省略)一方参加者本人の実力も大切です。あなたならできると判断し参加を認めておりますが最終的には天応岩場でのクライミング能力、神島一周の体力があるか判断して決めます。(中略)
初めての経験、誰でも怖いです。それが正常です。
恐怖心のない方の方が異常なのです。
怖いから努力する。さらにそれを後押ししてくれる先生がいれば安心して頑張れる。
山岳会はその後押しをする会です。

私は何よりも安全を第一と考えています。
天候、参加者の体調不良、装備の不備等があれば危険を招来することになり、たとえ行動中でも計画を中止いたします。
仲間と協力、助け合い目標を達成し感激を分かち合うのが私の希望するところです。
「山は自己責任が原則です」
行くか行かないかはあなた自身で判断してください。

信頼は裏切りません。
ともに高みを目指そうではありませんか。
                                     以上

この手紙と合わせてかって同じような経験をされた会員の森山睦子さんの会誌に掲載された一文章を同封させていただきました。

「まさか、まさかの大山縦走」    森山睦子
 平成13年9月2日、ついに大山を4人で縦走しました。
あの時のラクダの背を歩いている写真を見ると「本当に私なのか」と夢のような心地です。
リーダーから「条件がよければ大山を縦走しよう」と言われた時、「私のようなお荷物がいかれますか」と言ったら「ロープをもっていって確保するから大丈夫」と言われました。
そのようなことをリーダーが言っても私の歩きぶりを見て「せいぜい三鈷峰までだ」と私自身がそう思っていました。
ベテランの先輩たちも口をそろえて「無理」「無理」「無理」の大合唱。「せいぜい天狗ヶ峰の所で怖い道を見て帰ってきなさい」とアドバイイス。
昼食時は少し風があったのでユートピア小屋の中で食べました。今日のこの天気では縦走はないと思いゆっくり昼食をとりました。その後、三鈷峰に登って帰り、ストレッチ体操をして「さあ、また来た道を帰ろう」とおもっていたら、リーダーが「さあ、行きましょう」とユートピア小屋の右側を上りはじめた。
その時初めて「まさか、縦走するの・・・」  幸い霧が少し出てきて、周りが霞んできました。険しい草付の尾根を登っていきます。リーダーが「この下の谷が4人の山仲間が遭難したところだ。みんなでお祈りしてゆこう。」と遭難された人の名を一人づづ話しかけるように呼び掛けられました。そして手を合わせて冥福をお乗りました。 さらに、夢中で岩尾根を登りつづけました。突然、平なところに出ました。天狗ヶ峰です。
はじめに、リーダーが「天狗ヶ峰下の危険な痩せ尾根をバランスよく通過できたら合格。大山を縦走しよう。」と言われていたところはどこだったのか。夢中で登っていたので知らぬ間に通過していたのです。「合格かな・・」  ここでハーネスをつけ、ヘルメットをかぶり、あご紐をきりりと締め、ついでに気持ちも引き締めて出発。少し行くと、崩れた痩せ尾根。「ここはロープを張ろう」 張られたロープにヘッドオンでビレーをとり歩を進めます。一歩左足を出すと南壁の方に、右足を出すと北壁の方に「ガラガラ・・・」と礫土が落ちてゆく音が不気味に響く。リーダーから「集中力だ・・・」と注意されたことを思い出し、腹式呼吸をしながら歩くと不思議と怖さがなくなりました。時折霧が晴れて、麓の景色がすっきりと見えます。元谷の方もよく見えます。稜線の斜面に咲くコゴメクサの白い花の群生の美しさに感動しました。
怖いところは「ラクダの背」の中央部分をトラバースする所でした。
そこは道がなくなって、南壁の方へ伝って歩かなくてはいけません。壁は草が生えていましたが3点確保の場所もなく、たった4歩か5歩ぐらいの距離ですが・・・・、リーダーはさっさと行きましたが私は一瞬ためらいました。下を見ると絶壁の斜面しか見えません。ふと、5月の仙酔島山行で絶壁をトラバースする歩き方を思い出しました。あの時下は海でしたが・・・思い切って足の側面に力を入れながら4歩行きまた上の道に上がった時は膝ががくがくして、蔵王岩場での初心者岩登り教室の時のようにミシンぶみしてしまいました。「ラクダの背」は地震後、通行しやすくなったといわれていますが、全員の無事な通過を待っていたかのように雨が降り始めた。リーダーが「なくなった仲間が我々を守り、通行させてくれたのだろう」と一言。大山頂上小屋に着いた時はほっとしました。もう二度と私は縦走できないと思います。リーダーありがとうございました。サポートして下さった同行の仲間の皆さん、ありがとうございました。以上

リーダーから一言。福原不二雄
大山縦走路は一般登山道ではありません。通行禁止となっています。
崩落が激しく、ロープ等の安全施設が設置できないからでしょう。一歩誤って転落すれば命の危険があり、毎年死亡事故が発生しております。
岩登りと同様に装備と訓練が必要です。また、それを行ったものだけが行かれるコースです。今までも何人もの初心者を連れて行きましたが
全員岩登り教室や訓練山行に参加し、基本をマスターしてのことです。
大山縦走の意義は「自分ではとてもいけないだろうと思っていたのに行きことが出来た。」自分の実力を100%発揮して、困難、恐怖心を克服し、目標を達成した感激、大満足、言葉に言い表せられないほどの喜びであろう。握手する手から感動がはっきりと伝わってきます。
大山縦走すると登山観が変わってきます。より真摯に訓練に取り組むようになり、より大きな目標に挑戦する気概がわいてくる。いわば、大山縦走は到達点でなく高みを目指して挑戦する出発点です。次々と後輩たちがリーダーを乗り越え成長してゆく。これほどリーダー冥利に尽きることはありません。

この二つの文章に私の言いたいことのすべてが言い尽くされています。
どの様な回答が返ってくるか楽しみです。
(写真は前回の北方稜線、難所の池の段へ下る場面です。万一、浮石などに乗り転落したら命はありません。緊張する場所です。)















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