スーパーマーケットに蹤いてゆくときは
あちこちの陳列をどうしても眺めてしまう。
陳列されているその品揃えを見ていると
そのスーパーの意気込が判る。ていうか
スーパーと客がそれぞれ啓発し合った結果が
その陳列に現れるのだと私は思っている。
POSデータの売れ筋だけで陳列している。
そんな店は私に言わせると駄目だ。
陳列は客とバイヤーたちの出会いの場だ。
素晴らしい一品に出逢ったときは嬉しい。
さすがプロの目利きだなと思う。
この店、仕事に誇りを持ってるなと思う。
レジ係は言う。
お客さんは良い商品をよく知っていると。
さて、おやっと思って立ち止まった陳列棚。
オイルサーディンが並ぶ棚であった。
学生時代、アルバイトしていた北野のパブ。
神戸では有名なサーファーが集まる店だった。
週末、超忙しい時は私も厨房に入って
オイルサーディンをよく調理した。
缶の蓋をぐるぐるっと巻き上げて、そこに
香辛料を振って熱っしてレモンスライスを置く。
それだけだったが、これがまた抜群に旨かった。
1970年代のこと。勿論舶来品だった。国産品で
オイルサーディンはあまりなかったように思う。
こんな劇画タッチや漫画タッチの意匠の
オイルサーディンもあるなんて。
なんか時代を感じてしまった。それにしても
スーパーの陳列に初老の男がじっと眺めている。
変なおじさんだと思われているのだろうな。