動物のレプリカ工場に働く主人公は不可解な事件に巻き込まれ、
こりゃ死んだなと思ったら、次の章ではいつも通り暮らしていて、
前に何がおこったか記憶はあるがそのうち考えるのが面倒になって忘れてしまう。まわりの人々もそんな感じ。
いろんな事件事故が次々と押し寄せるが幾度もこれを繰り返す。
面白すぎて読むのが止まらないほどだが、いったいこの話はどこに着地するんだろうと不安になっていたら、
最後にわかった。
人を構成している細胞の新陳代謝はまさにこの物語だ。
「ぷるぷる音頭で震えながら人が溶けていく」描写は寿命が尽きた細胞が死滅する姿だ。
人間は自我や魂を持つ高等生物だと思いあがって一人で生きている気になっているが、
人間もDNAをコピーし続けているレプリカに過ぎないという衝撃的な物語。
生物学的な知識がすごい人だなと感心したら、巻末の参考文献がすごかった
稲垣さんの「生き物の死にざま」の後にこの本に巡り合うなんて運命だ!いやそう思うのも人間の思い上がりか。
どこにも行けない雨の日曜日は読書が進みます~