漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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吉田修一著「太陽は動かない」できることならエネルギーを平等に

2015-11-03 | 
吉田修一作品2つ。
「太陽は動かない」
原発の次は太陽光エネルギーか。だけどあんなでっかいパネルを地球のあちこちに敷き詰められては自然破壊に等しい。
と思っていたら、この小説ではすごい発明が登場する。
宇宙で太陽光エネルギーを集め、地球に送信して今より何十倍もの効率の太陽光パネルで受けるという。
これができたら原発なんてもういらない。油田争奪しなくてもいいかも。すごいぞ。
でもって、これにからむ利権問題は相当熾烈。国を超えての大型企業がしのぎを削る。
中国やアメリカ、日本では地方議員、国会議員、その情報をつかんで売るNS通信という闇の組織。
それに貧困から親に見捨てられた子供の問題も織り込まれ、現代の様々な問題や事件が登場しリアリティーがある。

できることなら、太陽の恩恵を地球上の世界が平等に受けられるといいなあ。

「平成猿蟹合戦」
歌舞伎町のバーテンダーが東北の地元で国会議員に当選するというサクセスストーリーで、殺人事件があったりしてるのに、登場人物が基本いい人たちで、その辺がぬるい感じがするけど、文章のうまい吉田さんによって登場人物ひとりひとりの生きざまにのめり込んで一気読みしてしまう。「横道世之介」に近い作品かも。


吉田修一 1968年 長崎生まれ 読んだ作品「横道世之介」「パレード」「悪人」「パーク・ライフ」「