吉田修一~、だれ~?
なんて思いながらも「パーク・ライフ」っていう軽るすぎる感じの題名に逆に興味をそそられた本。
ちょっと地味な感じだけどきにかかる黄色の装丁。それに芥川賞受賞作品って書いてあった。
著者紹介を読めば、なんと映画で話題になった「悪人」の著者でありました。
日比谷公園での一見何でもない出来事。
ふだんほとんど意識せずに通り過ぎてしまう情景を
な~るほどーと共感できる言葉で描いてくれている。
そして、そのいちいちにちょっとした驚きがある。
あるあると身近に感じるというか、妙にそそられるというか、希望をもってしまうというか・・・
たとえば、地下鉄の通路で、
「まっすぐに延びる地下通路の天井は低く、歩けば歩くほど自分の身長が縮んでいくように思える」とか。
そしてこの物語の登場人物の多くが自分の家に根をおろしていない状態なのだ。
「ぼく」は別居中の宇田川夫妻のペットの面倒を見るという口実で宇田川家に住まい、
宇田川夫婦はその家に帰ろうとせず、「ぼく」のアパートでは
母親が田舎から気分転換に上京してきて気ままに使っている。
外側だけが個人のもので中身は借り物みたいな想像をさせる臓器移植ネットワークの広告コメント。
内臓の詰まっていないように見えた人体模型。
形はあるのに、そこに「意志」を埋め込むことができない、
いまいち足が地につかない日常のふわふわした不安感を感じてどうしたらいいのかわからないけど、
それでもどこか他へ飛んでってしまわない、温かいつながりとでも言いましょうか、
そんなことに心がぽっと温かくなった。
吉田修一:1968年 長崎生まれ
なんて思いながらも「パーク・ライフ」っていう軽るすぎる感じの題名に逆に興味をそそられた本。
ちょっと地味な感じだけどきにかかる黄色の装丁。それに芥川賞受賞作品って書いてあった。
著者紹介を読めば、なんと映画で話題になった「悪人」の著者でありました。
日比谷公園での一見何でもない出来事。
ふだんほとんど意識せずに通り過ぎてしまう情景を
な~るほどーと共感できる言葉で描いてくれている。
そして、そのいちいちにちょっとした驚きがある。
あるあると身近に感じるというか、妙にそそられるというか、希望をもってしまうというか・・・
たとえば、地下鉄の通路で、
「まっすぐに延びる地下通路の天井は低く、歩けば歩くほど自分の身長が縮んでいくように思える」とか。
そしてこの物語の登場人物の多くが自分の家に根をおろしていない状態なのだ。
「ぼく」は別居中の宇田川夫妻のペットの面倒を見るという口実で宇田川家に住まい、
宇田川夫婦はその家に帰ろうとせず、「ぼく」のアパートでは
母親が田舎から気分転換に上京してきて気ままに使っている。
外側だけが個人のもので中身は借り物みたいな想像をさせる臓器移植ネットワークの広告コメント。
内臓の詰まっていないように見えた人体模型。
形はあるのに、そこに「意志」を埋め込むことができない、
いまいち足が地につかない日常のふわふわした不安感を感じてどうしたらいいのかわからないけど、
それでもどこか他へ飛んでってしまわない、温かいつながりとでも言いましょうか、
そんなことに心がぽっと温かくなった。
吉田修一:1968年 長崎生まれ