漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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アトピー化粧品ってなに

2009-08-20 | 肌トラブル・アトピー・美容
昨日8/19の朝日新聞夕刊の記事から、いやだなーと思った話題です。

大きな見出しで《アトピー化粧品と偽る》
とあるので、そんな呼び名の化粧品があるのか?と
胸騒ぎを覚えながら記事を読んだら、

記事内容の冒頭から、
「アトピー性皮膚炎に効く化粧品と偽り、医薬品成分のステロイドを含む商品・・・」

化粧品は法律上医薬品ではないので、
「効く」とか「効能」をうたったりすること自体が違反なのだけど
(日常のはなしの中では「きく」という言い方をすることはあるかもしれないけど、たとえば利用者が「これがきいた」とか「これでなおった」とか)

この記事は、薬事法に違反する《偽り》行為を事件にしてるのはわかるけど
「アトピー化粧品」とか「アトピーに効く化粧品」という言葉そのものが
違反だということに、新聞記者はまったく意識がないようです。
法律違反の事件を扱う記事なのに、
新聞が堂々と違反言葉をつづっているのに唖然としてしまいました。


それにしても「輸入品なので成分が分からなかった」まま販売してしまうおそろしさ。

含有されていたステロイドは、強さ分類のうちで一番強い部類に属し、
そりゃー、塗れば赤みは引くだろうなと思う。
そして、そんな内容を知らずにちょっと塗って赤みがなくなれば、
「この化粧品きく!」「これで治った」と言っちゃうよね。

ステロイドは医薬品として治療上頻繁に使われるもので
けして悪いものではないけれど、それなりの副作用もあるので、
そのことを使用者も十分理解しておく必要があります。
それでもステロイドの即効的な抗炎症作用に頼って、
なかなかやめられなくなる人も多いくらいだから、
そんなに効く成分を説明なしにじゃんじゃんぬるのは恐ろしいことです。

私たち薬局などの医療機関は法律的にかなり厳しく縛られているので、
販売する商品についてはそのプライドをかけて、
ずいぶん神経質に慎重に選んでいますが、
一般の化粧品についてもそんな意識を欠かしたくないですね。

そうでなきゃ、
一生懸命、アトピーで悩む人々のためにいいスキンケア化粧品を作ろうと努力している人たちに申し訳ないし、
なにせ、末端消費者には調べようがない部分なのですから。