「中央構造線博物館」のホームページには、“地上700km上空から写した人工衛星画像には、西南日本を縦断する、まっすぐな谷が写っています”と書かれ、写真が添えられている(右図参照)。人工衛星からもその姿が確認できる!とは。これは凄いことだ。
建物外の掲示板には“中央構造線は断層破砕帯なので、浸食を受けやすく、中央構造線が尾根を横切るところに峠の様な地形=断層鞍部が出来ます”とも書かれていた。思うに構造線が尾根ではなく、谷を奔れば、同じ理由から谷はより幅広く、より深くなり、その陰影を人工衛星から確認出来るのだろうと愚考した。
「博物館」の周りには、中央構造線を境に、両地帯で採取された岩石が並べられ、内部には、大鹿村近辺の”地質概要図”の立体模型が展示されていた。この模型を上から見ると分杭峠までの様子が分かり、スイッチを押すと、片側が“地盤沈下”し、断面が現れた。(写真:立体模型図)
さて、今日は人口衛星ではなく、気球船から鳥瞰する気分で、地上1000キロに及ぶという中央構造線の、九州から信州までを見てみよう。地図は「博物館」から拝借した。
①九州では天草諸島付近から出発し、九州中央部では、阿蘇山の下に隠れ、大分県の国東(くにさき)半島と佐賀関(さがのせき)半島の間を抜けている。
②豊予海峡を経て四国に上陸し,四国山地の北部を抜け、淡路島をかすめ、紀ノ川河口付近で紀伊半島に上陸し、松坂へと抜けている。(何やら台風通過放送のようだ)
③三河湾から豊川を通り、天竜川と合流する付近から北東に進路を変える。青崩れ峠を抜け、152号線(=秋葉街道)の谷間に沿って北上し、大鹿村に到着。なおも北上して、ファッサマグナと交差する。
私が一番興味を抱いていたのは、中央構造線はどこでフォッサマグナ西端の糸魚川ー静岡構造線と交叉するかという点だ。図からは諏訪湖付近と見えるが、確認をしたくて、博物館の学芸員に電話して聞いてみた。明快な説明があり、茅野市諏訪大社前宮付近とのことであった。これより東側ではフォッサマグナの下に潜り込み、露頭は現れない。再び姿を現すのは関東平野からと説明されている。
私にとって馴染み深い、茅野市や諏訪神社。この前宮付近で両構造線が交叉していることは、感慨深いものがあったが、ここから約10キロの、我が山小屋は大地震に際してはどうなるのだろうとの一抹の不安も抱いた。
帰路は、その中央構造線の谷間を杖突峠へと抜け、急勾配を一気に下って、上諏訪でレンタカーを返却。7日間で610キロの走行。ガソリン使用量はは47リットルだった。
今日の一葉:吉祥寺栴檀の木。11日写す。