マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

『更級日記』始まる

2017年02月25日 | 街道を行く

 妻が講師の「源氏物語」の会は、昨年12月で『竹取物語』を終了し、今年2月からは『更級日記』が始まり、その第1回が211日(土)に行われた。『源氏物語』→『大鏡』→『雨月物語』→『平家物語』→『伊勢物語』→『竹取物語』など、今までは、古典では名高い物語文学が続いて来たが、読み合わせは、初めて日記文学となった。出席者は13名。
 購読本は、角川ソフィア文庫『更級日記』(原岡文子訳注)。現代語訳も付いているが、本文も読みやすい。

 作者菅原孝標女(すがわらたかすえのむすめ)は13歳のとき、上総介の任期を終えた父の上京に伴い京都に上った。さてどの道を行ったのか?残念ながら、私達が歩き始めた中山道ではなく、東海道だった。今までの作品に比べて身近に感じられるテーマが物語の最初に登場し、非常に興味が湧いてくる導入だ。現在の千葉県市原市から出発し、松戸の辺りで隅田川を渡り(諸説あるらしい)、足柄山を越え、富士山を眺め、遠江・美濃・近江を経て京三条に至った。
 先走るが、その後の展開を読むと、上京後、少女時代は『源氏物語』などの物語を読み耽り、33歳で橘俊通と晩い結婚。夫の死後は侘しい生活。その中で物語は執筆された。宮仕えに係わるものもある。「日記」とはあるが、毎日の生活を日々綴ったものではなく、晩年に創作されたものらしい。当ブログのタイトルは『マーちゃんの数独日記』と日記風体裁を取ってはいるが、日々の生活を語らない日が多い。最近は”隔日”記になっている。

 妻が毎回用意する資料は2種類あって、ひとつが写本でもうひとつが10ページほどのレジメ。妻は右写真の写本を読むのだが、このようなものを初めて読む者には難解。私は『竹取物語』の途中で挫折。今回は読む上での“用例集”が配られているので、それを傍らに置いて読みゆくのだが、そう易しくはない。前途多難だ。(写本は、右上から始まり、”あづま路の道の果てよりも、なほ奥つ方に・・・と書かれている)
 
レジメには物語の解説のみならず、蘊蓄も詰まっていて、こちらが語られる場面が多々ある。これまで、中流貴族の平凡な女性の一代記とされてきていて、「夢見がちな受け身の人生」を愛される向きもあったけれど、物語作者の一面もある作者の、作為性・物語性をも、見ていこうというものだそうである。今後の展開が楽しみだ。