10月7日から始まった、「国立京都博物館」の“鳥獣人物戯画展”は、11月24日にその幕を閉じた。私たちは、長浜での“観音めぐり”の翌日の11月14日(金)にここを訪れた。
10月には、妻が、11月上旬には妹夫婦がここの鑑賞に訪れ、その混雑ぶりを聞かされていたので、何とかそれを避けようと、朝8時には博物館に到着し、列に並んだ。ところが既に長蛇の列が出来ていて、物好きな私は、前から何番目くらいかを数えたら130番目。数日前から開館時刻が9時半から9時に変更になったそうな。それでも1時間の待ち時間で入館できたことはかなりベストの選択であったことを、後刻実感することとなる。
今回の“鳥獣戯画展”は「朝日新聞文化財団の助成による修理が完成したことを記念して、甲巻から丁巻までの4巻すべてを公開します」とあるように、修復なった甲・乙・丙・丁の全巻一挙公開である。それもあっての大人気なのだろう。一番有名な甲巻の前で大渋滞が起こっていた。絵巻だから遠目では見られない。一列になってのゆったりの鑑賞。時間がかかる訳である。
私は、平安時代から鎌倉時代にかけて、作者不明ながら、このようなユーモア溢れる戯画が描かれた、その時代の精神というか、描いた著者の心の有り様に驚かされる。今から800年以上前に、現代の漫画を彷彿させる様な画を、誰が一体どんな思いを込めて、如何なる目的で描いたのだろう。
甲巻ではカエルとウサギが遊び、カエルがウサギを投げ飛ばしている。
乙巻では想像上の龍や麒麟などが描かれ、丙巻では人間も登場している。その丙巻は別々の絵巻を繋げたと考えられて来たが、実は前半と後半は、もともとは一枚の紙の表と裏に描かれたものであることが判明したとも書かれていた。
見応えがある戯画絵巻で、それにまつわる謎も教えられた。
「平成知新館」が完成し、記念の展示「京(みやこ)へのいざない」も鑑賞した。ただ疲れていたので、その前に喫茶店でココアブレイクし、外を眺めると、もの凄い人数が並んでいる様子がよくわかった。「入館待ち140分 入館後50分で戯画へ」の表示も見られる。“ご対面”まで3時間10分の所要時間。多くの人々はその待ち時間を厭わずの展示会だった。東京では4月28日~6月7日の開催とのこと。