3月23日から4月20日まで、毎週土曜日に行われた、第2回電王戦は、コンピュータ側から見て3勝1敗1引き分けに終わり、団体戦として棋士側に勝利した。その様子をほぼリアルタイムで伝える「ニコニコ放送」は、第5戦では48万人もの視聴者があったとか。私もその一員であった。第4戦は旅行中の為観られなかったが、それ以外の全てを観ての感想を綴っておきたい。
その前に、第1回からの戦いの結果を整理しておくと、
第1回電王戦 ×米長永世棋聖 対 ボンクラーズ 〇
第2回電王戦
第1局 〇阿部光瑠四段 対 習甦(第5位) ×
第2局 ×佐藤慎一四段 対 Ponanza(第4位) 〇
第3局 ×船江恒平五段 対 ツツカナ(第3位) 〇
第4局 △ 塚田泰明九段 対 Pueiia α(第2位)△
第5局 ×三浦弘行八段 対 GPS将棋(第1位) 〇
(〇:勝 ×:負 △:引き分け パソコン側順位:第22回パソコン将棋選手権順位)
2級程度の棋力しかないが私が抱いた感想。第1局を観た限り棋士側が強いと感じたが、第3局で船江五段必勝とも思える局面から、ツツカナが徐々に挽回していき、ソフト側の大逆転勝利に終わった時は、これは大変なことになるのではと予感した。第5局に登場の三浦はA級に所属する棋士で、順位戦のランキングでは第3位の超実力者。三浦が入玉を狙いながら、敵駒に囲まれて、圧倒され続けて”討ち死”する最終局面を観て、パソコン側の強さを実感した。
米長著「われ敗れたり」を読んで、棋士側がパソコンソフトに勝つ事は容易でなくなる日が近いとは思ったが、こんなに早くにやって来るとは!
人間が開発したパソコンが人間の能力を越えるはずがないと信じている人もいるが、そんなことは無い。例えば5ケタの素数×5ケタの素数の計算結果を因数分解せよ、とうい問題に人間は相当時間かけてもなかなか正解に達しないだろうが、パソコンは1分以内に解いてしまうだろう。チェスでは世界チャンピオンがパソコンに敗れたのは1997年のことである。
世の反響も物凄かった。この実況を48万人もの人が観て、その接戦に多くに興奮・感動のコメントが寄せられていた。”観る将棋”ファンを増やした意味は大きい。又ソフト側が指した手が、新定跡となる可能性もあると言う。棋士とソフトが”協力”して新たな定跡の発見が進むかも知れない。
私が注目する三冠王渡辺明竜王はそのブログの中で『自分のところに回ってくるのは当分は先だと思っていました。来年以降のことはもちろん何も決まっていませんが、その見解は甘過ぎたようです』と書き、第3回電王戦の対戦相手として、御鉢が自分に廻って来る可能性を感じている。
羽生三冠王や渡辺が戦いに登場すれば、今回以上に世の話題を呼ぶだろう。対戦して欲しいような、もう少し先にして延ばしてほしい様な複雑な心境である。