私が教会で座っているだけで嬉しいと言ってくれた女性がいた。以前も数回聞いた言葉であるが嬉しい。名誉長老の具氏から私の最新編著の本に感想、在日の過去を思い出したという。時々出席する韓国の女性に声を掛けた。釜山から来られた方である。5000人の信徒がいる釜山の永楽教会の信者、関釜フェリーで30余年間、下関と釜山を往来しながら行商をしている。日韓交流に生きる張本人。私のインタビューが始まったような時間であった。
下関市立美術館で展示中の「川原慶賀の植物図譜」展を見た。私は西洋植民者たちが植民地において現地の記録としての写実画に関心を持っており、足を運んだが虫眼鏡で鑑賞するほど細密な植物図には驚いた。またそれが日本人の絵師川原慶賀の作品であることにもびっくり。枝の表裏、筋、花、種などが絵描かれている。オランダ商館員らの依頼で描いた当時の長崎の庶民の正月や七夕など年中行事、婚礼、出産といった人々の暮らしを描いた作品約50点も展示している。薄暗い照明で美しく展示されている。リアル自体は美ではないという意見があるが、なぜか私は繊細さも美であると日本文化に感嘆してしまった。