崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

日韓合併100周年

2010年01月23日 04時57分02秒 | エッセイ
 今年は日韓併合100周年になる。これに関しては両国において喜んで記念すべきことではない。韓国では国恥日としている。私はその日本の植民地期に韓国で生まれ創氏改名された体験がある。しかし、今では日本に留学して日本研究者になっている。目下日本植民地期に朝鮮半島に渡って住み、日本へ引き揚げてきた人々への聞き取り調査を行っている。「中国新聞」の伊東雅之氏からその植民地朝鮮へ移住して日本村を作った歴史に関して執筆した特集“刻まれた記憶”(一部7回分)が届いた。多くのマスコミや団体がこの記念のために準備しており、私も協力しているが、中国新聞がスタートを切った感がする。
 私は引揚者が語る証言の資料化も必要と思うが、それより個々人の朝鮮での経験や体験が彼らの人生に生きている過去としてどのように作用しているかに関心が高い。韓流ブームの前までは韓国では反日感情が強く日韓関係がギクシャクすることが多かった。それは主に日韓関係の近代史に由来するものである。私の拙著『親日と反日の文化人類学』(明石書店)でも触れたが植民地政策が悪かったことはもちろんであるが、それよりは戦後の処理も含む、日韓関係のまづさによるものであるといえる。
 植民地は終戦と同時に終わるものではない。その影響は長く響く。その戦後の状況が日韓関係を長く左右する。私は民族や国家を超えて植民地を調査してきたのでその視野から日本の植民地に触れたことに関して韓国では誤解されることが時々あった。この件についてはいつか書こうと思う。