雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

リスの窒息

2012-05-31 19:10:10 | 

石持浅海著"リスの窒息"を読みました。
ずいぶんひどい話です。
中学生が大人達を相手に犯罪を仕掛けます。
相手は新聞社です。
有名市立中学へ通う栞は友人の聡子を連れて家へ帰ります。
その2階で見たものは裸で殺されている母と家庭教師と
その横で自殺している父でした。
凄惨な場面をみた直後であるにもかかわらず栞は警察へ
届けることなく大学卒業までの学費と生活費を得るため
狂言誘拐を思いつき実行に移します。
交渉先に選んだのは秋津新聞社編集局投稿課の読者投稿欄
「スピーカーズ・コーナー」です。
縛られ片方の靴下を口に入れられ頬を膨らませた栞の写真と
学生証が添付された身代金を新聞社に要求するメールが
送られてきました。
投稿課には中島課長、細田、馨がいました。
立脇編集局次長、狩野社長室長、鴨志田編集局長、吉野
社会部長、石崎警視庁担当記者等新聞社の上層部の面々が
投稿課へ集まりました。
以前に秋津新聞では情報提供者を死なせてしまったことが
ありさんざん世論に叩かれました。
新聞社を非難した先鋒が週刊誌の道標社です。
メールのCCが道標社になっていて何が起こっているのか
道標社に筒抜けです。
栞は新聞部で新聞業界について詳しいのです。
鴨志田は当時の事件で自殺を企て精神科にかかっています。
今回の事件でまたもや心のバランスを崩してしまいます。
「警察へ知らせるな」は脅迫状の常套句ですが知らせるべきと
いう声に上層部はいろいろ言い訳をして知らせようとしません。
社長は海外でやはり最終判断を現場にいるものに任せると
逃げを打っています。
三千万円を要求するメールが届きます。
栞の服が脱がされていく写真が添付されています。
冷静なのは投稿課の者です。特に細川が冷静です。
彼は元社会部記者で昔の事件の時の関係者です。
警察へ知らせないのはともかく、両親と連絡を取るなり
家の住所を知ろうともしていません。
やっと住所を知ろうとします。
現代は人の個人情報を知ることは難しいものなんですね。
新聞社ならそれ相当の方法を知っていそうな気がしないでは
ありませんが、取った方法は社内で学校に子弟を通わせて
いる社員を調べることです。
でも住所録は作られていません。
夫が教師をしている社員が見つかりやっと住所がわかります。
身代金を払うことになります。
身代金を取りに来たのは誘拐された当人の栞です。
新聞社までやってきます。
友人の聡子が捕まっている、持って帰らないと殺されると
いいます。

結局は捕まります。
計画がずさんですから成功するはずがありません。
新聞社内の優柔不断さは現実にこんなふうなんだろうなと
思わせます。
何かが起こった時にしょっちゅう判断が遅いとマスコミに
叩かれている政府や企業はこんなことやっているのでしょう。
それにしても新聞社の対応はかなり間が抜けています。
中学生が起こした事件で大人を翻弄して恐ろしいです。
栞の両親の起こしたことも無責任です。
もしお金を手にしても中学生が一人暮らしして生きていく
なんてすると言ったところで許されないでしょう。
高校生になってさえ許されないかもしれません。
その間お金はどこへ隠しておくのでしょう。
銀行に預けておけるものでしょうか。
無茶な計画です。
でも中学生の起こした事件です。
たいした罪に問われないのです。
殺人まで犯そうとしていてその直前で捕まって却って
よかったです。
彼女らの未来はどうなるのでしょう。
何もしない方が断然よかったでしょうに。
つい先日まで養護施設で育った人たちの施設を出た後を
追った記事が新聞に連載されていました。
18歳で施設を出て何も持たない人が大学で勉強しようと
したらものすごい苦労をしなくてはいけないことが書か
れていました。
学資が欲しいという栞の望みは切実なものだと
伝わってきます。

夏の王国で目覚めない

2012-05-30 20:00:15 | 

彩坂美月著"夏の王国で目覚めない"を読みました。
おもしろかったです。
どうなっていくのだろうと先へ先へと読み進みました。

天野美咲は高校生です。
父親が近所に住んでいた未知子と再婚しました。
幼馴染の守が義弟になりました。
美咲は新しい家族に馴染んでいません。
三島加深という4冊出版している作家に傾倒しています。
インターネットのファンサイトにたどり着き熱烈な
ファンたちと対話をしています。
管理人のジョーカーから架空遊戯に誘われます。
架空の人物になりきって指示された行動と会話を参加者と
して殺人の犯人を見つけるというゲームです。
犯人を見つけた人、あるいは逃げ切った犯人は未出版の
泉音の小説を手に出来ます。
夏休みで家族と諍いがあり書置きを残して美咲はゲームに
参加します。

登場人物は次の通りです。
亡くなった作家羽霧泉音の関係者です。
九条茜、サークルの後輩 美咲の演じる人物です。
高瀬浅黄、泉音の友人
草薙透吾、泉音の恋人
藤森紫苑、泉音の友人
青井瑞穂、泉音の友人
黒木高志 泉音のサークルの先輩友人
羽霧藍人、泉音の弟

寝台列車に乗り込みます。
黒木が部屋から姿を消します。
翌日藤森がナイフで刺されて死んでいるのが見つかります。
残った者は指示で紙戸駅で降車します。
フェスティバルの最中の町をあちらこちらと指示に
従って移動し、予約されていたホテルへ入ります。
翌日指示のあった観覧車に乗った4人は藍人が
追われて転落するのを目撃します。
残った4人は泉音が亡くなったとされる建物へと
移動します。
羽霧泉音=三島加深で彼らがなぞっている出来事が
実際に起きたことで加深はもう亡くなっているのではと
わかってきます。
残った4人はパニック状態で殺しあって全員死亡して
しまいます。

読んでみようという気になった人はここから先は
読まない方がいいですよ。
これで終わってもいいのですが実際にはここから先が
あります。
すべてを操っていたジョーカーが暴かれます。
グループの人が次々に殺されていくという小説は
たくさんあります。
高校生が主人公でまわりでどんどん殺人が起きる
なんて残酷な話だと思いました。
でも・・・ 一人も死んでいません。
みんな生き返ります。
いったい何のために仕組まれたゲームなのかよく
わかりません。
ジョーカーが加深の死の真相を知りたかったため
集まった人に推理させたというふうに見えますが、
目的がかなう前にグループ内で殺人が起きる
可能性は多いに考えられました。
なぜそんな危険を冒すのでしょう。
最終的には加深の真意が解き明かされて苦しんでいた
人は救われました。
関係ない人達を殺されるかもしれないという恐怖に
落とし入れてひどい話です。
最後の種明かしの部分はほっとした反面、なんか
気が抜けてしまいました。
美咲は家族というものを考え直す機会になりました。

かなり夢中で読んでいました。

曽根崎心中

2012-05-29 19:49:38 | 
角田 光代
リトル・モア
発売日:2011-12-22

原作近松門左衛門、角田光代著"曽根崎心中"を読みました。
人形浄瑠璃、歌舞伎などで演じられる近松門左衛門作の
ものを現代語でわかりやすく書いたものです。
大阪新地の遊郭の遊女お初と、客の徳兵衛との恋の
話です。
遊郭での遊女と客という立場を忘れて恋に落ちます。
徳兵衛は叔父の店で小さな頃から働いています。
縁談を進められています。
徳兵衛にひどい仕打ちをしてきた義理の母に叔父から
結婚をさせるということでお金が渡されます。
徳兵衛は結婚を断りたいため義母からお金を取り
返そうとします。
やっと取り返したお金を帰り道で偶然会った友人に
貸してしまいます。
友人は返そうとしません。
友人は証文は偽物で徳兵衛が書いたのだと言います。
徳兵衛はにっちもさっちもいかなくなります。
徳兵衛とお初は追い詰められます。
二人は死を決意します。

遊女には何の自由もありません。
恋をしてもかなうことはまずありません。
それでも心だけは自由です。
いちずに徳兵衛を思います。
徳兵衛が本当のことを言っているのか、嘘を言って
いるのかわかりません。
追い詰められているという事実があります。
お初の切々とした恋心は胸を打ちます。
自分としては一度も感じたことのない感情ですが
本を通してお初の心は伝わってきます。
彼女にとって死は恍惚なんでしょうね。

シアター!2

2012-05-28 20:13:12 | 
有川 浩
アスキーメディアワークス
発売日:2011-01-25

有川浩"シアター!2"を読みました。
"シアター"の続編です。
兄の司に300万の借金をして2年間で返せなかったら
劇団を潰す約束の劇団シアターフラッグの話です。
2で完結するのかと思ったらまだ途中です。
まだ続きます。

いろいろのエピソードはありますが大問題は起きません。
激しく対立したり言い合ったりしますが仲がいい仲間です。
公演は黒字がでるようになって借金の額は減っていきますが
2年後の最後の公演では返せない見込みです。
はたしてどのようにして足りない部分を補うのだろうと
興味がわきます。
完結編ではきっと借金は返しおわるのだろうと思います。
今回司は主導権を握って指図するのではなく人を育てて
いこうと劇団員たちの自主性を引き出していきます。
潰せといいつつ劇団に肩入れしています。

前回の公演の「掃きだめトレジャー」への悪意のある
書き込みが劇団サイトに続きます。
コメントを一時閉鎖する状態になります。
劇団に見切りをつけて離れていった元の劇団員の仕業と
偶然にわかります。

公演が終わった後の空いた時間はアルバイトをしたり
テレビのオーデションを受けたりと忙しくしています。
牧子は石丸に好かれていますが相手にしていません。
巧を一心に思っていますが巧は気づいていません。

何かあるとゆかりが話を聞いてもらうのは小宮山です。
彼はゆかりがかけてもらいたい言葉を返してくれます。
しかしどこかで線を引いています。
ゆかりは簡単になびいてしまう性格ですがその後の
関係は長く続きません。
そうならないためゆかりが自分から小宮山を好きに
なってくれるのを待っています。

巧は有名な劇場のテアトルワルツで上演したいと思っています。
上演を申し込んだ所支配人が会いたいといってきました。
会いに行くと上映させてやるとはいうものの今まで
上演してきたものに対して批判的なことをいいます。
かっとして巧は断ってしまいます。
巧は断ったものの劇団員に合わせる顔がなく家出をして
しまいます。
行った先は母親の住む神戸です。
しかし再婚している母の家までは行けません。
ところが財布を落としてしまい身動きできません。
母に電話をしたところどうしたのか見抜かれて
しまいます。
心配して巧の自宅にいてたまたま電話を受けた牧子が
神戸まで迎えにきてくれます。

スズはドジで失敗ばかりしています。
劇団員に叱責された場で千歳にかばわれます。
劇団では先輩であり友達であると思っていたスズは
怒りを爆発させ千歳と言い争いになります。
劇団員たちが司を訪れては二人の争いの解決策を求め
たり自分の心の内を打ち明けたりしていきます。

こんなふうな劇団員たちの話が続きます。
給料も出ないのに夢中になっている彼らがうらやましく
なります。
理解し合おうとかまずくなった関係を修復しようとか
いっしょうけんめい努力する様子は人間関係が希薄な
現代ではあまりみかけない関係でなんだかほっとします。

何度でも君に温かいココアを

2012-05-27 19:55:36 | 

小瀬木麻美著"何度でも君に温かいココアを"を読みました。
読みやすいし登場人物たちもやさしい人たちです。
でも読み終わって一息つくとなんか変という感じに
おそわれる本です。

佐生倫子の父は智、母は由希です。14歳の中学生です。
お母さんは活字中毒です。微笑むことはあっても笑った
ことがありません。
お母さんに親類はいません。
家族のことも故郷の京都のことも話してくれません。
京都へ帰ったこともありません。
お父さんはお母さんをそっと見守って大事にしています。

お父さんの弟に幹夫おじさんがいます。
精神科医で倫子にミッキーと呼ばせています。
倫子は幹夫にロンと呼ばれています。
夏休みにミッキーにいっしょに京都へ行こうと誘われます。
持って行く鞄を探していて鞄の中に母の同窓会の名簿と
青山祐介という人から母に宛てた手紙が見つかります。
母が昔俊輔という人と愛し合っていたこと、俊輔が亡く
なったこと、母が喪失感から死ぬかもしれないと思われて
いたこと等が書かれていました。
倫子は京都で母の過去を探し出そうと決意して旅だちます。

京都での最初の晩にミッキーの友人の広沢卓とその姉の
恵子、その息子の敦志と食事することになりました。
敦志は高校生で、オリンピック出場を期待されている
水泳選手です。
恵子は由希の学生時代の友人で昔倫子の父の智に片思いを
していました。
由希と恵子はそれぞれに子供が産まれて男と女だったら
結婚させようと約束しました。
敦志は倫子のことを毎年送られてくる写真で知っていて
親同士がした約束を知っています。
倫子と敦志は会った瞬間に恋に落ちました。

俊輔は由希の血の繋がらない兄です。
子供を連れた親同士が結婚したのです。
二人は愛し合いました。プラトニックな関係です。
深く心が繋がっています。
両親は交通事故で亡くなりました。
俊輔は病気でした。二十歳ぐらいで亡くなります。
俊輔が亡くなって由希も死ぬのではないかと心配されて
いました。
由希を京都駅で見かけた智は大学もアルバイトも
家もその場で捨ててそのまま由希の後を追います。
こうして二人は京都から消えました。

倫子と敦志は由希の友人の大久保英、青山祐介を
訪ねて昔のことを聞き出します。
お母さんは京都へ来ることを怖れています。
過去からまだ抜け出せずにいます。
由希はお母さん宛に先に進んで欲しいとメールします。
そして京都で待っていると伝えます。

こういう話です。
母の友人の大人たちが由希が母の過去を知る様に
細工しました。
もちろん母親の由希もこの計画を知っています。
でもなぜという疑問が湧きます。
知らせたければ由希が自分で話せばいいではありませんか。
中学生の娘に突然こんな重い話を知らせる必要が
あったのかと思います。
大人なら自分の問題は自分で解決する努力をしたらと、
いいたくなります。
その後で話して聞かせればいいのです。
亡くなった人への思いを心に満たして、現実の世界で
夫と娘と暮らすということはできるものなのでしょうか。
夫は何もかも承知しています。
夫と妻として信頼し合っている関係ではあります。

倫子と敦志は由希と俊輔の関係に似ています。
まだ人生はこれから、先に何が待っているかわからないのに
運命の人と思い定めるのは辛いことではないかと
思ってしまいます。

こういう風になんだか納得いかないなあといろいろ考えて
しまう本は、きっと内容を覚えているに違いありません。

ホテル・ピーベリー

2012-05-26 20:56:03 | 
近藤 史恵
双葉社
発売日:2011-11-16

近藤史恵著"ホテル・ピーベリー"を読みました。
最後まで読んでこの本はミステリーに分類されるもの
なのかなと思いました。
ミステリーだと思わないで読んだ方がいいです。
木崎淳平が語る形式です。
淳平は小学校の教師でしたが退職して無職です。
友人の杉下にハワイ島のヒロに日本人が経営している
小さなホテルがある。そこは3ヶ月まで泊まれて一回
泊まった人は再度泊まることはできないと聞きました。
杉下にそこへ行くよう勧められます。

ヒロ空港へホテルの経営者夫婦の妻の瀬尾和美が
迎えに来てくれていました。
同じ飛行機で来た桑島七生という若い女性と
いっしょになりました。
ホテルにはそのほかに佐奇森真と蒲生祐司と青柳が
宿泊しています。
経営者の夫の洋介はオープンしたばかりのカフェを
営業するため一日中いません。無愛想な男です。
ホテルの掃除、洗濯は和美が一人でやっています。
朝食は付きます。夕食は予約すれば作ってもらえます。

どこへ行くにも車が必要です。
スーパーマーケットへ行くにも車です。
淳平は旅の間だけの出来事として和美と関係を
持ちます。
和美は淳平よりずっと年上です。
痩せた人です。
みんなのお母さんという感じの人です。

ほとんどの人が出かけていた日に蒲生がプールで
溺れて亡くなりました。
事故として処理されました。
蒲生は偽名だとわかり誰だかわかりません。
ピーベリーホテルを出ていった青柳がバイク事故で
続いて亡くなります。
ホテルの雰囲気がおかしくなります。
佐奇森もホテルを去ることになります。
和美はホテルを閉めるといい桑島、淳平にホテルを
替わってくれるよう申し出ます。

七生は婚約していますが男の態度に不満を覚えだまって
ハワイへやってきて3ヶ月を過ごすつもりです。
追いかけてきた男の「許してやる」という言葉に失望
して別れを決めます。
淳平は旅行中だけの出来事としていた和美との付き合い
でしたが、それだけでは済まない気持ちになっています。

淳平は一ヶ月あまりでハワイを去ります。
二人が死亡したことの事実はなんだったか突き止めて
再度ハワイを訪れます。

この謎解き部分はちょっとありえなくてしらけます。
これはどう考えても無理です。
ホテルのまわりがどんな状況か書かれていません。
読んでいる限りまわりに何もないところにポツンと
建っている感じです。
それにしたって十何年住めば知人は出きるでしょう。
ミステリー部分はさらっと読めばいいでしょう。
ハワイという日常生活を離れた地で何ヶ月かを
過ごすという生活部分がおもしろかったです。
別の場所でちょっとの間、暮らしたいと思いませんか?
ビーベリーでいっしょに暮していてもあまりお互いを
深く知り会おうとしないのは最近の現象なんでしょう。

淳平が教師を辞めた理由はちょっと問題です。
小学生の美少女に恋してしまったからです。
体にさわったとか何かしたわけではありません。
写真を取りまくってそれを焼付けに出してばれました。
ちょっと異常です。親は心配するでしょうね。

変った雰囲気の話でこの雰囲気嫌いではありません。

花咲小路四丁目の聖人

2012-05-25 18:37:25 | 
小路幸也
ポプラ社
発売日:2011-11-10

小路幸也著"花咲小路四丁目の聖人"を読みました。
亜矢は花咲小路で矢車英数塾を開いて子供達に教えています。
お父さんはイギリス人、お母さんはイギリス人と日本人の
ハーフです。
お母さんはすでに亡くなっています。
お父さんは日本に住んで40年で、70歳です。
イギリスには今も語り継がれる"最後の怪盗紳士セイント"
がいました。
実はこのセイントがお父さんの矢車聖人です。
聖人が大泥棒だと知っているのは商店街の亜矢の
幼馴染の白銀皮革店の克己と松宮電子堂の北斗です。
聖人は二人に指示して商店街から盗まれた置物を
取り返して元の場所に戻したりしています。

商店街はさびれていく一方です。
閉店する店がどんどん増えています。
商店主の集まりも活気がありません。
このところ商店街には不穏な空気が流れています。
浮気をしている人が数人います。
何か目的があって商店街の人に近づいてきている者が
いるようです。

そのうち韓国のマッシュグループが花咲小路の町ぐるみの
買取りをしようと交渉を始めました。
聖人はそれを阻止しようと克己と北斗を助手にして
何か始めます。

町の住人全員がマッシュグループに温泉に招待された
夜に町に異変が起きました。
大きな美術品の像が町の通りにいくつも出現しました。
ケースに収められ移動しようとしたら薬品が充満して
貴重な作品が損なわれると警告文が書かれています。
商店内には貴重な絵が掲げられています。

マッシュグループは撤退していきました。
怪盗セイントが盗んだ美術品で、聖人がセイントでは
ないかと疑われますが違うということが受け入れられました。
無理に移動しようとすることなく美術品はそのまま
町に置かれました。
これらの美術品を見ようと町は活気づきました。

子供向きの冒険物語風です。
でもおもしろかったです。
さびれた町を活気づかせる一つの方法を提示しています。

生還 山岳捜査官・釜谷亮二

2012-05-24 20:56:53 | 
大倉 崇裕
山と溪谷社
発売日:2008-08-29

大倉崇裕著"生還 山岳捜査官・釜谷亮二"を読みました。
山で不審な遺体が見つかった時に呼び出される山岳遭難
救助隊特別捜査係の釜谷亮二が主人公です。
語りは山の経験がまるでないのに推薦されて釜谷の
部下になった原田昌幸です。
釜谷が山が好きで事件の解決をひたすら求めるだけ
ではなく人間的な魅力がある男性に描かれています。
山での事件を扱う話の本はたくさん出ています。
すっと話の中に入り込めないものがあるのですが
この本はすっと入っていけます。
連作短編集です。

"生還"
滑落するとは思えない場所で女性が亡くなっていました。
黄色のダウンジャケットがナイフで突き刺してありました。
手足に脱臼、打撲があります。
ポケットにはたばこの吸殻、フィルムケースが入って
いました。
たばこの吸殻を投げ捨てて注意された男がいます。
恋人でしたが彼女の登山能力が男を抜いてしまい今回
別ルートで登り途中の山小屋で合流予定だった男がいます。

別の遭難の連絡もあり遭難者を探しています。
その人はフィルム写真を取りながら登山をしています。

事件かと思われた遭難ですが意外な方向へ展開します。
彼女の思いが報われ一人の人の命が救われました。

"誤解"
山小屋の管理者の二宮がポンプの点検にいったまま戻って
きません。
たまたま行き合わせた釜谷、原田が探しにいくと頭に
怪我をした二宮が見つかりました。
誰かに襲われ石をぶつけられました。
二宮は尊敬され慕われています。
釜谷、原田が山小屋にいた人たちに話を聞いていきます。
そして二宮が間違って怪我をさせられたことを突き止めます。
山小屋にはアルバイトの渡邊と友達の大野がいます。

"捜索"
息子が山に行ったまま帰らないと家族から連絡があり
捜索が始まりました。
大勢の人で捜索が始まりました。
釜谷、原田は管轄外の地へ出張で行っていました。
二人は捜索に加わりました。
いっこうに見つかりません。
やがて彼がどうして山に行ったのか理由がわかります。
体調を崩し入院中の老人がいます。
その人は毎年登山をしていました。
その人が行く山へ代理で登ろうとしていたのです。
それを手がかりにその山へ入ります。
捨てられたゴミからここを通ったに違いないと見当を
つけて追っていきます。
天候の晴れ間を狙って近くをヘリに飛んでもらいます。
木々の合間から光るものが見えました。

"英雄"
七冬山で雪崩が起きました。
山スキーをしていた学生が巻き込まれました。
雪崩に備えた装備をしていたので巻き込まれなかった
仲間がすぐ掘り起こして全員無事でした。
ところがその近くで別の人が亡くなっているのが
たまたま見つかりました。
5年前に七冬山で5人のグループが遭難しました。
一人が自力で下山して捜索隊に通報して他の4人を
救いました。
死亡していた伊崎はこのグループに接触して強請りを
行おうとしていました。
このメンバーが関わっているとみて釜谷らは調べています。

登山しない人にも読みやすいと思います。

安全靴とワルツ

2012-05-23 20:01:50 | 
森 深紅
角川春樹事務所
発売日:2011-12

森深紅著"安全靴とワルツ"を読みました。
仕事小説です。
主人公は坂本敦子で自動車工業の工場で生産管理の
仕事をしています。
仕事に熱意と誇りを持っています。
男性が多い中でばりばりと仕事をしています。
工場勤務から本社勤務になりました。
本社のチームでの仕事は時間に縛られ走り回る過酷な
ものです。
外国の人も多く働いています。
外国語がしゃべれないにもかかわらず海外出張して
他国の企業との交渉にも行きます。
工場勤務だった時に結婚するつもりで付き合っていた
人がいます。
彼の実家に行く予定でしたが忙しく仕事を取りました。
あっけなく結婚も付き合いも解消になりました。
両者ともあっけらかんと別れており結婚ってそんなに
気楽にできるものなのかと思いました。
無茶な予定もあちこちと調整して通さなければなりません。
クループ内のいざこざもあります。
彼女の仕事は部品とか製品とかを発注したり買い付け
たり、工程の管理をしたりするようなことです。

私も製品を作る会社に勤務していたのですが考えてみると
仕事がどのように流れていたかぜんぜん知りません。
設計、開発する部門と、実際に製品をつくる部門、
そして営業があるのはわかります。
仕事の振り分けや材料の手配、購入品の調達、外注製品の
発注、全体の流れを管理したり、品質管理をどの
タイミングでどこがしていたのでしょう。

この本はあまり描かれない職種のことが書かれていて
興味深いです。
きびきび働く人の様子を見ることは楽しいです。
しかしどういう仕事なのかいまいち理解できません。
前に読んだ"電車屋赤城"のように重苦しさが頭に
のしかかっているような状態で働くのではなく全力で
仕事に没頭できて幸福な人たちです。
くたくたになるほど忙しいというのはくせになる快感を
もたらします。
時として視野が狭くなってしまうことがありますから
そうならないよう注意は必要です。
主人公は女性ですが男性に置き換えても違和感はありません。

北緯四十三度の神話

2012-05-22 21:03:43 | 
浅倉 卓弥
文藝春秋
発売日:2005-12

朝倉卓弥著"北緯四十三度の神話"を読みました。
北緯四十三度の札幌の話です。
菜穂子と和喜子は姉妹です。
菜穂子が中学生の時に二人はがスキーに行きそこで
菜穂子の同級生の樫村に出会いました。
その後両親は交通事故で亡くなり祖父母に引き取られました。
姉妹は別々の高校へ進みました。
菜穂子は地元の大学へ進みそのまま大学へ残り研究生活を
しています。
和喜子は東京の大学へ進みました。
大学で樫村と出会い二人は付き合いだします。
樫山は別の大学で学び直そうとします。
パイロットになりたかったのです。
樫村は練習中に墜落して亡くなりました。
喜和子は札幌に戻りラジオの深夜番組のパーソナリティーを
しています。

姉妹は喧嘩しているわけではないのですがスムーズな関係
ではありません。
なんとか修復しようとする話です。
ほんとはお互いを大切だと思っているのです。
嫌いだと思っているのならいっしょに住まない
でしょうし、辛い思いもしないでしょう。

和喜子の一方的な思い込みが大きいのです。
樫山が菜穂子に付き合って欲しいといったことは
ありますが高校生の時のことです。
冗談のように口にしただけで実際に付き合ってはいません。
樫山と姉との間に無理やり割り込んで樫山を奪った
のだと和喜子は思っています。
樫山が亡くなる間際に"桜葉"と言ったと看護師から
和喜子は聞きました。
樫山は和喜子を苗字で呼んだことがなく樫山が
最後に姉を呼んだと思い込みました。
愛されてなかったという思いが和喜子を苦しめます。

菜穂子はその話を聞いてもう一度看護師に会って
詳しく話を聞くようアドバイスします。
看護師から再度話を聞いて和喜子の悩みは解消されます。
菜穂子はシカゴの大学へ行く機会に恵まれ旅立ちました。
シカゴは北緯四十三度だそうです。

姉妹はめんどくさい関係だなぁと思いつつ、
いいなぁとも思います。

白樫の木の下で

2012-05-21 21:21:08 | 
青山 文平
文藝春秋
発売日:2011-06

青木文平著"白樫の木の下で"を読みました。
あんまり淡々としているのでわけもわからなく読み
終わってしまいました。
読み終わってあれこの話なんだったけっという感じです。
こんなふうに感じる本はあまりありません。

江戸時代です。
武士は仕事がありません。
登、昇平、兵輔の三人は同じ道場に通っています。
平和な時代で竹刀で稽古をする道場が多い中、木刀で
稽古をする道場です。
町人も道場へ通う時代です。
蝋燭問屋の巳乃介に頼まれ別の道場にやってくる道場
破りの相手をするアルバイトをしています。
実際に立ち会うのではなく相手が逃げ出すように
仕向けるようにします。

登は刀を折ってしまい竹光を差しています。
巳乃介が気に入りの刀が腰に差されているのを見ていたい
からと所有している刀を登に預けます。

昇平は父が自殺してます。
他人の目を気にせずあらゆる仕事をして借金を返して
家族を養ってきました。
昇平が役につける話があります。

町には辻斬りが出没しています。
残忍にも一太刀だけではなく切り刻まれています。
兵輔はこの犯人を捕まえることで自分も役につきたい
と思って犯人を探しています。

巳乃介は武士の養子になり小人目付の仕事について
います。やはり辻斬りを追っています。

兵輔には佳恵いう妹がいます。
兵輔は昇平と妹を結婚させたいと思っています。
しかし佳恵とと登は惹かれあっています。
お互いの心を確信したその数時間後に佳恵は辻斬りに
殺されてしまいます。

兵輔も殺されます。
巳乃介も殺されます。
一付きで殺されていて辻斬りとは別の犯人です。
やがて昇平も死にます。

登のまわりの親しい人がいなくなります。
道場をまかせたいという話があったのですが
登は小人目付になりました。

こうやって書くとすごい話ですね。
次々に人が殺されていきます。殺されすぎです。
愛した人もあっさり死んでしまいます。
淡々と描かれているので読む側も何も考えないで
先へ進んでいってしまいます。

楽園のカンヴァス

2012-05-20 19:47:23 | 

原田マハ著"楽園のカンヴァス"を読みました。
読んでいる最中に山本周五郎賞を受賞したとの新聞記事を
見ました。おめでとうございます。
絵画の話ということは知って読み始めました。
絵画の話はちょっと気が重くって最初のうちはなかなか
物語の中へ入れずに読んでは止め、また読むといった
調子でした。
中盤になってからはどんどん読み進められました。
絵をみるのは若いころは好きでした。
今はめったに見ません。
アンリ・ルソーの絵が主題の話です。
表紙の絵が"夢"という絵だそうです。
ルソーの絵のいくつかはたぶんあちこちの美術館や
展覧会でみていると思います。
図書館へ行った時に子供向けのルソーの絵の本があった
ので借りてきました。(はじめてであう絵画の本8ルソー)
森や動物の絵はとても惹き付けられます。
でもルソーは生きているうちはぜんぜん評価されずに
失意のうちに亡くなっています。
それがわかりません。
自分でこの絵はいいと評価しているつもりでも実際は
その時代の雰囲気の中で他人の評価、世間の評価で
いい絵、駄目な絵と感じているのでしょうか。

ニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレータのティム・
ブラウンと早川織枝が関わった、ルソーの世に出ていない
絵画「夢をみた」の真贋を見極める7日間の出来事です。
最初と最後にその7日間から十五年後の二人が描かれています。
織枝はルソー研究を止め美術界から消え、それでも絵から
離れずに大原美術館で監視員をしています。
西洋人の血をひいた15歳の娘がいます。
この7日間でティムと織枝との間に恋が芽生えたのかと
思わせられました。

ティムの上司はトム、どちらもブラウンです。
ティムも織枝もルソーの研究者です。
ティム宛に謎の絵画コレクターのコンラート・バイラー
からスイスのチューリッヒへ招かれます。
ティムは上司のトム宛のもののミスタイプだろうと
思いますが誘惑に負けてトムも自分も休暇中というこ
ともあってトムに成りすまして出かけます。

バイラーは95歳、車椅子生活をしています。
すばらしい美術品に囲まれて生活しています。
バイラーの屋敷でティムは織枝に出会います。
MoMAにある「夢」とほとんど同じ「夢をみた」というルソー
が描いたと思われる絵画を見せられました。
違いはソファーに横たわる女性の伸ばした手が指差して
いるか、握っているかです。
ティムと織枝は7日間毎日90分ずつある文章を交互に
読んでこの絵の真贋を最後の日に講評することに
なりました。
バイラーが認めた講評をしたものにこの絵の権利が
譲り渡されます。

ティムに、この講評に勝って絵の権利を手にしてそれを
譲り渡せといってくる男が現れます。
織枝の後ろにもそんな男がついている模様です。
インターポールの女性、ジュリエットもティムに
近づいてきます。

毎日ルソーの生涯を描いた文章を二人は読みます。
誰が書いたものかわかりません。
「夢をみた」の絵の下にはもう一つ絵が隠されていて
それはピカソの初期の青の時代に描かれたものだと
思われています。
評価が定まっていないルソーの絵よりはピカソの絵の
方が重く見られています。
ルソーの絵は誰の手に渡っても剥される可能性が大きいです。
ルソーの絵を愛している二人ははたしてどうするか。

最後の結末はなんかあっけなかったです。
丁々発止と二人の議論が開始するのかと思いました。
あっさりとしたものです。
それでもバイラーにとっても、二人にとっても一番いい
解決方法になりました。
裏で暗躍していた人々はぎしぎし歯軋りしていること
でしょう。

読み終わってすぐはいったいこれはどういった話なの
だろうとわけがわかりませんでした。
なぜバイラーは二人を呼び寄せ対決させなければ
ならなかったのでしょう。
そんな必要は無いように思えました。
彼はこの絵のいきさつが充分わかっていたはずです。
しばらくしてこういうことなのかなと思いました。
バイラーには信頼できる人がいないのでしょう。
長年バイラーの法定代理人を務めるコンツでさえ信頼
できる人間ではありません。
体も自由に動きません。
ルソーを大切にしてくれルソーの絵をはがさないで
くれる人を見つけ出しその人にルソーの絵を託そうと
したのでしょう。
絵はある人に託されました。
充分に信頼できる人です。
でも「夢みた」はどうなるのでしょう。
バイラーが望んだような未来となるでしょうか。
どこかの倉庫の片隅に埋もれ忘れ去られることになる
のかもしれません。

本のラストはティムと織枝が再会する場面です。
どうして十五年も待たなければならなかったのかと
思いますがきっと必要な年月だったのでしょう。

ほんとうにピカソの絵は下に眠っているのでしょうか。
そこをはっきりさせずに可能性だけで動いている人達は
おかしなものです。
X線ですぐわかるわけですからもしピカソの絵がなければ
絵は傷つけられることはないので何も心配ありません。
バイラーが対策をしないではいられないのはピカソの絵は
ある、ということなんでしょうね。

電車屋赤城

2012-05-19 18:41:42 | 
山田 深夜
角川書店
発売日:2007-05

山田深夜著"電車屋赤城"を読みました。
この本よかったです。
それなのにブグログで見ると30人しか登録してません。
(表紙画像の横の「ブクログでレビューを見る」をクリック
するとブグログへ飛びます。)
なんででしょうね。

電車の点検、保守、修理をしている人々を描いたものです。
主人公は赤城です。優秀な技術を持っています。
神奈電の社員でしたが人を殴って解雇されました。
酒を飲み駅員に絡み電車に放尿したので殴ったのです。
彼は1000形電車については第一人者です。
時代は1000形を破棄して3000形に移ろうとしています。
人に知られていませんがギターの腕も一流です。

三郎はエース工業の社長です。
三郎の父親が神奈電の災害現場で復旧作業が進まないの
をみかねててきぱきと手伝ったことがあります。
それで神奈電へ会社ごと電車の整備をするように
引き抜かれました。
しかし神奈電の本工とエース工業の社員とでは大きな
格差があります。
本工はことごとくに差別的な態度を取ります。

佐島は神奈電の社員で数少ない赤城の親友で理解者です。
息子を交通事故で亡くしています。
音楽をやっていませんが絶対音感を持っています。

原口も神奈電の社員で赤城の理解者です。
前は漁師で反対を押し切って結婚した最愛の奥さんを
海難事故で亡くしています。

恵は小料理屋牡丹の女将です。
エースの社長の三郎と長年付き合っています。
牡丹はエースの社員がよく利用しています。
恵は苦労してきた人です。

純一は三郎の甥です。二十歳です。
4年間引きこもり生活をしてきました。
叔父の会社でアルバイトを始めます。
最初は作業着の洗濯作業から始めます。

赤城は数年行方不明となりました。
三郎や佐島が一生懸命探してやっと見つけました。
神奈電は横暴なことを言ってきます。
1000形を扱える技術者がいなくて赤城を必要とします。
そこでエース工業に赤城を雇え、雇わなければエースは
神奈電から撤退するようにと無謀なことを言ってきます。
1000形の電車が神奈電から姿を消した時には赤城を解雇
することという身勝手なことまで言います。
赤城は戻ってきました。

加藤は神奈電の社員です。
皆の鼻つまみ者です。やる気はぜんぜんありません。
彼は父親が誰か知りません。
神奈電の社員の誰かだとはわかっています。
彼を会社にコネで入社させて面倒を見ている役員が
います。

ユカリは神奈電の運転手をしていました。
女性運転手として珍しがられて人が集まるのにうんざりして
整備の方へ変ってきました。

仕事を愛し誇りを持っている人々を描いた物語です。
赤城の仕事に対する打ち込み様はすがすがしいです。
無愛想だけどそれと知らせずの他の人に差し伸べる手は
やさしいです。
まわりの人のやさしさも受け入れればそれは受けようと
しません。孤高の人です。
純一は赤城について仕事をするようになり電車に興味を
持つようになり変りました。
加藤も変りました。

エースの社長の三郎は神奈電からはずれて父親の最初の
時代に戻ろうと考えています。

理不尽なことを突きつけられながら仕事に情熱を
燃やす人たちです。
でもこんな風に頭の半分は不愉快なことで覆われていては
仕事に全力を注げないでしょう。
楽しく仕事をするというのとはかけ離れた状態です。
楽しいという状態で働けないのはもったいないことです。
最近の世の中ではこういうことは普通のことなんでしょう。

自分のやってきた仕事とは違いますが書かれていることは
理解できます。
このような状態で働いていたわけではないですのですが、
身近な話のように感じます。

ハリー・ポッターと死の秘宝 上下 再読

2012-05-18 20:14:53 | 

J.K.ローリング著"ハリー・ポッターと死の秘宝 上下"
を読みました。
以前に図書館から借りて読みました。
映画も見ました。
BOOKOFF で上下2巻で100円で売られていたので
買いました。
今回は再読です。
すぐ読もうというつもりはなく何年か先のいつか
再読しようと思ったのです。
それなのに手に取って読み出したのがいけなかった。
つい引き込まれて最後まで読んでしまいました。
ほとんど忘れてしまっていて、あぁこういう話だった
なぁと思い出しつつ読みました。
映画にもなって有名な話ですのであらすじは書きません。
また忘れてしまったら読み返します。

死の秘宝 では 上と下では雰囲気ががらりと変わっています。
上はハリー、ロン、ハーマイオニーの三人の場面が
ほとんどで静かです。
下になると登場人物がどーんと増えて戦闘場面がほとんとです。
7巻の物語の最終巻ですが満足できるエンディングです。
最後のハリーとヴォルデモートとの一騎打ちの場面では
断然ハリーの方の言い分が優れていてヴォルデモートが
何もわかってはいないんだなぁとなさけない部分を
さらしています。
ヴォルデモートについていてもいつもびくびくしてなければ
いけなくて何もいいことなさそうなのになぜ人は強い側に
ついてしまうのでしょう。
理不尽な理屈が大手を振ってまかり通ってしまうのは
現実の世界でも同じですね。

しかしよく出来た物語です。
よくこんな壮大な物語が書けるものだと関心します。
でもね・・・、ちょっとさめて読んでいます。
面白いんだけどハリー・ポッターのファンだ、とは
いえないみたい。

十一月の扉

2012-05-17 19:53:12 | 
高楼 方子
リブリオ出版
発売日:1999-09

高楼方子著"十一月の扉"を読みました。
なんだかほっとする暖かな本でした。
爽子は中学生です。
両親と弟がいます。
近所に素敵な十一月荘という家があります。
お父さんの転勤で引越すことになりました。
今は11月です。爽子は今転校するのは嫌です。
2学期の間十一月荘に下宿したいとお母さんに頼みます。
初めはびっくりしましたが十一月荘に行って
様子を見て爽子の願いを聞いてやります。
閑(のどか)さんが大家さんです。
住んでいるのは馥子(ふくこ)さんとるみちゃんの母娘です。
苑子さんは建築家です。
食事をいっしょにして、共通の部屋で団欒するという
形式の家です。
爽子は料理や掃除の手伝いをします。

文房具ラビスでドードー鳥の細密画が描かれた高級な
ノートを買いました。
このノートに爽子は物語を書き始めました。
十一月荘に住んでいる人や近所の人、学校の先生を
モデルにドードー森に住む動物達のお話を書きました。
そして小さなるみちゃんに読んでやりました。

家族と離れのびのびとした楽しい日々を過ごします。
それぞれの人が魅力的な女性たちです。
中学生が大人の人と交流して心の内を語ってもらうって
ありそうでそうないのではないかと思います。
祖母とか親戚の叔母さんとか身近な大人はいますが
そうそう深い話はしないのではと思います。

母親に対してわだかまりがあった爽子ですが母親も
爽子が離れて変りました。
人と交流するのが嫌という人でしたが引越し先では
知り合いができ仕事を始めようとしていると手紙が
きます。

たった二ヶ月の出来事ですがきっとずっと忘れない
日々になるでしょう。
読んでいて暖かい雰囲気が伝わってきました。
この本は小中高校性が読んだら一番内容を理解できる
のではないかと思います。
結構読み飛ばしましたがいい本でしたよ。