雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

はるひのの、はる

2016-09-30 11:41:06 | 

加納朋子著"はるひのの、はる"を読みました。
幽霊が出てきたり時間を超えたりする現実の世界とは
違う話です。
ユウスケが年齢を経ながら春、夏、秋、冬と不思議な
体験をします。
はるひのという河原とはるひという女の子がいつも
関係しています。

春、河原で女の子が死んでいるのに出会います。
ユースケは小さな子供です。
はるひに出会って死んだ女の子が死なないようにする
手伝いをします。

夏、漫画家は画けなくなっています。
妻は幽霊になって側にいます。
ユースケは翼と共に漫画家が行った肝試しに参加します。

秋、ユウスケは女の人に声をかけられます。
愛していた男に殺されたといいます。
その男を殺して欲しいと頼みます。
彼をはるひのへ導くことになります。

冬、美鳥は孤独な少女です。
おじいさんが残したチョウヒというヨルと名付けたタカ科の鳥を
飼っています。
近所には翼という同級生がいます。
大人のはるひが現れ、ヨルを野生に帰した方がいいと
助言されます。

このあと二つの春が語られます。
ユースケは高校生になっています。
はるひにそっくりな華という同級生がいます。
彼女はユースケを知らないといいます。

過去の不思議な出来事が繋がってユースケにはどういうこと
だったのかわかります。
ユースケは時々出会って頼まれごとをする、はるひに会いたいと
思っていました。
やっと会えてはるひから真相が語られます。

繋がりがなさそうな話が繋がります。
美鳥や翼も過去に出会った人たちです。

不思議な話だと思って読んでいました。
こういうまとまり方をするのかと、終わりまで読んで
全体が違った様相を現してくる本でした。
もう一度読み返したらきっとおもしろさが増すでしょう。

誰がために鐘を鳴らす

2016-09-27 12:28:01 | 

山本幸久著"誰がために鐘を鳴らす"を読みました。
先日読んだが"星宿る虫"が重苦しいものだったので
この本の明るさ、幸せさで気分が変えられました。
自分たちが卒業したら廃校になることがきまっている
県立諏那高校の三年生の男子たちの話です。
錫之助、播磨、美馬、土屋の4人は担任のダイブツに
音楽室の楽器を片付ける手伝いを頼まれます。
4人は友達ではなくたまたまその時間に学校にいた
だけの関係です。
錫之助の家は親族だけで工場を経営し父親が社長です。
卒業後の進路が見えません。
播磨は一人だけのテニス部員です。
土屋はバイトに明け暮れ、お金を貯め会社を立ち上げる
のが夢です。
美馬は土屋にいじめに近いことをされています。

音楽室に残されていた楽器はハンドベルでした。
錫之助は鳴らしたベルの音に魅せられ、ハンドベルをして
みたいと思います。
思いかけず他の3人も賛成してハンドベル部が立ち上げられ
ました。
指導は高校設立当時からの音楽教師の唐沢、通称カラニャンが
週一回見てくれることになりました。
担任教師のダイブツもいつの間にか部員としてベルを振る
ことになります。

音楽に詳しいのはピアノをやっていた美馬だけです。
楽譜に自分が振るところを右、左とマーキングして歌いながら
ベルを振るという状況です。
美馬が今までとは違う姿を見せ、しゃんとして厳しく皆に
アドバイスします。

数曲マスターしたところで保育園に演奏に行きました。
カラニャンの妻が園長だったところです。
今は娘が園長です。
奥さんは病気で倒れて車いす生活です。
園児たちがとても喜んでくれます。
奥さんも声を出して喜んでくれました。

土屋には不良の先輩のKO_SEOIが付きまとっています。
お金をむしり取られ乱暴を働かれています。
KO_SEOIがショッピングモールでの演奏会の後、
ベルを奪っていってしまいます。

取り返したものの、錫之助は腕を骨折、ベルの二つは乱暴に
扱われ壊れてしまいました。
錫之助は父にベルの製作を依頼します。
大勢の人の協力でベルは出来上がります。
錫之助は父の仕事を手伝い進路が見えてきました。

1年間の活動で彼らは変わってゆき、ハンドベルに
大きな喜びを得ます。

すんなりと物事が進んでいきます。
こんなにうまくいくかという疑問はさておいて、楽しいです。
ベルに夢中になり練習時間が長くなっていくみんな。
カラニャンのとぼけた雰囲気がいいです。
指導者がいてくれたことが幸運です。
生徒と共にクラブ活動に参加する先生というのもいいですね。

星宿る虫

2016-09-26 11:59:46 | 

嶺里俊介"星宿る虫"を読みました。
女性の法医昆虫学者が登場するのでミステリーだと
思って読み始めました。
川瀬七緒さんの法医昆虫学者の赤堀涼子が登場する話と
似通っている設定だなと思いつつ本を手にしました。
しかしだいぶ違います。
この本はどのジャンルに入るのでしょう。

信者の女性たちに売春をさせている新興宗教の山の中の
本部が焼け落ちました。
信者は全員死にました。
信者らの体は内蔵がなく血は黄色でした。
虫に喰われたようでした。

法医昆虫学者の御堂玲子がへ研修中の海外から呼び
戻されました。

大学生の悟は幼馴染のめぐみとずっといっしょに過ごして
きました。
家族ぐるみで、いずれ結婚するつもりでいます。
家出をしている悟の妹の美都子が虫に喰われて山の中で
亡くなったのがみつかります。
昆虫学者の御堂は悟の叔父の妻、叔母にあたります。

虫は体を喰いつくして体から出てきます。
そして背が割れて讃美歌のような歌を歌っているような声を
出し光り、死んでぼろぼろにくずれます。

遺体からはウィルスが見つかります。
このウィルスが虫を作り人の体を餌にして喰いつくすと光り
鳴き死にます。
今まで見つかったことのないウィルスと虫です。
発病すると1日1歳の割で年を取っていきます。

大勢のウィルス保持者が、急遽作られた病院に隔離されました。
そのうちの数人は保菌者ではあっても病気が進行しません。
病気を発症してしまったものは治療の手立てがなく死を待つ
だけです。
悟とめぐみも罹患しました。
悟は進行が止まっていますが、めぐみはどんどん年を取って
いき死は間近となります。

人が生きながら体内を喰われていく描写は真実味があって
ぞっとするおぞましさです。
このウィルスが宇宙から来たものと匂わせてはいますが
はっきりとはさせていません。
どうやって退治するのかもはっきりさせないまま終わっています。
物語はすっきり終わって欲しいというのが私の希望ですが
この本は迫力があって不満を感じさせずに読み終わりました。

虫たちはとても高い能力を持っています。
しかし心があるようではありません。
それでいながら解析し行動します。
何かに似ているような感じがしました。
そうだ、コンピュータのソフトみたいだと思い至りました。

主夫のツモロー

2016-09-25 21:00:00 | 

朱川秦人著"主夫のツモロー"を読みました。
ツモローって明日って意味かと思っていましたが
知朗って人名だってのですね。
朱川さんの実体験が反映されている作品だと聞きました。

ツモローは会社が倒産して仕事を失いました。
美知子は一流のインテリアデザイナーを目指しています。
ツモローの目指しているのは作家です。
ツモローが家事をする主夫となり作家を目指すことで
二人は結婚します。
やがて娘の智里が生まれます。
育児もツモローが引き受けることになります。

社会に立ち向かって生きていくのは女性だと思って
いました。
男性も一般的な生き方と違った生き方をしようと
すると反発が強いのですね。
女性が働いて男性が主夫をする、別にいいと
思いますけどおかしいと思う人が多いのですね。

ツモローと美知子の夫婦、肩ひじ張らずに生きて
います。
よく話をしています。

ママたちからは仲間に入れてもらえません。
親しく育児の話しをしていた女性とは変に関係を
勘ぐられ話すのをやめます。
二十ぐらいの武井夫婦と知り合いになります。
旦那の方は不良っぽい目つきです。
彼らとの交流が子育ての助けになります。

ツモローの両親は彼が赤ん坊のころに離婚しています。
三十年も母親は男が出来て家を出て行ったと思っていました。
母が家を継ぐ必要にせまられ、父は妻についていくのを
拒み、子供を渡さなかったと知ります。
母に捨てられたと思ってきました。
ここのところは理解できません。
父親が子供を引き取れば、母親が子供を捨てたと言われる
のはなぜなんでしょう。
父親が子供を捨てたとはほとんど言いません。
離婚するのは仕方ないこと、子供はどちらかに引き取られ
ることになるのも仕方ないことです。
父が子供の面倒を見る気もないのに意地で引き取った
ように見えます。
咎められるは父ではないかと思います。
本当の事情を早い段階で話してやればよかったのに。

人とは違う生き方をするのは厳しいものなんだなと
感じました。
もっと柔軟性にとんだ生き方が出来る世の中の方が
多くの人たちにとっていいに決まっています。

四重人格 SRO Ⅵ 警視庁広域捜査専任 特別調査室

2016-09-24 21:00:00 | 

富樫倫太郎著"四重人格 SRO Ⅵ 警視庁広域捜査
専任特別調査室"を読みました。
今回は近藤房子の話から外れています。
今回の相手はシリアルキラーと言えるのでしょうが、
お金で人殺しを請け負う殺し屋です。
トリカブトでの殺人が複数起きています。
関連がなく綿密に計画されたものと、ゆきずりに殺された
ものが混じり同一犯かどうか判断できません。
犯人側から見た事件の経緯は最初から明かされているので
倒叙形式の話といえます。
犯人の林葉は高級マンションに住み、高級レストランで
食事をして、よい席で観劇をする暮らしをしています。
題名に四重人格とある通り林葉は複数の人格を持って
います。
林葉と名乗っている人物は冷静に行動します。
短絡で暴力的な工藤が考えなしに行動します。

SROのメンバーの麗子は房子に刺され顔も傷つけられ
実家で静養しています。
地元で請われて人探しに関わったことから仕事に
戻りたくなり、東京に戻り仕事に復帰します。

工藤がちょっとした不満から殺した男が警察関係者
だったことから、殺しの依頼者側から命を狙われる
ことになります。
結構ハードボイルドな話です。
林葉と、命を狙う巨大な力を持った人物との闘いです。

政治がらみの汚職が絡んでいます。
林葉が依頼を受け北海道で殺した男は警察が目をつけて
いた人物でした。

四重人格のすべてがそれぞれ違った性格を持つ殺人者と
いうのがだんだんわかってきます。
今回の話は前のと比べるとアクション映画的で気楽に
読めます。

ディスリスペクトの迎撃

2016-09-23 21:00:00 | コンピュータ

竹内真著"ディスリスペクトの迎撃"を読みました。
"シチュエーションパズルの攻防"の続編です。
作家やテレビ業界に属する人たちが集まる銀座の
バーのミューズで不思議な出来事が話題になります。
作家の辻堂珊瑚朗が事件を推理します。
ミューズのアルバイトのボーイの了の目を通して
語られます。

辻堂の昔の作品がテレビドラマ化されることに
なります。
昔の作品に手を加えて良くしたいという欲求があっても
することはできません。
ドラマは本とは違ったものになっています。

ネットで辻堂の次のドラマの予想のシナリオが
上がっていました。
予想がほとんど当たっているのでプロデューサーは
困っています。
辻堂はその上をいく策を授けます。

ドラマの撮影現場で関係者が本当に殺されました。
燃えて刺されて溺れていました。

台本を入手した。内容をばらされたくなかったら
謎を解けという強迫がありました。
解けという画像には大きな石の上に紅バラ3本と
お酒のマーテルが置かれています。

ちょっと読みづらくて苦手です。
そういいつつ読んでいます。

食堂のおばちゃん

2016-09-22 09:45:20 | 
角川春樹事務所
発売日 : 2015-08-07

山口恵以子著"食堂のおばちゃん"を読みました。
佃のはじめ食堂は姑の一子(いちこ)と嫁の二三(ふみ)で
やっています。
昼は定食、夜は居酒屋で常連客でにぎわっています。
一子と夫でレストランを経営していましたが、夫が亡く
なった時、息子が仕事を辞め店に入り家庭的な料理の
店にしました。
二三は客として店に来ていて息子と結婚しました。
息子が亡くなるまで二三は外でキャリアを積みました。
亡くなって二三は一子と店を続けることにしました。
二人は気があってとても仲がいいです。

"三丁目のカレー"
ブランドの服を着た高級マンション住まいと思われる
藤代という客が週に数日通ってくるようになりました。
やはり裕福そうな女性が火曜日にやってくるように
なりました。
女性は藤代の妻で彼が店に好きな女性めあてで通っている
と誤解いていました。
藤代が店に通っていた理由は意外なものでした。

"おかあさんの白和え"
二三が店に通い始めたころの話、息子の高と結婚する
いきさつが語られます。
近所の常連の後藤が何日も姿を見せず家にもいません。
親しい人たちが心配しています。

"オヤジの焼き鳥"
近所の焼き鳥屋鳥千息子の串田保はイタリア料理店に
勤めていました。
店がつぶれて戻ってきて父親の店をイタリア料理店に
したいと言い出し、親子喧嘩が続いています。
保を扇動している人物がいます。

"恋の冷やしナスうどん"
二三には編集者をしている娘の要がいます。
店にはたくさん食べる当麻がやってくるようになりました。
一子が階段を踏み外し足を捻挫しました。
近所のフリーターの万理が手伝いにくることになりました。
要は付き合いだした当麻のことで悩んでいます。
すぐに仕事を辞めてします麻里は長続きして役にたって
います。

"幻のビーフシチュー"
平大吉という、昔一子の夫に世話になったという男が
現れます。
昔食べたビーフシチューがおいしかった、又食べたいと
いいます。
一子は夫のレシピを取り出して作ります。

一子と二三、常連さんたちの作る店の雰囲気は心地
いいです。
気持ちよく読めました。

シャツの袖の長さの悩み

2016-09-19 22:54:13 | 日常の出来事
シャツやブラウスの袖の長さ、何とかならないもんですか。
どれを買っても10センチは長いです。
皆さん、そんなに腕が長いのですか?
私は背が低いです。
今の標準からしたら10センチか20センチは低いのかも
しれません。
腕の長さが背に比例していればこんなものなんでしょうか。
袖が長いのは本当に気分が悪いです。
まくり上げているのも嫌な気分です。
そう、七分丈のものが私にはちょっと短めの長袖に
あたります。
ところが七分丈のものって最近はめったにみかけません。

我慢して着ているよりはとシャツを次のように加工
してみました。
袖を自分に合わせて切ってしまいます。
カフスの部分がなくなってしまって、筒形の袖になります。
襟もそのままでは合わないので、取ってしまってスタンド
カラーのようにします。
ついでにすそは外に出して着たいのでしっぽみたいなのを
まっすぐに切ってしまいます。
買った時とはまったく違ったシャツになってしまいます。

高いシャツだったら加工するのに抵抗がありますが、私が
買うのはせいぜい二千円ぐらいです。
失敗して見られなくなっても、まあいいかと思えます。

何かもっと簡単に袖の長さを調節するうまい手はないものかと
思案中です。

最後の晩ごはん ふるさととだし巻き卵

2016-09-18 22:23:20 | 

椹野道流著"最後の晩ごはん ふるさととだし巻き卵"
を読みました。
五十嵐海里は若手の俳優でしたが、有名な女優
とのありもしないスキャンダルを騒がれて
事務所を首になりました。
神戸の実家へ帰りましたが、兄に追い出されて
しまいました。
絶望的になり、不良たちに殴られていたところを
夜中に営業している定食屋の「ばんめし屋」の
夏神に助けられます。
海里は店で働くことになります。
海里は料理を作る番組に出ていて料理には多少
なじみがあります。
メニューは日替わりの定食が一品だけです。

気がつくと不思議が客が来ています。
ずっと座っているだけの男です。
夏神に幽霊だと教えられます。
数日経つと薄れて消えてしまうということです。
今までそんな幽霊が何人もいました。

海里は出前の配達の帰りに声をかけられ眼鏡を
拾います。
眼鏡が古いもので付喪神になっています。
夜には人間の姿になって食事も出来ます。
海里を主と思い、彼を慰めたり話相手になったりします。

海里は今来ている幽霊の辛いことばかりだった人生を
知ります。
タレントだった海里のファンだという幽霊を慰めるため
だし巻き卵を作って食べさせてやりたいと思います。
特訓でだし巻き卵の作り方を習い、幽霊に出してやります。

題名の「最後の晩ごはん」の意味はこういうこと
だったのですね。
幽霊だとか、付喪神だとかそういう方面へ向かう話だとは
思いませんでした。

夏神がかっこいいです。
海里は地味な生き方を選びました。
これからどうなるのでしょうね。
眼鏡の付喪神のロイドも味のある人物です。

地下鉄に乗って

2016-09-17 14:29:40 | 日常の出来事
今まで名古屋の地下鉄に、そんなには乗りませんでした。
昨日乗りました。
地下鉄網の線の一つの名城線は環状線になっていて
ぐるっとひと回りしています。
どうやら右回りも左回りも大曾根が起点になっている
ようです。
ホームに着いてすぐ、「大曾根行きが来ます」との
アナウンスに何の疑問も持たず飛び乗りました。
何か変だなと気がついたのは、行きたい駅の反対側に
位置する駅名がアナウンスされた時です。
反対回りの電車に乗ってしまいました。
ここまで来てしまったら乗り換えても、そのまま行っても
一緒です。
それまで何の疑問も持たず乗っていたというのは我ながら
どうかと思います。
数駅で着くはずがほとんど一周してしまいました。
時間に余裕がある生活をしている私にとってはどうって
ことはありませんが、仕事の約束が迫っている人だったら
青くなるところですね。

サマーキャンプ 潜入捜査官・高階紗香の慟哭

2016-09-14 21:00:00 | 

新宮広明著"サマーキャンプ 潜入捜査官・高階紗香の慟哭"
を読みました。
紗香は一人で対象の中へ潜入して調査します。
何の関係もなさそうな自殺や殺人ですが、ある宗教組織の
ビラをそれぞれが持っていて関連性がうかがえます。
今回の紗香の潜入先は聖浄心会という宗教法人です。
高木麻里という架空の人物の履歴を覚え込み、まずは
体験出家に参加します。

会は大学生の読書会が発展して宗教法人となりました。
会は父主様をトップにしています。
しかしほとんどの人が見たことがありません。
宗教会といえど修道士たちの間には激しい勢力争いが
あります。

紗香と警察との連絡は宍戸という刑事が受け持っています。
体験出家ののち、しばらくして出家することになります。
父主様が女性であることを知らされます。
紗香は父主の代わりに、自分が父主だと宣言するよう
迫られ父主となりました。
外界と閉ざされている会の中でも殺人が起きます。

多くの殺人は十何年も昔に起きた残酷な出来事が起因と
なっています。
悲しい話です。
どうしてそんな残酷なことができるのかと思います。
紗香と宍戸は過去の出来事に迫っていきます。

潜入するといえばスパイですが、映画に出てくるような
華々しさも、強靭な体力や戦闘能力もあるように見えません。
見込まれて父主に押されてしまうのですから、それだけ
強さがあるとわかる女性ではあります。
いいかげんそうに見えるけど捜査能力のある宍戸とのコンビも
いいです。
なかなかよかったです。

三十棺桶島

2016-09-13 09:25:13 | 

モーリス・ルブラン著、南陽一郎文"三十棺桶島"を
読みました。
子供向けの本です。
ベロニクはつらい思いをしてきました。
結婚相手は悪漢でした。
学者の父は結婚に反対しました。
父は意に添わなかった娘を苦しめるために、生まれた孫の
フランソワをさらいました。
ベロニクは、父と息子は逃げる途中に海で死んだと
思っていました。
夫から逃れて修道院へ入り、その後洋服店を経営して
きました。

15年ほど後に映画を見ていて、その中に出てきた小屋に
自分が若い時に使っていたサインが書かれているのを
見つけました。
サインに導かれベロニクは三十棺桶島と呼ばれる島へ
渡りました。
そこで父と息子が生きていることを知りました。

息子のフランソワが父を撃ち殺す場面を目にします。
島の人たちは船で逃げ出しますが、フランソワと
家庭教師のマルーが攻撃し島民を全滅させてしまいます。

島には人を殺しも生かしもする神の石があると言い伝えが
あります。
三十人が海に投げ込まれ、四人の女性が磔にされるという
言い伝えもあります。

彼女を追って夫だったボルスキー、彼の前妻とその息子が
島に渡ってきており彼女を追い詰めます。

なかなかルパンは登場しません。
終盤登場して大活躍で事件を収拾します。
ルパンは人を殺さないというのが信条です。
しかしルパンが手を下したわけではありませんがなんと
多くの人が亡くなっていることか。
ずい分昔に書かれた小説ですが、時々近代的な技術が現れて
きてびっくりします。
当時だって潜水艦あったのでしょう。
原子力の知識だって知られていたのでしょう。
スーパーマンという言葉が何回か使われているのですが、
映画に登場するスーパーマンを現しているように感じます。
ただ単に優れた人というだけの意味なんでしょうか。

島に張り巡らされた地下道を縦横無尽に利用して話は進みます。
地下道とか、抜け道とかルパンの話によく出てきますが
こういう設定楽しいですね。

元妻を執拗に追い回す男の話、これ小学生にわかるので
しょうか。
といっても、自分の子供のころだって結構大人の事情の
話を読んでいましたから、子供にだって理解できるの
でしょうね。

君にさよならを言わない

2016-09-12 21:00:00 | 

七月隆文著"君にさよならを言わない"を読みました。
事故のあとに幽霊が見えるようになった高校生の明が
主人公です。
小学生の時のなくなった桃香が見えました。
桃香は高校生ぐらいの姿をしています。
桃香は死んでいないように振舞います。
明と会う約束をしたまま、会えずに亡くなり心残りが
ありました。

美術部員だった妙名の姿が見えました。
妙名は幼馴染の厚士と合作で絵を描いてきました。
書きかけの絵を厚士は完成させることができません。
厚士には才能があります。

柔道をやっていた川名は高校生連続殺人犯に殺されました。
彼女には由佳里という親友がいました。
由佳里を守り、犯人を捕まえたくて残っています。

陸上のリレーをやっていた実栗が亡くなりました。
リレーをしていましたが死の前に、アンカーを陽菜に
引き継ぎました。
陽菜と他の三人とはうまくいっていません。
彼女らはリレーを止めると決心しました。

幽霊物といえば多少はおどろおどろさがあるものだと
思っていましたが、この本にはまったくありません。
幽霊たちの未練もわかるのですが、激しく強いものだと
感じられません。
ですから普通の青春小説です。

明と義理の妹の柚との関係も不可解です。
一方的に柚が明に恋している感じですが余計な挿話と
いう感じがします。

気楽に読めます。

キッチン・ブルー

2016-09-11 21:00:00 | 

遠藤彩見著"キッチン・ブルー"を読みました。
最近、食べ物とか食堂を題材にした小説が多いですね。
昨日に続いて食べ物がらみの話です。

"食えない女"
灯は人前では食事ができません。
無理して食べても吐いてしまいます。
人と食事しないですむよう映像翻訳家となり一人で
仕事をしています。
仕事のため専門知識が必要になり、製薬会社に努める
蝦名を紹介してもらいます。
蝦名と会っても本当のことが言えません。
食べないよう必死でごまかしています。

"さじかげん"
紗代は一生懸命料理を作って夫の周平に出しています。
周平の母親は料理上手な人です。
紗代は料理教室に通っています。
真梨という料理上手な人が入ってきました。
習う必要がないほどの人です。
なのに授業中にパニックを起こしました。
夫においしくない、食えたものじゃないと言われ
苦しんでいるのでした。
紗代は料理というものの認識が変わりました。

"味気ない人生"
希穂は突発性味覚障害に陥りました。
階下に住む男女の夜中にたてる騒音に悩まされています。
言って分かってくれる人たちではありません。
引越しを勧められますが気に入った部屋から離れたく
ありません。
裁判も辞さないつもりです。

"七味さん"
和己が夜中に行く立ち食い蕎麦の店にきれいな女性が
やってきます。
七味をかけて食べます。
和己はフラワースクールで働くようになりました。
先生たちの勤務シフト表を作るのが仕事の一つです。
先生たちの勢力争いで仕事はやりづらいです。

"キャバクラの台所"
スミレはキャバクラで働いています。
そこそこの成績です。
泥酔して客にポップコーンをぶつけて接客停止になり
キッチンで働くことになりました。
店では泥酔する客やキャストが多くなりました。
原因は突き止められました。
スミレはキッチンのメンバーと新しいメニューを開発
しました。
この出来事でスミレはちょっと変わりました。

"ままごと"
健人は演劇をやっています。
生活のためバーで働いています。
由奈はよく料理を差し入れしてくれます。
健人は由奈の料理を作る場所として自宅を提供しました。
由奈は料理を作ってはブログに載せました。
由奈はそのうちに劇団の練習場にも料理を持ってくる
ようになりました。
次第に役に打ち込めなくなり調子がおかしくなってきました。
バーのオーナーがもしかしたらと原因を教えてくれました。

食べ物を巡って起きた話、おもしろかったです。

菜の花食堂のささやかな事件簿

2016-09-10 21:00:00 | 

蒼野圭著"菜の花食堂のささやかな事件簿"を読みました。
靖子先生は菜の花食堂をやる一方、月に二回基本的な
料理を教えています。
優希は料理教室の助手をしています。
ちょっとした不思議を靖子先生が解き明かしてくれます。
短い話が6話で楽に読めます。

"はちみつはささやく"
香奈は料理教室で一番手際がよく習う必要がないように
見えます。
しかし夫は香奈の料理に満足せず、別れを言い出されます。
香奈は先生の前で夫に出した料理を再現してみます。

"茄子は覚えている"
杉本は唯一の男性の生徒です。
教室で茄子の揚げ浸しを教えてもらうことを所望されました。
妻の味を再現したいといいます。
しかし出来上がったものは妻のものとは違っていました。
先生が後日再度揚げ浸しを作ってくれることになりました。

"ケーキに罪はない"
優希が先生と出会った経緯が描かれています。
同僚の智子のいじめに会っていました。
再会して菜の花食堂の場所を聞かれました。
来て欲しくありません。
以前会社で先輩社員が辞めることになって優希がケーキを
買ってくることになりました。
ケーキは味がおかしくそのことでもいじめられました。

"小豆は知っている"
村田佐知子は近所の主婦です。
おしゃべりで面倒見が良く、料理の手際もよく習う
必要がないような人です。
殴られて顔に痣をつくった彼女に出会います。
浪人している長男に殴られたのです。
彼が小豆を煮ていて、味が苦かったためゆで汁を捨てた
のに怒ったのです。

"ゴボウは主張する"
八木は子供がいなく、友人の大澤と前田には子供がいます。
よく二人の子供を預ります。
子供を預かって公園で遊ばせていて、ちょっと目を離した
すきに預かった初花がいなくなりました。
子供は見つかりました。
何処へ行っていたか初花は語りませんが先生が推理して
くれます。

"チョコレートの願い"
優希はいつも先生に相談にのってもらっていましたが、
先生のことは何も知らないのに愕然としました。
先生の元へフランスから荷物が届きました。
編んだ帽子が入っていました。
娘からだといいます。
次に送られてきたのはベルギーのチョコレートでした。
荷物に込められたメッセージを読み解き彼女は店を
優希ら生徒に頼み、フランスへ飛びました。

靖子先生の雰囲気いいですね。
こんな人が側にいてくれたら安心です。
優希は最後の話で自分の能力にも気づきます。