雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

緋色からくり 女錠前師 謎とき帖(一)

2012-01-31 19:47:09 | 
田牧 大和
新潮社
発売日:2009-06

田牧大和著"緋色からくり 女錠前師 謎とき帖(一)"
を読みました。
楽しい本です。娯楽時代小説といったらいいのでしょうか。
錠前師のお緋名が姉と慕っていた従姉妹夫婦の死の
真相に立ち向かっていく話しです。
からくり錠を作ったり開かなくなった鍵をたのまれて
開けたりするのが仕事です。
従姉妹のお志麻は、髪結いで目明しをしていた夫を
殺されました。
夫が何を探索していたか調べていました。
追われて小さな息子をかめに隠した後その前で殺されました。
息子に証拠の書き物を隠したからくりの道具箱をお緋名に
届けるよう言い残しました。
それから数年後、志麻の息子の孝助は志麻が再婚しよう
としていた相手の髪結いの甚八の元で手伝いをしてます。
家をあらされたりとお緋名の周辺がざわざわしてきます。
用心棒にと甚八が榎康三郎という浪人をよこします。
お緋名は榎を信用してもよいか、疑がうべきか迷っています。
奉行所の役人と商人が関わった不正が事件の背後にあります。
お緋名は連れ去られあわや殺されそうになります。

孝介が母が殺された場所で拾った猫がお緋名のところに
住み着いています。
この猫の大福がいい味を出しています。
悪い奴にはうなり飛びついていきます。
時代劇を見ている感じで読めます。

モデラートで行こう

2012-01-30 20:45:38 | 

風野潮著"モデラートで行こう"を読みました。
モデラートって何かなと思って調べたら音楽の速度記号で
"中くらいの速さで 中庸な速度で"だそうです。
男子高校だった高校に女子も入学できるようになりました。
その高校の吹奏楽団に入団した女子たちが中心の
話しです。

最初の女性団員は、大久保奈緒トランペット、
藤原規子ドラム、寺脇真琴サックス、沢村恵美
フルートのです。
真琴は一見男性のように見えます。
恵美は前は明るい性格でしたがお兄さんが自殺するのを
目撃してから言葉が出なくなりました。
真琴とは元同級生で恵美は真琴を頼りにしてます。
コンクール出場、文化祭、クリスマスの演奏、運動クラブ
の応援等で吹奏楽団の日々は忙しく過ぎていきます。
クラブの上級生に対する恋も描かれています。

二年目の女子団員は丸山裕子トロンボーン、三浦弥生
フルート、本間花蓮サックスです。
コンサートや、老人施設への慰問等で忙しく過ごします。
女子だけでJAZZのバンドを組んでコンテストへ出場します。
楽団の女性部長の先生が、元教え子で年下の別の学校の
楽団の部長をしているの先生と結婚しようとしています。
しかし二人とも親は反対していて結婚式は挙げないと
いいます。
その話しを聞いて両校の楽団員たちが結婚式を企画します。

こんな風に楽団の日々は過ぎていきます。
音楽の厳しい練習風景とかは出てきません。
音楽的な難しいことを聞いてもわからないので私には
その方がいいです。
高校生たちの活き活きした生活が見られて楽しいです。

掌の中の小鳥

2012-01-29 18:58:01 | 

加納朋子著"掌の中の小鳥"を読みました。
連作短編集です。
冬木圭介が中心の話しです。

"掌の中の小鳥"
掌の中にいる小鳥は生きているか死んでいるかという
質問をして相手の答えをはずれさせるには、生きていると
言われたら握りつぶし、死んでいると言われたらそのまま
生きているままにすればいいと考えました。
賢い人の答えは「汝の手の中にある」だそうです。

圭介の学生時代の恋人は絵がうまい人でした。
彼女の会心の作がしばらく部屋に置いたままにしたら
ひどい状態になっていました。
誰かの仕業だと思われましたが、何年もたった現在圭介は
どうしてそうなったか知りました。

"桜月夜"
圭介と知り合ったばかりの女性はEGG STAND という女性
バーテンダーがやっているバーへ行きました。
女性の子供時代の狂言誘拐を企てた話しを聞きます。
その話しから彼女の名前を言い当てます。
穂村紗英といいます。
その話しに出てきた泉さんがバーテンダーでした。

"自転車泥棒"
紗英が自転車を盗まれました。
その自転車に乗っている人を見つけ追いかけて問い詰め
たら謝りました。しかし自転車は紗英のものではあり
ませんでした。
紗英はどうしてその自転車を自分の物だと思ったのか
相手はどうして謝ったのか。

"できない相談"
紗英は子供のころ友達の武史に会い妊娠している女性の
部屋に連れていかれました。
いったんそのマンションから出た後、武史に今いた
部屋の中を空にしてみせると言われます。
10分後に一人で戻っていると部屋は空になっていました。
この不思議な話しを圭介に語って聞かせます。
圭介がその答えを解いてやります。

"エッグ・スタンド"
従姉妹の兄の婚約者の偵察に従姉妹に無理やり連れられて
圭介はお茶会へ行きます。
その席で子供の時の知り合いのみちると出会います。
婚約者の指輪が盗まれます。
その指輪が紗英が焼いたケーキの中から出てきました。

圭介と紗英が出会い、段々と知り合っていく過程での
ちょっとした出来事の不思議を解いていくという
感じの話しです。
圭介、紗英、バーテンダーの泉、みんな好感が持てる
登場人物でした。

夢は枯れ野をかけめぐる

2012-01-28 18:41:34 | 
西澤 保彦
中央公論新社
発売日:2008-08

西澤保彦著"夢は枯れ野をかけめぐる"を読みました。
腕貫探偵の作家さんの作品です。
何が主題なのかよくわかりません。
たぶん家族とか高齢者介護とかの問題なんだと思います。
羽村祐太が主人公です。
祐太は百貨店に勤めていました。
48歳で早期退職の募集に応じて退職しました。
独身です。趣味はなし、給料は貯金してきたためすぐ
働かなくても生活できます。
百貨店ではどう見込まれたのか成績を上げ部長にまで
なりました。
自分では人づき合いが苦手だと思っています。
働くことが苦痛でした。

同窓会で出合った理津子にアルバイトを頼まれます。
どんな仕事だと知らされずに引き受けます。
家まで車でやって来た理津子はゴミ袋を降ろします。
分別して回収に出して欲しいといって去っていって
しまいました。
ひどい臭いと状態の生ゴミをプラスチック、ペットボトル
と分けていきます。
理津子の行動を怪しんだ理津子の娘の詩織が訪ねてきます。
理津子の夫は理津子が自分の両親の面倒を見ることを
嫌います。内緒で両親の元へ手伝いに行っています。
認知症が進んでゴミの分別ができません。
食料は食べられないほど多く買ってきてしまいます。
理津子は打ち明けませんが祐太はそう推理します。
娘の詩織が手伝いにくるようになります。
理津子の夫は妻は家庭の仕事のみをしっかりすればいい、
たとえ病気であっても食事等家事を強要する人物です。
現実にこんな男性いるでしょうね。最低です。

祐太は隣の家の高齢者の弓削宗則と会話を交わすようになります。
3人の子供がおり昔は祐太と遊びました。
3人とも家を出ています。
長女は自然食のレストランを経営して成功しています。
長男とは疎遠になっています。次男の妻は長女の食に対する
考え方に共感して彼女を慕っていてその縁で結婚しました。
宗則は風呂場で倒れて亡くなります。
何日も姿を見なかったため警察と共に最初に発見したのは
祐太です。

長女の佐智子は祐太より年上ですが最初に出合ったときから
祐太が好きだったとみんながいる前で公然と言います。
結婚したいとまでいいますが祐太には結婚願望はありません。
やんわりと断ります。

祐太の母親は病気の祖父、父、祐太を捨て男と出奔しました。
父は残された借金を返し家族を養うため死に物狂いで働き、
働き過ぎで亡くなりました。
祐太はその過去の出来事から結婚も家族を持つことも
したくありません。

異父妹らしい人物が登場します。
祐太は知らずにいますが母らしい人の死を目撃しています。

隣の家が取り壊され佐智子の新しいレストランがオープン
する予定でしたがそのやさきに佐智子がトラックに
轢かれます。

最後の章は祐太が佐智子を病院へ見舞う所ですが
どうも話しが噛みあいません。
作者は何か勘違いしているのだろうかと思いました。
そうなら編集者がチェックするでしょに、何か変と
思いつつ読みました。
それにはちょっとした細工がしてありました。

佐智子の求めに応じて祐太が「いっしょのお墓に入り
ましょうか」というところで終わっています。

祐太という人のやさしさが好きです。
相談を持ちかけられれば暖かいことばでしっかりと
考えを述べられる人です。
人づき合いが下手なんてことはこの本からは感じられ
ません。思いやりがある人です。
家族ってたいへんなことが多いですね。

掃除の話し

2012-01-28 11:39:45 | 日常の出来事
職場ではトイレや階段などの共用部分は業者の人が掃除
してくれますがそれぞれの場所は使っている人が掃除する
ことになっています。
私の所では一月に一回ほど掃き掃除をします。
ほこりが目立ってきたら朝に「帰りがけに掃除します。」
と声がかかります。
全員でやります。
定時30分前の16時半ごろからいつも始めます。
ところが昨日は半数以上の人がミーティングに行って
しまって姿が見えません。
今日は中止かなと思いました。
私の職場では定時にほとんどの人が退社します。
5時10分前に全員帰ってきました。
「今日は中止にしますか?」と帰ってきた人が声を
かけました。掃除のことは覚えていたんですね。
「いや、5分でやる」と掃除の発起人は答えて一斉に
掃除が始まりました。
ちゃんと5分で終わりました。
全員で箒持ってやるのですから早いです。
なんでこうほこりが出てくるのかいつも綿ほこりが
山のようにでてきます。

家では最近掃除をしません。おっくうで。
乾いた紙のモップでさっと拭く程度のことはほぼ毎日
します。家でもなんでこんなにほこりが多いのだろうと
思うぐらいほこりがでます。
前は土曜か日曜に掃除機をかけていたのですがこれが
重荷になってきました。
疲れる部分がないじゃないかと、若い人は思うでしょう。
ところが終わると、はあはあいいます。
年のせいなのか運動しないせいで体力がいちじるしく
低下しているのか、なんでしょう。
モップだけではごみは取りきれなくて、もうだめという
状態になって掃除機かけています。
今日、家でも掃除しました。疲れた!
毎日掃除する人が聞いたらあきれるでしょうね。

プロメテウス・トラップ

2012-01-27 19:52:30 | 

福田和代著"プロメテウス・トラップ"を読みました。
とてもおもしろかったです。
コンピュータのハッキングを主題にしたものです。
スパイ物かアクション物といえます。
ねたばれなしに書けません。
おもしろい本でしたので読むことをお薦めします。

能條良明コンピュータのエンジニアです。
能條はかつてマサチューセッツ工科大学へ留学していました。
プロメテウスを縮めてプロメテと呼ばれるハッカーでした。
まわりに煽られFBIのコンピュータに浸入して捕まり
3年間を刑務所で過ごしました。
日本へ帰ってからは派遣社員として働き今は個人で仕事を
請け負ってほそぼそと暮しています。
もうハッキングには手を出すまいと思っています。

能條に村岡が近づいてきてパスポートのICの偽造を
強要されます。
能條は村岡と共に偽造パスポートでアメリカへ渡る
事になりました。
村岡の偽造がばれるよう仕掛けました.
仕掛けはうまくいきましたが、村岡がICPO
(インターポール)だと打ち明けられます。
ずっと年下だけど飛び級で同時期に大学で過ごし
天才といわれたパンドラもぐるでした。
パンドラはFBI捜査官になっています。
サイオウというハッカーを捕まえるため能條はICPOと
FBIに協力することになります。
踏み台にされているサーバーを追って中国系兄弟が
やっているホテルに潜り込みます。
大学生の姉と年少ながら天才の弟はコンピュータに
精通しています。
彼らは脅されてハッッキングをしています。
彼らを捕らえようとしますが弟が誘拐されてしまいます。
弟を救出するためチェスのソフトとの対戦をすることに
なります。
そして・・・

あらすじを書くのが難しいです。
どうもおもしろさを伝えられません。

コンピュータを流れているデータがチェックされて
いるという話しは聞きます。
コンピュータは人間と違っていつまでも忘れずに
情報を持っています。
自分でも忘れたことを持ち出されて追求されたり
管理されたりする社会がそこまで来ているのかも。
恐ろしいことです。
能條はミイラ取りがミイラになって地下に潜って
しまいました。
パンドラはFBIを辞めて祖父の農場を手伝っています。

オイアウエ漂流記

2012-01-26 20:39:53 | 

荻原浩著"オイアウエ漂流記"を読みました。
トンガ王国から飛び立ちラウラ諸島共和国の島へ飛び
立ったプロペラ機が嵐に巻き込まれ墜落してしまいます。
日本人9人と欧米人1人と犬一匹が助かります。
機長は犬を助けるため飛行機に戻り自分は助かりません
でした。
島に流れ着きました。

次の人たちが乗り合わせていました。
野々村晃 泰宝グループ副社長

河原部長 パラダイス土地開発
安田課長
菅原典子主任
塚本健二

薮内昌人 新婚旅行
白川早織

中村喜助 84歳
中村仁太 小学4年生

ジョー・サイモン 環境テロリスト マリンガーディアンズ

パラダイス土地開発は島にゴルフ場を開発するため。
野々村はパラダイスのスポンサー企業の副社長です。
頼りなく世間知らずな言動をするお坊ちゃんです。
河原は常に部下を怒鳴り散らしているしょうもない
人間です。安田は温厚な性格です。
菅原はしっかり者です。
塚本は一番若く用事をいいつけられています。

薮内と早織はお見合いパーティで知り合いました。
早織は早くも昌人を物足りなく思っています。

喜助は戦争でガダルカナルで戦い島で死んだ戦友の
慰霊に訪れました。認知症ぎみです。

我がままで自分勝手な人たちが集まってどうやって
生きていくのか危ぶまれます。
ほとんど持ち物はありません。
救命ボートにあった少しの食料と飲み物があるだけです。
島は1日で一周できるほど小さな無人島です。
すぐ食料がなくなります。
手分けして食料探しが始まります。
ココナッツが最初の食料として見つかります。
喜助老人が飲み方、食べ方を教えてくれます。

魚を釣ります。これは昌人が能力を発揮して
いろいろ捕まえてきます。
安田はキノコを採集してきます。
典子と賢二は高所の果物を協力して採ってきます。

コウモリや鳥を食べます。
環境にうるさいサイモンに文句を言われながら海ガメを
殺して食べます。

いつの間にかうまくまとまっています。
特にリーダーという人間はいません。
最初のころは腹を立てて怒鳴ったりしたこともありますが
大きな諍いもなくそれぞれができることをやって食料を
確保をしています。
野々村や河原がどうしていくのだろうと思いましたが
馴染んでいっているのがおもしろいです。

島に順応してきますが早織が妊娠して出産を心配して
島からの脱出を考え始めます。
助けを求める文章を彫ったいかだを海に流し救助を
待ちます。

半年ほどで助けのヘリコプターがやってきます。

助かった後彼らがどのように生きていくのか興味が
わきました。
また元の生活へ戻って何事もなかったように生きて
いくのでしょうか。
それともサバイバル生活が元の世界で生かされるので
しょうか。
他の漂流記と較べると生活用品も食料も持たなくて
一番何もない状態の漂流者たちのように思います。
それでも結構人間って生きていけるものですね。
着替えさえ持っていなくてボロボロになって女性たちは
かわいそうです。
でも典子はタフで勇敢でたくましいです。
仁太も子供ですががんばっています。
スーパーやコンビニで簡単に食料や衣料が買える生活が
とてつもないことなんだと気づかされます。
おもしろい本でした。

日暮し

2012-01-25 20:40:12 | 
宮部 みゆき
講談社
発売日:2004-12-22

宮部みゆき著"日暮し 上下"を読みました。
前に読んだ"ぼんくら"の続編です。
ぼんくらがどんな話しだったかぜんぜん思い出せません。
自分が書いたブログを読み返しても思い出せません。
ねたばれになってもいけないと多少は考えて書います。
それが災いしてさっぱりわかりません。
たぶん日暮しも少したてば頭から抜けてしまうでしょう。
このシリーズ、木の様で中心の幹はあるのですが枝葉が
多いのです。
気持ちが分散してしまって幹の部分がなんだったか
思い出せなくなります。
でもこちらの方がたぶんおもしろいと思います。
ぼんくらを読んでいなくても多少戸惑う程度で読めます。

同心の井筒平四郎が話しをひっぱっていく人です。
でも主人公といえるかどうか。
一番活躍してかわいいのが平氏郎の甥の美少年の弓之助です。
人間ハードディスクのようなおでこも登場します。
煮売りやのお徳も健在です。面倒見が良くて夜逃げした
同業者の従業員二人を引き取ります。
一流店の板前で店を手伝ってくれる人が現れ望んで
いるわけではないのに店は大きくなっていきます。
お六という小さな娘二人がある夫に死なれた女性の
エピソードが挟まれています。
夫の死後、夫の同業者の孫六に追い掛け回されます。
ストーカーです。
葵の女中となって逃げおおせたと安心したころまた
現れます。
葵が幻術一座を呼び寄せ孫六を心が壊れるほど驚かせ
撃退してくれます。

葵は総右衛門に家を持たせてもらい面倒を見て
もらっています。
葵の息子の植木屋左吉は葵が生きていることを
知りません。
総右衛門の妻おふじは葵を自分が殺したとずっと
思っています。
葵が殺されそのそばに左吉がいたことから左吉が
犯人とされ捕まってしまいます。
平四郎たちが左吉の無実を信じて真犯人を探します。

犯人は以外な人物です。
左吉は生きている母親と再会することがありま
せんでした。

ミッドランドスクエアでのコンサート

2012-01-24 21:17:46 | 音楽
名古屋駅の前にあるビルのミッドランドスクエアの
地下から吹き抜けになっています。
そこで時々無料のコンサートが開かれています。
今日聞きに行きました。
wingのバイオリニストの濱島秀行さんとピアノの
鬼頭智子さんの演奏でした。
ずいぶん濱島さんの演奏を聴いていません。
久しぶりです。
昨日は旧正月だそうです。
服装は昔の書生さんのスタイルです。袴をはいて
の演奏です。
ピアノの鬼頭さんの洋服も黒の素敵なドレスでした。
宮城道雄の春の海から演奏は始まりました。
お正月の定番の曲です。・・・でも最近は聞きませんね。
普通は琴で演奏されますがバイオリンもいいです。
とても澄み渡ったきれいな音色でした。
いつものチャルダッシュもくるくる回転しながらの
演奏楽しませてもらいました。
あれだけ激しく動くのに音がくるわないのが不思議です。
長いコードになってちゃんと客席もまわれました。
なんだか体から力が抜けてほっとした気分になりました。

サクリファイス

2012-01-23 21:37:42 | 
近藤 史恵
新潮社
発売日:2007-08

近藤史恵著"サクリファイス"を読みました。
サクリファイスってなんて意味なんだろうと調べたら
犠牲だそうです。
自転車のロードレースの世界を描いたものです。
語り手は白石誓、通称チカです。
チカは学生時代は陸上をやっていました。
オリンピック出場を期待される選手でしたが走ることに
苦痛を感じていました。
テレビで偶然みた自転車のロードレースに惹かれ大学では
ロードレースを始めました。
卒業後プロのチーム・オッジに入りました。
ロードレースは日本では知られていませんがヨーロッパ
では人気スポーツだそうです。
一日走ったり数日走って競技します。
優勝は個人に与えられますが団体競技でもあります。
エースとアシストで構成されアシストはエースを勝たせる
ために走ります。
駆け引きのスポーツです。
先頭を走るのは風の抵抗があってきつく交替で走ります。
違うチーム同士でも固まっている時は先頭を交替する
そうです。
チカはアシストに撤しています。
エースは石尾です。
石尾は昔チームメーの袴田に怪我させ車椅子生活に
してしまいました。
わざとしたことだといわれています。

チカは外国チームも参加するレースに出場します。
エースだけが目立つわけではありません。アシストも
アピールできる場面はあります。
スペインのサントス・カンタンは日本のアシストを
入団させたいと思っています。

袴田は車椅子生活を余儀なくされロードレースから
離れさせられた恨みをずっと持って来ました。
恨みを晴らすため罠を仕掛けてきます。

石尾は道を飛び出し頭を打って死にました。
サクリファイスはアシストたちの走りを指しますし、
石尾の選んだ事故をも指しています。

ロードレースは団体競技なんですね。
それなのにどうして優勝は個人に与えら得るのでしょうね。

告白

2012-01-22 19:13:39 | 
湊 かなえ
双葉社
発売日:2008-08-05

名古屋はさほど寒いということはありません。
風邪気味で寝込むということはないのですがぐずぐずと
長引いて調子はいまいちです。

湊かなえ著"告白"を読みました。
映画にもなってあまりにも有名になった本でかえって
手に取るのが嫌で避けていましたが読んでみることに
しました。
ねたばれです。

中学の女性の先生森口が中学一年の最期の日に生徒たちに
告白したことから始まります。
小さな娘の愛美は保園が終わったあと学校の保健室で
預かってもらうことがありました。
愛美はプールに落ちて亡くなりました。
事故として処理されました。
しかし実際は森口のクラスの二人の男子生徒が殺したのです。
森口は真実を知ります。
生徒たちが飲む牛乳のうち二人のものにはHIV患者の
血液が混入してあったと打ち明けます。

章ごとに語る人が変る形式になっています。
二人の生徒は修哉と直樹です。
直樹は次の学期から学校に出てこなくなりました。
HIVの発病を怖れています。
部屋に閉じこもって過ごしています。
クラス担任となった寺田は授業のノートを持って毎週
家を訪れます。
しかし反対に作用して直樹は母親を刺し殺してしまう
事態となり、当人も精神状態がおかしくなります。

修哉は頭がいい子です。
学校へは毎日通っています。
まわりを無視して過ごしていましたがいつしかいじめの
対象になってしまいます。
病気に罹っているかもしれないことを逆手に取っていじめ
から抜け出します。
事件を起こした理由は子供の時に修哉を置いて出て行った
母親に会いたかったから。
何か問題を起こせば来てくれるに違いないというものでした。

修哉は爆弾を学校に仕掛けました。
起動させるため携帯のボタンを押しました。
しかしその爆弾は別の場所に移動させられていました。

救いのない話しです。
先生のやったことはやっただけの理由があります。
やっていいことではありませんがまだわかります。
子供達のやったことは何ともいえません。
なんの心の痛みを感じずにごく普通の生活の一部のように
人を殺せるのです。
二人は最期まで殺人を犯したことを後悔することは
ありません。
異常ですが最近の新聞をにぎわせている殺人はこんな
事件がいっぱいです。
こういう種類の人間がいると理解した方がいいのでしょうか。
直樹は思い留まるべき時に踏みとどまれませんでした。
そのくせ自分の身にせまった死に対しては恐怖を感じます。
修哉も直樹も精神が育っていないなぁと感じます。
考え方や性格は変えさせることができるものなんでしょうか。
この事件は森口が二人にどうこうするという問題では
なく警察や児童相談書等の行政が関与するべきことです。
ことは殺人なのに誰もが公にしようとしないなんてそのことも
恐ろしいことだと感じます。

後味はすごく悪いです。

血統

2012-01-21 20:21:32 | 
門井 慶喜
文藝春秋
発売日:2010-06

門井慶喜著"血統"を読みました。
時島一雅は祖父と父に一流の日本画家を持っています。
一雅は自分の実力は祖父や父におよばないと日本画を
捨てペットの絵を描く仕事をしています。
新種の犬を作り出すことに夢中になっている森宮と
知り合い山の中の森宮の作業場へ何度か通うように
なりました。
101匹わんちゃん大行進に登場するのポメラニアンの
黒い模様がない白一色の犬を生み出し固定させて新種と
しようとしています。
突然変異から発生した一匹から始めて今は5匹の犬が
いるまでになりました。

一雅には婚約者がいます。家が近所で父親同士が仲が
良く家族での付き合いに発展しました。
あかりとは幼馴染で親が結婚させようと子供時代に
言い出しました。
大人になり二人は付き合っていますが一雅は真剣に
結婚は考えていません。
そんな時にひかりは妊娠しました。

森宮の作業場を訪ねた一雅は一匹だけが檻に残され
後の犬と森宮がいなくなっているのを知りました。
残った犬は雨と雷の中牙を剥いていました。

何日か後に森宮と犬たちが山の中で死んでいるのが
見つかります。
獣医に状況を話すと狂犬病ではないかと指摘されます。
一雅も犬に甘噛されています。
一雅は病院へ隔離されることになります。
狂犬病は日本では何十年と発生していません。
罹れば100%死にます。
病院の中であかりとの関係、父親との関係、日本画に
たいする心構えなど深く考えることになります。

日本画家という血統と犬の血統を描いた話しです。
狂犬病の発病に怯えながらも壁を乗り越えていく画家の
物語です。
芯が通った婚約者やいつか日本画に目覚めるだろうと
ゆったりと見守っている父親がいて幸せな人です。

ラットマン

2012-01-20 20:36:07 | 
道尾 秀介
光文社
発売日:2008-01-22

道尾秀介著"ラットマン"を読みました。

姫川は30歳、高校時代にサンダウナーというバンドを
組みました。
姫川はギター、竹内がヴォーカル、谷尾がベースで
小野木ひかるがドラムです。
ドラムは2年前に入れ替わってひかるが抜け5歳下の
ひかるの妹の桂が現在のメンバーです。
ずっとストラト・ガイというスタジオで月何回か練習
してきました。
ひかるはそこで働いています。

23年前姫川が小1だった時に小3だった姉が2階の
部屋から落ちて亡くなっています。
父親は脳腫瘍の末期で家で最期の時を過ごしていました。
クリスマス・イブで姉は部屋に飾りつけをして男の看護師の
卑沢を驚かせようとしていました。
母も姫川も外出していて家に帰った時父が玄関にいました。
卑沢が来た時に姫川も母も家に帰ってきました。
庭に廻って姉が2階から落ちて亡くなっているのが
見つかりました。

姫川はひかりと付き合ってきました。
ひかりは妊娠しています。
姫川はひかりの妹、桂にひかれています。
桂も姫川を気にしています。

ストラト・ガイが閉店することにな最期の練習日は
サンダウナーだけがスタジオを使っていました。
ひかりは倉庫の整理をひとりでしていました。
ひかりが扉が開かなくなった倉庫で頭に道具が落ちて
当たった格好で亡くなっていました。

姫川は桂のしたことだと思いかばうため自分に嫌疑が
掛かるよう仕向けます。
一方桂は姫川がしたことだと思います。

題名のラットマンは人の顔を並べた最期に人に見える
絵を描けば人に見える、動物の絵を並べた最期に
上と同じ絵を描けば人ではなくネズミに見える。
このことから同じものでも見る状況によって別物に
見えるということをいっています。

姫川の子供のころの姉の死を父と姉川は母がしたこと
だと思ってきました。
母自身は自分が虐待したことで自殺したのだと思い、
ずっと自分を責めてきました。
しかし真実は事故だったのだとやっとわかります。

ひかりの死もまた別の真実がありました。

おもしろかったです。
物事は見る方向で別物になってしまうのです。

通りゃんせ

2012-01-19 22:00:40 | 
宇江佐 真理
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2010-10-02

朝にそういえば1月になってから雨降らない
なぁと考えていました。
午後に気がついたら地面がぬれていました。
今はざあざあと降っています。
それでは降らせてあげましょうと、降ってきた
みたいに見えましたが、実際は反対で空が薄暗かった
から雨のことを思い出したのでしょう、きっと。

宇江佐真理著"通りゃんせ"を読みました。
大森連は東京でスポーツ用品の営業をしています。
休暇を取ってマウンテン・バイクで相模湖を目指します。
甲州街道の小仏峠の辺りで雨にあい野宿になりました。
道に迷い滝に出ました。滝の裏側を通ろうとして穴に
落ち気を失いました。
気が付くと昔の格好をした人たちに介抱されていました。
兄と妹の農民です。
タイムスリップして江戸時代に来てしまいました。
武蔵国中郡青竹村というところでした。
天明時代、二百二、三百年前に戻ったようです。
時次郎とさなの家に連はやっかいになり家の仕事や
畑仕事を手伝って日々を過ごすことになります。
不作で大飢饉が続く時代です。
青竹村も天候不順で不作です。
五人組が作られ税が納められなければ連体責任と
なります。
江戸にいる村の領主の旗本松平伝八郎の元へ
使いにいきます。
江戸では農民が餓死しようとしているのに何事も
ないかのように生活しています。
しばらく江戸勤めをしたあと村へ帰ります。
深刻な飢饉で村は悲惨な状態です。
さなは近所の男に乱暴をされ、思いをよせる
連にここには留まれないといわれ絶望して
自殺してしまいます。

巫女の占いのように風が強い日に連は現代に
戻ってきます。

江戸時代の人々は現代人の祖先です。
自分の祖先の人たちもこんな苦しみに耐えて
生きてきたんですね。
農民の生活は苦しいばかいです。

現代の豊かさを経験すると昔に根を下ろすのは
辛いでしょうね。
タイムトラベラー物によくあるように根を下ろして
しまったら未来が変ってしまう怖れがあるのだから
やはり連としたら帰るしかないでしょうね。

腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿

2012-01-18 20:58:39 | 

西澤保彦著"腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿"
を読みました。
前に読んだ"腕貫探偵、残業中"より前に出版されてます。
腕貫探偵はやはり名前が出てきません。
あちらこちらに出張して人々の話を聞きます。
そしてぴたりと真実を言い当てます。
この本の腕貫は"残業中"よりどんな人物なのか性格が
わかりません。
人間くささがただよってきません。

"腕貫探偵登場"
蘇甲純也は大学生です。仲間とのコンパで酔いつぶれ
気が付いたらアパートとは離れた場所で気を失って
いました。
歩いて帰る途中で同じアパートの住人が死んでいるのを
見つけます。
警察へ届け戻ってみると死体は消えていました。
アパートへ警察と共に戻ってみると死体もそこへ
戻っていました。
不思議な出来事を大学へ出張していた腕貫に相談
します。
亡くなった人が歯の治療をしていたことがミソです。

"恋よりほかに死するものなし"
筑摩地葉子は母親に付き添って病院へ来ました。
母の検査の待ち時間に病院へ出張していた腕貫に
相談します。
母は初恋の人と出会い再婚しようとしているうれしい
時期なのに原因不明の病気で苦しんでいます。
心因性のものとどこにいっても言われます。
母は何に悩んでいるのか。

"化かし合い、愛し合い"
門吐勇馬は完利穂乃加とよりを戻そうとしています。
門吐は軽い男で女性たちと簡単に付き合っています。

"喪失の扉"
武笠寿憲は元大学事務員です。
家の押入れからある年の回収した学生証が大量に
見つかります。
どうしてこれがあるのか思い出せません。
二十年前学生だった娘がやはり学生の男と結婚を
したいといいだしたことがありました。
その男は行方不明になっています。

"すべてひとりで死ぬ女"
刑事の氷見と水谷川が食事をしていた店にやってきて
すぐ出て行った女が氷見たちが店を出てその前の公園の
トイレを通りかかるとナイフで殺されていました。
彼女は兎毛成伸江で有名な小説家でした。
警察に主張していた腕貫を見て氷見は事件のことを
しゃべり始めます。

"スクランブル・カンパニィ"
螺良と日鯉部は会社中に知れ渡ったセクハラ男たちです。
会社の凄腕女性社員の淳子とエミリとのコンパに
臨夢は高熱を発しているのに螺良に無理やりつれられて
いきました。
螺良と日鯉部が警察に窃盗でつかまりました。
淳子とエミリが何か関係しているのか、臨夢は会社の
エントランスに出張している腕貫に話します。

"明日を覗く窓"
最初の相談者の蘇甲純也と次の相談者の筑摩地葉子が
展覧会の後片付けの手伝いに画廊へやって来て
出会います。
二人は同じ大学の学生です。
去年の展覧会の時の入れ物が収納庫から出てきました。
どうしてここにあるのか、絵はどうやって持ち出された
のか不思議になります。
ホテルのロビーに出張してきた腕貫に出会い二人は
相談します。

話を聞いただけで真実を見抜く安楽椅子探偵物です。
腕貫さんあちこちに現れておもしろいです。