中山七里著"要介護探偵の事件簿"を読みました。
前に読んだ"さよならドビュッシー"で火事で亡くなった
香月玄太郎が主人公です。
病気で体が不自由になって火事に会うまでの間に起こった
事件の連作短編集です。
ワンマンで言いたいことを誰に向かってでも言う
大規模な不動産業を営むお年寄りです。
名古屋が舞台です。身近な地名が出て来るので
親近感を覚えます。
今気がつきましたがシャーロックホームズの題名を
もじってあるのですね。
"要介護探偵の冒険"
付合いがある建築会社が建築中の家でその家の施主で
建築家の男性が殺されていました。
家は密室でした。
場所が建築中で関わった人達が建築に関係あるという
ことを聞けばきっとこうなんだろうとわかる人は
多いのではないかと思います。
"要介護探偵の生還"
玄太郎が倒れた時の状況、病院でのリハビリ、
みち子が介護をするようになったいきさつが
描かれています。
最初は言葉を発することもできませんでした。
手も動きません。
好きだった模型作りを勧めると真剣にのめり込みました。
そして会社の株主総会でしっかり発言して解任される
のを回避できるまで回復しました。
リハビリ施設で親を熱心に訓練させている息子夫婦を
見かけます。
彼らが実は訓練中に死ぬよう企らんでいるのを
見抜き防ぎます。
"要介護探偵の快走"
お年寄りが襲われる事件が連続して起きます。
最年長の佐分利亮助も襲われます。
玄太郎が地域の運動会で車椅子の競技を行い勝者に
百万円を贈ると提案します。
競技は行われることになりました。
玄太郎に佐分利翁も参加します。
佐分利翁が勝ちます。しかし意外な結末に。
"要介護探偵と四つの署名"
4人組の銀行強盗が押し入った時に玄太郎も
居合わせました。
計画停電で地下金庫の扉が開けられることを知って
いて押し込みました。
金庫にあったのは銀行が所有していた金塊でした。
玄太郎はこの金塊が偽物であることを見抜き
首謀者が誰かを知ります。
押し込んだ4人に名前を書かせ刑務所を出たら
会社で雇うと約束します。
"要介護探偵最後の挨拶"
"さよならドビュッシー"に登場するピアニストの岬との
出会いの場面です。
国民党の金丸公望が殺されました。
レコード鑑賞をしている時に毒殺されました。
何も口にしていなかったのにどうして毒殺されたのか
わかりません。
聞いていたのがレコードということでどうやって
殺されたか岬が推理します。
おもしろいです。
会社を大きくするには押しが強くなくちゃできません
から強引な人です。
正義感のある人でいい人なんですけど側にいたら
疲れるだろうなと思います。