森谷明子著"れんげ野原のまんなかで"を読みました。
舞台はすすきが生い茂る中に建つ秋葉図書館です。
司書として赴任してきた文子の目を通して書かれています。
"霜降-花薄、光る。"
"冬至-銀杏黄葉"
"立春-雛支度"
"二月尽-名残の雪"
"清明-れんげ、咲く。"
の連作短編集です。
"霜降-花薄、光る。"は子供たちがやたらと目につきます。
何かがあるようです。へんな落し物も多くなります。
ギターケースにカップラーメンが詰め込まれて見つかります。
そして子供の行方不明が発生します。
一連のおかしな出来事から文子の先輩司書の能勢が
出来事を解析します。
"冬至-銀杏黄葉"は本に挟まっていた紙と本棚の本の
並べ方が入れ換えられてた謎を追います。
水曜日の病院通いのあと図書館に立ち寄るようになった
老婦人と、大学を退官した図書館学を教えていた老人
とが登場します。
秘密の通信が発信されているようです。
"立春-雛支度"は図書館の土地を寄付してくれた地元の
大地主でコンビニの経営者の秋葉が、不要な紙として
残された1枚のコピー紙を図書館に持ち込みます。
そこに書かれていたのは個人情報と図書館から貸し出された
本の一覧です。
漏れるはずのない個人情報を誰がどのように盗み出したか、
なりすましで他人の図書カードを作成して盗み出された図書館の
高価な画集の行方はどうなったか。
"二月尽-名残の雪"は大雪で家に帰れなくなった文子は
図書館の近所の秋葉の家に泊めてもらうことになります。
大きな家に夫婦二人ぐらしの秋葉はお客さんがきたことに
喜んで昔話をかたります。
子供の時の不思議な話の真相を能勢が推理します。
"清明-れんげ、咲く。"は秋葉はススキの原のススキを
刈り取り一面にれんげ草の種をまきます。
春になり美しく咲くれんげ草は雑誌に取り上げられます。
図書館にはずっと前に廃校となった近所の中学の本が
紛れ込んでいます。
何のためにこのようなことをしたのか能勢が解き明かします。
この本は「床下の小人たち」です。
いまアニメ映画の「借り暮らしのアリエッティ」が公開されています。
たぶんこの原作本です。
突然今映画になっている原作本の話が出てくるのでびっくり
しました。
とても有名な話なんですね。でも映画を見たいという気は
起きません。本も今は読みたくありません。
自分はミーハーは人間だと思いますがそれでも時に嫌だと
いう時もままあります。
いずれテレビで放映される時があれば見るかもしれません。
とてもおもしろい本でした。
すらすら読めて楽しい本ですがよくよく考えてみると重い
内容を含んでいますね。9/07