雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

殺しの四人

2012-10-31 20:30:52 | 

池波正太郎著"殺しの四人"を読みました。
"鬼平犯科帳"や"剣客商売"の池波さんです。
殺人を受けあう鍼医師の藤枝梅安が主人公の話です。
悪い奴ということを条件に殺しを引き受けます。
仕事は起りと呼ばれる顔役が蔓と呼ばれる依頼人から
問題がないかどうか話を聞いて決めます。
引き受けたら仕掛人と呼ばれる殺し屋に依頼されます。
仕掛人は詳しい事情は知りません。
あくまで顔役を信じて仕事をします。
受け取るお金は依頼人が払った金額の半分を顔役が
半分を実際に仕事をする仕掛人が受け取ります。
連作短編集です。
梅安の殺しの道具は針です。
信頼する仕事人の仲間に彦次郎がいます。
助けあって仕事をしています。

前に御上さんを殺した料理屋の後妻になった御上さんを
殺してくれるように依頼があります。
仕事に疲れて梅安と彦次郎は長い月日を伊勢や京、奈良へ
出かけて散財してきます。
道中で彦次郎の家族の仇に出会います。
仕事を依頼してくる顔役を殺してしまう出来事も
あります。

梅安と彦次郎は信頼し合っています。
二人が食事したり話したりしている場面がいいです。
食事する場面はよく出てきます。
食事の場面は池波さんの小説での特徴ですね。
とてもおいしそうです。

おもしろいです。
しかしどんなに悪い奴でも、いない方がいい人でも、
殺しては駄目でしょう、という常識が働いて手放しで
楽しいとはいえません。

映画 ツナグ

2012-10-30 21:57:45 | 映画
昨日映画"ツナグ"を見てきました。
最近は映画を見終わってもよかったと思うことは少ない
のですがこの映画はよかったです。
俳優さんたちの演技もよかったですし、内容もいいです。
ツナグとは死者と生者を取り持つ人です。
人生で一度だけツナグを通じて死者と会うことが出来ます。
死者は会うのを断るとこができます。死者が生者に会う
のも一度だけしかできません。
ツナグはツナグの印の鏡を次のツナグへ受け渡して
いきます。
今のツナグは高齢の女性です。高校生の孫にツナグを
引き継ごうとしています。
孫はツナグの見習い中です。
ねたばれになりますので映画を見ようと思っている方は
ご注意を。

母親に病気を告知せずに亡くした男性から依頼者があります。
息子にはなぜ祖母の病気を知らせてくれなかったのかと
怒られ口をきいてくれません。
母に知らせないで逝かせたのはよくないことだった
のではないかと悩んでいます。

怪我をしたのを助けた女性と付き合い結婚の約束をしました。
彼女は旅行へ行くと出かけたまま帰ってきません。
7年ずっと待っています。
彼女は死んでいるのではないかと依頼してきました。

ツナグ見習いの高校のクラスメートの女生徒が依頼
してきます。
演劇部の親友を交通事故で亡くしました。
演劇の役をめぐって仲たがいしていました。
彼女は友人が事故に会えばいいと思い、いつも通る道の
側の水道栓を開き道路を凍結させようとしました。

上の2件は死者も生者も会ってよかったと思っています。
女高生は後悔が残ります。
本心を打ち明けないままに終わっています。
彼女には打算がありました。
まわりの人に自分が事故を引き起こしたことを知られる
ことが怖かったのです。
面談が終わった後で友人が彼女の心のうちを知って
いたことを知らされて号泣します。
「道路は凍っていなかった」との伝言を受け取ったのです。
彼女が友人の死に関わったのかどうかはわかりません。
友人は彼女を許したのでしょう。
わざわざ伝えたということはそういうことなんだろうと
私は解釈します。
苦い話ですが彼女も会ってよかったのでしょう。
でも友人はどうして友の心の内を知ったのでしょう。
本当は凍っていて友への疑いを持ち、会ったときの態度で
確信したということでしょうか。
微妙な心の動きが顔や態度に表れみごとでした。

いい映画でした。
ツナグ見習いの高校生の心の動きもうまく表現されて
います。
でも高校生の態度というよりもっと大人の態度のように
感じました。高校生ってこんなにしっかりしているもの
なのかな。

何年か前の出版で、原作の本があることは前から知って
いました。
図書館の予約の行列はなかったのでいつでも読めると
油断していたら映画化されたためか、いつの間にか
長蛇の列が出来ています。
あと1年ぐらいは読めそうにありません。
原作本を読むのは先のお楽しみです。

自分は今誰かと会いたいだろうかと考えてみました。
うーん、今はいないですね。
相手の一回限りの権利を使わせてしまうわけですから
生前にしっかりとした絆がある人でなくては
いけませんものね。

会いたいと願う人たちは事故死とか突然死とかで
心の準備がなくて別れて、まだ時の流れに癒されて
いない人たちでしょうか。

遺書配達人

2012-10-29 21:32:48 | 

森村誠一著"遺書配達人"を読みました。
棟居刑事が登場する連作短編集です。

"ケルンの石"
棟居の入っている俳句結社の一員の笛吹彩香は病気で
余命が限られています。
強請りをしている柳川が殺されました。
柳川は子供のころクラスメートを完全無視するいじめを
していました。
いじめられていたのは落合です。
落合は現在は実業家であり、家庭を持っています。
愛人がいることで強請られていました。
棟居が彩香にあげたケルンの石が殺人現場にありました。

"遺書配達人"
仕事で四国へ行った棟居は仕事が終わった数日を遍路
することにしました。
同室となった野田は元区役所職員でした。
ホームレスとして亡くなった人が残した遺書を遺族に
配達をしています。
ホームレスが娘に路上で売られていたネックレスを
送ろうと持っていました。
その人は殺されネックレスは見つかりません。
コンビニ強盗がありました。
店員の首に掛かっていたのはなくなったネックレス
でした。

"不倫車"
福島は駅まで自転車で行きます。
帰宅時に自転車が盗まれているのに気づきました。
妻の祥子が轢き逃げされて亡くなりました。
しばらくして自転車が戻っていました。
自転車のかごにはゴミが詰まっていました。
ゴミから妻の不倫相手に行き着きます。
警察が福島の元を訪れます。

"花びらの残る席"
棟居には行きつけの喫茶店があります。
よく顔を合わせる女性がいます。
彼女は犬を預かっています。
飼い主は行方不明です。
飼い主の男性が死んでいるのが見つかります。
頭部挫傷と刺し傷がありどちらが先かはっきりしません。

"青春の破片(かけら)"
棟居は出張の帰りに高山へ寄ることにしました。
槍ヶ岳で単独の女性に出会います。
初心者が危険な箇所で戸惑っていたのを助けました。
彼女は病気で亡くなっています。
彼女の妹が姉の言葉を伝えたいといいます。
彼女の夫が山で救助した人物が、棟居の家族を殺しました。
この話は事件とは関係ありません。

"戦場の音楽祭"
老人に取り入ってお金を騙し取るグループがあります。
お金を騙し取った後は口実を設けて姿を消します。
老人たちはだまされたことに築かずにずっと帰りを
待っています。
グループの騙し役にさせられていた女性が警察に助けを
求めてきたことからグループの全貌がわかりました。
音楽祭を楽しみにして待っている老人のため執行停止が
認められ老人と共に音楽祭に行く彼女の姿がありました。

"異国の風"
行きつけの喫茶店には客が書いた俳句が展示されています。
最上川を読んだ俳句が掲げてあります。
喫茶店の近所で殺人がありました。
被害者は暴力団員で闇金融業者です。
俳句から事件を見つめます。

"迷惑屋"
大音響を出したりゴミを放置して近所に迷惑をかけている
男がいます。
近所の人は引っ越していってしまいます。
この男に目をつけたのが立ち退き屋です。
この男にお金を出して迷惑行為をさせ人を追い出すように
仕向けました。
ある出来事から自分の生き方を見直すようになりました。
引ったくりにホームへ突き落とされあわや電車に轢かれる
というところを飛び込んで女性を救い自分は亡くなった
人がいます。

"人生の駐輪場"
駅の自転車駐輪場の整理員に人気があった塩谷という
女性が川原で殺されているのが見つかりました。
いつも彼女の隣に自転車をとめる男、自転車を盗んだ
男などが捜査対象となります。
彼女の自転車に付け文を入れる男がいたことを突き止めます。
この内容は不倫車と通じるところがあります。

森村さんの作品に慣れてないからなのか読みにくかったです。

待っている 橘屋草紙

2012-10-28 21:23:40 | 

あさのあつこ著"待っている 橘屋草紙"を読みました。
おふくが一応の主人公です。
長屋に住み下駄職人の父と母と妹と暮らしいていました。
父親が病気になり料理茶屋橘屋に12歳で奉公に行きました。
仲居頭のお多代は30歳近くで厳しく店を取り仕切っています。

"待っている"
おふくの家庭の状況と橘屋へ奉公に行くことになる話です。
お多代に厳しく仕込まれます。
「お多代の叱咤や注意は、いつも的を射て、納得できること
ばかりだった。飲み込み、同じ過ちを繰り返さなければ、
確実に仕事がはかどる。最も効率的で効果的な手順を
お多代は、怒声や小言に包んで伝えているようだ」
とあります。お多代は部下の能力を引き出す有能な
上司というところでしょうか。
数年後家族が長屋からおふくに何も告げずに夜逃げを
したことを知ります。

"小さな背中"
通いの女中のおみつの話です。
夫の幸吉は経師屋の職人です。
子供を亡くして幸吉は仕事に身が入りません。
隣のお香は娘のおしのを邪険にしています。
娘を置いて長屋を出て行ってしまいました。
おみつはおしのを引き取ります。

"仄明り"
お敬は小間物問屋のお嬢さんでした。
前の妻の娘ですので家の中ではつまはじきにされていました。
家を出て錺職人の林蔵と所帯を持ちました。
林蔵が病気になりお金に困ります。
昔義母に勧められた結婚相手がお敬に近づいてきます。
橘屋に連れ込まれます。

"残雪のころに"
おそのは14歳から橘屋で働いてきました。
下働きから仲居になりました。
しかしまた下働きに戻されてしまいました。
男を惹き付けるような態度を取り、運んでいる料理が
何であるのか説明ができません。
幼馴染の弐吉に出会います。
お多代に弐吉は女衒だと言われます。
ちゃんと自分で男を見極めるように注意されます。

"桜、時雨れる"
三太は8歳の時荷馬車に轢かれて足が不自由になりました。
荷馬車の持ち主の店から出た見舞金で父親は酒びたりになり
母親は家を出て行きました。
母が前に働いていた橘屋で料理人の作業に目を奪われました。
三太は橘屋に来て眺めていることを許されます。
雇われたわけではありませんがしだいに下働きを手伝う
ようになります。

"雀色時の風"
お多代は体を壊していますが内緒にして働き続けています。
おふくの幼馴染の正次が訪ねてきます。
おふくの母親を見かけたと告げにきたのです。
おふくは許しをもらって正次と母のいる店へ行きます。
古着屋で母は新しい夫と子供がいます。
妹も新しい家族に馴染んでいます。
母に会わずに帰ってきます。

"残り葉"
お多代は寝付いてしまいます。
黙って橘屋を出て行こうとしています。
お多代はおふくを自分の後を継ぐ者として仕込んできました。
おふくはお多代の仕事をこなしています。
おふくはお多代を看取るから橘屋から出て行かないよう
頼みます。

お多代が魅力あります。
人を見る目があります。
厳しくあたりますがそれぞれの将来を見越して伸ばして
やろうという心が見えます。
こういう人の下で働けることは幸せなことです。
おふくはお多代の期待に応えてお多代の精神を継ぐ
仲居に成長しました。

貧乏で苦労している人達ばかりが出てきます。
杉浦日向子さんの本では江戸の人たちはそんなに貧乏な
暮らししていたわけではないと書かれています。
いったい江戸の人達の暮らしはどんなだったのでしょう。

探偵倶楽部

2012-10-27 19:50:50 | 

東野圭吾著"探偵倶楽部"を読みました。
探偵倶楽部政財界のVIPのみを会員にした調査機関です。
出てくる探偵は男女の二人のみです。
それも事件を引き受ける時と調査報告をする時だけです。
連作短編集です。

"偽装の夜"
スーパー・マーケットの社長の喜寿の祝いの会が開かれて
います。
妻が離婚届けを持って現れます。
社長は部屋へ休息に行きました。
しばらくして秘書と愛人が部屋へ見に行くと首をつって
いる社長が見つかりました。
離婚が成立していない今知れたらまずいとの判断で
ごまかしが行われました。
しかし翌日に部屋へ入ると死体が消えていました。

"罠の中"
人を事故死に見せかけて殺そうと相談しています。
家族が集まって飲食をした後風呂に入った当主が
亡くなりました。
その後お手伝いさんが首を吊っているので彼女が
犯人と見られました。

"依頼人の娘"
高校生の美幸が家に帰ってみると母が殺されていました。
父や姉や叔母の態度がおかしいので美幸は電話帳に
書いてあった探偵倶楽部に連絡して真相を調べて
もらうことにしました。
母は不倫をしており何もかも捨てて家を出て行こうと
していました。

"探偵の使い方"
安部芙美子は夫の左智男の浮気調査を探偵倶楽部に
依頼しました。
ラブホテルに女と入る所の写真を撮られました。
左智男は一人でゴルフへ出かけました。
友人の真鍋公一と妻の秋子は旅行に出かけました。
左智男と公一がホテルの同じ部屋で死んでいるのが
見つかりました。
公一が左智男夫婦を誘ったと秋子はいいます。

"薔薇とナイフ"
大原泰三は娘が二人います。
上の娘の直子は前の妻の娘でずっと離れて暮らしていました。
下の娘の百合子は妊娠していると家に出入りしている
医者の葉山が告げます。
百合子は相手が誰だか言いません。
直子が百合子の部屋で殺されているのが見つかります。
酔っ払って帰ってきて百合子の部屋で眠ってしまった
直子が百合子と間違って殺されたと思われました。

探偵倶楽部という怪しげな組織ですから強請りなど
悪辣なことをするのかと思っていましたが真っ当な
組織でした。
きちんと真実を見抜きます。
探偵たちはぜんぜん表には出てきません。
時には真実が表に出ないよう目をつぶったりします。
おもしろかったです。

依頼者 湯川史郎の事件カルテ

2012-10-26 20:16:49 | 

結城五郎著"依頼者 湯川史郎の事件カルテ"を読みました。
湯川は弁護士となってから医者になろうと思い立ち勉強
しなおして医者になりました。
学生時代の友人の岡崎が法律事務所を開いています、
田中は法律事務所が依頼する探偵です。
湯川は医療がらみの事件の探偵を手伝っています。
医療がらみの事件の連作短編集です。

"誘蛾燈"
中学校の先生が同僚と食事をした後に嘔吐、下痢を
繰り返します。
食中毒、ストレスと思われましたが同僚に毒を盛られて
いるのではないかと疑います。

"守り袋"
湯川の勤める病院の看護師から相談を受けます。
昔の同棲相手から逃げ回っています。
その男は親の莫大な遺産を受け継いでいます。
従兄弟といっしょに散財していました。

"警察医"
家で亡くなった老人を警察医は心筋梗塞と診断しました。
殺されたのではないかという手紙が警察医に届き、主治医
だった湯川に相談に来ます。

"赤ひげ"
湯川の病院の医師の秋野は赤ひげというあだ名です。
秋野が保護観察中の加瀬に付きまとっているといいます。
加瀬は付き合っていた女性を殺しています。
彼女は両親を亡くして妹と弟のため働いていました。
秋野は妻子を事故で失ってから彼女と知り合いました。
結婚の約束をしていた彼女を加瀬に殺されました。

"てんも"
湯川の患者の熊谷が屋上から飛び降りて自殺しました。
末期の患者がでしたがまだやりたいことがあると死ぬ
素振りはありませんでした。
熊谷は長部医師と言い争っているのが目撃されています。
35年前熊谷は長部の父親と山に登り遭難して熊谷だけ
助かっています。
ずっと熊谷は長部の父の妻の千紗を援助してきました。
千紗は熊谷と我慢して嫌々付き合ってきたと言って
やはり飛び降り自殺しています。

"告訴状"
加納奈美子は階段から転落して脊髄を損傷して首から
下がマヒしてしまいました。
奈美子が亡くなり夫は奈美子の弟に知らせずに荼毘に
ふしました。
弟が怪しんで岡崎に調査依頼してきました。
奈美子は癌に罹っていて苦しんでいました。
夫は献身的に看病をしていました。
安楽死をさせたのではないかと疑います。

"不在証明"
湯川の患者の國本が駅のホームから落ちて死にました。
國本が27年前に弁護士夫婦を殺害した犯人であることが
わかりました。
被害者の遺児である喜多村正秀は末期の癌患者として
湯川の病院に入院しています。

"依頼人"
開業医の有吉頼子医師の患者に岩木雄大がいました。
岩木は医師の忠告も無視して飲食をしていました。
家で血を吐いて倒れて亡くなりました。
岩木の家族に医療ミスだから損害賠償として2千万
払えと言ってきました。
有吉医師は争い事に巻き込まれることが嫌で
お金を払ってもよいと考えています。
湯川、岡崎、田中らが調べ始めます。

医療がらみの事件で作者はお医者さんなのかなと
思ったらやはりそうでした。
医者で作家という人多いですね。
忙しいのにどうやって時間を捻出しているのでしょうか。
感心してしまいます。
最後の事件はちょっと嫌な感じがします。
どうでもいいから2千万円を払うって普通の感覚じゃ
ないです。
2千万円を貯めようとしたらいったい何十年かかる
でしょうか。
お医者さんのお金に対する感覚ってこんなものなのかと
なんだか悲しくなります。

みさおとふくまる

2012-10-25 19:29:50 | 

井原美代子撮影"みさおとふくまる"を見ました。
千葉の農家のおばあさんのみさおさんと白猫で右目が
青色、左目が金色の猫のふくまるの写真集です。
いい写真集ですね。
いつまで見てても飽きません。
説明文は最初と最後にちょっとあるだけです。
昔はよく見かけた田舎のおばあさんという感じの
みさおさんです。
一人と一匹がそれは親密です。
人間と猫を超越しています。
相棒、仲間、同志、なんでしょうね。
見ていてとても幸せな気分になってきます。
農家の懐かしい気分になる毎日の暮らしです。
野菜の植え付けの写真ではふくまるがまるで手伝って
いるみたいに手を添えています。
どろどろの顔や手をしたお二人さん。
花に囲まれて幸せそうな二人。
井原さんのホームページでこの本の写真のいくつかは
見られます。
井原美代子で検索してみて下さい。

香港の甘い豆腐

2012-10-24 19:05:11 | 

大島真寿美著"香港の甘い豆腐"を読みました。
高校生の彩美は学校へ行かなくなります。
「どうせ父親も知らない私ですから」と母に言ったため
香港へ連れて行かれるはめになりました。
彩美は父親のことはぜんぜん知りませんでしたし、
気にしていませんでした。
父親は生きていたのです。
相手は香港の人でロイといいます。
彼は自分の子供がいるということを知りません。
彩美の言葉で母は娘と娘の父親に打ち明ける気に
なりました。
母の知り合いのマリイの家に滞在します。
母は4日で帰りますが彩美はマリイの家に居候を
することにします。
部屋を貸しているマリイの姪のエミリーとエミリーの
友達のテツヤとの暮らしが始まります。
生活の仕方やことばをエミリーに習います。
日本とは違う香港の雰囲気の中で彩美はしっかりして
きます。
大人の友達もでき、父親ともぎこちなくはありますが
交流するようになります。
香港という場所が彩美には合っていたのでしょう。
あのまま日本にいたなら気力のない生き方を続けて
そこから抜け出すのはたいへんなことだったでしょう。

彩美やその母とも性格が違う祖母がいい雰囲気です。
香港の人達と仲良くなって家に滞在させたり、香港に
行ったりと一番順応しているみたいです。

ウィーン・フーゴ・ヴォルフ三重奏団ミニコンサート

2012-10-23 18:37:52 | 音楽
はがきを出したら当選したので今日はコンサートへ
行きました。
"ウィーン・フーゴ・ヴォルフ三重奏団ミニコンサート"です。
次の三人の方です。
ヴァイオリン: ダニエル・ゲーデ
ピアノ: ウォルター・デラハント
チェロ: グスタフ・リヴィニウス
場所は名古屋市公館です。市役所の別名かと思ったら
そういう名前の建物があるのですね。
県庁の裏にあたる場所にあります。
木々の緑が豊かな山の中を思わせるいい雰囲気のところです。


ホールの写真を見て下さい。華やかでしょ。


聞いたことがある声が聞こえると見たらおやおや
河村市長ではありませんか。
プログラムをみたら名古屋市市長表敬訪問とあります。
そうだったんだ。
演奏前に市長あいさつがありました。
演奏はすばらしかったです。
がっしり組みあがった安定感ある演奏です。
なるほど、完成された演奏とはこういうものなのかと
感じました。
学生さんとかセミプロの方の演奏を聞くことが多いので
やはり違うのかな、と音楽がわからない私でも多少は
わかりました。
聞いて楽しいというのは技術だけではありません。
学生さんやセミプロの方の演奏も充分楽しませてもらって
いますので較べてみてもしょうがありませんね。
今日はいい音楽を聞かせてもらいました。

空に唄う

2012-10-22 18:44:15 | 
河出書房新社
発売日:2009-02-13

白岩玄著"空に唄う"を読みました。
うーん、さっぱりわかりません。
文章が難解というわけではありません。
中途半端というか、習作が間違って本になってしまった、
みたいな感じを受けます。

海生の家はお寺です。
海生は23歳でお坊さんです。祖父の助手をしています。
寺で行われた同じ年の女性のお通夜を祖父と共に務めました。
そこでぼんやりとしている女性を見ました。
部屋へ帰って見ると先ほどお通夜をした女性の幽霊が
あらわれました。
彼女は自分が死んだことが自覚出来ていません。
彼女、碕沢さんの姿は海生しか見ることができません。
碕沢さんは音は海生の声しか聞こえません。
動けますがドアを通り抜けることはできません。
碕沢さんはくも膜下出血でなくなっています。
海生は碕沢さんを自分の部屋にいさせます。
海生は碕沢さんのためになんかしてやりたいと
いつも彼女のことを考えています。
彼女は自宅へ帰ってみましたがいごこちはよく
ありませんでした。
家族の声が聞こえないのです。
やがて彼女はふっと消えてしまいます。

彼女に対する淡い恋心を海生は持っています。
彼女は幽霊となって地上にいる間何を思っていた
のでしょうか。
話す相手は海生だけで音からの情報は得られません。
たった一人としかコミュニケーションできません。
生前親しかった家族や友達の側にいるでなくなぜ
海生の側にいるのでしょう。
消えてしまったのは彼女の意思ではないでしょう。
いったいなぜ彼女の魂は残っていたのでしょう。
まだ若い夢も希望もある人にあなたは死んだのだと
つきつけることが必要だったのでしょうか。
ずいぶん残酷なことだと思います。

いったいこの話は何なんでしょう。
少なくとも海生は一生彼女のことは忘れないでしょう。
それだけでも幽霊になった意味はあるということ
なんでしょうか。

名古屋まつり 施設無料開放

2012-10-21 20:33:23 | 日常の出来事
昨日、今日は名古屋まつりです。
今日は10ヶ所ほどの施設が無料開放されます。
せっかくだからいかなきゃと行ってきました。
東山植物園には数年行ってない気がします。
まず植物園に行きました。
いつもどこかを工事していていくたびどこか変わって
いるような気がします。
木々に囲まれてちょっとだけ山を歩いている気分に
なって気持ちいいです。
植物園は動物園と繋がっています。
動物園は子供連れの人でいっぱいです。
子供のころは動物園は好きでしたが今は檻に入れられた
動物を見るのは気がすすみません。
動物園は通り過ぎただけになりました。

次は何処へ行こうかと考えて白川公園にある名古屋市
美術館へ行くことにしました。
常設館の入場が無料になります。
ちょうど美術館の建物のボランティアガイドが始まる
所でしたので参加しました。
名古屋市美術館は黒川記章さんの設計だそうです。
ただの建物としか見ていませんでしたがあちこちに
黒川さんの思い入れがちりばめられています。
このガイドがおもしろかったので続いて行われた
常設館の絵画の解説のガイドにも参加しました。
こちらもとても興味深い説明でした。
4つの作品を選んでどのようなところを見るのか
どんな想いが込められているのか聞きました。
4つの作品は次のものです。
岡本太郎「明日の神話」
マルク・シャガール「二重肖像」
フリーダ・カーロ「死の仮面を被った少女」
清水九兵衛「作品A」
次に彫刻ガイドがありましたのでまたまた参加しました。
建物のまわりにいくつかの彫刻というかオブジェが
あります。
白川公園にはわりと行きますがいままでそこに
オブジェがあるということに気づきませんでした。
見ようという気がないと見えないものなんですね。
いやー、びっくりしました。
20ぐらいありますから白川公園に行かれたら美術館の
周り、白川公園の中を探してみてください。
建物が1時間、絵画が1時間、彫刻が30分で2時間
30分も聞いてしまいました。
偶然通りかかってとても楽しい時を過ごさせてもらいました。
ボランティアの皆さんありがとう。
普段の日にも常設館の絵画のボランティアガイドは
あるようです。
今日は無料でしたが普段は常設館は入場料が必要です。
興味のある方はHPで確かめて行ってみてください。

その後美術館から歩いて行けるランの館へ行きました。
いつもだと今の季節はハロウィーンの飾りつけがされ
イルミネーションもきれいなのですが今年はほとんど
何もありません。
ランの数もなんだか少なくなったような気がします。
出口でランの館の存続のための署名を求められました。
ランの館も廃館が予定されているとか。
ノリタケの森も廃園が取りただされていました。
どちらもなくなってしまうのでしょうか。
名古屋にはこういう公園は数少ないのになぜつぶれて
しまうのでしょう。
両方ともなくなってしまったらさみしいです。
どうかどちらも存続されますように。

今日行ったのは以上3件でした。

いっちばん

2012-10-20 21:11:12 | 

畠中恵著"いっちばん"を読みました。
妖が見える体が弱い長崎屋の息子の一太郎が登場する
シリーズの一冊です。

"いっちばん"
日切りの親分が一太郎のところへきてぐちをこぼしています。
擦摸が横行しています。
犯人はわかっているのですが掏り取った男から建物の
外にいる女にどうやって手渡ししているのか検討が
つかずに捕まえられません。
妖たちが一太郎を喜ばそうと策を練っています。
外に出た一太郎や妖や親分は大騒ぎです。
擦り取ったものを運ぶ方法はわかりました。

"いっぷく"
唐物屋の小之屋と西岡屋が長崎屋に品比べを開こうと
挑んできます。
小之屋の息子の七之助は鳴家のことが見えているような
振る舞いをします。
品比べの情報を流してくれたりもします。
七之助に鳴家がひとり捕まってしまいます。
七之助が弟の話を始めます。
一太郎は弟が誰なのかわかりました。
過去に会ったことがあります。

"天狗の使い魔"
一太郎は天狗にさらわれてしまいました。
天狗は山で修行をしていた山伏と仲良くなり酒を
飲んで語る友達になりました。
山伏は修行をして管狐を持つようになりました。
管狐がいると裕福になります。
山伏はやがて死んでしまいます。
天狗は孤独になりました。
天狗はいいことを思いつきました。
管狐を連れてきたら共に過ごせると管狐を探しました。
管狐は王子稲荷の裏にいることがわかりました。
しかし管狐は嫌だといいます。
一太郎は皮衣の孫です。
孫と引き換えに管狐を渡せと脅そうとします。
そこへ狛犬が飛び込んできます。
昔からいる狛犬を差し置いて狐がしゃしゃり出て
きたことを怒っています。
一太郎がうまく収めます。

"餡子は甘いか"
隣の菓子屋の息子の栄吉はよその店に修行に行っています。
餡を煮るのはぜんぜんうまくなりません。
砂糖を盗もうとした泥棒を捕まえます。
栄吉は砂糖を盗もうとした泥棒を捕まえます。
八助は菓子に使われている砂糖を言い当てます。
主人は八助の菓子作りの能力を見越して雇います。
栄吉は入ったばかりの八助の方が能力がありすっかり
やる気を失くて辞めようかと悩んでいます。
八助は能力があるにもかかわらず泥棒の道から抜け
られません。
栄吉はやはり菓子作りをやる決め努力を続けます。

"ひなのちよがみ"
紅おしろい問屋の一色屋の雛が白塗りの化粧から
薄化粧に変え一太郎を訪ねてきます。
火事になって傾いた商売を立て直す方法を考えています。
千代紙で袋を作って商品を入れてお客さんに渡そうと
考えつきます。
千代紙の入手先を相談にきました。
この方法は当たりました。
雛には正三郎という許婚がいます。
紙問屋の秀二郎が雛にまとわりついてきて正三郎は
いらいらしています。
そのうち秀二郎は雛に結婚を申し込んできます。
雛と正二郎とで店を立て直す知恵を出してやって
いくんだと心するまでを描いた話です。

いつまでも体が弱くて兄やたちに薬づけにされ
ふとんに押し込まれている一太郎ですがしっかり
してきたようです。

今日を刻む時計 髪結い伊三次捕物余話

2012-10-19 19:11:50 | 

宇江佐真理著"今日を刻む時計 髪結い伊三次捕物余話"
を読みました。
"我、言挙げす"と"心に吹く風"の間にあたる本です。
"我、言挙げす"の最後から10年後の話しです。
最後で火事で焼け出されていますからこの本は立ち直り
の苦労が書かれているのかと思ったらすっかり肩透かしです。
伊三次とお文は娘のお由と女中のおふさと平穏に
暮らしています。

不破龍之進は27歳になっていてすっかり大人です。
龍之進はお母さんのいなみが昔吉原の女郎をしていた
ことを最近になって知って荒れています。
結婚の話は相手から断られることが続いています。
お母さんの過去が影響しています。
伊三次の妻のお文に叱られて龍之進はお母さんに
やさしい言葉をかけるように変わっていきます。
いなみが商人の娘の行儀のしつけを教えるのを引き受ける
エピソードがあります。

子供のころの学問所の笠戸先生の息子で龍之進たちの友人の
松之丞が労咳になって家に戻ってきました。
もう長くありません。
彼は儒者として職を得て許婚もいました。
すべてがだめになりました。
松之丞は龍之進に自分が死んだら許婚だったひふみと
結婚して欲しいと頼みます。
松之丞は亡くなります。
ひふみに彼の願いを話したら八丁堀には行きたくないと
断られました。

笹岡家の小平太が登場してきます。
彼の姉は後に龍之進の妻になる人です。
笹岡家では徳江と呼ばれています。
小平太は町人の出で武家の養子になりました。
奉行所の見習いをしていますが慣れないことではあるし
仲間にはばかにされ争い事ばかり起こしています。
徳江は龍之進のことが好きになりました。
毎日家の前で龍之進が通るのを待って言葉をかけていました。
年齢はかなり離れています。
龍之進は子供だと思って気にもしていません。
徳江は龍之進に色目を使ったと言いがかりつけられ
養家から追い出されてしまいます。
龍之進は徳江が戻っている叔父の家を訪ね妻になって
くれるよう申し込みます。
そしてそのまま家に連れ帰ります。
龍之進の結婚のいきさつです。

不破家の中間の松助と伊三次の家の女中のおふさとの
結婚のエピソードもあります。

本の題名が伊三次捕物余話ですが龍之進が話しの中心に
なりつつあります。
まだまだ続くと思います。
楽しみですね。

シートン(探偵)動物記

2012-10-18 19:53:41 | 

柳広司著"シートン(探偵)動物記"を読みました。
ジョーカー・ゲームの柳広司さんですよね。
あまり雰囲気が違うので同姓同名の別人かと思いました。
たぶんシートンの動物記を基に話を膨らませてあるの
だと思います。
シートンの動物記を読んでいないので本当のおもしろさは
わかってないのかもしれません。
カナダが舞台の話なので翻訳物かと時々勘違いしました。
シートンが80歳を過ぎて話しを聞きにきた記者に
昔話をするという設定です。
前に読んだ半七捕物帳の設定とよく似ています。
連作短編集です。

"カランボーの悪魔"
狼のボス、ロボが人を殺したと見られています。
罪をなすりつけられたロボをシートンが真犯人を
指摘して冤罪を晴らします。

"銀の星"
カラスが宝石泥棒を暴いた話です。
銀の星と呼ばれるカラスが光る物を宝物として隠して
置いてながめて楽しんでいるのを目にします。
宝物の中に盗まれた宝石がありました。
樋の修理をしていた男が犯人として捕まっています。
シートンはカラスの行動から犯人を指摘します。

"森の旗"
猫に育てられたハイイロリスが罪を暴きます。
ハイイロリスがいたローン家の当主が殺され放火されて
家は焼けてしまいます。
森を徘徊している男が犯人だと思われています。

"ウシ小屋秘密とナマズのジョー"
シートンの子供のころの話です。
隣人と不仲になり家族ぐるみで反目していました。
兄がウシ小屋で頭を殴られて倒れているのを隣の子が
知らせてくれました。
犯人はお前だと隣の子は言われます。
兄は気を失っていて何が起こったのか言えません。
紐とレンガのかけらを見つけてシートンは何が起きたか
説明します。

ナマズのジョーの話は魚釣りをして暮らしている貸し
ボート屋に金時計を返せと叫んでいます。
ボート屋は自分のものだと言い張ります。
シートンはボート屋にあったゆで卵をくれと頼みみんなに
渡しました。
みんながゆで卵の殻をむいたらボート屋が嘘をついていた
のがすぐにばれました。
なぜか?
ボート屋が嘘を言っているならジョーが飼っている鶏が
産んだ卵も盗んでいると違いないと考えたのです。
ジョーは魚ばかり食べていて鶏にも魚を与えており
卵から魚のにおいが立ちのぼったのです。

"ロイヤル・アナロスタン失踪事件"
品評会で一等になった猫のロイヤル・アナロスタンがいなく
なり探して欲しいとシトーンに依頼がありました。
一度目にいなくなった時は元の持ち主の所へ戻っており
元の持ち主が返しに来てくれました。
二度目にいなくなったのは前にいた場所から遠く離れた
場所です。
前にいた場所へ行ってみるとそこはごみごみとした
場所でした。

"三人の秘書官"
ルーズベルトには秘書官が三人います。
このうちの一人がスパイ活動をしているとわかります。
誰がスパイなのか見つけて欲しいといいます。
暗号表を書斎に置いてあると三人に告げます。
パーティが始まります。
しばらくすると一人の秘書官のまわりから人々が離れて
いきます。
一人になった彼が犯人です。
なぜわかったのでしょうね。

"熊王ジャック"
人を殺した熊のジャックを追っているマイクとトニイに
シートンは森の中で会いました。
マイクの父は大金持ちです。
マイクは勘当されています。ずっと助けてくれるトニイに
感謝しています。
マイクは岩が落ちてきて崖から落ちてしまいました。
熊のジャックが岩を落としたといいますが実際は・・・

動物の生態を基にした意外な話でとてもおもしろかったです。

殺される理由

2012-10-17 20:33:47 | 

雨宮町子著"殺される理由"を読みました。
連作短編集です。
ほどんどの話は亮介が主人公です。
亮介は4日は図書館でアルバイト、2日間はCDショップの
ディスクジョッキーでその合間に興信所の仕事をしています。

"なぞなぞ"
亮介は図書館にやってくる鮎子に片思いしています。
喫茶店で男二人が鮎子の人に見られたくない写真をねたに
お金を脅し取ろうとしているのを聞いてしまいます。
興信所の所長の三歩一の助けを借り男二人とその後ろに
いた鮎子を裏切った恋人に一泡吹かせてやります。
しかし1年後にこの男と結婚して仲むつまじい鮎子を
図書館で目にします。
実はこの脅しには裏があったのです。
傍から見ると亮介は痛々しいです。

"殺される理由"
毛利家に集まった人々の一人が殺されました。
三歩一の依頼で亮介は屋敷へ出向きます。
当主と息子の卓也とお手伝いさん、離婚した毛利夫人の
友人の能登八千代、下宿人の船木、当主の母の友人の
鳥居順子、船木の友人の飯村と和田が集まっていました。
能登は毛利夫人が残したホウトクの猫を探しています。
殺されたのは船木です。警察は和田が犯人と見ています。
卓也は幼い時に母に連れられて家を出ています。
事故で母が亡くなり父の家に最近やってきました。
卓也が本物ではなく他人がなりすましているのではないか
と考えられましたが実際は・・・

"猫田夫人はしゃべり過ぎ"
亮介は三歩一に頼まれ小学生のミチルの算数の家庭教師
をすることになりました。
中学生の兄大輔と犬がいます。
隣は猫田家です。噂話が好きです。
猫田夫人の通っている絵画教室で展覧会が開かれました。
猫田夫人の絵を中心に両隣の絵がペンキで汚されました。
犯人は何が目的で絵を汚したのでしょう。

"911"
女性占い師が殺されました。
占い師のアシスタントをしていた山辺照子と占い師の
愛人が疑われています。
照子の娘のユリの友人の民子は喫茶店のマスターの
娘です。
民子から亮介は話を聞きます。
占い師が殺された時間に民子は照子とユリと旅行
から車で帰る途中でした。
民子は車窓から911という数字が表示されているのを
見たといいます。
911とは9時11分のことで、照子が犯人ではないと
証言します。
亮介は911が何を現しているのか見つけます。

"六の字屋敷"
この話だけ興信所の所長の三歩一が活躍します。
孫娘が下宿している家の大家で作家の筧が友人の伊原
と共にピストルで撃たれて亡くなりました。
伊藤は同業の作家の水野たか子の元夫です。
筧もたか子が好きでした。
ある時期からたか子の作品はコンスタントに出版される
のに筧の作品は数が少なくなっていっています。
このことが二人が死ぬことになる理由でした。

最初の作品はなんだか入り込めない話だなと感じました。
あとのはどうなんだろうと思いましたが他のは
そんなことはありませんでした。