佐藤青南著"消防女子!! 女性消防士・高柳蘭の誕生"を
読みました。
実際に火事の現場で男性と同じように消火や救助をする
女性消防士の蘭を描いたものです。
父も消防士でしたが蘭が小さいときに火事の現場で中の
人を助けようとして亡くなりました。
蘭は大卒後横浜の湊消防署浜方消防出張所に勤務しています。
隊には五十嵐隊長、1年先輩だけど1歳年下の永井、荒川、
鵜久森、山根らがいます。
救助技術大会が開かれ新人はロープブリッジ渡過に出場と
いうことが多く、蘭も出場することになって先輩にしごかれて
います。
食事の支度や掃除、お茶だしも新人の仕事で寝る時間も
ありません。
蘭は自分の空気呼吸器の空気残量が減っていることに
気づきます。
点検は欠かしておらず誰かが空気を抜いたと考えられます。
そんなことが2度続きました。
離婚した元DV夫が再婚した妻と息子の家に押し入り
放火をします。
蘭たちの隊が消火に行きます。
母子を助けに家に入った荒川と蘭は錯乱した元夫と格闘
することになります。
蘭は自分を死んでもかまわないほど激しく憎んでいる人が
いることにおびえています。
状況から自分の隊の中にいる人ではないかと疑っています。
点検ミスだといっていた隊員たちも自分たちの誰かでは
ないかと疑心暗鬼になっています。
横浜に入港した豪華客船から火が出ます。
船には1600人もの人が乗っています。
乗客は乗組員に誘導され甲板に集まっています。
ヘリコプターでの救助が始まります。
全ての人を救助し終えるまで火が回らないよう消火活動が
続きます。
逃げ遅れた3人の男と少女が行き場を失って吊り下げられた
救命ボートに乗り移りました。
はしごに取り付けられたバスケットに体重が軽い蘭が乗り
4人を救助しに行くことになります。
絶体絶命の状態に陥ります。
蘭の空気呼吸器から空気を抜いた人がわかります。
蘭の同期の小野瀬に誰がやったのかわかりました。
最初のうちは隊のみんなからつらい言葉をなげつけられ
年下の永井にも厳しくあたられなんていう隊なんだろうと
思いつつ読んでいました。
しだいに受け入れられ仲間の一員になっていきます。
火事の場面も迫力あります。
がんばっている女性の仕事小説でした。
よかったです。
現実には現場で女性消防士が働くっていうのは体力的に
無理なんでしょうね