雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

ミステリ講座の殺人

2014-06-30 22:21:20 | 

クリフォード・ナイト著"ミステリ講座の殺人"を
読みました。
日本で翻訳が出版されたのは2007年となっていますが
アメリカで出版されたのは1937年だそうです。
ずいぶん昔に書かれたものなんですね。
後書きを読んで知りました。
読んでいる時は現代の話だと思っていました。
昔の話だと思わせるところはありません。

ミステリーで有名な女流作家のイーデス・メアリー・
マーカーが広い邸宅にミステリーを書きたいという人々
を住まわせて書き方の指導をしています。
母屋と庭にあるバンガローに何人かの人を住まわせて
います。
ラヴィナ・ティドウェルというずっといっしょに
仕事をしてきた助手であり家を切り回している人と
暮らしています。
遊び暮らしている甥のトロッター、食事の世話を
しているホワイドンがいます。
あとは講座を受ける人々です。
この話を書いているのはマックス・ニューベリーと
なっています。
画家のユーニス・シェパード、ハントゥーン・ロジャーズ
教授、ボードリー―ミラー夫妻、ダニエル・ショーらが
住んでいます。

イーデス・メアリーとティドウェルはルスピアムという
ものがなくなったと必死で探しています。
夜中に壺をこすって音を出す天の声といわれる音が鳴り
響きます。
居間でティドウェルが短剣で胸を刺されて亡くなって
いるのが発見されます。
保安官のチャーリー・フェナーが捜査にあたります。
たよりにならない人です。

ボードリー―ミラー夫人はこの事件でまいっていて
食事も取れない状態です。
次に彼女が殺され池に投げ込まれていました。

保安官は頼りにならないと滞在者たちが捜査を始めます。
マックスの部屋には寝ている時に二人の不審者が
別々にやって来て何かを探しています。

ルスピアムとは何か知っている人は話そうとしません。
知っている人が狙われているようです。
イーデス・メアリーは行方不明になります。

最後に犯人はこの人だと発表する人はいますが途中は
誰もが捜査に参加しています。
家の中に犯人はいるわけですからいっしょに捜査して
いる相手が犯人なのかもしれないわけです。
保安官は頼りないし、能力のある目立つ探偵もいないし
読んでいてなんだか不安になってきます。
保安官って警察とどう違うのでしょう。

光秀の定理(レンマ)

2014-06-29 21:39:16 | 

垣根涼介著"光秀の定理(レンマ)"を読みました。
垣根さんといえば初期の"午前三時のルースター"に始まる
暴力、ギャング小説に、"君たちに明日はない"のシリーズ
の仕事小説があります。
今回は歴史小説でいままでとは違う物でちょっと
びっくりしました。
題名の通り光秀が主人公なんでしょうが、脇をつとめる
坊主の愚息と剣の道を究めようとする新九郎の架空の
人物二人が中心で話しは進みます。
この二人が魅力があっていきいきとしていていいです。
愚息は賭け事でお金を稼いでいて、食い詰めて剣で
おどかして追剥をしている新九郎に出会います。
明智十兵衛光秀とは新九郎が刀とお金を脅し取ろうと
して出会います。
愚息と新九郎は十兵衛と呼び捨てにして三人は終生友達
として付き合います。
明智一族は少し前の戦いで滅びています。
光秀は京都にいて生き延びました。
今は細川家の藤孝の離れに寄食しています。

足利将軍の義輝が殺されます。
弟の義昭は一乗院の門跡になる人物だったため殺害から
免れました。
光秀は義昭を将軍に就けるために連れ出します。
義昭を通じて朝倉家に仕え、その後織田信長に仕える
ことになります。
有能な光秀はどんどん信長に重用されていきます。
光秀の生涯については信長に仕え始めた最初のころの
逸話があって次には本能寺の変の15年後ということに
なって間はざっくっとしか書かれていません。

15年後に会った愚息と新九郎がどうして十兵衛は
あんなまねをしたのだろうと二人で光秀の心境を
なぞっていきます。
彼らに害を及ぼさないよう信長を討つ前に会ったり
相談したりしていません。

おそらくこういうことではないのだろうかという
所へいきつきます。
光秀は真面目で物事を完璧に遂行し気は小さい人物と
して描かれています。
愚息と新九郎がお金や権力を求めずのんびりと人生を
送るのとは違い、光秀は明智家の再興のため家臣の
ために生きなければなりませんでした。
今までにも光秀を描いた小説は読みましたがあまり
人物像がわかりませんでしたが、今回の光秀は一人の
人として思い描けます。

二人が行き着いた光秀の反乱の理由はこういう解釈が
できるのかとおもしろいものでした。
垣根さんの初めての歴史小説はおもしろかったです。

彼女の家計簿

2014-06-27 19:24:28 | 

原田ひ香著"彼女の家計簿"を読みました。
里里はシングルマザーで、幼稚園児の啓と暮らしています。
コンピュータプログラマーですが会社が倒産して今は
失業手当で生活しています。

晴美は女性の自立を援助するNPOの代表をしています。
食堂を経営していた加寿が亡くなった時に寄贈してくれた
土地と建物で活動しています。
ビルに建て変えるため整理していて出てきた加寿の
家計簿を娘の朋子へ送りました。

朋子は里里の母親です。
家族にとても冷たい態度を示します。
夫とは離婚しました。
里里に対しても突き放した態度で何もしてくれません。

朋子は加寿に捨てられたと思っており家計簿を読むことを
拒否し孫に当たる里里に転送してきました。
里里は親戚の人から祖母は駆け落ちし心中したと聞いて
います。
加寿が祖母なのか、何があったのか、母の態度はどうしてか
知りたくて家計簿に書かれている時々の日記を読み
始めました。

加寿の夫は戦地へ行きました。
加寿は小学校の代用教員となって働き始めました。
姑がいて嫌なことを言われながらも仕事をしました。
終戦後夫は帰ってきます。
しかし仕事に就こうとしません。
加寿は食べていくため先生を続けていきます。
学校では独身の男性教員と親しくなります。

里里は家計簿を通じて晴美と親しく付き合うように
なります。
パソコン指導で活動を手伝うようになります。

朋子は加寿のことで心を閉ざしてしまっています。
里里と晴美は朋子に家計簿から知った加寿の本当の姿を
伝えようとします。
頑なな心は解けはしませんが少しは伝わったようです。

加寿は女性の新しい生き方に目覚めた人です。
夫や姑には理解できませんでした。
ひどいしうちを受けました。

朋子は加寿のことを間違って知らされました。
たとえそうでもしっかり生きていけばいいのに夫や
娘につらい思いをさせています。
この人は結婚してはいけないし、子供を持ってはいけない
人だと思います。

晴美もつらい過去を持っています。
晴美と里里は助け合って生きて行こうとします。

シルバー村の恋

2014-06-26 22:43:57 | 

青井夏海著"シルバー村の恋"を読みました。
ある家族のコミュニティセンターと関連した出来事を
描いた話です。

"もう一度ときめきたいあなたに 一階・シルバー村"
シルバー世代の日高一郎の話
コミュニティーセンターの1階のシルバー村に通っている
一郎は新しくやってくるようになった女性にひかれます。
彼女が詐欺にあっているのではないかと心配してやって
いましたが実は一郎が騙されてていました。
シルバー村の女性陣によって阻止されました。

"自分らしく生きたいあなたに 第二小会議室・英会話講座"
離婚して実家に戻ってきているフリーライターの奈央子の話
英会話教室の先生の戸叶に惹かれています。
教室では英語のみです。
フランス語教室と部屋割りが重なってトラブルが続きます。
このトラブルにはわけがあります。

"セカンドライフに備えたいあなたに 五階・トレーニングルーム"
主婦令子の話
体を鍛えておかなければと料理教室へ行くと家族には
言ってトレーニングをしています。
娘や息子の小中学校時代の母親たちと出合ってしまいます。
私立の学校に行っている子の母親に芸能活動をしている
学生を排除する活動に巻き込まれます。

"マイペースで勉強したい君に 中会議室・教えっこクラブ"
令子の息子の耕の話
元教師や学生がボランティアで教えてくれる教室に
通うことになりました。
中心になっている指導者が西尾です。
教えてくれることがよくわかりません。
きているボランティアの学生達は西尾の教え子でだめ
教師だったと耕に話します。
町では児童にペンキをかけるいたずらが続いています。
学生達は耕に女学生の格好をさせ犯人探しをします。

"家族の絆を見失ったあなたに 第一小会議室・おやじ学講座"
一則を中心に家族全員の話
一則に受験生だった親の心境を話して欲しいとの依頼が
あります。
子供達に「勉強しているか」としか話すことがない父親が
何を語れるのかと思われています。
ペンキのいたずらの犯人は意外な人でした。
講座には誰もきてくれません。
家族たちはそれぞれ思っていることを言葉にします。

いろんなことは起りますけど普通の家族の話だと思います。
こういう家族の話は苦手です。

黒影の館 建築探偵桜井京介の事件簿

2014-06-25 21:00:00 | 

篠田真由美著"黒影の館 建築探偵桜井京介の事件簿"を
読みました。
建築探偵桜井京介の事件簿シリーズの最後を締めくくる
話の前編にあたる巻です。
桜井京介のシリーズはランダムにポツリポツリと読んで
いて全部は読んでいないのに最後の話を読んでしまいました。
京介が妹に連れられて姿を消してしまい、深春と蒼が
心配して神代教授に京介のことを問いただします。

神代と京介は神代が35歳、京介が10歳の時に
出合っています。
養父が亡くなってイタリアから帰っていた神代は門田に
誘われ旅に出ます。
どこだかわからない山奥の不思議な町のホテルに投宿し
現れた門田の知合いの猿橋と三人で飲んでいました。
酔いつぶれ目を覚ましたときに猿橋は毒殺されており
は門田は逃げていました。
警察の手が入らない場所で権力者の久遠家が取り仕切って
いました。
神代は久遠家の豪華なお屋敷へ連れていかれました。
アレクセイと呼ばれている子供のころの京介と出会います。
父はグレゴリですがほとんど家にはいません。
この本では声だけで登場しますが姿は見せていません。

9歳になる異母妹のモイラがいます。
母のソフィアは3年前に雪の降る冬に池で亡くなっています。
父の妹、男女の家庭教師、医師や使用人と暮らしています。
アレクセイもモイラもとても賢く大人同様に会話を
交わせます。
神代は銃で撃たれたり枕を押し付けられたりと何度と
殺されかけています。

世の中と遮断されたような地の豪華でありながら
おどろおどろしい雰囲気の屋敷です。
アレクセイは父に反感を持っています。
神代は彼をこの場所から引き離したいと考えます。
アレクセイが京介として神代と生活を共にするのは
高校生時代ですからこの時は実現してません。

過去の話だけで終わっています。
法律や普通の善悪が通じない世界の出来事で恐ろしいです。

静寂

2014-06-24 20:04:28 | 日常の出来事
家の中にいても陽はキラキラと輝きながら空気は
冷ややかです。
木々が緑あざやかです。
ああ、何年もいえ何十年も忘れていた感覚です。
子供のころは田舎暮らしで学校から帰っても時間は
たっぷりありました。
自然の中に身をおいて太陽の光を浴びていました。
植物の様子が移り変わっていく様子や暑さ寒さも
ゆっくりと感じとりました。
働くようになってからは朝早くに家を出て陽が沈んで
から帰る日々となりました。
暑いのか寒いのかさえ時としてわからなくなりました。
そんなふうに自然を感じないで生きてきたことは
もったいないことだったと思います。

今日窓から外を眺めていてあたり一帯が静まりかえって
いるのに気づきました。
陽がキラキラとまわりを輝かせています。
この静けさは何だろうとしばし考えました。
家から道路の一部分が見えます。
普段は車が行きかってます。
車が一台も通らないことに気がつきました。
自転車も人も。
生きて動いているものがひとつもありません。
時が止まってしまったかの状態をしばしじっと眺めて
いました。

しばらくして車が通りました。
人も自転車も通るようになりました。
あの静寂はただの偶然が作り出した産物だったみたいです。
世界からすべての生物がいなくなったみたいな不思議な
時間でした。

17世紀の危機

2014-06-23 20:55:01 | 最近の話題
名古屋市教育委員会主催の"世界の近代史"の講座を
聞いています。
もう16年続いている講座だそうですが私は昨年
ふらっと受講の手続きをして聞き始め、今年も続いて
聞いています。
講師は皇學館大学の草深正博教授です。
一月に一回の講座です。
860人入る会場に人がいっぱいです。
最初はこんなに世界史が好きな人が多いのかとびっくり
しました。
とにかくおもしろいです。おもしろいといってもわははと
笑うおもしろさとは違いますよ。
1時間半が瞬く間に過ぎます。
たぶん聞いたことはすぐ忘れてしまうと思います。
それでもちょっとしたことが頭の隅に残るかもしれません。
高校時代の世界史の授業ってなんだったのだろうと
思います。
おもしろいなんて思えませんでしたもの。
時間数は高校の授業の方がうんとあるのだからおもしろいと
思える授業にすることは出来るはずですよね。

今日は17世紀の危機の話でした。
1600年代です。
日本は江戸時代です。
この世紀は小氷期といって寒い時代です。
寒いとペストが流行して人は死にます。
飢饉と旱魃が続きます。
10年ごとに大量死が続きます。

人がどんどん死んでいくのを残った人は見ているわけ
ですがどんな感覚になっていくのでしょう。
それでも全滅することなく人は残っているのですから
人間ってすごいもんですね。
弱い子供が何か起れば一番に影響を受けると言われますが
ちゃんと生命が受け継がれているということはこんな時
でも子供は生き延びているということなんでしょうね。

現代は温暖化の時代です。
暖かいというのはどこまで続くのでしょう。
火山の爆発で世界が灰で覆われ天候に影響を与える
こともあります。
温度の変化が歴史に大きな影響を与えているということを
知りました。

聞いたことを間違って理解して書いているかもしれません
のでその場合はごめんなさい。

追憶の夜想曲

2014-06-22 21:09:37 | 

中山千里著"追憶の夜想曲(ノクターン)"を読みました。
"贖罪の奏鳴曲(ソナタ)"の続編です。
御子柴先生、前作で死んだと思ったのですが3ヶ月の
怪我だったんですね。
退院直後にこの事件を他の弁護士より無理やり奪って
弁護することになります。

津田亜季子は夫の伸吾を風呂でかみそりで切り殺し、
血を洗い流しているところへ義父の要蔵が訪れて
警察に通報されました。
伸吾はリストラされた後仕事に就こうとはせず部屋に
閉じこもりパソコンでデイトレーラーをしていました。
素人が成功するわけがなく借金がかさんでいくばかり
でした。
パートで生活を支えている亜希子や娘に暴力を振るいました。
亜季子は職場の男性と交際していて、この男性との
結婚にじゃまな夫を殺したと見なされています。
身勝手な女として一審では12年の判決が出ています。
刑期を不服として控訴しています。
亜季子には美雪12歳と倫子6歳がいます。

検事は岬恭平です。
一度御子柴に敗れていて今回こそはと挑んできます。
義父の要蔵は息子を殺されてたのに亜季子に同情しています。

美雪は食事もほとんどとらずに部屋に閉じこもって
います。
倫子は元気な子で一人で御子柴の事務所へやってきます。
亜季子は弁護士にも隠し事をしています。

亜季子が無実で誰かをかばっているならあの人しか
犯人はいないだろうし原因も想像がつきます。
しかしラストはもっとひねりが効いていてびっくりです。
この結末は幸せなものではありません。
亜季子は真実を誤解していました。
このままではもっと不幸なことになっていたでしょうから
真実を明らかにすることで避けられました。

御子柴はこの裁判で過去の罪を暴かれました。
仕事も築き上げた人脈も失うかもしれません。

仕事をせず家族にDVを振るう男はごく普通にいて
たいしたことないみたいな感じをうける部分があって
ちょっとむかっとします。
身勝手な女という言葉がよく出てきますが警察が
調べた通りの人だったとしても身勝手ってことないと
思います。
身勝手っていうならよほど伸吾の方でしょう。

捩れ屋敷の利鈍

2014-06-21 21:00:00 | 

森博嗣著"捩れ屋敷の利鈍"を読みました。
保呂草が出てくるシリーズですが紅子、小鳥遊、紫子
は出てきません。
代わりに別のシリーズの登場人物らしい西之園萌絵と
国枝が登場します。
保呂草は秋草という偽名で美術鑑定士として熊野御堂家
を訪れます。
西之園と国枝も訪れています。
当主の熊野御堂譲が庭に作った巨大なメビウスの輪の
形をした建物を見せられます。
捩れ屋敷の中に36の部屋が作られています。
部屋には2つのドアがあって順番にしか次の部屋へ
いけません。
近くにはログハウスが建っています。
輪の中の部屋の真ん中の部屋にはエンジェル・マヌーバ
と呼ばれる短剣の形をした秘法が飾られています。
柱に鎖で結わえ付けてあります。

一泊した翌日に西之園と国枝が捩れ屋敷へ行くと
中で知らない人が殺されていました。
エンジェル・マヌーバも消えていました。
捩れ屋敷は鍵がかけられており執事に開けてもらった
入っています。
保呂草はログハウスで熊野御堂譲が殺されているのを
発見します。
入り口はセメントで動かないよう固められています。
いつからそうなっているのか家族も知りません。

西之園はエンジェル・マヌーバを盗んだのが保呂草
だと疑って保呂草をたじたじとさせます。

殺人の犯人は姿を見たからあの人だとあっさり。
警察には告げませんから本当なのか理由は何かなどは
はっきりされません。
エンジェル・マヌーバを盗んだのはこの犯人とは別の
人です。

なんかすっきりしない話です。
捩れ屋敷といいますが捩れている必要ないですし。
単純に円形に電車のように部屋が繋がっていると置き
換えて考えてさしつかえないと思います。

その鏡は嘘をつく

2014-06-20 21:00:00 | 

薬丸岳著"その鏡は嘘をつく"を読みました。
外科医の須賀が自殺しました。
須賀は少し前に電車の中で痴漢だと言われて取り調べ
られていました。
決め手がなく釈放されています。
彼は自宅のほかに病院近くにマンションを借りており
それとは別に誰も知らない部屋を借りていました。
粗末でベットの周りは鏡で囲まれていました。
痴漢のことを苦にしての自殺とされました。

検事の志藤がこの事件に疑問を持ち再度調べるよう
警察を動かします。
刑事の夏目は別のことからこの事件との関係して
きます。
医師をめざす予備校生の幹夫が行方不明になっており
彼を捜すうちに須賀との繋がりが出てきます。
予備校に須賀と同じ病院に勤めていて辞めて、予備校の
講師をしている峰岸彩子という女性の存在がわかります。

なんか嫌な事件です。
これ以上書くとまずいのでこれまでです。
犯人は悪者とはいえない事件です。

増山超能力師事務所

2014-06-19 20:39:44 | 

誉田哲也著"増山超能力師事務所"をよみました。
超能力の存在が認められ資格試験が実施されるように
なりました。
超能力師は探偵として働くことができます。
所長の増山は超能力が資格として認められていない時
から活躍しています。
増山は1級、悦子、健、篤志は2級です。
事務の朋江は超能力はありません。
明美が研修生として加わります。
増山は文乃と結婚していて娘がいます。
増山と悦子は愛人関係にあります。

超能力として人の心が読めます。
品物に手を触れてそこに残った触れた人の気持ちが
わかります。
人に危害を加えるような力は使うことが禁じられて
います。
悦子は火を点けて物を燃やすことができます。
中には体の中に衝撃を与えて死亡させることができる
人もいます。

増山は仕事で文乃と出会いました。
その事件のことは誰にも話していません。
自分の持つ力に苦しんでいた悦子は増山に出合って
救われ事務所のメンバーとなり愛人ともなっています。
明美にも生まれた時からの苦しみがあります。

連作短編集です。
雑誌に発表されたものをまとめた本です。
だからかまとめて読むと話にまとまりがなく物足りない
なぁと思うところがあります。
文乃の話がよく出てきます。
もしかしたら最後まで明かされなくて終わってしまうの
ではないかと思っていましたが、きちんとどういう
出会いだったか語られています。
増山は文乃も悦子も助けようとして結婚したり付き
合ったりしているのでしょうけど何だかなぁ、こんなので
いいのかと感じます。

超能力を持つ人がその力を使って仕事をするというのは
おもしろい発想です。

人形式モナリザ

2014-06-18 19:55:11 | 

森博嗣著"人形式モナリザ"を読みました。
"黒猫の三角"のシリーズの2冊目です。
夏休みに大学生の小鳥遊練無は友人の森川と蓼科の
ペンション美娯斗屋でアルバイトをしています。
同じアパートに住む保呂草と紫子に近所に住む紅子は
食費だけでペンションに泊めてもらうことになって
美娯斗屋へ出かけていきます。
美斗斗屋の経営者の妻の優実の実家はすぐ近くの人形
博物館を開いています。
祖母の雅代、息子の妻の巳代子、巳代子の息子の妻の
麻理亜、優実の妹の千沙の4人が乙女文楽を演じて
います。
優実と千沙は雅代と夫の子ではなく、雅代の愛人の
彫刻家の駿火との子供です。

小鳥遊らが人形博物館で乙女文楽を見学している時に
麻理亜が舞台上で毒で倒れました。
彼女は命は取り留めます。
人々が舞台に注目している間にエレベータで上がるよう
になっている舞台の後方の高くなった部分で車椅子で
行動している雅子がナイフで刺されて殺されていました。

紅子の元夫の刑事の林が偶然休暇で来ていて乙女文楽を
見ていました。
林は部下であり愛人である七夏といっしょです。
彼らは紅子と離婚前から付き合っており娘もいます。
これが紅子と林が離婚した理由です。
林と七夏は現在も結婚しておらず、林は今も紅子とも
時々付き合っています。
林や紅子の仲間たちの働きで博物館にいた人たちの
足止めができています。

彫刻家の駿火は死ぬ前は粘土で人形を作ることにあけ
くれていました。
最期に作ったモナリザを雅代に贈ると遺言しました。
人形はたくさんありどれが最期のものかわかりません。

紅子らは誰が犯人かに到達します。
それを他の人に知らせはしません。
警察も同じ結論に到達しています。
モナリザとは何かは人形の移動作業の際に明らかに
なりました。

おもしろくはあるのですが何かすっきりとはしません。
殺人が起った原因にはなるほどと感じられません。
犯人を捜すミステリーらしくもありません。
紅子たちが始終お酒を飲んで飲んだくれている場面が
多いのですがお酒を飲まない者としてはなんとも
理解しがたいです。
林と紅子と七夏の関係もとても苦しい関係そうに思える
のになぜ続けているのでしょう。
とはいえ紅子らの仲間はおもしろい人たちです。
保呂草の裏の稼業にはびっくりです。

黒い壁の秘密

2014-06-17 21:58:59 | 

グリン・カー著"黒い壁の秘密"を読みました。
戦争の数年後の出来事と書かれている部分があるので
ずいぶん昔に書かれたものです。
後書きを見たら1952年に出版されたとあります。
日本で出版されたのは去年の2013年です。
60年も前の作品が翻訳され出版されるということが
あるのですね。
携帯がないので連絡を取るのに苦労しています。
それ以外はぜんぜん違和感はありません。

探偵役はアバークロンビー・リューカーです。
有名なシェークスピア俳優兼舞台監督です。
登山家でもあります。
イギリスの物語です。
リューカーは休暇で山岳地帯を夫婦で訪れました。
ユースホテルが新しく出来て宿泊者の男女がリューカーが
休息していたパブに助けを求めてやってきます。
友人の女性のゲイが昨日から行方不明になっていて捜索に
加わって欲しいといいます。

リューカーは彼らと捜索していて滝のあたりでゲイの
遺体を見つけます。
頭を打っておりロック・クライミングをしていて壁から
落ちた事故死として片づけられそうになります。
少し前にも同じような怪我で同じ場所で男性の遺体が
見つかっています。

知り合いのグリメット警部が担当してリューカーは
捜査の手伝いをすることになります。
近くにサー・ウォルター・ヘーソンスウェイト州警察
副本部長の家があります。

リューカーは妻を宿に置いて一人でユース・ホステルへ
泊まりに行き宿泊者を探ります。
ヴェラは人を押さえつけてしゃべり行動します。
テッドは何事もヴィラの言うままです。
レナードはゲイの恋人でした。
ヘイミットとジャネットは兄妹でヘイミットはゲイの
元婚約者です。
彼らは知合いです。
ジョーンズは単独の宿泊者です。

メイリオンはホステスの臨時の管理人です。
ベンは羊飼いですが言動がおかしいです。
この地には魔女がいたとかいう噂が広がっています。

どういうことが原因で誰が犯人かは途中でだいたい
わります。
風景やハイキングやロック・クライミングの様子が
ていねいに描かれています。
カーは実際に登山をした人だそうで描写は真実味が
あります。
ヴェラに押さえつけられ彼女の言うがままになって
いるテッドを助手に使い、彼女からの解放を目論見ます。
だんだんと自分の考えで行動するようになります。
シェークスピアの劇の台詞がいたるところで登場します。
イギリスとシェークスピアは縁が深いんですね。

ドールズ 最終章 夜の誘い

2014-06-16 21:00:00 | 

高橋克彦著"ドールズ 最終章 夜の誘い"を読みました。
ドールズ シリーズの最終巻です。
前巻の"ドールズ 月下天使"の最期で聖夜が命を絶って
悪魔を追いかけていきました。
聖夜の葬儀に見知らぬ若者が来ているのに気がつきます。
彼を見つけだし顔を合わせたら痙攣を起こしてしまいました。
病院で気がついて土御門ライと名乗ります。
なぜ盛岡にいるのかわかりません。
精神科医の松室の催眠術でライの中に潜んでいる聖夜を
見出します。
悪魔の箱神を追って江戸時代に行きそれからずっといろんな
人の体を借り現代までたどり着いたのです。
その間、箱神とは出合っていません。
ライは京都で代々魔物退治を職業にする陰陽師の一族です。
彼は強い力を持っています。
ライの父は幸匡は魔物封じが出来ます。
松室には念写の力があることがわかります。
聖夜は怜の体から離れられない目吉と違って自由に霊と
なって動けます。

恒一郎、怜と目吉、戸崎、松村、ライ、幸匡、聖夜は
時の穴を通って江戸時代に箱神を退治に行くことになります。
ラーメン、コーヒーなど湯があればいい食料と江戸時代の
お金を用意して江戸時代に行きます。

着いた時代は目吉が生まれる十年ほど前です。
目吉は人形師の師匠やおかみさんのおときに会います。
自分が生まれる前の父親の佐次郎にも会います。
家を借りて箱神をやっつける対策を練ります。
佐次郎に国学者で神道家の平田篤胤の霊が入り込んで箱神
退治の仲間に入ります。
彼も自由に借りた体から抜けられます。
女性より美しく5人がかかっても負けない力を持つ
陰間茶屋の用心棒の蘭陽も仲間になります。

霊が3人、人間が6人で箱神に向かうことになります。
箱神は人にとりついている霊と箱とがあります。
隠されている箱を手にしてしまおうと計画されます。

タイムトラベルがあり霊との戦いありでおもしろかったです。
人間は江戸時代と現代とのトラベルですが霊たちは時代を
あちらこちらへ移動しています。
土御門家にずっとついている守護霊まででてきます。
心が通じ合った人たちとは時を越えてまだ出会えると
いいます。
いろいろ楽しめる話でした。
これでドールズは完結です。

上野池之端 鱗や繁盛記

2014-06-15 21:00:00 | 

西條奈加著"上野池之端 鱗や繁盛記"を読みました。
題名にあるように商売の繁盛記だと思っていましたが
それだけでなく20年にもおよぶ復讐物でもありました。
おもしろかったです。

お末は従姉妹が勤めていた店に辞めた従姉妹の代わりに
働くことになりました。
店はやる気なしの雰囲気のところでした。
主は外を遊び歩き女将と娘は芝居に明け暮れていました。
若旦那の八十八郎は婿養子です。
お末は活気のあるしっかりした店にしたいと思います。
若旦那と話してお互いの望みが一致します。

若旦那の知り合いの一流の料亭の桜老の女将のお理久が
女中たちに行儀を教えてくれます。
店の建具が新しいものに変えられます。
お仕着せも新しいものになります。
鱗やは昔は一流の店でした。
前の店主一家は火事で亡くなっています。
店名はそのままで繋がりのない人が引き継ぎました。
板長の軍平は昔の店の時からずっと働いています。
本当は料理の腕はいいのですがやる気をなくしています。
若旦那の取り組みで店は変わっていき軍平も目覚めます。

店は変わりだんだんに人に知られる店になっていきます。
前の店主一家が悲惨な亡くなり方をしたことの真実が
わかってきます。
そして店が無くなる危うい出来事が起ります。

だめだった店がじょじょに変わっていく様は読んでいて
気持ちがいいです。
店はまたしても危機的な状態に陥りますが…