薬丸岳著"刑事の約束"を読みました。
連作短編集です。
事件の被害者で昏睡状態の娘を持った東池袋署の
刑事の夏目信人が活躍します。
"無縁"
コンビニで万引きして少年が捕まりました。
一言も話しません。
学校をあたっても該当する児童がいません。
無戸籍で学校に行っていない子だと思われます。
父親は彼と接触することはなく必死で彼の存在を
隠しています。
これは彼が放棄されているのではなく、彼を守るが
ためにされたことです。
"不惑"
婚約者が事件に会い昏睡状態になって13年の窪田は
結婚式場でビデオ撮影の仕事をしています。
彼女が昏睡状態になったきっかけを作った男が結婚式を
挙げることを知りました。
同窓会のため来ていた夏目は窪田が何かを起こしそうな
気配を察します。
"被疑者死亡"
警官に追われた相楽は逃げ、車にはねられ死亡しました。
彼には離婚した妻と息子がいます。
相楽は殺した北原に脅されていました。
彼はお金を作れませんでした。
秘密を明かされないよう殺人を犯しました。
"終の住処"
ケースワーカーをしている樋口が担当の高齢者の女性の
野坂に階段から突き落とされました。
認知症が現れ施設への入所を勧められていました。
「そうはさせるかい」と彼女は叫んでいました。
彼女の部屋にはりっぱな桐のたんすが置かれていました。
"刑事の約束"
夏目の娘の絵美が反応を示しました。
岡崎真紀子が刺殺されました。
娘の葵は拒食症でやせ細っています。
裕馬は母の恵子に殺されかけました。
恵子は癌で医療刑務所にいます。
二人は共に母親に対して深い憎しみを持っています。
絵美が意識を取り戻します。
どの話も犯罪ですがやさしさが感じられます。