雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

足みじかおじさんの旅

2011-05-31 21:56:38 | 

やなせたかし著"足みじかおじさんの旅"を読みました。
やなせさんを始めて知ったのは小学生の時。
テレビのたぶんNHKでまんがの描き方を教えて
いたのを見た時です。
それから高校生の時、当時詩がブームになりました。
詩というのはブームが起きることがないものと思われて
いたので不思議な現象と言われました。
やなせさんは詩人として登場しました。
当時買った詩集は今も大事に持っています。
「てのひらを太陽に」など歌になってずっと歌い継がれて
いるものは多いです。
そして現在は小さな子たちにはアンパンマンの作者と
して知られています。
90歳を越えて元気に仕事されている姿を見られることは
とてもうれしいし、力づけられます。

"足みじかおじさんの旅"は3,4ページのショートショート
です。それぞれの話にやなせさんの挿絵があります。
表紙の絵もとても美しいです。
足みじかおじさんは現実と非現実の間を行き来する
不思議な人です。
大きな力はありませんがちょっとした力があり、悲しんだり
困った人のそばに現れて手助けをします。
謙遜していますがかなり大きな力だと思います。
命を助けるようなこともしています。自分がつかれ切って
しまうのをいとわず手助けします。
足みじかおじさんが来てくれたらと思うことありますね。
現実には現れることはありませんがこういうお話の中で
元気になった人をみてよかったねとほっとします。

昔"ベルリン・天使の詩 "という映画を見ました。
この中に出てくる天使は地球ができた時からずっと
地球や人間を見てきているのですがほとんど力がありません。
辛い思いを抱えた人の隣にそっと座っていることしか
できません。それでもなんだか元気になったと笑顔を
取り戻す人がいます。
でもそれ以上はできません。
人に姿も見えません。天使といえどかわいそうになります。

足みじかおじさんは姿が見えます。
ベルリンの天使よりはるかに力があります。
現実に助けることができるのですから。

ピースメーカー

2011-05-30 22:14:33 | 
小路 幸也
ポプラ社
発売日:2011-01-14


小路幸也著"ピースメーカー"を読みました。
赤星中学、赤星高校は中高一貫校です。
赤星中学が舞台です。
運動部と文化部の仲がとても悪いのです。
原因は運動部総合顧問の玉置先生と文化部総合
顧問の菅野先生の仲が悪いことです。
なんとかしたいと思う先生もいます。
あだ名はコウモリの放送部の顧問の中山先生は、
運動部と文化部の対立をなくしたいと思っています。
取材、現場の仕切り、放送まで彼らを結べるもの、
平和をもたらすもの、ピースメーカになれるのは
放送部だと考えています。

原田良平の六つ年上の姉みさき通称ミーちゃんは
赤星中学当時、放送部に所属していました。
誰もがミーちゃんに協力し、ピースメーカーとして
運動部と文化部を近づけました。
ところが6年経ってまた元に戻ってしまいました。

弟の良平とその友人のケンちゃんがピースメーカーと
なろうと放送部に入ります。
ディスクジョッキーをしながら音楽を流すお昼の放送は
活動の一環です。
時代がいつとの説明がないのですがレコードに針を落とす
という部分からそうとう古い時代の話だとわかります。
ビートルズが活躍していたころと書かれた部分があります
ので60年代の話のようです。

スピーカーはマイクにもなりうると書かれています。
これは本当なんでしょうか。
この話とんでもないと思うのですが、スピーカーから
盗聴して人々の噂話を集めています。
盗聴した話をもとにして作戦をたてて問題の解決を
計ります。
現実にそんなことしたら大問題になること
間違いありません。
なんだかなぁ、そんなことどうでもいいじゃないかと
いえることじゃないですから、読んでいて物語に
入り込めません。
基本的に許せない部分が物語りの重要な鍵を握っている
となると話自身が崩れていってしまう気がします。

起きたことを解決していきますが根本的に仲良く
なったとはいえない状態で終わっています。
運動部と文化部が対立するということは起こりうる
ことなんですか?
予算が不公平に配分されるというようなことがあれば
たしかに起こりそうですが、あまりピンときません。5/22

和菓子のアン

2011-05-29 19:19:56 | 
坂木 司
光文社
発売日:2010-04-20


坂木司著"和菓子のアン"を読みました。
梅本杏子、18歳は高校を卒業して何になりたいか
わからなくて進学も就職もしませんでした。
何ヶ月か過ぎ働かなくてはと仕事を探します。
デパートの地下の和菓子屋さんのアルバイトの募集に
応募して働き始めました。
女性店長の椿さん、男性社員の立花さん、学生の
アルバイトの桜井さんがいます。

しっかり者の店長、でもバックヤードでパソコンで
株をやっていて時々叫び声がきこえてきます。
立花さんはスマートな見た目のいい男ですが実は女性
的な人です。
桜井さんは元ヤンキー、今は普通の女子学生です。
杏子は立花さんに和菓子屋だし杏子はアンコと読めるしで
アンコちゃんとよばれますが、アンちゃんで妥協します。
ふくよか体型でそのことに劣等感を持っています。

和菓子職人をめざす女の子の話かと想像して
いましたが違いました。
和菓子を売る立場の人を描いたものでした。
デパートのお菓子売り場の様子がわかります。
和菓子は奥が深いです。
名前の由来はとてもおもしろいです。
茶道や日本の古い文化を引き継いで和菓子は
今あるのですね。
アンは店長や立花さんや、菓子職人希望の立花さんの
師匠だった松本さんたちに菓子のいわれやどのように
作られているかを学びます。

ただ単に売っているのといろんなことを知って売る
のとは大分違うでしょう。
これは和菓子だけの話ではないですね。
どんな仕事だってそうだと思います。いろいろ知れば
興味がどんどん広がっていきます。

無花果の実のなるころに

2011-05-28 21:38:43 | 
西條 奈加
東京創元社
発売日:2011-02-24


西條奈加著"無花果の実のなるころに"を読みました。
"金春屋ゴメス"、"烏金"と同じ著者です。同じ人の作品
だと思うとちょっと違和感があります。
時代は現代です。
滝本望は私立の中高一貫校に通っている中学二年生です。
お父さんが転勤で北海道へ行くことになります。
お母さんもいっしょです。望は神楽坂で多喜本履物屋を
営む祖母のお蔦さんの家で暮らすことになります。
お蔦さんは昔芸者や女優をしていた人で粋でしゃきっと
して家には常に人が集まっています。
しかしお蔦さんは包丁は握れません。
代々滝本家は男性が料理を担当してきました。
望も料理の腕は抜群です。
ちょっとした事件が起きてお蔦さんが見抜いたり解決
したりする連作短編集です。
楽しい本です。

"罪かぶりの夜"
近所の幼馴染の洋平が連続蹴飛ばし魔として警察に
捕まります。誰かをかばっていると思われます。

"蝉の赤"
望は美術部に入っています。先輩の足尾さんの作品が
文部科学大臣賞になります。乾蝉丸という人の作品の
赤に魅せられその色を参考にしたといいます。
乾蝉丸は後の話にも絡んできます。
学園祭で人が途絶えた時に賞を取った作品が破られて
いました。

"無花果の実のなるころに"
神楽坂では振り込め詐欺が頻発しています。
お蔦さんのマージャン仲間が狙い打ちにされているようです。
ちょうどバレンタイのころ、望が無花果の実を使った
タルトを作っています。
お蔦さんの昔の仕事仲間の志野さんも被害に会いました。
何年も会っていない孫が心配してやってくるようになりました。
楓という女の子が登場します。

"酸っぱい遺産"
お蔦さんの昔からの知り合いの立脇工業の社長が亡くなり
お蔦さんに遺言で33%の立脇工業の株を残します。
立脇工業の経営は問題が起きています。社長はお蔦さんに
どうして欲しいのでしょう。

"果てしのない嘘" ネタバレあり。
楓のお母さんが頭を打って意識不明で入院しました。
居合わせた長年行方不明だったお父さんが警察に捕まり
ました。
このお父さんが乾蝉丸です。
実はお蔦さんの夫の弟にあたります。芸者に生ませた
ずいぶん年の離れた弟です。

"シナガワ戦争"
クラスメートのトリこと翠が拉致されやはりクラスメートの
彰彦に呼び出しがかかります。
いっしょにいた望、洋平、彰彦の兄行也が救出に向かいます。
相手は八馬宗司、妹が彰彦に振られたため仕返しをしようと
いうのです。

お蔦さんの性格好きです。望もいいです。
こんな風な家族やご近所さんたちとの生活、いいなぁと
感じさせてくれる本です。5/21

実さえ花さえ

2011-05-27 21:35:51 | 
朝井 まかて
講談社
発売日:2008-10-21


朝日まかて著"実さえ花さえ"を読みました。
小説現代長編新人賞奨励賞受賞作だそうです。
この本が最初の作品だそうです。
とてもいい本です。

時代小説です。
なずな屋は花や木を栽培して売る店です。
品種改良や、新種開発も行っています。
新次とおりんの二人の店です。
おりんは結婚する前は子供達に手習いを教えていました。

上総屋の隠居六兵衛、その孫の辰之助、友人の大工の
留吉とその妻お袖、植木のぼてふり栄助からあずかった
子供の雀、(しゅん吉と言えずにちゅん吉と言うので雀と
呼ばれている)
昔修行していた霧島屋の娘でいっしょに植木を学んだ
理世などが登場します。

植木に心を注ぎ込んで働く新次、ささえるおりん
雀はちょっとの約束で預かったのにそのままなずな屋で
暮らしています。新次の手伝いに精を出しますが学問の
覚えがよくそちらの能力を伸ばしてやりたいとまわりの
ものたちは思っています。
最初に女装して現れたりしてちょっと風変わりだけど
信頼できる辰之助、辰之助が惚れた花魁の吉野は、
吉野も知らない因縁で上総屋と結ばれています。
結婚できるのが目の前だったのに……

江戸時代の種苗屋を中心にした人間模様が描かれて
います。
その中に入り込んだ感じで読めました。5/21

真夜中の出来事

2011-05-26 21:13:08 | 日常の出来事
昨晩寝ていたら戸が開くような音がして目が覚めました。
戸外での音だとうつらうつらと思っていたのですが、
もしや家の中?という不安が湧き起こってぱっちり目が
さめてしまいました。
そっと起き上がって照明をぱっとつけて家の中を見渡し
ました。変わりがなくてほっ。
家の中の施錠を再度見て廻りました。
だいじょうぶと確認してもう一度寝ようとしたらまた
がたんがたんと音がしました。
そして猫のぎゃんぎゃんと喧嘩する声が聞こえてきました。
音をたてていたのは猫か~と原因がわかってほっとしました。
その後もトタンががたがたなる音がしてました。

いままで家の近所で猫が喧嘩していることなかったのに
今はいるんですね。
野良猫の生活はきびしく寿命も短いといいます。
野良猫はいないにこしたことがありません。

名古屋では昨日一家5人が亡くなり2人が意識不明に
なる火事がありました。小さな子が含まれており悲惨です。
原因はたこ足配線だそうです。
危険だとわかっていてもだいじょうぶだろうとやって
しまうものです。
火災警報器はつけてなかったのでしょうね。
私の家もつけてません。つけなくてはと思います。

植物図鑑

2011-05-25 21:25:33 | 
有川 浩
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2009-07-01


有川浩著"植物図鑑"を読みました。
さやかはある夜マンションの前で行き倒れていた男と
出会います。
「お嬢さん、よかったら僕を拾ってくれませんか。」
「咬みません。躾のできたよい子です。」
樹(いつき)はさやかの部屋で食事を振舞われ一晩を
過ごします。
あくる朝いつきは少ない食材で朝食を作ってくれます。
さやかは家に住んで家事をやってくれるよう引き止めます。
いつきは夜間のコンビニの仕事を見つけ、炊事、洗濯
など家事を引き受けます。
休日にはさやかを連れて歩いたり自転車で出かけます。
季節ごとの野草や山菜を取ってきていつきの料理で
いっしょに食べます。

はじめは同居人でしたがそのうち恋人になりました。
いつきは自分のことをなにも話しません。
でもさやかは聞けば消えてしまいそうで何もきけません。
そして実際に消えてしまいます。

おとぎ話のようなお話です。
そしていろんな野草が紹介されます。その食べ方も。

とても人気がある本のようです。
でもどうも読んでいて気持ちがよくありません。
さやかの方の恋心がいつきよりも強く、びくびくして
いつきに合わせようと心をくだいています。
無理をしていて、そういうのは幸せにはならない
だろうと思うのです。

おとぎ話のように、二人は幸せになりました、めでたし
めでたしでいいのかもしれません。5/21

検事 霞夕子 風極の岬

2011-05-24 22:59:12 | 
夏樹 静子
新潮社
発売日:2004-04-21


夏樹静子著"検事 霞夕子 風極の岬"を読みました。
BOOKOFFで買いました。
よくテレビドラマになっています。
鷲尾いさ子さんが霞夕子を演じていた時のが好きです。
犯人の心にも寄り添うような検事の姿がよかったです。
いろんな女優さんが霞夕子を演じていますが鷲尾さん
以外の霞夕子はあまりいいとは思えません。
でもそれだけドラマになりやすい作品なのでしょうね。
この本で霞夕子は東京を離れて北海道の帯広へ単身赴任
しています。
4編の連作短編集です。
あまりおもしろくありません。
事件が起きて検事が活躍することなくなんとなく
解決しているといった感じでほとんど記憶に残りません。
電車の中で読むのに適した本とはいえると思います。5/15


こっちへお入り

2011-05-23 22:06:15 | 
平 安寿子
祥伝社
発売日:2008-03


平安寿子著"こっちへお入り"を読みました。
江利の友人の知美が落語のサークルに入っています。
発表会に誘われて聞きにいきます。
大学で落研に入っていた楽笑とその奥さんのチェリーが
指導している費用は無料のサークルです。
部員の打ち上げになんとなく参加して江利は落語を
やってみることになります。
最初に覚えるのは寿限無です。
どんどん楽しくなります。
落語のCDを買って聞いてみます。
同じ演目でも落語家によって様々に解釈され違ったものに
演じられます。
聞き比べてこのような解釈でやりたいというように
深く人の心の動きを考えて見たりします。
仲間同士で落語に出てくる人の行動についてああでも
ないこうでもないと会話がはずみます。
江利には長いこと付き合っている旬という人がいます。
腐れ縁みたいな状態になっています。
でも何か話たいことがあれば呼び出して話をする相手です。
落語の話をきかせます。
最初のうちはその内容はおかしいという反応をします。
ところが最後の方になるとCDを聞くようになります。
江利の発表会に聞きにきてくれます。
そして自分もやると言い出します。
さめた関係だったのに共通の趣味で違った展開になって
きました。

落語に夢中になっている人々の熱い思いが伝わってきます。
楽しいのでしょうね。
落語はわからないのにわくわくした気分にいっしょに
ひたれます。
子供のころはラジオやテレビから落語が聞こえてくる
ことがありましたが今は自分から聞こうとしなければ
知らないうちに聞いているということがありません。
おもしろそうだと思うのですが、聞いてみようと
行動を起こすところまではいきませんでした。

雨の日曜日

2011-05-22 21:50:10 | 日常の出来事
岸本葉子著"空き家再生ツアー"を読みました。
短編集です。
連作短編集は全体で繋がりがあっていいのですが
繋がりのない短編集は最近印象に残るものが
少ないです。
この本もあまり印象に残る話がありません。
人それぞれその時の年齢や環境で心の持ち様が
違います。
同じ本をその時々で読んでもまったく違う感想を
持ちます。
今の私はこの本に波長が合ってないのでしょうね。

今日は一時雨が強く降りました。
外出したい用事があったのですがなんだかおっくうに
なってしまって一日中家にいました。
テレビも見ない、本も読まないでぼんやりしてたら
一日が終わってしまいました。
一日のスピードが滝が落ちるような速さです。

パトカーがサイレンを鳴らして走っているのって
あまり見たことありません。
今日は遠くの方からけたたましいサイレンの音が
だんだんに近づいてきました。
2階から外を見ていたらパトカーが通り過ぎていく
のがちらっと見えました。
通り過ぎたらぴたっとサイレンの音が聞こえなく
なりました。
あれは家の近所で何かあったということなのかしら。
風の調子で聞こえなくなるということがあるで
しょうからそうとばかりはいえませんが、少々
気味が悪かったです。

金田一少年の事件簿 電脳山荘殺人事件

2011-05-21 22:51:26 | 

天樹征丸著"金田一少年の事件簿 電脳山荘殺人事件"を
読みました。
ずいぶん前にテレビアニメでやっていた金田一少年の
小説版です。
アニメを小説化したものだからつまらないだろうという
ことはありません。よく出来た話でおもしろかったです。
金田一一と幼馴染の七瀬美雪は剣持警部の弟の経営する
ペンションへ招待されスキーをすることになりました。
剣持警部は事件のため急きょ行けなくなりました。
ルートを外れたコースへ入り込んで遭難しかけて見つけた
山荘で世話になることになりました。
みんなが集まるラウンジとそれぞれが泊まるコテージが
あります。
そこに集まっていたのは本名も住所も知らないパソコンの
チャットで出合ったミステリー好きな人たちです。
連続殺人の幕が開きます。
原因には心当たりが有るらしいのですが口をつぐんで
言おうとはしません。
連続殺人の原因となる出来事が現代的な軽々しい無責任
な振る舞いです。
殺人のトリックはなるほどと思わせるものです。
殺人へ至る気持ちも理解できます。
トリックも理由も納得がいかないものが多い中、これは
いいミステリーだと思います。

垂里冴子のお見合いと推理

2011-05-20 22:27:17 | 

山田雅也著"垂里冴子のお見合いと推理"、"続 垂里冴子の
お見合いと推理"、"新・垂里冴子のお見合いと推理"の
シリーズ3冊まとめて読みました。
冴子33歳、空美23歳、京一17歳の兄弟です。
父親一路、好江と共に東京近郊に暮らしています。
冴子は出版社に勤めていましたが今は辞めて毎日を読書に
費やしています。
普段でも着物で過ごしていて物静かな人です。
反対に空美は現代娘で派手な服装で元気に飛び回っています。
京一はそんな姉に振り回されている高校生です。1冊目では
高三、その後は浪人生です。本好きは冴子と同じです。
冴子にお見合い話を持ってくるのはお見合いに燃えている
好江の姉、合子です。

連作短編集です。最後の3冊目は2編だけで中篇になってます。
すべての話がお見合いにまつわる出来事です。
相手が死んでしまったり、消えてしまったり、辛い過去を
かかえていたり、とんでもない人だったりとすべて
うまくいきません。
冴子が起こった出来事を解いていきます。

最初の本の出版が2000年ですからそんなに古い本では
ないのになんか昔にこんな兄弟や家族が出てくる話を
読んだような気がしてしかたがありません。
この本は読んだことがないと思うのですがもしかして
忘れているだけで読んだことあるのかもしれません。
それとも似たような家族が登場する本があるのかな。
それほどおもしろいといえる話ではないのですが
なつかしい人に出会ったような気がします。
推理小説としてより家族の話としてのおもしろさが
あります。

本を読みながら現実的なことを考えてしまうのは
悪い癖ですが、兄弟3人とも仕事をもっていなくて
どうやって食べていくんだろうという考えが頭を
よぎります。
お父さんは仕事しているしいざとなったらどうとでも
なるでしょうに、なんでこんなところで貧乏性な
ことを考えるのだろうとおかしくなります。
そもそも本の中の話ですし。5/14

brother sun 早坂家のこと

2011-05-19 21:31:05 | 
小路 幸也
徳間書店
発売日:2009-08-26


小路幸也著"brother sun 早坂家のこと"を読みました。
あんず25歳、かりん20歳、なつめ18歳の三姉妹がいます。
お母さんはあんずが11歳の時に亡くなります。
それからお父さんが三人を育ててきました。
お父さんが三年前に19歳年下の真理奈と結婚し、
二年前には陽という弟が出来ました。
あんずの意見でお父さんたちは姉妹が住む家から2軒目
の家に別れて住むことになりました。
陽を預かってお父さんと真理奈を新婚旅行へ送り出します。
そこへお父さんの兄という太一がやってきて陽の
おもりをいっしょにしてくれます。
太一は20年も音信不通でした。
太一は画家です。ようやく人に知られる画家になりました。
かりんが絵が得意です。
姉妹にはそれぞれ向坂、淳史、マー君という恋人がいます。
伯父と父との間の確執とはなんなのか、姉妹は記憶を
呼び覚ましたり、聞いてまわったりします。

あっさりとした感じで書かれています。
読み終わってしばらくして昔だったら昼のメロドラマに
なりそうな話ではないかと気づきました。
読んでいる最中はさらっと通り過ぎてしまいます。
どろどろとか、もだえ苦しむとかそういう感情がまったく
出てこないのです。
ないはずはないよねと思うのです。
みんな仲がよく理想的な家族という感じです。
最後は姉妹が結婚し、小さな弟の陽が高校生になった
時の話になっています。
ここでもまた人間関係のもつれが起きています。
でもそれもさらりと書かれています。
どろどろした話は苦手ですがそれでもこうさらっと
したものも嘘っぽいなぁと感じてしまいます。
今の時代は深い感情のものは避けられているのでしょうか。5/11

暗いところで待ち合わせ

2011-05-18 20:06:06 | 

乙一著"暗いところで待ち合わせ"を読みました。
ミチルは三年前の交通事故で失明しました。
父親も亡くなり一戸建ての家で一人暮らしです。
友人が買い物に連れ出してくれる一週間に1度の
外出以外は家に閉じこもっています。
アキヒロは印刷会社に就職しましたがまわりの人たちに
溶け込もうとせずに過ごしています。先輩の松永は
嫌な人間です。アキヒロと同じ駅から通勤しています。
松永が電車に轢かれます。その側にアキヒロがいました。
警察に追われてミチルの家にこっそり入り込みます。
ミチルがいる部屋と同じ部屋の片隅でじっとしている
アキヒロです。

でもミチルは最初から人の気配に気づいています。
気づかないふりをして過ごします。
こうやって1週間、2週間と過ぎていきます。
じっとしていて夜ミチルが2階へ引き上げたら冷蔵庫の
食品を少し失敬して食べます。
トイレ、シャワーを借ります。

食器棚から鍋を取ろうとして失敗した時、アキヒロが
鍋が頭の上に落ちてくるのを受け止めて机の上にそっと
置いてくれました。
ミチルはついありがとうと言ってしまい、部屋に人が
いることを知っていると知らせてしまいます。
その後はまた同じように無言で過ごしているのですが
ミチルはアキヒロに食事を用意してやるようになります。

友人のカズエには家の外に出て生活できるようにする
ように言われています。でもこわがって家から出ようと
しません。カズエと喧嘩となってしまいます。
誤ろうとカズエの家に一人で行こうとするミチルを
そっとアキヒロが手助けしてやります。

このあとはねたばれになります。ご注意を。
アキヒロがミチルの家に潜伏していたのにはわけが
あります。
松永を殺したのはアキヒロではなく松永が付き合って
いた女性です。改札を通らずやって来て、人に見られる
ことなく逃げました。
ミチルの家から駅のホームがよく見えるのです。
窓からホームをずっと監視して突き落とした女性を
見つけようとしているのです。
結局見つけられませんでした。

ミチルの家を出たあとに、もらったコートに入っていた
写真を見てその女性が犯人であり、ミチルの知り合いだ
ということを知ります。
その女性ハルミが捕まって事件は決着しました。

なかなかおもしろい本でした。
ミチルもアキヒロも世間に馴染まない生き方をしています。
最初のうちはどうなるのだろう、悲しい結末にならなければ
いいけどと思っていました。
でも二人とも実際には強さを持った人だとわかってきます。
「他人という存在が自分を傷つけるばかりのものではないのだ
ということを静かに教えられた」という文章が出てきます。
この二人きっとこれから変わっていくのだろうなと思わせる
暖かな終わり方でした。

家の中でじっと存在を消して過ごすなんてこれはちょっと
現実ばなれした想定です。
トイレはいかない、洗濯はしない、くしゃみはしない
食事は無断で食べていることを知られないように食べる
なんてどだい無理です。
まあ小説は現実とは別の世界ですからそういうことは
無視すると、割り切らなくてはいけませんね。
でもそんなこと無理でしょうという思いが沸いてきて
気持ちがそがれてしまうことがありました。5/10

at Home

2011-05-17 21:41:17 | 
本多 孝好
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2010-10-27


本多孝好著"at Home"を読みました。
家族が主題の短編集です。

"at Home"
お父さんは泥棒、お母さんは結婚詐欺師、長男はニセ
パスポート作り、長女は中学生で家事をこなし、次男は
小学生で引きこもってパソコンやっているそんな普通では
ない家族がいます。
お母さんが失敗して詐欺を仕掛けた相手に捕まってしまいます。
お父さんと長男が取り返しに行きます。でも次男がピストルで
撃ち殺してしまいます。
罪を被って父親が捕まります。
実はこの家族、それぞれが現実の家庭では暴力を振るわれ
たり、育児放棄されたりした人たちが集まって寄り添って
生きていた家族だったのです。
深い悲しみを経験してきた人々の繋がりは本物の家族より
強いものでした。

"日曜日のヤドカリ"
結婚した妻には九歳の弥生という女の子がいました。
ある日曜日妻は同窓会に出かけて二人きりになりました。
二人の会話は…です、…ますという感じです。
弥生に殴られたと男の子を連れたお父さんがやってきます。
同級生のマキオ君がお父さんが家に戻ってこない、弥生の
お母さんといっしょではないかと言ってきます。
マキオのお父さんを探して3人は出かけます。
弥生とお父さんになった人が言葉づかいは丁寧語ですが
しっくりした雰囲気が伝わってきて読んでいて気持ちいいです。

"リバイバル"
53歳の男は居酒屋で接客を仕事にしています。
闇金融から借りたお金を返しています。
わけありの外国人の女性と結婚したら借金はちゃらにして
やると無理やり女性を押し付けられます。
言葉のわからない女性との同居が始まります。
男は以前に離婚をしています。子供はその後死んでいます。
偽装結婚の相手は連れ去られていきます。
彼女の国に帰すのだといいます。
離婚した元妻が居酒屋に時々現れて食事をしていきます。

"共犯者たち"
問題児だった妹が結婚して子供を持ち、その子拓真を
あずかったら痣だらけでした。
兄は妹を疑って子供を別居しているその夫に渡してしまいます。
両親はずっと昔に離婚しています。
父親にひょんなことから出合って1年に1度あっています。
妹の子供のことを父に話します。
父から夜に出てくるように言ってきます。
そこは妹の夫の実家です。
父は妹を信じる、子供を取り返すと家に押し入る計画を
話します。どうして知ったか離れて住んでいる母もやって
きてこの計画に加わります。

ほのぼのとした話しが多かったです。
"日曜日のヤドカリ"が一番よかったです。
しっかり者の女の子がかわいいし、お父さんになりたての
男の人がきちんと道理を通す様子もいいです。
いい家族になっていくんだろうなと思わせます。
"共犯者たち"はずっと会っていないのに娘を信じて
行動する父親と、当然のごとく同じように思っている
母親、親は子供を正しく見ていて、無茶なと思うことを
出来るものなんだと思わせてくれます。



ずっと借りていた海堂尊著"イノセント・ゲリラの祝祭"
ギブアップします。
海堂さんの小説は好きですがこれはどうも読み続け
られません。
他の本で登場する厚生労働省の白鳥さんが最初から登場
してます。白鳥さんの無茶ぶり好きなんですけど。
政治がらみ、官僚がらみの話しはどうもむかむかしてきて
嫌いです。5/06