雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

神楽坂のマリエ ヤッさんⅡ

2014-05-31 21:00:00 | 

原宏一著"神楽坂のマリエ ヤッさんⅡ"を読みました。
前に読んだ"ヤッさん"の続編です。
この本は"ヤッさん"を読んだ後に読まないとなんのことが
わからないことがあると思います。

前巻のタカオとミサキはヤッさんの元を離れています。
今回の弟子はマリエです。
マリエは神楽坂で喫茶店を経営していましたが失敗して
何もかも失くしました。
金策に失敗して食事にも事欠く事体でふらふらしている
時にヤッさんに出会いました。
ヤッさんについて築地市場を廻ったり飲食店を廻ったり
するようになります。
ヤッさんがいる時は野宿し一人だけの時は焼き鳥屋さんの
小上がりで寝かせてもらいます。
いろんな出来事が起ります。

昔からのやり方を守って変えようとしない父親と、今の
時代にあった寿司を作りたいと思う息子の意見が相違
する親子に出会います。

前の弟子のタカオとミサキ夫婦が働いている蕎麦屋へ
行きます。
タカオが始めたネットでの店の紹介の発信で店は行列が
できて大忙しです。
昔からの常連がこなくなりました。
店主も従業員もこの状態を喜んでいません。

ノルウェーから料理人のヨナスが日本料理を食べ歩いて
勉強したいとやってきました。
店とヨナスがもめているところへ行き合わせてマリエが
ヨナスと知合いました。
食べ歩きに付き合うことになります。
日本の接客に疑問を持ったヨナスの発言に店側とぎくしゃく
とした雰囲気になります。

瀬戸内で鯛の一本釣りをしていて築地に鯛を送ってくる
清次から鯛が送られてこなくなりました。
清次は行方不明になっています。
ヤッさんとマリエはトラックを乗り継いで四国まで
やってきます。
家には清次と住んでいる春菜が留守を守っていました。
彼女は東京の料亭のお嬢さんです。
清次と暮らして十年、野菜を作り、漬物や干物なども全て
手作りです。

ヤッさんがマリエに内緒で店を廻ってお金を受け取って
います。
お金はもらわないというヤッさんの信条と違うでは
ないかとオリエはいぶかしがります。
ヤッさんを取材している記者と出会いヤッさんを
調べてもらいます。

この本もおもしろいですけど、前の巻の方がヤッさんが
どんな生活をしているのか興味深く書かれていて
おもしろかったです。
マリエがすぐ男の人に感情移入してしまってちょっと
頼りない感じです。
でも恋人もできたようで、ヤッさんとの生活も終わりに
なるようです。

最初にコーディネータと称してマリエに近づき店が
潰れる原因を作った男が登場します。
法律に違反しているわけではないですけど、少しは
とっちめられるのかと期待していましたが何も
ありませんでした。
やっつけて欲しかったです。

"ヤッさん"の続編が読めてうれしかったです。

桜の咲かない季節

2014-05-30 21:00:00 | 

伊岡瞬著"桜の咲かない季節"を読みました。
偶然にも昨日の"明日の雨は。"と同じ作家さんです。
この本の最初の方は前に読んだことがあります。
2012年の発刊だからまだ新しいのにいつ、どこで
読んだのか記憶にありません。
本屋さんで長い時間立ち読みすることはありませんから
たぶん図書館でしょうね。

桜子は占い師です。
乾耕太郎が高校生の時に父が亡くなり母は実家の側に
引越すことになりました。
耕太郎は隣の桜子の家に下宿することになりました。
耕太郎はカメラマンとなって世界の危険な地帯へ仕事で
行くようになります。
インドで耕太郎が危険な目に会うことを察知した桜子の
父の七ノ瀬天山は耕太郎を追っていきました。
カメラを子供達に盗まれた耕太郎は子供達を追っていき
ますが、彼らはナイフで襲ってきます。
耕太郎を庇って天山は刺されます。
天山は傷が元で1年後に亡くなりました。

桜子は占う相手に不幸が起きる事を感じることが
できます。
耕太郎は桜子の家で仕事をして桜子を見守っています。

暴力を振るう妻に困りはてた夫がやってきます。

仲たがいした母と娘の仲直りに手を貸します。

10年前にホームレスに硫酸をかけたと思われていた
当時中学生だった男が帰ってきました。

耕太郎にまとわりつく女性があらわれます。
彼女には企みがあります。

桜子はずっと住んでいた家の立ち退きを迫られています。
同門の占い師の男性から自分の下で仕事をするよう
強引に迫られています。

桜子と耕太郎との関係がおもしろいです。
耕太郎が桜子が好きなことは確実ですが桜子は
淡々としています。
外国で盗まれた物を追っていくことは危険だということを
紛争地帯にしょっちゅう行っている耕太郎が知らない
はずありません。
それなのに桜子の父に怪我させるはめになってしまった
ことはなんか納得いかない出来事です。

明日の雨は。

2014-05-29 21:00:00 | 
著者 : 伊岡瞬
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日 : 2010-10-20

井岡瞬著"明日の雨は。"を読みました。
森嶋巧は音楽大学を出ました。
仕事がなく1年間の臨時教師として小学校で音楽を
教えることになりました。
1年間に起きた出来事が描かれています。

モンスターペアレントが現れて先生が放火の濡れ衣を
きせられることがあります。

見学に行った公園から貴重な亀が行方不明になって
生徒が持ち出したのではと疑われ巧は解決をせまられます。

音楽の担当のもう一人の女性の先生は厳しい人です。
歌がうまかった男子生徒は先生に厳しく追い詰められ
歌がうまく歌えなくなってしまいます。
わざとしていると思われています。

離婚をした教師はやる気をなくして教室で居眠りを
します。
クラスの生徒達は先生を刺激しないよう静かにゲーム
などしています。
この教師が途中で退職した後のクラスはクラス崩壊を
起こして手が付けられなくなりました。

有名な私立中学へ入学が決まった女の子がいます。
クラスの子たちは気にしていません。
みんなの前でほめてやって欲しいと巧は母親から
頼まれます。
その通りにしたら巧は生徒たちから無視されるように
なってしまいました。
おまけにバイクで走っている時事故を起こしてしまいます。

臨時教師の任期延長を断って辞めて音楽教室に勤め
始めますが正規の教師になろうと思い始めます。

子供達も集団生活はたいへんだなと思うし、問題が
しょっちゅう発生するのを解決していかなければ
いけない先生もたいへんですね。
読んでいるだけで、はぁーとため息がもれます。
問題発生を嫌だと感じる人にはやれない仕事ですが、
これも人生のおもしろさだと感じられる人には
やりがいがある仕事なのでしょうね。

買い物の失敗

2014-05-28 21:00:00 | 日常の出来事
ここのところ続けて買い物に失敗しています。
まずは帽子です。
日焼けしないよう帽子は必須です。
ぶかぶかのものばかりで頭に合う帽子にほとんど
出会いません。
頭が小さいのは脳みそが少ないってことね。
まあそれはおいといて、ぶかぶかだと自転車に乗って
いるとちょっとした風で飛んでいってしまいます。
手で押さえながら走るのは危なくてしょうがありません。
こうなったらみっともなくてもいいから実用をとろうと、
左右に切れ込みを入れて長いストールを通してあごの
下で縛っておこうと思いつきました。
カッターナイフで切れ込みを入れました。
さあできたとよく見たら左右でもなく、前後でもなく
斜めの位置に切れ込みが入っています。
「何考えているの」、って自分に言ってしまいました。
切り込みをいれようというほどですから安い物ですが、
しかしもったいない。

もう一つの失敗はキッチンマットです。
ずいぶん使っていますから薄汚れてきました。
年1回は洗濯しているのですがもう買い換えても
いいころです。
家を出る時から120センチ、と唱えていました。
120センチのものを買ってきました。
持って帰ってさあ新しいのにするぞ、と広げたはいい
けど短い!
何を血迷って120センチなんて思い込んだのでしょう。
家のは180センチでした。
長さが足りない!
「いったいどうするの」、と自分を責めているところです。

続けざまに失敗してしょげています。

日本橋本石町やさぐれ長屋

2014-05-27 20:03:03 | 

宇江佐真理著"日本橋本石町やさぐれ長屋"を読みました。
弥三郎店と呼ばれる長屋に住む人々を描いた話です。
弥三郎店をもじってやさぐれ長屋といわれたりします。

"時の鐘"
弥三郎店の住人の大工の鉄五郎の話です。
旭屋という莨(たばこ)屋に娘がいるようになりました。
ぽんぽんと言い返してくる娘です。
家の借金のため結婚しましたがすぐに離縁され親戚の
莨屋で働くことになりました。
鉄五郎と莨屋のおやすが結婚する顛末です。

"みそはぎ"
おすぎの話です。
居酒屋で女中をしながら今でいう認知症の母親の看病を
しています。
隣の家の左官職人の喜助も病気の母親をかかえています。
喜助が一人合点でおすぎが結婚を承知してくれたと
思い込みます。
喜助の母親もすでに嫁のつもりで洗濯を押し付けて
きます。
困ってしまったおすぎです。

"青物茹でて、お魚焼いて"
錺職人の茂吉の女房おときの話です。
茂吉は浮気をして家を出て行ってしまいました。
おときは居酒屋で女中をして子供たちと暮らすことに
なりました。
居酒屋で呉服屋の尾張屋の番頭の忠助と親しくなります。
上方の本店からやって来た男でいっしょに上方へ行か
ないかと誘われます。
すっかりその気になったおときは子供達をむりやり
奉公に出したり、弟子に出したりしました。
しかしこの話には裏があり…

"嫁が君"
駕籠舁きの六助と女房のおひさが長屋に引っ越して
きました。
六助は駕籠に乗りながら料金を払おうとしなかった
武士と争いになって人足寄せ場に送られました。
鉄五郎が仕事で長く家を空ける事になりました。
おひさは家を荒らすねずみに困り果てていました。
長屋のおかみさん達が貸してくれたねずみ捕りを
仕掛けてねずみ退治に手を貸してくれたのは六助です。

"茸屋町の旦那"
ながやの一人暮らしの年寄りのおすがの家に16歳の
若者の幸助が暮らすようになりました。
昔おすがが女中をしていた芝居茶屋の息子だといいます。
幸助の母親は妾で妻が亡くなった後、家に迎え入れ
られています。
男の子は幸助だけで跡取りですが先妻の娘たちが
嫌がらせをします。
父親はしっかり商売をしていますが態度がなよなよしく
そのことも嫌がっています。
幸助の話です。

"店立て騒動"
弥三郎店の裏は広い敷地を持つ医者の家の庭になって
います。
長屋が医者に売られ取り壊されることになります。
追い立てらればらばらになることを悲しみながら
それぞれ行き先を探します。

江戸時代の長屋に住む人たちの生活を描いた物語です。
最期がどうなるかは読んでください。

認識の違い

2014-05-26 18:46:59 | 最近の話題
大学の教授に数日とは何日ぐらいと考えますかと質問
されました。
中高年が多かったので5、6日ぐらいと答える人が
多かったです。
先生によると学生は、2、3日と考える人が多いそうです。
数日後に来るようにと言うと2、3日後にやってきて
早いじゃないかとびっくりするそうです。
世代間で物の感じ方に違いがあるのではないかと
おっしゃっていました。

双方の認識が違って戸惑うことが起きるのはお互い
気分が悪いものです。
世の中のほとんどの人がこうだと考える言葉の定義が
定まっているといいのですが違っていることがまま
あります。
それでトラブルになることって結構あると思います。
認識の違いを避けるにはこれ以外に考えようがないと
いう指示をするしかありません。

この前レストランの経営者だった人が書いたものを
読みました。
予約時間より早く行くか、遅れて行くかどちらがいいか
というものです。
その人は遅れてきて欲しいというのです。
早く来られると準備が整っていなくて困るそうです。
私は早めに行った方がいいのだと思っていました。
5分ほどなら待つスペースで待っていればいいでは
ないかと思うからです。
この話を読んで、えぇーとびっくりしました。
しかし、すべての飲食店がそう思っているかどうか
わかりません。
この話を鵜呑みにして遅れていけば嫌な顔をされる
店もあるでしょう。
要はぴったりにいけば誰にも文句は言われないって
ことでしょうか。
それもまた、ぴったりというのは礼儀に反する、少し
遅れていくべきとか、早く行くべきなんて言う人が
いそうな気がしないでもありません。

消えてなくなっても

2014-05-25 20:56:36 | 
KADOKAWA/メディアファクトリー
発売日 : 2014-03-07

椰月美智子著"消えてなくなっても"を読みました。
最期まで読んでこういうことだったのかとわかりました。
鈍感で最期まで気づきませんでした。

あおの23歳の男性でタウン誌を作っています。
加害恐怖という人を傷つけてしまうのではないかという
気持ちに襲われています。
山の中にある鍼灸あん摩マッサージのキシダ治療院の
岸田節子の家に世話になることになります。
そこには1つ年上のつきのという女性が少し前から
世話になっています。
つきのはずけずけと思ったことを口にします。
あおのはその雰囲気を姉と弟の関係に似ていると
感じています。
節子は治療をしにきた人に憑いた魍魎のようなものを
退散させる力があります。

その場所には河童が現れます。
はじめて目に見えた時は驚いたあおのですが何回か
会ううちに河童と友達になります。
河童の名前はキヨシといいます。

あおのは叔父、叔母の養子として育ちました。
二人の兄がいて大切にされてきました。
養子だと知ったのは大きくなってからです。
つきのは養護施設で育っています。

キシダ治療院でふたりが出合って節子と共に掃除をし、
草取りをしたりして穏やかな日々を送ることができました。
河童とも友達になれました。

カラス天狗が現れた時、節子に何か害をなすのかと
思いましたが彼が言った意味が最期まで読んで
やっとわかりました。

キシダ治療院で過ごした日々はふたりにとって必要な
日々だったのでしょう。

レイアウト変更

2014-05-24 17:05:50 | 日常の出来事
パソコンのある部屋のレイアウト変更をしようと思い
たちました。
ケーブルの引き回しがたいへんなので変えるといっても
机の位置を少々変える程度です。
今まで壁際に机を置いて壁を目にする位置で操作して
いました。
これを回転して壁を背にするよう180度机の位置を
変えてみました。
ほんのちょっとの変更でも疲れます。
やれやれやっと終わったとパソコンのスイッチを入れ
操作してみました。
パソコンは正常に起動しました。
でもなんだか居心地がよくない。

もう一度位置を変えてみました。
机を最初の位置から90度回転した位置にしてみました。
この位置の方が居心地がいいみたいです。
しばらくはこの場所に落ち着くことにします。
久しぶりの変更です。
ずいぶん長いこと同じ場所だったようです。

P.S
部屋は2階で窓は透明ガラスです。
目を上げると外がよく見えます。
こっちから見えるということは外のビルの窓からも
こっちが見えるのかと今まで気にならなかったことが気に
なります。
見えるといっても部屋の中までは見えませんから
そのうち気にならなくなるでしょう。
時々ビルの3階の窓際に人が立ち下を見たりこちらを
見たりしています。
かなり離れていますから私を見ているわけではない
でしょうけど目が会ったらどうしよう。
といっても顔さえはっきりしないのですから目が会った
かどうかさえわかりませんけど。

目をずらすと近所の2階建ての家の2階の窓から
足が出ているではありませんか。
窓の下は玄関部分の屋根です。
小さな子です。
何か屋根に落としたのかもしれません。
もう一人の子も現れてしきりと屋根を見ています。
危なかしそうで、おいおい君たちは猫じゃないんだから
それ以上危険なことしないでと心の中で話しかけていました。
幸いすぐに窓から離れてくれました。

ひかりの魔女

2014-05-23 20:56:29 | 

山本甲士著"ひかりの魔女"を読みました。
語り手は真崎光一、浪人生です。
光一の祖母がひかりです。
長年長男と暮らしてきましたが、長男が亡くなったので
光一の父である次男の要次郎の家に来ることになりました。
もともとこの家は祖母の家で祖母は前に住んでいた所へ
戻ってきたのでした。
父はリストラされそうで、母はパート先が景気が悪く
仕事がなくなる心配があり、妹はよくない友達と付き
合っています。
85歳の祖母は元気です。

前に住んでいた時に書道教室をやっていました。
いまだに年賀状をやり取りする人たちに挨拶にいきたいと
光一を連れて出かけます。
ホームセンターの店長をしている人、農家で野菜を作って
いる人、鮮魚の仲卸業をしている人、空手の白壁会館の館長、
製菓会社の監査役をやっている人の元を訪ねました。
どの人も先生といって会えたことを心から喜んでくれます。
誰もが自分が一番先生に好かれているとおもっています。

ばあちゃんは人をうまくほめていい方向へ伸ばしてやります。
嘘のまじった話で人を動かします。

ばあちゃんは炭でお釜を使ってご飯を炊きます。
漬物もつけます。
おにぎりやイワシのぬかみ炊きは昔の弟子たちが食べたいと
待ち望んでいる食べ物です。

ばあちゃんのそれとはわからない言葉や行動でばらばらで
不安だらけだった真崎家は変わっていきます。

真実ではなくてこさえた話で人をリードしていくことも
あっていいことだと思えてきます。
この手法を悪い方に使ったら詐欺師ですね。
ばあちゃんのように人が元気になったりいい方向へ
進むように仕向けたりすることは大変むずかしい
ことだと思います。
ばあちゃんすてきな人です。

瀬戸内・鞆の浦殺人航跡

2014-05-21 21:00:00 | 

梓林太郎著"瀬戸内・鞆の浦殺人航跡"を読みました。
山岳ミステリーのはずですが、事件の発端が山だったと
いうだけでその後は山を離れています。

八方尾根で去年行方不明となった女性の遺体が見つかります。
警察に新聞を見て手紙が届きます。
その女性は遺体の女性が行方不明となった同じ時に同じ
場所で斜面を滑りました。
側にロープを使っている男性がいて彼女を引っ張りあげて
くれ立ち去っていきました。
見つかった女性は同行者がいたと思われるのに誰だか
わかりません。
事故ではなく殺人でその男性が関係していると思われます。

亡くなった女性は枝川上紀子といいます。
借金の取立てをする会社を共同で立ち上げていました。
数年後仕事から手を引いています。
彼女は複雑な生い立ちです。
実母から離されて育ちましたが大人になってからは
実母とも行き来がありました。

手紙をくれた女性の高萩由伊は広島の鞆が浦で
老舗の旅館の家の娘です。
彼女の友人二人が由伊を助けてくれた男性を探す
ため白馬へ行きました。
ホテルを尋ね廻り手がかりを得ます。
その一人が由伊の家を訪れる途中で拉致されます。

事件は白馬で起りますが広島まで関係してきます。
安曇野の刑事の道原伝吉が事件を追ってきます。

犯人は自分の生い立ちを詳しく知ってしまったばかりに
犯行に走ってしまいました。
知らなければ怒りも持ちようがなかったでしょうに。

鞆の浦はとても美しいところのようです。
一度行ってみたくなりました。
しかし地図でみると遠そうです。

翔ぶ少女

2014-05-20 21:00:00 | 

原田マハ著"翔ぶ少女"を読みました。
阪神・淡路大震災の被害にあった人たちを描いたものです。
逸騎(いっき)、丹華(にか)、燦空(さんく)の兄弟の両親は
パン屋さんをしていました。
地震の朝に1階にいた両親はつぶれた家にはさまれました。
火がせまってきてまだ生きていた母を残しました。
側を通りかかった男の人が3人を連れて逃げてくれました。
丹華はその時に足に怪我をして直っても足は元にもどらず
ゆっくりとしか歩けません。

男の人は心療内科の医師でみんなにゼロ先生と呼ばれています。
3人はゼロ先生に引き取られ仮設住宅で暮らすことになります。
先生は被害に会った人たちのために朝から晩まで働いています。
丹華は学校で両親を亡くし足が不自由になったとして
まわりの子たちからかわいそうにという目でみられて
だんだん孤立していきます。

丹華が小学校低学年から高校3年になって医師をめざし
勉強をしているまでの間が描かれます。
先生も兄弟たちと同じように奥さんを助け出せずに
家を離れました。
心臓外科の息子から母を見捨てたと憎まれています。

題名の翔ぶというのは現実ばなれしています。
悲惨な話を緩和するためのものなんでしょうか。
本当に望めばそんなこともあるかもしれませんね。

地震の後の残った人々の辛さが胸をうちます。

二歩前を歩く

2014-05-19 21:00:00 | 

石持浅海著"二歩前を歩く"を読みました。
ちょっとオカルト的な話です。
連作短編集です。
登場人物はある研究所で働く人たちです。
小泉という人が毎回登場してそれぞれの人の不思議な
体験の聞き手になります。

"一歩ずつ進む"
家の扉を開けるとスリッパがそろっていて毎日少しずつ
奥へ進んでいます。

"二歩前を歩く"
歩いていると前から来る人たちが避けて通ります。

"四方八方"
奥さんを病気で亡くしその髪の毛を細かくして壁紙の
うらにまぶして貼ってあると話ます。

"五ヶ月前から"
朝シャワーを浴びて出勤します。
帰ると浴室の照明が点いていることがあります。
観察してみると火曜と木曜に点灯しています。
火曜と木曜に思い当たる人物が何かを伝えようと
しているのか?

"ナナカマド"
ガソリンが3割に減ると自然に7割に増えます。
誰かが増えたガソリンを使って来るように促している
のではないかと小泉は推理します。

"九尾の狐"
同僚の女性は髪をうしろで一つにまとめて縛っています。
時々その髪が二つに分かれます。

現実にはありえないような話です。
どうして起っているのかの原因はほとんどの話が
残酷なことです。
読んでいて怖いということはありません。

55歳からのハローライフ

2014-05-17 21:00:00 | 

上村龍著"55歳からのハローライフ"を読みました。
55歳前後の人たちを描いた短編集です。

"結婚相談所"
中米志津子の夫は定年退職をしました。
再就職に失敗しテレビを一日中見て文句を言い続けています。
志津子は離婚してアパートへ移り働き始めました。
いろんな職を経てスーパーで食品の試飲、試食をさせる
マネキンの仕事に落ち着きました。
結婚相談所へ登録し何人もの男性を紹介されました。
元夫からは何度もメールがきます。

"空を飛ぶ夢をもう一度"
因幡茂雄は56歳の時に出版社をリストラされました。
ホームレスに対して自分もそうなってしまうのでは
ないかと異様な反応をするようになります。
茂雄は工事現場で交通の誘導をする仕事をしていた
時にじっと見ている男に気づきます。
中学の時少しの間いっしょだった福田でした。
しばらくして福田が泊まっているという旅館から福田が
病気で、茂雄に連絡して欲しい頼まれたと連絡があります。
身動きのできない福田を母親の元へ送っていくことに
なります。
この辺は昔見た映画の真夜中のカーボーイを思わせました。

"キャンピングカー"
富裕太郎は早期退職に応じて退職しました。
退職金でキャンピングカーを買い妻と旅行に行くことを
夢見ていました。
しかし妻から自由な時間がなくなると拒否されます。
会社勤めをしていた時の気分で知合いの会社に頼めば
雇ってもらえると思っていましたがことごとく断られます。

"ペットロス"
高巻淑子の夫は六年前に定年退職しました。
夫は部屋に閉じこもりコンピュータで何かやっています。
淑子は夫の反対を押し切り犬を飼いました。
犬の散歩で仲間がたくさんできました。
しかし犬が病気になります。
夫とは心が通じないものだと決め付けていましたが犬の
看病を通して夫の別の一面を知るようになりました。

"トラベルヘルパー"
下総源一は三重県志摩町和具で海女をしている祖母の
元で暮らしたことがあります。
祖母が仕事をしている間は海女小屋で待ちました。
源一は海女たちのエネルギーが移ったようにおしゃべりで
明るくなりました。
大人になってトラックの運転手になりました。
結婚は数ヶ月で終わりました。
60歳を過ぎて知り合った女性と数回デートを
繰り返しました。
女性はこれで終わりにしますと去っていきました。

せつない話だなぁ。
明るい夢がある話とは違います。
今まで一生懸命生きてきた人たちなのになんか暗いです。
もう少し心安らぐ日々であっていいような気がします。

名もなき日々を 髪結い伊三次捕物余話

2014-05-16 21:00:00 | 

宇江佐真理著"名もなき日々を 髪結い伊三次捕物余話"を
読みました。
シリーズ物です。
捕物余話となっていますがだんだんと捕物の話では
なくなってきました。
伊三次が主人公とも言えなくなってきました。

"俯かず"
伊三次の娘のお吉は12歳、将来は髪結いになりたいと
考えます。
伊三次はその望みを許し、お吉は叔父の髪結い床で修行
することになります。
伊三次の息子の伊与太の絵の師匠が亡くなりました。
伊与太は行き先が決まっていません。
歌川国直という伊与太とそう年が違わない絵師が仕事を
手伝わないかと言ってくれます。

"あの子、捜して"
人別改めで子供の時から行方がわからなくなっている子が
いることがわかりました。
父親は両親の反対を押し切って結婚し息子をもうけましたが
浮気から離婚しました。
子供は家の跡継ぎにするといって父の両親が連れていき
ました。
しかしその子は曾祖母に預けられた後行方がわからなく
なりました。
伊三次が家族を問いただし子供の行方を追います。

"手妻師"
花川戸鶴之助は評判の手妻師です。
彼らの属している小屋の座元はあこぎな人物です。
給金は低くおさえられています。
座元が殺されました。

"名もなき日々を"
不破友之進の娘の茜は蝦夷松前藩の上屋敷に奉公しています。
刑部と呼ばれています。
嫡男松平良昌に気に入られしょっちゅう呼ばれます。
老女藤崎は茜をうとんじています。
藤崎が茜の世話をするために御半下の女をつけました。
茜の様子をさぐるためにつけたのです。
その現場を見た茜は我を忘れて殴りつけてしまいます。

"三省院御手留"
三省院鶴子は八代藩主資昌の側室でした。
資昌亡き後は剃髪し下屋敷で暮らしています。
乱暴を働いた茜は三省院へあずけられることになりました。
上屋敷と違って下屋敷はおだやかな雰囲気のところです。

"以津真天"
不破龍之進の妻、きいが出産します。

伊三次やお文や不破友之進の世代からその息子や娘の
代の出来事が多くを占めるようになってきました。
たくさんの人たちの出来事が平行して描かれているので
ばらばらした感じがします。

ジンリキ シャングリラ

2014-05-14 21:00:00 | 

山本幸久著"ジンリキ シャングリラ"を読みました。
高校生たちの話です。
日本海側の町の猫跨が舞台です。
実在するのかと調べてみましたが架空の町のようです。
石川県あたりかなと感じます。
浅間雄大は野球部に入部しましたが理不尽な上級生に
手を出して退部に追い込まれました。
可愛い先輩の珠井さんに誘われて人力車部へ入部する
ことになります。
顧問の先生はヨーダと呼ばれています。
三年生は部長の倉掛と女性の阿武です。
二人とも車夫です。
二年生の大月と神谷は車夫で、珠井は整備や人力車の
製作です。
一年の浅間と峰は車夫で、伊吹は製作、羽山はマネージャ
です。

雄大は幼い時に母を亡くし父と暮らしています。
母方の祖父祖母とは疎遠になっています。
雄大は珠井が好きです。
ロッカに入ってしまう変わった部長、車夫としてかっこいい
女性の阿武です。
峰は練習をどうやってさぼろうかといっしょうけんめいです。
伊吹は気の弱そうな子で、羽山はきつい話かたをします。

イベントや祭りで走ったり、結婚式の新郎新婦を乗せたりと
活躍の場は多いです。

同じ学年同士で友好を深めるためにどこかへ行ったらと
珠井に勧められます。
どの学年もそうしてきています。
初めは嫌だといっていた雄大ですが夜行バスで東京へ
行って1日それぞれが行きたいところをいっしょに
まわることになりました。
この1日はとても楽しい日となりました。

人力車部の人たちがお互いに知合い人力車を作ったり
人を乗せて走ったりと青春を過ごします。
恋の話もあります。
それぞれの家庭のことや将来の夢も出てきます。

雄大は将来の夢を父に語ったことで殴られることに
なります。
父は地方には将来がない、東京へ行けといいます。
若者みんなが外に出てしまったらますます地方は
さびれてゆくのになぁと思います。
都市部に住んでいる者の勝ってな感想ですね。

深刻な出来事は起きなくて楽に読み進めます。