雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

ソウル・コレクター

2017-01-27 13:01:26 | 

ジェフリー・ディーヴァー著"ソウル・コレクター"を
読みました。
現実に起こったとしても不思議ではない事件でぞっと
します。
首から上しか動させないリンカーン・ライムを中心とした
捜査チームが事件にあたります。
ライムのいとこが殺人の犯人として逮捕されました。
彼は被害者に会ったこともないし無論殺人もしていません。
しかし彼が犯人だという証拠はあり過ぎるほどあります。
似たような事件がいくつか起こっています。
通報があり、それに沿って行きあたった犯人とされる人物
たちの周りには証拠が沢山残されています。
被害者の情報も犯人とされた人物たちの情報もすべて
握っているのが犯人です。

コンピューターのデータの改ざんで医師としての信頼も
財産も家族も失った人物に出会います。
人生をぼろぼろにされても誰も助けてくれません。
ライムたちはSSDという個人情報を収集して管理し、
必要とする会社に売っている会社に行き当たります。
個人のすべての情報がSSDには集まっています。
履歴から何を買い物したのかどこに行ったかまで事細かに
収拾されています。
SSDのデータをダウンロードでき、書き換えもできる
人物が犯人だと追及します。
データを操作できるパスワードをもっているのは上位の
数人の人達だけです。

ライムたちはずっと522号と名付けた犯人に先行され
後手にまわっています。
関わっていた警部が残酷なリンチの末殺されました。
警察官の一人はデータを操作され薬物使用で停職となり、
もう一人は妻と子を移民だと見なされ隔離されてしまいます。
ずっとアメリカ市民であるのに関わらずデータ操作されて
しまいました。
ライムのパートナーであるアメリアは車のローンを払って
いないと車を処分されてしまいます。
ライムの住居も電気を止められてしまいます。

停電でライムと連絡が取れないアメリアは偶然にも522号の
住宅に行きついてしまいます。
接待絶命の状態に追い込まれたアメリアはどうやって
窮地を抜け出すのでしょうか。

522号、きっとレストランでサービスをする人のように
そこにいてもいると気づかれない人物なんだろうなと
感じてました。
清掃人なのかなと思っていましたが違っていましたね。

おもしろかったですが、怖い話です。
現代の日本でもこれほど集中管理されていなくてもいろんな
個人データがそれぞれのデータベースに蓄えられています。
個人に関する全データを一元管理しようとする企業が現れる
のはちょっと先の未来のことと思います。
過去のすべてがどこかに保管されていて重要な場面で使われる
のは怖いことです。
自分自身が覚えていない過去を引き合いに出されてお前は
こういう人間なのだといわれるのはずいぶんと辛いものが
あります。
人間は大部分の過去を忘れて、現在をそして未来を生きていける
ものなのだと感じています。
こんな未来に生きたくはありません。
データを発信するものを知らずに身につけて生活のすべてを
誰かに把握されるというのも、ぞっとします。

摩天楼の怪人

2017-01-24 20:57:45 | 

島田荘司著"摩天楼の怪人"を読みました。
オペラ座の怪人はミュージカルを見たし、映画も見ました。
でも内容はほとんど覚えていません。
売れていない女優を怪人が助けてやる話でしたよね。

題名が似ているように内容も似ています。
ニューヨークの36階建ての高層マンションでの出来事です。
大女優のジョディ・サリナスが病気で今にも亡くなりそうです。
親しい人々が集まった中でサリナスが過去の出来事を打ちあけます。
ファントムが現れてセントラルパークの池に連れていかれ
ボートに乗ったこと、興行主のフレデリック・ジーグフリートを
嵐の晩に撃ち殺したことを話します。
その晩は停電になりエレベータが止まりました。
34階の部屋からジークフリートのいた1階に行って帰って
くるには1,2時間かかってしまいますがその間彼女には
アリバイがあります。
どうして行けたのかわからないと彼女は言います。
つねにファントムが彼女を助けてくれたと彼女は言います。

コロンビア大学の助教授のミタライキヨシがどうやったのか
彼女の挑戦を受けます。
彼女はそれ以上言わずに亡くなります。

事件は50年も前の話で当時の刑事が語る部分と、現在の
出来事を語る部分が混ざった形になっています。
女優や踊り子がピストルで撃ってあたかも自殺のように
みえる事件が数年おいて起きています。
ビルの最上階の時計の針を使って首を斬り落とす残酷な
殺しが起きています。
ビルのすべての窓ガラスが一瞬に割れ落ちる出来事が
ありました。
この出来事でビルを建てた建築家のオーソン・タルマッジが
ガラスと共に落ちて亡くなっています。
ジークフリードもこんなことが続く中で殺されました。
犯人は見つからずすべての出来事の説明がつかないままに
なりました。


現代においても隣に住むサリナスの主治医が殺されたり
ファントムの姿を見たりする出来事が起きています。
ミタライは劇作家のジェイミーと調査にあたります。

ファントムは見つかるのでしょうか。
秘密はこのビルにあります。

現代にある人々に見えなくて行はない場所があるのですね。
さてどこなんでしょうね。

電気屋さんの応対

2017-01-20 12:39:07 | 最近の話題
最近の電気屋さんの応対の悪さときたらもううんざりします。
ある大型店でのなれなれしく砕けた喋り方に怒り心頭に来て、
商品を確認しに行ったすきに逃げてしまおうかと思いました。
しかし防犯カメラがいっぱいある現在では業務妨害したと
ブラックリスト入りさせられたら嫌だと、そこらをひと歩き
して心を静めました。
そして以後決してこの店では買うまいと心に決めました。
その通りに別の大型店で買い物をしてきました。
しかしこの店も同様です。
なんて口の利き方をするのでしょう。
私を馬鹿にしているの、買って欲しくないわけ。
もう怒る気も失せました。

小さな品ならネットで買っています。
従業員とやり取りしなくてすんで楽です。
ここの所、冷蔵庫、洗濯機と大型の製品が次々と壊れて
買い替えを余儀なくされています。
大型の製品でもネットで買えますが、運搬や設置、古い方の
引き取り等、きちんとやってもらえるか心配で店まで足を運び
ましたが不愉快になるだけでした。

全従業員がこんな調子というわけではないのでしょうが
不愉快な人に当たる確率が多すぎです。
もうしばらくは大型家電の買い替えはないでしょうから
こんな思いはしなくてすみそうです。

今回のことで私自身がいかなる人ともきちんとした
話し方をすることを心がけようと思いました。
(私自身が多少なりともくだけた話し方をしているのかも
しれません。人を不愉快にさせるものではないとは思って
います。)
こちら側がきちんとしていてなお、不愉快な話し方をするところ
とは縁を切ればいいのですから。

あの電気店にももう行くのを止めましょう。
すっかり疲れてしまいました。

容疑者

2017-01-12 21:00:00 | 

ロバート・クレイス著"容疑者"を読みました。
ロス警察のスコットはパトロールカーでパトロール中に
銃撃事件に遭遇しました。
パートナーのステファニーは銃弾に当たって亡くなりました。
スコットも数発の銃弾を受けましたが命は助かりました。
犬のマギーは軍用犬でアフガニスタンで仕事中にパートナーの
ピートを失いました。

マギーは帰国し一般家庭を経て警察へやってきました。
スコットは警察犬隊で働くことを希望しました。
パートナーを失ったスコットとマギーは新しくパートナーと
なりました。

ステファニーを失った時の事件は犯人が捕まっていません。
スコットはこの事件の犯人を追いかけます。

傷を持った人と犬がだんだんと信頼と愛情で結ばれていく
様子が描かれます。
ただこの作者は犬を飼ったことがないのではという気に
させられます。
しょっちゅう犬に人間の食べ物を与えています。
人間の食べ物は犬の体を壊すということは、犬の本を読めば
必ず書いてあると思います。
なぜそういう基本を無視しているのかなと不思議な気持ちが
します。
まあ犬と共に食事をしたいというのは人の願望にありますからね。

だんだんとストットとマギーが心を通わせていく過程は
暖かな気分になります。

全体を通して遭遇した銃撃事件を追う話です。
新しくパートナーとなったストットとマギーがその後に起きた
事件を解決していく話かと思っていましたが違っていました。

カエル男

2017-01-11 21:00:00 | 

中山七里著"カエル男"を読みました。
女性が異常な状態で殺されているのが見つかりました。
続いて老人が無残な状態で発見されました。
事件のたびカエルが登場する文章が残され、犯人は
カエル男と呼ばれるようになりました。
刑法三十九条で心神耗弱者の犯行は罰せられません。
警察は以前にも同じような事件を起こし心神耗弱者とされ
医療施設に入ったのち社会復帰している人物に目を向けて
います。
刑事の古手川はその一人の当真勝男の保護司をしている
ピアニストの有働さおりに会いにいきます。
彼女の小学生の息子がばらばら死体となって発見されます。

マスコミは犠牲者の関連性を見つけ出し世間はパニック
状態に陥ります。

犯人は捕まり犯行を自供します。
以前に犯行を起こし心神耗弱者された男です。
しかしこれで終了しません。
事件は二転します。
それぞれ逮捕された人物は自分が犯人だと主張します。
しかしまだまだその裏がありました。
物語は三転します。

殺人の部分は残酷です。
しかしミステリーとしてはおもしろかったです。
古手川は逮捕のたびぼこぼこにされ殺される寸前までいって
最後は全身包帯状態です。

こんな風に人の心を操れるものなのかなぁ。
殺された小学生が哀れです。

魍魎の匣

2017-01-10 21:00:00 | 

京極夏彦著"魍魎の匣"を読みました。
京極堂シリーズの一冊です。
恐ろしく分厚い本で読み通せるだろうかと思いました。
大丈夫、読めます。

"姑獲鳥の夏"に登場した人物が今回も活躍します。
京極堂こと中禅寺明彦、刑事の木場、探偵の榎木津、
小説家の関口、今回初登場のカストリ雑誌「實録犯罪」の
編集者の鳥口、刑事の青木などが登場します。

最初に中学生の楠本頼子と柚木加菜子との交流の場面が
描かれています。
二人は内緒で旅行に出かける途中で、加菜子が列車事故に
会いました。
たまたまそこにいた木場が事件に関わり合います。
四角の建物の美馬坂近代医学研究所に運ばれました。
加菜子は人が見ていたのにベットから消えてしまいました。
同じころ研究所の職員の須崎が殺されています。

相模湖から切り取られた手が発見されます。
それを調査に行った関口と鳥口はたまたま四角の建物に
たどり着きます。

他にも切り取られた手、足が箱に入れられいくつも
見つかります。
4人の若い女性のものだとみられます。

榎木津は柴田財閥の弁護士の増岡から消えた加菜子の
行方を捜して欲しいと依頼を受けます。
加菜子は社長の息子の子に当たるといいます。
加菜子の母の柚木陽子は元女優の美波絹子です。
木場は絹子の大ファンでそのためこの事件にのめり込んで
います。

巷では穢れ封じの御筥様が信者を集めています。
久保竣公という幻想作家が現れます。
箱にみっしりと入ると落ち着くというようなおかしな
小説を発表しています。

関口と鳥口、榎木津、木場とそれぞれ別々の所から
事件に関わります。
彼らが京極堂の家に集まってきてそれぞれが知った
ことを話すことによって情報が集積されていきます。

いろんな事件が重なり合っています。
京極堂はそれぞれに決着をつけていきます。

長い年月が人々の心を形作っていきます。
頼子の母、陽子、久保と登場人物の多くがそれぞれ苦しく
辛い人生を歩んできています。
年の若い頼子、加菜子は現在は幸せでなくてもこれからの
人生を切り開いていくことは可能だったのに残念です。

魍魎についての薀蓄はよくこれだけのこと知っているなと
思います。
おもしろいです。内容は頭に入りませんが頭を通過した
だけでもいいことです。

前半はちょっと散漫ですが、京極堂に集合するあたりから
スピードが増します。
後半になるほど内容が濃くなります。
人体に関する考え方、映画や他の文学でも見られますから
あり得る考え方ではありますが、嫌ですね。
将来には実現化される技術なのかもしれませんね。

このシリーズを読み続けると精神状態がおかしくなって
きそうです。
続けて読まないで間を置いて少しづつ読んでいくことに
します。

字を重ねて使う言葉の後の文字を普通"々"で現します。
しかし京極さんは同じ文字を並べて書いてます。
あまり目につくので書き留めながら読みました。
"山山"、"中中"、"別別"、"色色"、"早早"、"徐徐"、"我我"、
"元元"、"高高"、"追追"、"人人"、"先先"、"次次"、"少少"、
"段段"、"然然"、"戦戦恐恐"
他の本を読んでいて"々"が出てくるかなんて気がついたこと
ありません。
こんなにあるものなんですね。

帰蝶

2017-01-09 11:14:31 | 

諸田玲子著"帰蝶"を読みました。
帰蝶とは織田信長の正室の名です。
美濃の国の斎藤道三の娘の濃姫です。
濃姫って信長と結婚したということしか知りません。
その後どのような生活を送ったのかということは
多くの小説の中でも描かれていないような気がします。
この小説は史実ではなく、帰蝶は創造の人物ですが
こんな生涯を送ったのかもしれないと思いをはせながら
読むのは楽しいことでした。

帰蝶には子供が出来ませんでした。
信長はたくさんの女に子供を産ませました。
帰蝶はその女たちと子供を引き取り子供は自分の子と
して育てました。
信長の機嫌は刻々と変わり良かったかと思うと次の
瞬間には側にいた者に不機嫌になり殺したりも
する人物です。

京から天皇の使いで来た大きな勢力を持つ商人の立入宗継と
知り合います。
立入とはお互いに恋心を抱いていはいますが、生涯を通じて
心の通じ合う友人としての付き合いが続きます。
信長といる時は心を張り詰め言動に最新の注意を払わなければ
なりません。
立入といる時はのびやかに安らかに話をすることができます。

帰蝶は疱瘡を患い顔に薄くあばたが残ったのを気にして
その後は身近な人以外とは会わなくなりました。
側室のお鍋を正室の代わりとして人々の前に出させました。

商人の立入はうつぎという女を重要人物の元に送って間諜活動を
しています。
帰蝶はそれを知っていながら見守っています。
うつぎが殺された後は自身が情報を知らせています。

信長の性格から明智を追い詰め本能寺の変を起こさせてしまいます。
信長の亡き後は尼となり立入の庇護の元で京で暮らします。

江戸時代になると大奥という女性だけの閉鎖された場所で
暮らすようになりますが、その前の戦国時代の女性たちは
違った生活をしてたのだというのがわわります。
物のようにあちらへこちらへと嫁がされ、また戻されと
波乱の人生を送った女性たちも多いです。

帰蝶は晩年は平穏に暮らしています。
立入に利用された部分がないことはありませんが心穏やかに
向かい合える人に出会えていい人生でした。
信長と帰蝶との関係はいったい何と思わないではありません。

超高速!参勤交代リターンズ

2017-01-08 22:05:06 | 

土橋章宏著"超高速!参勤交代リターンズ"を読みました。
ご存じ映画になったあの話の小説版です。
読む前に映画を見ています。
映画もおもしろかったし、小説もおもしろかったです。
多少内容が違う部分がありますが大部分は一緒です。

失脚したと思われていた松平信祝は金をばらまき
息を吹き返してしまいます。
貧乏藩の磐城湯長藩の面々はお咲を身請けするため
途中で賃稼ぎをしたりして留まっています。
信祝は湯長藩を潰すため出来そうもない無茶なことを
押し付けてきます。
牛久に留まっていた彼らに二日で藩まで戻るよう命令が
下ります。
さらに江戸城天守閣再建をするよう沙汰をしようとします。
藩主内装政醇と家臣らは昼夜眠らず食べずに走り抜けます。

間に合って藩に戻ってみれば信祝の策略で藩はめちゃくちゃに
なっています。
城には入れず田畑は荒れ放題になっています。
その上に信祝の配下の柳生の者たちは襲ってきます。
勝てるとは思われない人々が大きく理不尽な勢力に立ち
向かっていく様は胸がすきます。

政醇と共に参勤交代をする家臣たちは皆、強くそれぞれ
武芸に秀でています。
皆、魅力的な人物たちです。
特に困った時に知恵を出せと迫られ、なんかかんか考え
だす家老の相馬兼続がいいですね。
弱い者は踏みつぶせばいいと言い放つ信祝の憎々しい
姿が目に浮かびます。
現代にもこういうイカレタ人はたくさんいることでしょう。
おかしいと思う思考を変えさせることって出来る
のでしょうか。
出来そうもないと感じるのが悲しいです。

本も映画もとても楽しいものでした。