雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

臨床犯罪学者・火村英生の推理 46番目の推理

2018-08-31 14:06:47 | 

有栖川有栖著"臨床犯罪学者・火村英生の推理
46番目の推理"を読みました。
火村と有栖川のコンビが最初に登場するのがこの
本だそうです。
20年ほど前に書かれたものだそうです。
有栖川さんの本は結構読んでますが
この本は記憶にありませんでした。

有栖はクリスマスに同業者の真壁聖一の軽井沢の
星火荘に招かれました。
大学の社会学の助教授の火村英生も一緒です。
真壁が書くのは密室物です。
今は46番目のものに取り掛かっています。

他に招かれたのは同業者の石町、風子、別々の
会社の編集者の彩子、船沢、杉井です。
真壁の妹の佐智子、その娘の真帆、それに
十年前に真壁が火事に会った時に助けてくれ、
殉職した消防士の息子の光司がいっしょに
住んでいます。

雪が降り積もる冬の別荘地には人がやってきません。
そんな星火荘周辺ですが怪しい男が家の周りで
見かけられました。
真壁は早めに部屋へ引き上げました。
やがて残った客たちも2階の割り当てられた部屋で
休むことにしました。
石町の屋根裏部屋へ行く階段には石灰が撒かれ、
ある部屋には窓にハートのマークがスプレーされたり
靴にワインが入れられたりとしたわけのわからない
いたずらがされていました。

夜中に起きた有栖は庭に足跡を見て、1階へ下り、
書斎で殴られ昏倒しました。
石町に起こされた有栖は書斎が内側から鍵がされて
いるのを知りました。
壊して入った室内でうろついていた男が暖炉に頭を
突っ込んで死んでいるのを見つけました。
行方がわからなかった真壁は地下室で見つかりました。
やはり鍵が掛って部屋で暖炉に頭を突っ込んでいました。

こうして火村と有栖は事件に巻き込まれ解決する
手助けをすることになりました。
有栖と火村は犯人に行きつきました。
二人が思っている犯人は一致しませんでした。
私も有栖が行きついた人物だと思いました。
でも火村の推理の方があっていました。

さらりと読めます。

ハリー・ポッターと呪いの子

2018-08-27 13:35:13 | 

J.K.ローリング ジョン・ティファニー ジャック・ソーン 著
"ハリー・ポッターと呪いの子 スペシャルリハーサル
エディションスクリプト"を読みました。
舞台用の脚本として書かれています。
"死の秘宝"から19年後のお話です。
ハリーは3人の子供を持ち、次男のアルバスを1年生と
してホグワーツへ送り出すところから始まります。
ハリーとアルバスとの親子の関係はぎくしゃくとしています。
ハリーはつい、お前が息子でなかったらと思うことが
あると口走ってしまいます。

アルバスはグリフィンドールではなくスリザリンに
組み分けられました。
ドラコの息子のスコーピオスと親友となります。

三校対抗試合で亡くなったセドリックの父のエイモス・
ディゴリーが、ハリーにセドリックを取り戻してくれと
頼まれているのをアルバスは聞いていました。
たまたま逆転時計が魔法省に保管されているのを
知って、過去に戻って歴史を操作しようと決心します。
エイモスの姪だというデルフィとアルバスとスコーピオス
は逆転時計を手に入れ試合が行われた時に戻ります。
過去に手を加え戻ってみると、現代は元の状態と
変わってしまっています。
再度過去へ戻ってまた手を加えて現代へ戻ると、
最悪の世の中になっています。

ハリー、ジニー、そしてドラコ、ロンにハーマニオニーは
二人のことを心配してやきもきしています。

おもしろかったです。
つじつまが合っていてとてもよくできた話です。
過去に行った子供たちが未来の親たちに助けを求める
なんて、そんなことできるわけがないと考えてしまい
ますが、すごい!と思う方法で伝えてきます。

スネイプも登場します。
昔は敵対していたドラコですが、息子を思う親として
新しい面をみせています。
息子との関係に悩むハリーの姿が新鮮です。

風とにわか雨と花

2018-08-25 21:00:00 | 

小路幸也著"風とにわか雨と花"を読みました。
数日前に読んだ"よっつ屋根の下"と設定が
似ています。
"よっつ屋根の下"は離婚はしていなくて息子は
父と、娘は母と暮らすことになりました。
両親はお互いの生き方を理解していません。

この本の両親は離婚しました。
娘と息子は母親と暮らしています。
父が小説家になるために一人になりたいと願った
ためです。
海辺の町へ引っ越して家を借り暮らしています。
母は専業主婦でしたが、建築設計士の仕事に戻りました。
別れて暮らし始めた最初の夏休みに二人の子供は
海辺の父の元で暮らします。
この間の出来事や心の中を4人それぞれが交代で
語る形式で書かれています。

父は子供たちの質問に誠実に応えます。
母は仕事に戻って生きがいを感じています。
子供たちはこの状態を受け入れていて、悩んでいると
いうことはありません。

父親といえども自分のやりたいことをやっても
いいと思います。
それまでの会社勤めが楽しくなかったと出てきます。
家族が食べていくためだけの仕事を一生続けて
いくのは虚しいですものね。
母の方は再度仕事を始めて満足しています。
こんな風にスムーズにいく人は少ないでしょうね。

喧嘩して別れたわけではない二人です。
でももう二度といっしょに暮らすことはないでしょう。
親は当事者ですからどんな人生になっても自分の
責任ですからいいのですが、子供は自分の意志では
なく人生が無理やり曲げられてしまいます。
かといって子供のためにがまんして一緒に暮らす
というのも違うと思います。
もっと柔軟な家族の形というものはないものなのでしょうか。

それぞれが新しい人生に向かっています。

卑弥呼の葬祭 天照暗殺

2018-08-24 21:00:00 | 

高田崇史著"卑弥呼の葬祭 天照暗殺"を読みました。
正直言ってさっぱりわかりません。
読んだはなから頭から消えていってしまいます。
それでも投げ出さないで最後まで読んだのですから
それだけの力がある本なのでしょうね。
よくここまで書けるなぁと感心します。
なるほどこれが真実かもしれない、と読者に思わせられ
たら著者の勝ちですが、そこまでは思えませんでした。

医療関係の出版社に勤める響子が叔母から従兄の漣が
九州に行ったまま行方不明だと連絡がありました。
邪馬台国のことを調べに行ったといいます。
漣のパソコンに残っていたメモを頼りに響子は
九州に行きます。

高千穂では夜神楽で舞っていた男性が面を取り換えに
戻った部屋で首を切り落とされ、その首が持ち去ら
れる事件が起きています。
宇佐神社では女性の手、首が三つの井戸に投げ込ま
れていました。
発見した女性も殺されました。

漣の調べが進むことを嫌った人たちが漣を監禁し
いずれ殺害しようとしています。

響子は同じようなルートをたどったため漣と同じ
ように殺されかけますが、目黒の漢方薬局の
薬剤師の桑原崇に助けられます。
崇は漣と連絡を取っていました。

崇の神様の話がこうであったであろうと、続きます。
神話の時代の出来事が現代まで尾を引いて事件が
起きたということです。
こういう話が好きだという人にはこたえられない
でしょうね。

よっつ屋根の下

2018-08-23 21:00:00 | 

大崎梢著"よっつ屋根の下"を読みました。
平山史彰は小学六年の時、東京の白銀から
千葉の銚子の近くに父と二人で引越しました。
父は医者で大病院勤務でしたが、医療ミスが
起きるような状況を改善するよう提言して
睨まれ、地方へ追いやられました。
母とその両親は父を非難しました。
母は付いてきてくれという願いを拒否しました。
妹の麻莉香は私立に通っていて転校を嫌がり
ついてきませんでした。

以来、10年間家族は別れて暮らしてきました。
大学生になった史彰は千葉の大学へ、麻莉香は
医者を目指し札幌の大学へ進み4人はバラバラに
なりました。
史彰は父の行動を理解しついていきました。
妹はただ転校が嫌だったため残りました。
母は幸せな家庭を壊した夫が悪いのだと
まったく理解をしませんでした。
東京での生活が大事ということしかありません。

なんかわけわかりません。
こんな風で家族だと言えるのでしょうか。
夫婦となったのが間違いだとしか思えません。
根本的な信念、理念が真っ向から違っていたら
一緒に暮らす意味がありません。
辛いだけでしょう。
子供たちは家族として一緒に暮らす年月を
奪われました。
苦労が成長の糧になるなんてことはあるかも
しれません。
でもしなくていいことです。
10年の間に母はずいぶん変わりました。
それを気長に待つのも家族だからという
ことでしょうか。
こんなの嫌だと思ってしまいます。

駐在日記

2018-08-22 21:00:00 | 

小路幸也著"駐在日記"を読みました。
時代は昭和50年です。
簑島周平は横浜で刑事をしていましたが
妻と共に雉子宮駐在所勤務となりました。
妻の花は外科医でしたが患者の家族に切り
つけられて右腕がうまく動かなくなり外科医が
できなくなりました
駐在所は大きな建物で子供たちがやってこられる
図書館も内部にあります。

康一は何年ぶりかで女性と村へ帰ってきました。
彼は強盗容疑で手配されていると連絡が入って
います。

お寺に泥棒が入って70年に1度開帳される
仏像が盗まれました。

雨が降らず水が少ないのに水が濁っている
川があります。
黒滝へ行く道で子供が蛇に噛まれました。
蛇の数がいつもと違って多く見られます。
蛇は毒蛇ではなく大事にはなりませんでした。

釣りに来ていた人が倒れていました。
病死のようです。
しかし身元が判る物を持っていません。
乗ってきたと思われる車も見つかりません。

のどかな自然の中で村の人たちと交流する
生活が始まりました。

時代設定が昔ですが、こんなことしていて
だいじょうぶかと思ってしまいます。
中には当事者間でうやむやにしてもいい
こともあるでしょう。
でも中にはのちのちに禍根を残すのではない
かと思う話もあります。
あまりにもなあなあが過ぎるように思います。

深川二幸堂菓子こよみ

2018-08-21 21:00:00 | 

知野みさき著"深川二幸堂菓子こよみ"を
読みました。
光太郎十二歳、孝二郎十歳の時に火事に
あいました。
光太郎が家に何かを取りに戻り戻ってこなく、
孝次郎が見に行って梁の下敷きになりました。
父が戻ってきて孝次郎を諦め、光太郎を抱えて
逃げました。
孝次郎は後から来た人に助けられました。

孝次郎は十二歳から十四年間大店の菓子屋の
草笛屋に奉公して重用されるようになりました。
兄は根付師の父の跡を継いでいます。
父は亡くなりました。
草笛屋の主が亡くなり後を継いだ新しい主は
孝次郎をじゃけんにします。

兄が迎えに来て店から連れ出してくれます。
そして深川で菓子屋の二幸堂を二人で始めることに
なります。
兄が接客を担当し、孝次郎が菓子作りをします。
最初は味噌饅頭と金鍔の二種類だけの菓子です。

暁音という三味線を抱えた女性が菓子を買いに
くるようになりました。
孝次郎には彼女に見覚えがあります。
吉原で相手をしてくれた人ではないかと思います。

客も増え、新しい菓子も作るようになりお七という
手伝いをやといました。
菓子が大好きな人で孝次郎らにずけずけと物を
言います。

二幸堂とは二人の名前にそれぞれ"こう"が入って
いることからきています。
父と孝次郎とは火事のことは口にしませんでした。
孝次郎は仕方がないことだったと思っていますが
父はずっと気にしていました。
死ぬ前に兄の光太郎に思いを打ち明けました。
それを聞いて光太郎は自分が家に戻ったことで
起きたことと気にやむことになりました。

性格の違う兄弟の雰囲気がいいです。
お七さんもいい感じです。
お菓子の話も興味深いです。
ただ暁音と孝次郎との恋の話はなくてもいいように
思います。

真夜中のパン屋さん 午前5時の 朝告鳥

2018-08-20 21:00:00 | 

大沼紀子著"真夜中のパン屋さん 午前5時の
朝告鳥"を読みました。
0時から始まって5時の6冊目がシリーズ最後です。
長い時をかけて読んできたので前の話を忘れて
います。
今までは巻と巻の間は1年ぐらいでした。
今回のは時の流れが速いです。
5年ぐらい経っています。
希実は大学生を経て社会人になろうとしています。
高三の時に母が亡くなりました。
受験勉強をがんばって志望の国立大学に受かりました。
しかし1年生になってすぐ理由もわからず大学へ
行けなくなりました。
1年ほど閉じこもる生活が続きました。
見守る暮林や弘樹のおかげもあって次の年から
通えるようになりました。

弘樹はブランジェリークレバヤシを出て別のパン屋で
働いています。
親の借金のためお金を出してくれる店へ移ったのです。
すぐにパリの新規出店の店を任されフランスで
暮らしています。
ブランジェリークレバヤシは暮林がパンを焼いています。

弘樹と希実は付き合うことになりました。
しかしすぐに離ればなれで恋人らしい雰囲気はありません。

班目は綾乃と結婚し娘の百葉子がいます。
綾乃は佳乃と双子です。
佳乃は多賀田とシンガポールで暮らしています。
佳乃は妊娠中で精神的に落ち込んでいます。
多賀田も子供を持つことの不安があります。

ソフィアはニューハーフです。
家族と絶縁していました。
母親の病気で会うことになり関係が復活しました。
ソフィアは付き合っていた安田と別れました。

小学生だったこだまも登場します。
父親である美作がパン作りを手伝っています。
なんで彼がパンを作るんだろう。
こだまの兄の孝太郎はパリの弘樹の住まいに押しかけて
いっしょに住んでいます。

すごいスピードです。
話を大急ぎでまとめてとにかく終了させてしまった
感じがします。
いずれ暮林と弘樹は別れることになるのかも
しれませんがこんなふうな別れとは思いませんでした。
弘樹と希実が付き合う?なんか不自然な気がします。

奈良町ひとり陰陽師

2018-08-19 21:00:00 | 

仲町六絵著"奈良町ひとり陰陽師"を読みました。
くすば菓子店の二十歳の息子のシンブは奈良の
最後の陰陽師です。
猫又の墨香は言葉をしゃべります。
幼馴染みのゆかりもあやかしが見えます。

亡くなった乾物屋のおばあちゃんは東大寺の
お水取りの行事を最後まで見たいと言っています。

猿沢池のほとりにある采女神社の家来の亀が
相談に来ます。
采女神社のかみさまの釆女命には弟子がいます。
もともとは人間の男だった弟子は修行に出て、
桜が咲く頃に戻ってくる予定でした。
佐保姫に横恋慕して佐保川の畔で踊っていると
いいます。
采女命は心穏やかではありません。

友人の道安は寺の息子で、寺で塾を開いています。
走り大黒が現れて子供たちに静電気のような
ピリッとする刺激を与えるのを見ました。
居眠りなどをして勉強に集中していない子に
刺激を与えています。
シノブたちは走り大黒を捕まえ、人の役に立つ
ある仕事を依頼します。

昔、陰陽師を輩出していた本野沢家は今は普通の
老夫婦が暮らしています。
本野沢家の牡丹が長谷寺に寄贈されました。
長谷寺の牡丹が本野沢家へ里帰りし、芝居を
演じます。
シノブたちは老夫婦に見せてやりたいと思います。

奈良で鹿の写真を撮ることに夢中になったヨネダは
カメラの姿のあやかしとなってしまいました。
元の姿になって成仏したいとシノブに頼みます。

あやかしが登場する話、軽く読めます。

銀杏手ならい

2018-08-18 13:20:00 | 

西条奈加著"銀杏手ならい"を読みました。
嶋村萌は武家へ嫁に行きました。
三年後に子供が出来なかったからと離縁されました。
実家の両親は銀杏堂という手習所をずっと開いて
きました。
父は萌に仕事を任せてもっと勉強したいからと
大阪へ行ってしまいました。
萌は教師をする心構えがないまま子供たちを
教えることになります。
6歳ぐらいから12歳ぐらいまでの男女の子供に
それぞれの進み具合に合わせて読み書き算盤を
教えます。

女の先生を嫌って辞めていった子供が数人います。
残った増之介と角太郎は萌に反抗的です。
萌の母の美津は男子の筆子にも一目置かれる
びしっとした厳しさを持った人です。
美津は必要な時に手を差し伸べてくれます。
少しずつ変わっていきます。

銀杏堂の前に赤ん坊が捨てられていました。
萌も赤ん坊の時に同じように銀杏堂の前に捨てられ
ており嶋村の両親に育てられました。
赤ん坊を手放せず萌は美弥と名付け育てることに
しました。

伊三太は両替商の息子です。
算術に優れた能力があり、本人も一生を算術に
かけたいと悩んでいます。
同じように師匠をしている椎塾の椎葉に相談します。
椎葉は他の手習所で落ちこぼれた子供たちを引き受け
それぞれの子供が持っている優れた能力を発揮させて
います。

桃介は九歳、姉は病気気味です。
薬を求めて薬種屋へ行きましたが高くて手に入りません。
番頭にソウマオウという薬種を見つけてきたら薬を
やろうといわれました。
探している途中で出会った増之助と角太郎、桃介の
弟の金太、銀杏堂に通うなおとさちの姉妹とで
薬草探しに行くことになります。
元大名屋敷に薬草園があり、そこへ行くことになりました。
林となったその場所で夜を迎え数匹の野犬に襲われました。
小さな子をかばい知恵を働かせ窮地を切り抜けます。
大いに怒られ、また褒められました。

美弥は片言をしゃべり、歩くようになりました。
銀杏堂のまわりに怪しい男が出没するようになりました。
気を付けていたのに美弥はさらわれてしまいました。
実の母親だという人物が現れます。

手習所の師匠となった萌の日々を描いた物語です。
子供たちと共に成長しています。

少し前に"墨の香"という女性のお師匠さんを描いた本を
読んだばかりです。
同じようなテーマの本が続きました。

九マイルは遠すぎる

2018-08-09 21:00:00 | 

ハリイ・ケメルマン著"九マイルは遠すぎる"を
読みました。
どう遠すぎるのだろうと題名からの興味で
読んでみました。

法学部教授を休職し検事となった私に英文学教授の
ニッキィ・ウェルトが文章を考えだしたら、その
文章に論理的な推論を引き出してみせると言いました。
「九マイルもの道を歩くのは容易じゃない、ましてや
雨の中となるとなおさらだ」
というのが思いついた文章です。
ふと思いついた文章だといいますが、ニッキィは
耳にしていない殺人事件を想定し、犯人も言い
当てます。

本の先頭に序文があるのですが、この文章を思い
ついた後、うまい推論を考え出すのに14年
かかったそうです。
"九マイルは遠すぎる"を書いたあと、ニッキィを
探偵役にしてもっと書かないかと言われて他のものも
書いたそうです。
全部で8篇の連作短編集です。

身近で起こった事件をたまたま聞いていたニッキィが
解決します。
始めのうちは馬鹿にして聞いていた人たちが聞いて
いるうちに、そうに違いないと確信するように
なって飛び出していきます。

読み難い本かなと思っていましたが、読みやすかった
です。

スティングマータ

2018-08-08 13:53:20 | 

近藤史恵著"スティングマータ"を読みました。
"サクスファイス"、"エデン″、"サファイブ"、の
続編です。
ヨーロッパで人気の自転車競技の日本人選手チカ
こと白石誓が主人公です。
現在はフランスのチームのオランジュフランセに
所属しています。
三十歳間近でチームのエースをアシストする立場に
あります。
チームとの契約は1年ごとで来年も走れるかの
保障はありません。
日本人の伊庭はラゾワルでスプリンターとして
走っています。
チカとは友人です。

メネコンは人気のあった選手でしたが5年前に
ドーピングでそれまでの業績を剥奪され競技から
追われました。
そのメネンコが戻って来て伊庭のチームラゾワルで
走ることになりました。

チカは伊庭によってメネンコに引き合わされます。
メネンコには恨まれている人物に襲われる恐れがあり、
その一人がチカのチームのアルギだといいます。
チカはアルギに注意していて欲しいと頼まれます。

三週間続くツール・ド・フランスが始まりました。
チカはメンバーに選ばれました。
チームのエースは二コラです。
平坦な道でスピードを競うもの、石畳の道を走る
コース、山岳を走るものといろいろなコースが
あります。

アルギにはヒルダという妹がいて、チカは彼らと
親しくなります。
そしてメネンコとアルギの間の問題も知ることに
なります。

自転車競技の描写がそばで見ている様です。
チカはエースを引き立てる役目に徹して走ります。
自転車競技は長期間ですし、とても厳しいものです。
山を越えて走るんですから。
人間の体力ってはかり知れませんね。

キッチンコロシアム

2018-08-06 21:00:00 | 

田中経一著"キッチンコロシアム"を読みました。
昔、料理の鉄人という番組がありました。
私はまったく興味が湧かなくて一度も見たことは
ありません。
この本は番組の演出をしていた田中さんが書いた
ものだそうです。
フィクションですが、登場する人物は番組に出演
していた人たちとほとんど同じ名前ですから
誰をモデルにしているのかはわかります。

和食の料理人の道場が重要な登場人物です。
鉄人に対して挑戦する料理人が料理対決します。
食材は直前に発表されることになっていましたが
二度も誰かが挑戦者に事前に知らせました。
このことで道場は番組を辞めると決心します。

房之介というホームレスの青年がいます。
拾ってきた食材を使って山さん、博士の仲間に
おいしい料理を作っています。
彼は道場と関係がある人物です。

彼を対戦者とすれば道場も引退試合として出場
するだろうと教えられます。
房之介は道場と金沢の星辺茶寮でいっしょに
働いていた河田真作の息子です。
彼が8歳の時に星辺茶寮は火事で焼け、店主が
亡くなっています。
真作は火事の数日後に姿を消しています。

房之介も道場も真作を探しています。
二人がテレビに出れば見つかるかもという望みを
もって対決は大晦日から元旦にかけて放映
されました。

火事の真実が試合後に明かされますがなんだか
嫌な気分になりました。
これは惨いよね。

墨の香

2018-08-05 21:00:00 | 
著者 : 梶よう子
幻冬舎
発売日 : 2017-09-21

梶よう子著"墨の香"を読みました。
雪江は理由もわからず離縁されて実家へ戻りました。
父は引退して田舎で一人暮らしをしています。
家を継いだ弟の新之丞は奥祐筆をしています。
お洒落で美しい新之丞には女性たちが集まって
きます。
母の吉瀬は近所に住む姉と出歩いています。
雪江の師匠は書家として名の知られた巻菱湖です。
雪江は筆法指南所を始めることにしました。
集まってきたのは十五歳以下ぐらいの十五人ほどの
女性たちです。
態度が大きいのは雪江のすぐ前に席を取っている
卯美です。
卯美の取り巻きが汐江と涼江です。

時代は幕末、外国船が江戸近辺に現れる時です。
庶民は奢侈禁止という改革に苦しんでいます。
新之丞は仕事柄いろいろ嫌なことを見聞きします。
どうにもできない理不尽なことに辛さを感じています。

弟子たちの起こす出来事、菱湖の兄弟弟子たち
との確執、外国船の乗組員の殺害問題等が
描かれています。
いろんなことが描かれているので意識が散乱
します。
江戸時代に女性が何かをしようとするのはたいへん
だったでしょう。
でもお弟子さんは最初から集まりそう苦労したと
いう感じではありません。

兄弟子の雪城に預けた弟子だったおとしの未来は
どうなるのでしょうね。
利益に走ってしまった雪城ですからおとしも何か
魂胆があって世話しているのかなと疑っていたの
ですが特にあるわけではなさそうです。
心から打ち込める書道というものがあって
幸せですね。

房総グランオテル

2018-08-04 21:00:00 | 

越谷オサム著"房総グランオテル"を読みました。
月ヶ浦という外房の海に面したところに建って
いる房総グランオテルという家族経営の民宿が
舞台です。
房総グランオテルの娘の夏海は高校二年生です。
オテルは継ぐつもりですが大学は東京へ出て
一人暮らしをしたいと思っています。
父親が料理を担当しています。
夏海は明るくお客さんと応対します。

ある日のお客はそれぞれ一人の3人です。
菅沼は赤いパンツでギターを持った明るい
男です。
伊勢海老と鮑を注文した豪勢な客です。
佐藤は女性で夏海は海を眺めている彼女を
みています。
ひとり旅の悩みを抱えたような彼女は、自殺する
のではないかと宿の者たちに心配させます。
田中は大きなカメラバックを抱えた男です。
素泊まりという予約でした。
駅で女子高校生を探しています。

三人の何かがありそうな客たちです。
一泊の予定の菅沼も二泊することになり三人は
二泊します。

いろいろありますが、美しい海で過ごしそれぞれ
吹っ切れたようです。

明るい夏海、房総の海と楽しい本でした。
訪れたくなりましたが、名古屋からわざわざ行く
にはちょっと遠い。