雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

教室の灯りは謎の色

2017-04-30 21:00:00 | 
著者 : 水生大海
KADOKAWA/角川書店
発売日 : 2016-08-27

水生大海著"教室の灯りは謎の色"を読みました。
読み心地はあまりよくありません。
こんな世界に生きているなら生きている甲斐がないと
思えてきます。
登場人物は高校生の年代ですよ。
こんなに世の中って悪意に満ちているものなのですかね。
主人公は並木遥です。
高校に通っていますがある出来事があって義母を敬遠
しています。
出来事が解決しても高校へは戻らず優勇塾へ通うことに
します。
高校卒業程度認定試験をめざすエンカレッジ生となります。
塾には遥があこがれる英語の教師の黒澤がいます。
彼に何かと付きまといますが必要事項以外は無視されています。

教室で資料が燃やされ、消されていた事件が起こります。

人と交わろうとしない生徒が新しく入った補助の教師に
激しい言葉を投げます。

映画を上映していた後の教室に生徒が閉じ込められて
しまいます。

遥が中学の時にいじめに加担したことがありいじめられて
いた安奈が入塾してきました。
彼女は遥を避けていましたが道で声をかけたら走り出し
人にぶつかって意識不明になりました。

世の中のすべてがこんな風ではないです。
ずいぶん特殊な環境だと思いたいです。

あしたの君へ

2017-04-29 21:00:00 | 

柚月裕子著"あしたの君へ"を読みました。
家庭裁判所調査官は試験に合格後二年間の研修があります。
前期の三か月の研修後、一年間の実務研修を受けます。
研修中の家庭裁判所調査官補はカンポちゃんと呼ばれています。
望月大地は九州の大森家裁で実習中です。

"背負う者(十七歳 友里)"
友里はラブホテルへ誘った男の財布から10万円を盗んで
逃げました。
面接で友里はなにもしゃべりません。
母と妹と三人で暮らしています。
高校へはいかず、バイトをしています。
大地は家の様子を見に行って驚くべき生活にびっくりしました。
彼女は少年院送致となりました。
少年院で過ごすことの方が彼女の癒しになる、そんなことも
あるのですね。

"抱かれる者 (十六歳 潤)"
潤は付き合っていた女性に別れを告げられました。
ストーカーとなり、カッターをちらつかせたところを逮捕され
ました。
母親は潤に優秀であることを強く求めました。
大地は潤の学校での様子を調べました。
母親が言っている潤と実際の潤とは違いがあることがわかります。
母と息子、共に問題があります。

"縋る者 (二十三歳 理沙)"
正月休みに大地は故郷へ帰りました。
自分は家庭裁判所調査官の仕事に向いてないのではないかと
悩んでいます。
学生時代の仲間が集まりました。
好意を持っていた理沙は若くして結婚し子供がいます。
彼女と二人で帰る道で大地は悩みを語ります。
理沙は現在の状況を知らせ家庭裁判所調査官に勇気づけらた
ことを語ります。

"責める者 (三十五歳 可南子)"
朝井駿一と可南子の夫婦の離婚調停です。
可南子はどうしても離婚したいと望んでいますが、駿一は
承知しません。
彼女は精神科医に罹っており夫の精神的抑圧に苦しんでいます。
しかし調停委員には夫のどこに問題があるのか見えません。
妻のわがままとしか見えません。
大地は外に調べに出ます。
精神科医にも話を聞きます。
調停の場では現れてこない残酷な真実を知ります。

"迷う者 (十歳 悠真)"
片岡伸夫と朋美の夫婦は10歳の息子の親権を争っています。
どちらも譲りません。
伸夫は両親と暮らしており、両親も孫を大事にしています。
子供は母親と暮らすのが幸せという朋美です。
大地は別居している朋美の住居を訪ね意外なことを知ります。

家庭裁判所調査官という仕事があるのですね。
人の人生に大きく関わる責任の重い仕事です。
それにしても家事事件はともかく、少年事件は警察の調査の
のち裁判所に廻ってくるものなのに警察では事件の背景は
調べないものなんでしょうか。
家庭裁判所調査官が調べる仕事なんでしょうか。

最後の話はひどい話しです。
誰とは言いませんが人間としてどうかと思えてきます。
こういう生き方してもおかしくないのでしょうか。
利口な子供の悠真が幸せに暮らせるといいなと思います。

五弁の秋花 みとや・お瑛仕入帖

2017-04-28 21:00:00 | 

梶よう子著"五弁の秋花 みとや・お瑛仕入帖"を読みました。
"ご破算で願いましては みとや・お瑛仕入帖"の続編です。
みとやは店名のとおりすべての商品を三十八文で売る店です。
兄の長太郎が仕入を担当し妹のお瑛が販売をします。
両親はお祭りの日に橋が落ちて亡くなりました。

近所に元花魁花巻のお花が4文で惣菜を売る店を開きました。
男たちが寄ってきます。
実際に作るのはいっしょにいる老婆です。

辰吉という船頭に船の速さを競う勝負を挑まれます。
辰吉の祖父がわかるという出来事があり勝負はまだ実現
されていません。

近所の人形屋で火事がありぼやですみました。
長太郎は火事の時に手伝い、人形を何体か貰ってきました。
店に並べた人形を毎日じっとみている男の子がいます。
人形を取って逃げる途中で川に落ちました。
お瑛、辰吉に助けられた太助は人形の経緯を語ります。

近所に住む浪人で寺子屋の師匠の直之が長太郎に簪の
仕入を頼みました。
世話になったお花に贈るためです。
お瑛は簪の花が何なのか知ってあわててお花のところへ
行きました。

お瑛は昔の友達のおせんに店先で出会いました。
両親の事故以来会っていませんでした。
長太郎は店移りするという者から下駄を仕入れてきました。
やがてみとやは盗品を売っているという瓦版が出回り
長太郎は捉えられてしまいます。
知り合いのご隠居様の口添えで長太郎は解き放たれました。
この出来事にはおせんがかかわっています。
おせんの家は下駄屋です。
橋の事故が起こった時おせんも父親を失っています。
それから悲しい人生を生きてきました。

お瑛は幼いころのことを思い出します。
長太郎とは顔が似ていません。
本当の兄妹ではないのではないかと疑っています。

おせんが八つ当たりで起こしたことでみとやは苦境に
立たされます。
江戸の片隅で生きる兄妹の様子が描かれています。

あなたのゼイ肉落とします

2017-04-27 21:00:00 | 

垣谷美雨著"あなたのゼイ肉落とします"を読みました。
"あなたの人生、片づけます"の姉妹編です。
大庭十萬里の妹の小萬里がゼイ肉の落とし方を伝授
してくれます。

"園田乃梨子49歳"
結婚し夫と社会人の娘がいます。
大手文具メーカー勤務で課長をしています。
数年前まで太ることなく体重を維持してきました。
どんなに努力しても痩せません。
家庭でも会社でも人に避けられているように感じます。
小萬里の指導を頼みます。
最初の課題はブスとして生き直すことです。
次は家事を手放すこと。

"錦小路小菊18歳"
小菊の家は華族の末裔です。
貧乏だけど気位は高いという家庭です。
小菊はパテシエになることが夢です。
小萬里は彼女の夢を聞いてお菓子を完成させること、一つの
ことに夢中になることという課題を出します。
友人の親戚の店先を借りお菓子作りを始めます。

"吉田知也32歳"
知也は病院で気がつきました。
交通事故を起こしました。
1年半の出来事が記憶から抜けています。
記憶がない間に太っていました。
職場の女性にストーキングをしていたと知らされます。
彼の家庭は父親が母親に暴言を吐くようなところでした。
小萬里は父母も指導しています。

"前田悠太10歳"
母子家庭で貧しい暮らしです。
母親は」疲れ切っています。
小萬里に依頼の手紙を出します。
隣室には加奈という少し年上の女の子が住んでいます。
小萬里が来てくれて教えたのは二人とも栄養不足だということ。
簡単な料理の仕方を教えてくれます。
お母さんには親戚との交際を再開すること。

食事や運動の仕方を教えるダイエットではありません。
精神的な部分を改善して体調を整えて痩せていくということを
教えてくれます。
簡単に解決されてしまうので現実はこんな簡単ではないなあと
いう気はしますが、小説ですからね。

古書カフェすみれ屋と本のソムリエ

2017-04-26 21:00:00 | 

里見蘭著"古書カフェすみれ屋と本のソムリエ"を
読みました。
すみれは渋谷の近くでカフェと古書を売る店のオーナー
をしています。
カフェはすみれの持ち場で、古書コーナーは紙野が場所を
借りて独立して営業しています。
紙野は手が空いている時はカフェを手伝っています。

"恋人たちの贈りもの"
高原は音楽家になることが夢です。
年上の恋人の美雪がいます。
彼女が30歳になるまでに仕事に目途をたて結婚を
することを約束していました。
その時期がきてしまいました。
紙野は高原に"アコースティックギターの専門誌"を、
美雪には"O・ヘンリの短編集"を読んでみるよう勧めました。

"ランチタイムに待ちぼうけ"
高齢者の男性が昼時にやって来てコーヒー一杯で
三時過ぎまで待ち合わせだと粘っていました。
こんなことが何回か続きました。
彼は古書コーナーにあった荒木経恒の"センチメンタルな旅"
という妻を写した写真集を見ていました。

"百万円の本"
輸入雑貨店を営んでいる香奈子は小学4年の健太を連れて
パン職人の雄平と再婚しました。
勇太が荒れるようになりました。
健太は店で"にんじん"を読んでいました。
紙野は香奈子に"小さなバイキング"を読むよう勧めました。

"火曜日の夜と水曜日の夜"
一人でやって来た本城と馬場が親しく話をしています。
馬場は結婚しています。
妻の料理に不満を抱いていると語ります。
次の日に由貴子と愛理の二人連れがやってきます。
由貴子は料理の腕に不安を持ち彼の母親の作ってくれた
料理のすばらしさを語ります。
紙野は由貴子に辰巳浜子の"きょうの料理"という本を勧めます。
この男女4人が同時に店を訪れました。

"自由帳の三日月猫"
店にお客さんに好きなことを書いてもらう自由帳を置くように
しました。
猫の絵と意味不明な文字が書き込まれていました。
何回か猫の絵は描かれました。
暗号ではないかと考えました。
客の晴香が猫の模様から自分の飼っていた猫だといいます。
紙野に"猫語の教科書"を勧められます。
暗号は解読できました。
ところがそれを読んで不安になってしまいました。

紙野が問題を抱えた人にさっと本を差し出します。
紙野が勧める本を読んでいればもっとこの本は楽しい
でしょうね。
私が知っているのは昔に読んだ"にんじん"だけです。

すみれの作る料理の説明がそれぞれの話に登場します。
食べるのが好き、作るのが好きな人には応えられないでしょう。
すみれと紙野、おだやかで誠実に仕事に向き合っています。
おもしろかったです。

あきない世傳 金と銀二 早瀬編

2017-04-25 13:32:50 | 

高田郁著"あきない世傳 金と銀二 早瀬編"を読みました。
以前に書いてアップしたはずなのに気づけば中身なし
でした。
やっと書き直しました。

幸は呉服屋五鈴屋の女衆として働いています。
五鈴屋の商売はうまくいっていません。
店主は徳兵衛ですが仕事をそっちのけで遊び暮らしています。
妻は愛想をつかして離縁して実家に戻ってしまいました。
祖母の富久が店を守ってきました。
番頭の治兵衛が病気で倒れました。

呉服屋の組合の人たちから徳兵衛に後添えを迎えることを
強引に迫られます。
富久と治兵衛は幸を後添えに望みます。
幸は後添えとなります。
しかし徳兵衛はそれを受け入れず夫婦といっても
名ばかりのものです。

徳兵衛と違い次男の惣次は商いに身を入れています。
店がなんとかやっていけるのは彼のおかげです。
いずれ店を出してもらう約束ですがお金のない五鈴屋
ではなかなか出してもらえません。

幸は呉服についての知識を吸収しようと努力しています。
新しい商いの仕方の店での現金払いでの切り売りを
日を限ってやってみます。
徳兵衛は遊びに行っての帰りに足を滑らせ堤を転げ落ち
亡くなってしまいます。

惣次が店を継ぐことが望まれますが、惣次は条件を
出しました。
幸を嫁にすることです。

夫婦とは名ばかりですが五鈴屋の嫁になりました。
知識を得ようと努めています。
女衆からご寮さんとなっていじめられるのかと心配でしたが
そんなことも起きずに日々を過ごしています。
また幸にも変化が起きますね。
次に何が待ち構えているのでしょうね。

だいじな本のみつけ方

2017-04-23 21:00:00 | 

大崎梢著"だいじな本のみつけ方"を読みました。
登場するのが中学二年生ですから小中学生を対象に
書かれた本です。
と言ってももちろん大人が読んでもおもしろいです。

"だいじな本のみつけ方"
野々香は洗面所でカバーがかかった本が忘れられて
いるのを見つけました。
本は野々香がファンの新木真琴の新刊でした。
本屋さんへ行って買おうとしましたがまだ発売前だと
知らされました。
野々香は誰が忘れたのかどうやって手に入れたのか、
嫌っている図書委員の秀臣と共に調べることになります。
本好きの何人かに話を聞き真相にたどり着きます。

"大事な未来のみつけ方"
野々香らは先の話で本屋さんで自分の一番好きな本に
ポップをつける活動をしました。
小学校の校長から小学校と中学校とで交流する催しが
できないか考えて欲しいと頼まれました。
野々香、秀臣、浩一、リカはいろいろ考え子供のころ
公民館で本の読み聞かせ会を楽しみにしていたことを
思い出します。
ビトさんという男性が上手に読んでくれました。
たぶん尾藤さんという名の人を探し、やっと会えました。
10年ほど前彼は辛い思いをしました。
そして彼が辛い思いをさせてしまったという小さな
女の子がいます。
彼らの辛い思いを解きほぐします。
野々香らは小学生へ読み聞かせをしようと練習をします。

大崎さんは元書店員さんです。
本に対する思い入れが感じられます。

コフィン・ダンサー

2017-04-22 10:16:47 | 

ジェフリー・ディーヴァー著"コフィン・ダンサー"を
読みました。
コフィン・ダンサーと呼ばれている殺し屋との対決です。
大人数の警察と一人で対決してひけをとらない殺し屋です。
リンカーン・ライムに依頼がきます。
武器商人のハンセンを刑務所に送りたいと思っている司法
関係者たちですが証拠がありません。
ハンセンが自家用飛行機で証拠らしいものを捨てに行った
のを3人の飛行機チャーター会社の社長やパイロットが
目撃しました。
副社長が操縦中に飛行機が爆破され亡くなりました。
ハンセンがコフィン・ダンサーと呼ばれている殺し屋に
三人の殺害を依頼したと思われます。
残った二人を守ることとダンサーを追い詰めることを
ライムらは微細証拠から見つけていきます。
保護施設に保護されている二人ですがダンサーは見つけだし
迫ってきます。
逃げる時に利用した女性を残酷に殺したり撃ちあいになった
警官を殺したりと容赦がありません。

ダンサーは追い詰められてジョーディというホームレスと
知り合い彼に助けられます。
心を開いて話し合っていたかのような二人です。
しかしどちらもすぐに裏切り合っています。
チャーター会社の女性社長でパイロットでもあるパーシーは
こんな状態に置かれながらも会社の運営のため荷物を運ぶことを
強く望みます。

監視下に置かれていた飛行機ですがダンサーの知能はすぐれて
います。
飛行機は危機一髪の状況下に陥ります。

後半は手に汗握る状況です。
どうなるのだろうとページをめくる手止まりませ。
身元が判る物がなにもない死体が出てきたところから急展開です。
えぇー、ということが明かされます。
そして事件そのものさえ違った様相を示します。

日本の警察物ではほとんどない銃撃戦が何度も派手に出てきます。
アメリア・サックスは銃撃の名人です。
最初の銃撃戦で躊躇したことにこだわっています。
ライムとサックスの関係も進展していきます。
おもしろかったです。

コフィン・ダンサーのコフィンというのは棺だそうです。
何の絵何だろうと思っていましたが、表紙の絵が現して
いるのがコフィン・ダンサーなのですね。

雨利終活写真館

2017-04-21 21:00:00 | 

芦沢央著"雨利終活写真館"を読みました。
巣鴨の路地裏にひっそり佇む、遺影専門の写真館が
雨利写真館です。
黒子ハナは美容師です。
クイズ好きの祖母が急死し三人の兄弟に遺言を残しました。
封筒には切手が貼られ宛名はハナの母になっていました。
しかし中の遺言には兄と妹だけに家とお金は残され母の
事はなにも書かれていません。
ハナは祖母が遺影を取った雨利写真館に手がかりを求めて
訪ねてきました。

写真館には終活コーディネーターだという夢子とカメラマンの
雨利、カメラマン見習いの道頓堀がいます。

遺言書の疑問を解いてくれた写真館にハナは雇ってもらいます。
ハナは有名美容院に勤めていましたが男に騙され店を辞めました。

橋川という老人が家族で写真を撮りたいとやってきました。
次男とその息子の孫と三人で撮りたいといいます。
孫が9歳のころその母親がマンションのベランダから落ちて
亡くなっています。
孫がその直後にベランダにいたことが見られており母親が
落ちたのに知らせなかったと思われてきました。
孫と孫の父親との間はうまくいかなくなりました。
写真を撮るため集まった三人、彼らの間のわだかまりの
原因にハナは気づきます。

写真館の倉庫から出てきた古い写真にはお腹に手を添える
妊婦と夫が写っていました。
メモには遺影として撮影したこと、<生きられない>と書かれて
います。
書かれていた電話番号に電話すると娘が出ました。
母は亡くなり父親は昔からいませんん。
同じ写真を持っており写真の人が父親だと言われてきました。
彼女は写真の人は母の不倫相手なのではと疑います。

一人の人が若い女性と遺影を撮りにきました。
同じ人が妻とも写真を撮りました。
出来上がった写真を違う相手に送るよう指示しました。
死んだあとまで残った人に苦しみを与えるのかとハナは指示を
破りそれぞれの相手に送るよう手配し、どうするか当人の連絡
しました。
葬儀の日に霊柩車が店の前に止まり、妻と息子が店に
入ってきました。

なかなかおもしろい話でした。
でも全体の主人公となる人がいないのでなんか物足りなさを感じます。
最初の話はすぐどういうことかわかりました。
クイズ好きならすぐ気づくはずです。
映画にも同じような話のありましたね。

時限病棟

2017-04-20 21:00:00 | 

知念美希人著"時限病棟"を読みました。
"仮面病棟"の姉妹版というのでしょうか。
繋がりはないのですが場所が同じ田所病院です。
前の出来事で病院は閉鎖され今は廃病院となっています。
梓は病院のベットの上で目覚めました。
誰かに拉致されここに連れてこられました
同じように外科医の月村、やはり外科医の小早川、
麻酔科医の七海、派遣の桜庭、梓は看護師です。
医療関係者たちです。
廃病院は外に出られないよう手が加えられています。
六時間ほど後に点火されるようガソリンがセットされています。

ピエロの絵とヒントが書かれており、それを解いていくと
次の指示があります。

一年半前にこの病院で映画監督の狭間が建物から落ちて
病院に搬送され手術を受けましたが亡くなりました。
外科医で参加型アトラクションの開発者であった芝本が
転落している狭間に気づいて自分の勤務している病院へ
運び手術もしました。

祖父江春雲というゴシップを書くジャーナリストに
芝本が狭間を殺したのだという記事を書きました。
身近なことや過去の出来事を悪意に満ちて書きまくられ
芝本は自殺しました。

手術室には開腹手術を施され麻酔管理をされた祖父江が
手術台に寝かされていました。

ヒントを追及していくうちに彼らは全員が芝本と関係が
あることがわかってきます。
月村は芝本の上司、小早川は学生時代からの友人、梓は
アトラクションのファンということで知り合いました。

やがてピロは狭間の事件の真相を突きとめよと言って
きます。
その後は芝本の自殺も殺人とし、真実を突きとめることを
要求してきます。

次々に現れるピエロの指示をといて行くというおもしろさ、
誰が行っているのだろうという興味でおもしろく読みました。
前の"仮面病棟"よりこちらの方がずっとよかったです。

警察の無能さ、医師たちの自分の利益だけ追及する姿勢
なんとも嫌な気分になります。

京都寺町三条のホームズ

2017-04-19 10:23:43 | 

望月麻衣著"京都寺町三条のホームズ"を読みました。
京都の高校生の真城葵は寺町三条の骨董店「蔵」を
訪れオーナーの孫の大学院生家頭清貴と知り合いました。
葵は東京から引っ越ししてきました。
ボーイフレンドが親友と付き合いだしたと聞いて東京に
行く旅費のため家にあった骨董品を売ろうとしたのです。
葵は蔵でアルバイトをすることになりました。
清貴の祖父は骨董の世界では能力のある人です。
父は骨董で生きるのを諦め作家をしていて、店番を手伝う
ことがあります。
清貴は祖父に手ほどきされて深い知識があります。

岸谷は漫画家です。
亡くなった父に仁清の茶碗を残されました。
この茶碗にはどんな思いが込められているのか。

呉服屋の娘の沙織が葵祭の斎王代に選ばれました。
脅迫状が届くようになりました。
妹の香織は葵と同じ高校に通っています。
沙織には二人の仲違いした友達がいます。

百万遍知恩院のフリーマーケットに清貴と葵は出かけました。
店を閉める骨董品店の店主が品を並べていました。

鞍馬のある家に行くことになり、清貴と葵はハイキングと
川床での食事の傍らに訪ねました。
亡くなった父親が三人の息子にそれぞれ掛け軸を残しました。
その掛け軸が誰かに燃やされました。
掛け軸の絵の意味は。

葵が会いにいこうと思っていた元の同級生たちが京都に
学校行事でやってくることになりました。
ボーイフレンドと親友だった女友達に会うことに普通の
気持ちではいられません。

ホームズと言われている清貴は物事を見抜くことができます。
この本は十代、二十代向けのものなのだろうなと感じます。
それ以外の年代だって楽しむことはできますけどね。

なくし物をお探しの方は二番線へ 鉄道員・夏目壮太の奮闘

2017-04-16 21:00:00 | 

二宮敦人著"なくし物をお探しの方は二番線へ
鉄道員・夏目壮太の奮闘"を読みました。
"一番線に謎が到着します 若き鉄道員・夏目壮太の日常"
の続編です。
蛍川鉄道の藤乃沢駅の駅員壮太が主人公です。
3つの話から成りますが繋がりがあり長編といっても
いいです。

"クロエと偽駅員"
フランス人でヴィオラ奏者のクロエは祖父の自慢して
いた日本の鉄道に乗りに来ました。
壮太が案内することになります。
猛烈なラッシュ時の列車等クロエは幻滅しました。
偽の駅員に切符を取られたと怒ります。

"ヒゲヨシと見えない運転手"
ホームレスのヒゲヨシはマツに教えられ夜に藤乃沢駅に
入り込んで寝ていました。
時々夜遅くに貨物列車が駅に入って来て5分ほど停車します。
ヒゲヨシは運転手に話しかけ少しの時間話をするのを
楽しみにするようになります。
ヒゲヨシは過去に家族、仕事を失い自殺を企てたことが
あります。
運転手の清水も妻と子を亡くしています。
彼が自殺を考えているのではないかとヒゲヨシは心配し
壮太らに助けを求めます。
調べても清水運転手は社員の中にいません。

"進藤純一とちっとも会えない本間直子"
純一と直子は食べることが好きでそれぞれ食品会社に
就職しました。
二人は電話だけで話し、直子は遠くにいると言って会おうと
しません。
純一は人に勧められないような食品を売ることに嫌気が
さしています。
辛い気持ちで電車に乗っています。
仕事もうまくいっていて家族に恵まれていそうないつも見る
男性がいます。
子供が作ってくれたしおりを大事にして本を読んでいます。
その栞が風にとばされ窓から出ていきそうになりました。
純一はとっさにつかもうとして窓から身を乗り出しすぎて
列車から落ちてしまいます。

直子が今どこにいるのか彼女のもらした言葉から清水運転手が
当てました。

最後の場面はヒゲヨシが雇ってもらった小料理屋での
パーティです。
直子も料理を作ります。
クロエ、ヒゲヨシ、マツ、清水、純一達に藤乃沢駅の
駅員達もやってきます。
人と人が繋がっていきます。
純一は車掌登用試験を受けることを決意します。

一人の人がある人にはとても幸せな人に見え、別の人
にはとても孤独で不幸せな人に見えるなんてまったく
正反対のことってあるのかな。

人々の暖かいふれあいが描かれていて気持ちよく読めます。
純一が駅員を離れることになるとシリーズはこれで終了なのかな。

みやこさわぎ お蔦さんの神楽坂日記

2017-04-15 21:00:00 | 

西條奈加著"みやこさわぎ お蔦さんの神楽坂日記"を
読みました。
シリーズ3冊目です。
お蔦さんは元芸者で今は履物屋をしています。
元気ではっきりした女性です。
高校一年性の望と暮らしています。
望の両親は北海道に転勤になり別れてくらしています。
料理の出来ないい祖母に代わって食事の支度は望が
やっています。
家には祖母の義弟に当たる画家の奉介が一緒に暮らして
います。
いろんな揉め事がお蔦さんのところへ持ち込まれます。

娘は自分の子なのかと疑る父親。

お客と結婚することになった芸妓が婚約指輪を持って
行方がわからなくなる出来事。

三つ子を置いて家を出ていった妻。

母親の形見の絵を巡ってもめる姉妹。

昔の近所の住人の家族から贈られてきた鮎を巡る話。

高校生が高額なお金を誰かに貢いでいるように見える話。

本の題名になっているみやこさわぎが一番心に残る話かな。
長年の恨みを晴らす話なんだけどこんなことしても心は
晴れないのではないかと思います。
すべてを畳んで姿を消した男性。
良くないことをしたのは確かだけどこのままホームレスに
なって死にました、なんてのは止めて欲しいですね。
どこかで出直してしっかり生きましたとなって欲しいです。

三つ子の話の夫、ずいぶん勝手な人です。
家事、育児を一人で完璧にこなすことが妻の役目って思っている
人です。

きっぷよく物事を解決していきます。
料理上手な望やその父親が料理をする場面楽しいですね。

恋糸ほぐし 花簪職人四季覚

2017-04-14 21:00:00 | 

田牧大和著"恋糸ほぐし 花簪職人四季覚"を
読みました。
登場する人物たちがやさしい人たちでゆったりと
した心持で読めます。
花簪職人の忠吉は仕事先の親方が亡くなり、娘と
兄弟子とこじれてひまを出されました。
長屋も出ていくよう言われて困っていた時に大中寺の
住職の以風がやって来て寺に来るように言われます。
以風は子供のころを寺で一緒に過ごした幼馴染みです。
杉修和尚は隠居して庵で暮らしています。
忠吉は和尚の世話をする寺男の仕事をすることになります。
庵には十歳ぐらいのさきという女の子がいました。
さきは何かの出来事で耳が聞こえず口もきけません。
人を怖がります。
怪我を助けられ人になついた瑠璃が寺に居ついてるりの
友達となっています。

料理の特異な忠吉は三度の食事を作り寺の仕事の傍ら
花簪作りも始めます。
寺に話を聞いてもらいにくる人たちの聞き手ともなります。
さきのまわりに怪しい女が出没します。

最後にはさきの秘密が明かされ、さきは耳も治りしゃべれる
ようになって寺を去っていきます。

さきを苦しめているのは何なんだろうと思いつつ読みました。
忠吉、幼名大吉の住職の以風、杉修和尚との暖かな雰囲気が
いいですね。

猿の石

2017-04-13 10:20:03 | 

ジェフリー・ディーヴァー著"猿の石"を読みました。
今回は中国の蛇頭との闘いです。
ゴーストと呼ばれている蛇頭の殺し屋が船で不法入国者
たちを連れてくるとの情報でリンカーン・ライムが
関わることになります。
まもなく海岸に到着するという船の位置を見つけ出し
沿岸警備隊や警察が捕まえる寸前にゴーストは船を
爆破しました。
閉じ込められていた密航者たちは抜け出してゴムボートで
岸を目指しました。
あとから追いかけるゴーストが密航者めがけて発砲します。

上陸した二家族は別々に部屋を借ります。
やはり密航者の医師と中国の刑事が見つかっています。
刑事のソニー・リーはライムらとゴーストを追うことに
なります。

海岸にゴーストを迎えに来ながら警察に恐れをなし
逃げた車の運転手を無残に殺します。
次に密航者に部屋を提供した中国人秘密結社の堂(トン)の
会長マから情報を聞き出し殺します。

ゴーストはまずウー一家を狙います。
そしてチャン一家へも手は伸びていきます。

ライムたちはそれぞれの現場に残された微細証拠の
鑑定結果から求めるものへ行きつきます。

石の猿とは死に逝く者が必死に残した証拠物件と
なったもののことです。

最初からなんかへんな話だという思いがつきまといました。
なぜ船を爆破する必要があるのか。
なぜ逃げた密航者たちを執拗に殺そうとするのか。
まったく意味がない行動に見えました。
大勢の船員たちが死にました。
現実にゴーストと密航者は警察が到着する前に岸に
到着できたのですから時間はあり爆破する必要など
ないのです。
なぜ密航者たちを殺さなければならないのか。
医師と刑事がすでに警察の手にあるのですから秘密が
もれるからという理由はあてはまりません。
ゴーストは精神異常者なのかと思いました。

その理由は最後に明かされます。
大きな力でねじ伏せられしまう庶民という構図で
なんとも重苦しい話です。
賄賂が横行し物事は捻じ曲げられてしまう。
こんな中で人はどうやって心の平安を保ち生きていけ
ばいいのだろうと思ってしまいます。