雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

静寂の叫び

2017-05-31 13:22:50 | 

ジェフリー・ディーヴァー著"静寂の叫び"を読みました。
リンカーン・ライムのシリーズのディーヴァーさんですが
この本は初期のものだそうでライムは登場しません。
主人公はアーサー・ポター、FBIの人質事件の交渉を
担当する人です。
刑務所からルー・ハンディ、シェパード・ウィルコックス、
レイ・ボナーの三人が脱獄しました。
途中で夫婦を殺し、行き合った聾学校の生徒8人と先生2人を
人質にして食肉加工の廃工場へ逃げ込みました。
3人のリーダー格はルーです。
ポターはカンザス州へ呼ばれて交渉の指揮をとることに
なります。
彼らはどうして手にしたかたくさんの武器を持っています。
ルーは人を殺すことにまったく心が動かされることなく
平気で行なえる人物です。
最初の交渉で年長の生徒が理由もなく殺されてしまいます。
人質の一人に教育実習生のメラニーがいます。
自信がなさそうな人物に見られます。
農場経営者の父親との間には確執があります。

対話を繰り返し少しづつ信頼関係を築く努力を続けます。
メラニーの機転で子供たちは数人づつ外へ逃れます。
ポターは無断で行動を起こす州警察や、法務次官補の
横槍や、情報を筒抜けにするマスコミの報道などを
処理しながら人質犯との交渉は続きます。

警察に取り巻かれ逃げ場などないようにみえるのにルーは
焦りをみせることなく平然としています。
過去にルーと交渉したことがある女性警官が現れたことで
事件はルーが降参したことで解決をみます。

これで終わったかに見えた事件はポターが家に着く前に
様相を変えてしまい、ポターはまた事件現場へ引き戻されて
しまいます。
驚くべき事実がわかってきます。

ポターにしろメラニーにしろ今後の人生が狂ってしまうだろうと
思う出来事です。
大勢の人が殺されています。
ポターといっしょに事件に取り組んだ州警察のバットも
亡くなりました。
ルーという性格の異常な人間のためなんと多くの人が
振り回されたことでしょう。
メラニーには最後の選択はして欲しくはなかったです。

風の市兵衛

2017-05-29 21:00:00 | 

辻堂魁著"風の市兵衛"を読みました。
シリーズになっていてその最初の巻です。
武家の心中死体が見つかりました。
男は高松道久です。
残されたのは妻の安曇と8歳の息子の頼之です。
借金も50両あるということです。
宰領屋の矢藤太の紹介で市兵衛は高松家の経済を
見るため半期の約束で雇われます。
高松は幼馴染の石井と1年前から付き合いを再開しました。
彼は几帳面に日記を書き残しています。
いっしょに死んだ女のことはどこにも出てきません。
女は中山絵里、夫は婿養子で丹波といいます。
石井は薬種問屋の柳屋と付き合いがあります。
柳屋は津軽と呼ばれている阿片の販売に手を出しています。
柳屋はロシア船との阿片の密輸に関わっています。

阿陀ノ介という男に市兵衛と頼之は人目付片岡信正の屋敷へ
連れていかれます。
頼之は市兵衛が片岡の異母弟であることを知ります。
市兵衛は13歳の時に家を出て各地でいろんなことを
学んできました。
市兵衛は高松が片岡の指図で阿片密輸について調べて
いたことを知らされます。

高松家にふりかかった災難の原因を取り除き今後の
生計の道をつけてやります。
風の剣と呼ばれる腕を持ち、悪人を懲らしめていきます。
面白かったです。

しあわせの香り 純喫茶トルンカ

2017-05-28 21:00:00 | 

八木沢里志著"しあわせの香り 純喫茶トルンカ"を
読みました。

"午後のショパン"
多田千代子は喫茶店トルンカに二十年間通っています。
苦しかった時期にトルンカでコーヒーを飲むことで乗り
越えました。
トルンカではショパンの曲が流れています。
エオリアン・ハープという曲を聞くと子供のころの思い出が
蘇ってきます。
小さな子供のころ近所の家の武彦さんという人の家で
この曲を聞きました。
彼は戦争に行き、帰ってきましたが心を閉じてしまいました。

"シェード・ツリーの憂鬱"
シェード・ツリーとはコーヒーの木を守るために植えられた
バナナのような木を指します。
トルンカのマスターの娘の薫が亡くなる前に浩太に妹の雫の
シェード・ツリーになってくれるよう頼まれました。
バレー・ボール部の先輩の野原に浩太は嫌がらせを受けて
います。

"旅立ちの季節"
イラストレーターの絢子は厳しい仕事とアルバイトをして
暮らしています。
絵を学んでいた大学の時に付き合っていた本庄に出会いました。
本庄はうつ病になって仕事を辞めました。
ちょうどアルバイトが辞めることになったのでトルンカに
彼を紹介しました。
そして空いている部屋を貸すことにしました。

この本前巻があるんです。
なんか前に読んだ気がしました。

西洋菓子店プティ・フール

2017-05-27 21:00:00 | 

千早茜著"西洋菓子店プティ・フール"を読みました。
亜樹は有名な菓子店で働いていました。
今は祖父の菓子店で働いています。
弁護士の祐介という婚約者がいます。
澄孝は亜樹が元勤めていた店の後輩です。
亜樹にあこがれていました。
ミナは澄孝が好きですがその気持ちを押さえて休みには
澄孝のスィート食べ歩きに付き合っています。

亜樹はお菓子を入れている紅茶専門店で接客をして
お客さんの様子を見てお菓子に活かしています。
おじいさんのお菓子作りには学ぶところが多いです。

夫婦仲がうまくいっていない女性が店にきて大量に
買っていきます。
亜樹は嫌な顔をします。
彼女が過食症で大量に食べた後吐いていることがわかるから。

澄孝は亜樹と再会してから休みには二人で菓子作りに
熱中しています。
ミナは悔しい思いでみています。

祐介は亜樹との結婚を伸ばそうと提案されます。
亜樹には理由がわからず別れると言ってしまいます。

おじいさんの店はイートインできるよう改装中です。
そんな中、起きたら祖父母がいなくなっていました。

特に強烈な出来事もなく淡々と読めます。
ずっとお菓子を作り続けてきたおじいさんが一番好きかな。

お狂言師歌吉うきよ暦

2017-05-26 21:00:00 | 

杉本章子著"お狂言師歌吉うきよ暦"を読みました。
水野忠邦が享保の改革を実施していた時代の話です。
この本を読む一日前にちょうどNHKで水野忠邦と
遠山金四郎との確執を描いた話を見ました。
水野には榊原主計頭、鳥居甲斐守、水野越前守という
三人の腹心の部下がいました。
テレビを見ていたおかげで話しの内容がすっと頭に
入ってきました。
そうでなかったらなんかよくわからない話って思った
ことでしょう。

駕籠かきを抱える家の娘のお吉は踊りをならっています。
大名の屋敷で踊りを披露する一座に加えられることに
なりました。
ずっと一緒に踊りを習ってきたお糸に妬まれ顔を
傷つけられました。
お吉は踊りでの名を歌吉といいます。
彼女は踊りで身を立てようと決心します。

歌吉の前に日向新伍、岡本才次郎という二人が現れます。
彼らはお小人目付で隠密です。
姉弟子の歌津代は榊原主計頭の妾をしています。
日向らは歌吉に歌津代に近づき榊原を探る手伝いをして
くれるよう頼みます。
歌吉は引き受けることになります。
老中の水野忠邦が失脚した時に榊原らは水野を裏切ります。

お糸のその後、歌津代の元恋人との関係なども描かれます。
危険を承知で舟遊びに出かける歌吉、危険はやはり現実の
ものとなります。

12番目のカード

2017-05-25 11:08:37 | 

ジェフリー・ディーヴァー著"12番目のカード"を
読みました。
ハーレムの高校に通う16歳のジェニーヴァが図書館で
調べものをしていた時に襲われました。
頭のいい彼女は犯人の裏をかいて逃れました。
現場にはタロットカードの"吊るされた人"のカードが
残されていました。
このカードの意味は悪いものではないということです。
彼女は学校の課題で自分の祖先の解放奴隷であるチャールズ・
シングルトンのことを調べていました。
彼は140年前窃盗で捕まりました。
しかし無罪を主張しました。
真実を明かしたら罪は免れるのに話せないと家族への
手紙には書かれています。

ライムらはただのレイプ事件ではなく過去を調べている
ジェニーヴァを殺そうとしたのだと判断します。
ジェニーヴァは大叔母の家で再度殺されかけました。
この時に新人警官のロナルド・プラスキは頭を殴られ
大けがをしています。
ジェニーヴァは大学教授の娘で両親は海外に行っていると
言いますがいっこうに姿を現しません。
彼女は優等生で学業に専念しいい大学を目指しています。
こんな時でもテストを受けたいと警察を困らせます。

犯人側から見た状況も挟まれています。
犯人は二人いるように思われています。

証拠品を調べるうちに段々とジェニーヴァの祖先が原因では
なく別の原因で狙われているのではないかと考えられる
ようになります。

ジェニーヴァ自身の秘密、祖先のシングルトンの事件の
真実、ジェニーヴァが命を狙われる本当の理由は何か。
ひっくりする結末です。

たぶんそっとしておけば何も起こらなかっただろうに
寝ている子を起こしたような結末です。

ジェニーヴァはたくましいです。
決してへこたれることなく人生を生きていくのだろうなと
思わせる女性でした。

140年前の祖先ってたどれるものなのでしょうか。
自分を振り返ってみると親や祖父母がどんな人生を過ごして
きたのかさえたいして知らないことに愕然とします。
でも普通そんなものではないのかな。

浮雲心霊奇譚 妖刀の理

2017-05-19 21:00:00 | コンピュータ

神永学著"浮雲心霊奇譚 妖刀の理"を読みました。
"赤目の理"の続編です。
浮雲は幽霊がみえます。
八十八や伊織、新太郎も登場します。

伊織と兄の新太郎が夜道を歩いていると叫び声を聞きました。
辻斬りに斬られた人が倒れており側に痩せた老人が立って
いました。
その人は消えてしまい幽霊だと気づきました。
浮雲に相談しますがなかなか腰を上げません。
新太郎は幽霊に憑かれたのか夜になると姿が消えます。
斬られた左門は心外流道場の道場主の息子です。
父又衛門は亡くなりました。
幽霊となっているのは又衛門です。
彼は剣のことだけ考え家族をないがしろにしたことを
悔やんでいます。

深見新左衛門は妻と医者を殺し自分は腹を切り庭の沼に
浮かんでいました。
蔵屋の番頭の喜助と浪人の大治郎はこの沼の側を通った時に
幽霊を見、大治郎は殺されました。
幽霊ということで浮雲が嫌々引っ張り出されました。
蔵屋の主の甚蔵は行方不明です。
娘のお久には薬売りの松吉という恋人がいます。
甚蔵はかつて新左衛門と商売上の付き合いがありました。
廃屋となった屋敷には沼から這い出る老人の絵が架かって
いました。
狩野游山の絵です。
彼もこの事件に関わっていました。

足繁く通った遊女に身請け話を持ち掛けたらけんもほろろに
断られた男に虚無僧は刀を差しだしました。
妖刀を振りかざした男が暴れて女に襲い掛かろうとしました。
浮雲の知り合いの女の玉藻が取り押さえました。
刀を持った男の下にはいくつもの遺骸が転がっている、そんな
絵が見つかりました。
狩野游山の絵です。
やはり話は浮雲の所へ持ち込まれました。
刀の名は村正です。
游山は八十八の元にも現れもう少しで刀を手にする所でした。

浮雲と游山との闘いはまだまだ続くようです。

奇妙な絵柄 占い屋重四朗江戸手控え

2017-05-18 21:00:00 | 

池永陽著"奇妙な絵柄 占い屋重四郎江戸手控え"を
読みました。
"占い屋重四郎江戸手控え"の続編です。

重四郎は占う人を目をつぶって前に座ってもらいます。
数分か数時間後に重四郎の頭にその人の将来の場面が
浮かんできます。

材木商の三国屋伝兵衛を過去に占ったことがあります。
火事の場面で三国屋は笑っていました。
三国屋はその後火事で大儲けしました。
その時の火事で家族を失った重四郎の行きつけの飲み屋の
主の芳蔵を占うと崩れる三国屋の蔵の前で微笑んでいる
芳蔵の姿がみえました。

浪人が富くじで千両を当てて喜ぶ未来を見ました。

三国屋の用心棒の小山内が病身の妻八重を占って欲しいと
やってきます。
八重を占うと真っ白な場面が見えてどう解釈していいか
わかりません。
重四郎はもう長くはない八重に心が惹かれます。

香具師の妾をしているおよしが飼い猫がいなくなったと
行方を占って欲しいとやってきます。

大身の旗本の家来が下女奉公しているらしい女を連れてきて
身ごもっている赤ん坊が男か女か占えとやってきます。
女の子なら母子ともに殺すつもりでいます。
女は占わせないよう必死です。

重四郎の友人の佐内が揚弓場の女に惚れました。
恋敵がいます。
二人は戦うことになります。

重四郎が心惹かれる八重の顛末。
地震で壊れた蔵の前にいた三国屋の顛末はいかに。

全体に三国屋の話が続きますがその間に単発の話が組み込まれて
いるといった感じになっています。

未来を知ったところでいいことがあるようには思えません。
私は知りたくないです。

昨日のまこと、今日のうそ 髪結い 伊佐次捕物余話

2017-05-17 10:06:13 | 

宇江佐真理著"昨日のまこと、今日のうそ 髪結い
伊佐次捕物余話"を読みました。
シリーズ14作目ですね。
題名に捕物と入っていますが捕物の話もありますが
登場人物たちの日々を描いたところが大部分です。
主人公のはずの伊佐次は影が薄く今は子供たちの
世代の話が多いです。

伊佐次が出入りしている北町奉行所の同心友之進の
息子の龍之進に息子が生まれます。

伊佐次の弟子の九兵衛は魚問屋の魚佐の娘のおてんと
付き合っています。
他の娘が気になったのとおてんとは釣り合いが取れないと
別れようとした九兵衛です。

友之進の娘の茜は松前藩の下屋敷に奉公に行っています。
跡継ぎの良昌は病弱です。
茜に会いたがっています。

絵師の弟子として修行している伊佐次の息子の伊予太に
弟弟子がやってきました。
優れた才能がある芳太郎と接して伊与太の心が揺れます。

龍之介と鉈五郎は上役に内部に押し込みに通じている者が
いると、その探索をするよう命じられます。
ようやくに九兵衛とおてんとは夫婦になっています。
おてんの実家の魚佐が押し込みに狙われているようです。

漬物やのおとよは一人娘です。
親の勧める縁談が嫌で手代の信助と強引に結婚しました。
その時に信助の昔犯した罪を聞きました。
店は順調に成長しました。
信助と気が合わない店主が殺害されました。
おとよは夫が犯人ではないかと悩みます。

茜は辛いのになぜ必死に奉公しているのでしょうね。
親も帰ってきてもいいと言ってくれているのに帰ってきません。

伊与太もこれからどうなっていくのでしょう。
伊佐次の娘のお吉は髪結いの修行中です。

作者の宇江佐さんはお亡くなりになったそうです。
あとこのシリーズはたぶん残り1冊です。
ずっと登場人物の生き方を追っていきたかったのに残念です。

乱鴉(らんあ)の島

2017-05-14 21:00:00 | 

有栖川有栖著"乱鴉(らんあ)の島"を読みました。
この本、つい最近読んだことあると読み始めて
気づきました。
ところがどんな結末だったかすっかり忘れて
いました。
クローズド・サークル(孤島)物です。
臨床犯罪社会学者の火村とミステリー作家の
有栖川有栖は火村の下宿のお婆ちゃんの紹介で
三重県の賢島の近くの島の宿に休養に行くことに
なります。
漁船にのって烏島に着きました。
しかし目指す宿はありません。
烏(からす)島と読んだのは実は鳥(とり)島であり
烏(からす)島と呼ばれる島もあったというわけです。
島を間違えて到着してしまい迎えの船もきてくれない
二人は有名な作家の所有する館に泊めてもらうことに
なります。
一軒しかない島の家に多くの人が集まっていました。
藤井という過去にクローン作りで世を賑わせた医者、
拓海、鮎という10歳の子供たちとその叔父や叔母、
その他の人物達が何が目的か集まっています。
そこへヘリコプターでカリスマ経営者と言われる
初島がやってきます。

初島の目的は自身のクローンを藤井に作ることを
承知させることです。
彼は集まっている人々は藤井にクローンを作ってもらう
ことだと思っています。

館の管理人夫婦の夫の木崎信司が殺されているのが
初島が借りていた家で見つかります、
初島は見つかりません。

犯人と見なされた初島は翌日に死体で見つかります。

なぜ人々は集まっていたのか、犯人は誰なのでしょう。

結構クローズド・サークル物は好きで読んでます。
クローンで作られた人は自分自身ではあるまいし、思いの
ままに出来るわけでもなく、結局別人格でしかないのに
作りたいとはどういう感覚なんでしょう。
でも近い将来には実現するでしょうね。

浮雲 心霊奇譚 赤眼の理

2017-05-13 21:00:00 | 

神永学著"浮雲 心霊奇譚 赤眼の理"を読みました。
時代小説です。
お小夜は夜道を歩いていて幽霊に出会いました。
それ以来幽霊に憑かれました。
弟の八十八は姉を心配して憑き物落としに頼みに
行きました。
目を布で覆って赤い目を隠しています。
名前は八十八がつけて浮雲と呼ぶことになります。
最初はぐずぐずと嫌がるのですが引き受けたとなると
しっかりやってくれます。
17年前子供を身ごもっていた加代は殺されました。
夫の伍郎は絵師でした。
赤ん坊は加代が斬られた後、伍朗が取り出しました。
伍朗も殺され赤ん坊は呉服屋に引き取られ育ちました。
八十八は十七歳、絵師になることを目指しています。
この出来事は八十八の出生の秘密を明らかにしました。
姉は憑き物が落ち、加代は去りました。

柳の木の下に現れた幽霊は武家屋敷の中へ入って行きました。
八十八はそこで木刀を構えた萩原伊織に出会いました。
彼女の兄の新太郎は眠り続けています。
幽霊は娼妓のお露です。
殺されてもなお慕う男の元へ現れます。

新太郎は眠りから目を覚ましました。
武士の幽霊を見ました。
隣の青山家から悲鳴がして女中が切り殺されていました。
掛け軸があってぼろぼろのかっこうの武士が切り落とした
四つの首を下げている図が描かれています。
作者は狩野游山です。
青山家で起こった事件が元で殺人が起き、幽霊があらわれました。
恵に呪いをこめた游山と浮雲とはいわくがありそうです。

なかなか素直に動こうとはしない浮雲ですがいい人そうです。
八十八、伊織、それに薬売りの土方歳三とおもしろい登場人物達です。
次作があるようです。

魔術師 (イリュージョニスト)

2017-05-12 21:00:00 | 

ジェフリー・ディーヴァー著"魔術師 (イリュージョニスト)"
を読みました。
リンカーン・ライムとアメリア・サックスが活躍するシリーズ
の一冊です。
今回の対戦相手はイリュージョニストです。
音楽学校生が殺されました。
犯人は側にいたのに閉ざされた部屋にいるように見せかけて
逃げました。
続いて男性のメイクアップアーティストが殺されました。
三人目の乗馬中の女性は危ういところを場所を特定した
警察によって助けられました。
犯人はまだ犯行中だったのですが別の顔、別の服装で
通りがかりを装おうとしました。
犯人はイリュージョンのプロだと判断したライムらは
イリュージョニストに聞いてまわります。
イリュージョンの修行中のカーラがライムたちを
手助けすることになります。
一旦は捕まった犯人は手錠を数秒ではずして逃げました。

検事補のグレイディは捕らえた極右武装組織の指導者の
コンスタンブルを有罪にすべく努力しています。
グレイディは命を狙われています。

やがて犯人の名前や過去がわかります。
過去の出来事に関係した人を恨んでいます。

犯人による誤導(ミスディレクション)に継ぐ誤導です。
あっという間に顔から服装まで姿を変えますからどんな人を
追ったらいいかわかりません。
捕まえても簡単に手錠、足枷をはずしてしまいます。
犯人の先を読んだとしてもそれは犯人に誤導されている
のかもしれません。

ライムの家に押し入ってきて危うく殺されそうになる場面も
あります。

カーラはイリューシンの知識を駆使してライムらをよく助けます。

アメリアや読者をそんなことあるのかと驚愕やがっかり
させる場面がいくつかあります。

犯人の正体はまたまた驚かされるものでした。

体を切ってその間に逃げるための道具を隠しもっているとか、
寸時に姿を変えるなどあまりにも現実離れしているので
冒険小説めいています。
帯には法月倫太郎さんが怪盗ルパンか怪人二十面相かと書いて
みえます。
ジェフリー・ディーヴァーの作品は本当におもしろいです。

案内の画面表示

2017-05-11 09:29:02 | コンピュータ
30年以上も前の話しです。
バスに乗っていて運転席の横の上部にディスプレイが
あって、次の停留所が表示されているのを見て
思い出しました。
まだ電車の駅にもバス内にもこのような設備が
なかった時代です。
次の到着時刻や駅名表示を画面上だったか電光掲示板
だったかに表示させたいという仕事の依頼が当時働いて
いた会社にありました。
実際に作って欲しいというのではなく画面表示の
サンプルをプレゼン用に作って欲しいというものでした。
その仕事の一部が私にまわってきました。
絵を描いてその一部を動かすものです。
Z80だったか8085だったかそれ以外の
アセンブラーだったか忘れましたがアセンブラーで
書いて石に焼くというかなり原子的な作業でした。
左側に池があり右から電車が池の手前まで走っていって
止まるというものです。
さて出来上がってのテストです。
電車が走り始めました。
池の手前で止まるはずでした。
みんなで見守るなか、電車は止まらず池の中へ進んで
行ってしまいました。
水陸両用かとみんなに大笑いされました。
止まる条件を見直し次回のテストでは止まりました。

この仕事がどうなったのか知りません。
当時実用化されたものを見たことも聞いたこともありません。
ぼつぼつ目にしはじめたのは十年以上もあとだったのでは
ないでしょうか。
今では当たり前のようにどこにでもあります。
こういうものを目指していたのだなぁとあの当時のことを
思い出します。
作りたいと思った人々は先見の明があったのだと思います。
時代が早すぎたのかもしれません。
(この話前にも書いたことあるかなぁ。そうだったとしても
またそっと読んでください)

テンペスタ

2017-05-04 10:43:16 | 

深水黎一郎著"テンペスタ"を読みました。
小学校4年生の姪を夏休みの一週間預かることに
なった美術の非常勤講師を務める賢一の話です。
田舎に住む姪のミドリは五番以内の成績になったら
東京に行かせてもらえる約束をしました。
見事約束を果たし、弟の竜二からミドリを一週間
預かって欲しいと頼まれました。

やってきたミドリは大人の健一が言い負かされる
口達者です。
子供が行きたがる観光地には目もくれず江戸時代の
処刑地や墓などを賢一を連れて巡っています。
知識欲は旺盛で星の話や賢一の仕事でもある西洋の
絵画のことも話せば聞いています。
お寿司や鰻など高級な食事にも連れて行かされます。
疲れはてた賢一はあと1日と帰る日を待っています。

大人を引き回す女の子と大人との中身の濃い夏休みの
日々を描いた物語だと思っていたら終盤でとんでもない
ことになります。
弟の竜二夫婦が交通事故で亡くなったとの連絡が
入ります。
思いもかけない出来事が続いて起きます。
ミドリの運命はいかに。

賢一とミドリの東京生活を描いた部分は楽しいです。
ちょっとばかりミドリの元気さに辟易となるところは
あります。
あとの話は登場する大人たちの勝手さが目について
むかっとします。
賢一にしたってそんなことしたらどれほどミドリが
傷つくかわからないのだろうかと思わされます。

悪魔の涙

2017-05-03 10:20:03 | 

ジェフリー・ディーヴァー著"悪魔の涙"を読みました。
リンカーン・ライムシリーズの著者です。
この本にライムはちょっとだけ顔を出します。
今回の主役は元FBI科学犯罪文書研究室捜査官で現在は
家で子供二人を育てながら文章検査士をしているパーカー・
キンケイドです。
ディガ-と呼ばれる殺し屋が人の集まる場所で発砲し多くの
人が亡くなりました。
ワシントン市長宛にお金を求める脅迫状が届きました。
払わなければ4時、8時、零時にディガ-が発砲すると
ありました。

ひき逃げされた人物がありこの人が脅迫者だと見られました。
ディガ-はこの人物に命じられたまま行動して自分では
考えることが出来ません。
ディガ-の次の発砲場所を突きとめ逮捕するためパーカーに
文章鑑定の依頼がありました。

捜査の指揮を執るのはマーガレット・ルーカスです。
FBIと警察の連絡係としてレン・ハーディーが派遣されて
きます。
次の場所を突きとめますがディガ-は逃げてしまします。

脅迫者が潜伏していた家を突きとめますが、襲撃にあって
家は火に包まれ刑事たちはかろうじて逃れます。
その時に脅迫者が書き残した襲撃場所のメモの焼けたものが
手に入ります。

このメモが解析されます。
その次の場所を突きとめる作業をしている時にパーカーは
息子が怯えていると連絡があり家に戻っています。
ここだと確信した場所に赴きますがよく似た名前の別の
場所が襲われました。

最後の場所へと彼らは向かいます。

ディーヴァの作品らしく終盤はびっくりする展開です。
この犯人の頭の良さに感服します。
いろんな場面を想定してそれが起こった時の対処の仕方を
考えてあります。
ディガ-という思う通りに動いてくれる人があってこそとは
思います。

パーカー、ルーカスらの証拠から真実を求めようと没頭します。
悪魔の涙とはアルファベットの i の上の点が下の方が膨らんで
涙のように見えることです。
脅迫状に使われていた i の字の点がそうなっていました。

現在の話であるのに脅迫状が手書きでパソコンで書かれたもので
ないのが不思議です。
たとえ偽の証拠を残そうとしたって手書きではどうしたって
真実の証拠を残しますのにね。
FBIってこんなにセキュリティが甘いのかとも思います。
こういうようにあれっと思う所は所々ありますがおもしろい
作品であることは間違いないです。