雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

写楽・考 蓮丈那智フィールドファイルⅢ

2011-11-30 22:45:24 | 
北森鴻著"写楽・考 蓮丈那智フィールドファイルⅢ"を読みました。
前にを読みました。図書館の棚にⅡがなくⅢを見かけ
たので借りてきました。
民俗学の助教授蓮丈那智のいくところいつも事件が
起こります。
Ⅲになっていつの間にか登場人物が増えています。
助手の佐江由美子と教務主任の高杉康文です。
教務主任はⅠの時も三國がフィールドワークの費用を
もらいにいっては予算オーバだと怒られていましたが
Ⅲでは物語にからんできます。
蓮丈那智助教授は相変わらず頭が切れ、自分の思うとおり
突き進むという人です。
助手の内藤三國は那智にふりまわされています。
民俗学について語られる場面が多いのですがやはり
理解できません。どこまでが認められている事柄か
作者が作り上げた話なのか区別がつきません。
あまりにもすべてが事実のような顔をしていて
困ります。

"憑代記(よりしろき)"
三國の写真が撮られ水に沈められたり釘で打ち付けられ
たりひどい目にあっています。
人形を寄付したいのでどういうものが調査して欲しいと
依頼があります。
三國と佐江が見にいきます。
持ち主が殺される事件が発生します。

"湖底祀(みなそこまつり)"
円湖に沈んだ鳥居が発見されます。村では観光資源に
したいと考えています。

"棄神祭(きしんさい)"
旧家の執事の瀧川は今は高齢で認知症が現れています。
祭りの日に殺されました。
彼はなぜ殺されなければならなかったのか。

"写楽・考"
式直人の名前で意表をつく論文が雑誌に発表されます。
現実にいた式直人は行方不明です。
屋敷にあった未発見のフェルメールの絵がなくなっています。
家に出入りしていた骨董商に美術商、ただ一人の身内の
姪が身近にいた人です。
教務主任の高杉は学生時代に那智といっしょに民俗学を
研究していたことが明らかにされます。

ミステリーの部分だけ抜き出せば結構単純なんですが
これに民俗学がまといつくとややこしくていったい
何からこうなったんだったかわけがわからなく
なります。

感じたこと

2011-11-30 13:39:31 | コンピュータ
世の中にはマニアルやハウツー本があふれています。
高い料金を取って接客態度を教えている所もあります。
そうやって身につけたものがしっくりと自分のものに
なっていればきっとすばらしいことでしょう。
なかには形だけが体に貼り付いていると思う人に出会います。
よほど素の自分を出した方がいいのじゃないと思う人が
います。
そういう外見を押し付ける経営者は外見だけ整えばそれで
いいんだと思っているのでしょう。
でも形だけというのはわかってしまうものです。
乱暴でもきちんとしていなくても本心から話す言葉には
力があります。
自分で身につけたものではないものは心に響いてきません。

RUN RUN RUN

2011-11-29 19:49:37 | 
山下 卓
徳間書店
発売日:2006-03

山下卓著"RUN RUN RUN"を読みました。
前に読んだ"RUN!RUN!RUN!"を図書館に予約した時に
そっくりな題名の本があってこちらはどんな話なのか
興味を持って読んでみました。
表紙に"真冬の夜 偶然の出会いから、唐突な旅へ出た・・・
わたしたちの逃避行"とあります。
RUN RUN RUNとあるから3人でいっしょうけんめい走る
話なんだろうと思っていました。
ちょっと違いました。
最後に3人で走る場面はありますからそのことを差して
いるんでしょうね。
ルナは24歳、キャバクラに勤めていますが華やかな時を
過ぎてヘルプを務めることが多くなりました。
落ち込んでバッテイングセンターで球を打っていた時に
高校生のマコトに出会います。
夜にふらっと歩いていてほって置けなくて声をかけます。
ルナの蹴った缶がマリコに当たります。
29歳雑誌編集者のマリコも問題を抱えていて泣いて
います。
ルナが3枚の宿泊券をもらっていたことから3人で車で
新潟の温泉をめざします。
運転は免許を持っているマリコがします。
夜中に高速を走ります。
問題を抱えた3人が遠慮なしに言い合い、しだいに打ち
解けていきます。
一番若いマコトが一番深い傷をおっています。
陸上競技の選手として突如現れ、スター選手となりそして
マスコミやまわりの人々に押しつぶされてしまいました。

夜中に寒い日本海の海岸で語り走る3人でした。
会ったばかりの3人が仲良くなっていくのが自然で
とても楽しそうです。
こんなふうにおもいっきり笑い合える人が側にいれば
明日は開けていくのではないかという気になります。

本の整理

2011-11-28 20:59:54 | 日常の出来事
年の暮れになるとたまった本を売りに行きます。
本はほとんど図書館で借りて読みますからめったに
買いませんが1年経つともう読むことがないだろうと
いう本がかなりたまります。
燃されたり再生されたりと、本としての役目を終えて
しまうぐらいなら誰かにまた読んでもらいたいと思います。
高く買って欲しいとは思いませんが、でも1冊5円は
あまりにもひどい査定です。
結構、売りに行くのは嫌な気分です。
持って行く気がうせました。もう来年からは止めます。
町内会の回収にだせば町内会費に組み込まれます。
本として生き残れるかは回収業者さんが本屋さんへ
売った方がもうかると思うかどうかです。
生き残れるといいねぇ。でも5円ではだめだねぇ。

寒くなってきました。
先週の金曜日の11月25日に初めてファンヒータの
スイッチを入れました。
今日も考えてみれば寒いのですが暖房を入れようとは
思わなくて過ぎてしまいました。
これから入れます。

あくじゃれ瓢六捕物帖 べっぴん

2011-11-27 21:28:18 | 
諸田玲子著"あくじゃれ瓢六捕物帖 べっぴん"を読みました。
図書館の棚にあった本をふっと手に取り借りました。
おもしろかったです。
時代小説はなんか似通った雰囲気があります。
この本もそんな1冊ですが楽しめました。
瓢六は美しい顔で唐絵目利きです。
美術品の値打ちがわかる人です。
芸者のお袖と好き合っていっしょに暮しています。
博打で牢に入れられたことがあり同心弥作衛門と知り合い
捕物の手伝いをするようになります。
一膳飯屋の亭主杵蔵は腕のいい板前ですが過去にいろいろ
あり裏の世界で知られています。
宗太、作次郎、ちえ婆が店を手伝っています。

時代は凶作続きでお米がありません。
米屋に討ち入る事件が頻発しています。
それに便乗して大金を盗まれる事件が発生します。
犯人は若い女であることがわかっています。
その女がきねへいの杵蔵のまわりをうろうろして杵幣に
陥れるまねをしかけます。
杵幣の過去が関係しています。

瓢六はお袖からしばらく離れて事件を追いながら
自分の人生をかんがえます。
杵幣はまったくしらないうちに深く恨まれていました。
最後は悲しい結末ですが、これが一番いい結末でも
あります。

登場人物に親しみが感じられます。
身近に感じられる人たちでした。

ふにゅう

2011-11-25 20:29:11 | 
川端 裕人
新潮社
発売日:2004-07-23


川端裕人著"ふにゅう"を読みました。
5編の短編集です。
どの話もお父さんと子供、家族や子育てをテーマに
しています。
"ふにゅう"
母乳を飲んでいる赤ちゃんとお母さんの幸せそうな様子を
見て自分も赤ちゃんにおっぱいをやりたいと望んだお父さん
がとった行動は危険なことでした。
結果1度だけおっぱいをあげることができたんです!
本の題名のふにゅうは父乳です。

"デリパニ"
ニューヨークで働くハルキはソフィアと結婚しました。
赤ちゃんがまもなく生まれます。
ニューヨークでは出産に立ち会うのが当たり前です。
ハルキは血を見るのがいやで本当は立ち会いたくは
ないです。

"ゆすきとくんとゆすあしちゃん"
知り合いの結婚式に出席した後、息子の悠斗がママと結婚
すると言い出します。
むきになってママとは結婚できないのだとわからせようと
する父親です。

"桜川エピキュリアン"
息子と二人暮らしの父親です。お風呂にいっしょに入ったり
いっしょに寝たりとスキンシップに快感を感じています。
学生時代のホモの友人の慎一郎に会って体つきをからかわれ
ます。息子が女性と男性の区別がつかなくよ、と言われます。
体型を変えるためスポーツジムで頑張ります。
数ヵ月後には脂肪は筋肉に変りました。

"ギンヤンマ、再配置プロジェクト"
ママは仕事に生きがいを見出しています。
一月の海外研修に小さな息子と娘を夫に託して行って
しまいました。
仕事をしながら子供を保育園に預けて奮闘します。
博士は研究職でしたが事務職へ移動して子供たちの
世話をします。

どの話もお父さんと子供の話です。
そういえばこういう父親を描いた本ってあまりありません。
子育てはため息がでるほどたいへんですね。
それ以上に幸せな部分もあるようですけど。
子供が産まれて育児休暇を取っている間に会社が倒産して
しまいこのまま主夫をしたいと言う夫に、奥さんが夫と妻の
役割を分離した生き方はよくないと諭している話があります。
妻が仕事こそ自分を表現出きる場所と仕事にのめり込んでいる
のに、そうは思えなくて転籍することに抵抗のない夫がいます。
この本に出て来る女性はみんなとてもバイタリティが
あります。一般的に語られる男女が反対になっている
感じがします。
この本のように男性も子育てに関わるほうがいいのだと
思います。
ちょっと変った本でした。

ロマンス

2011-11-24 19:28:00 | 
柳 広司
文藝春秋
発売日:2011-04


柳広司著"ロマンス"を読みました。
読み終わってからロマンスという題名を見ると内容と
合ってないなぁと感じます。
読み始めてしばらくはいつの時代の話なんだろうと
思っていましたがちゃんと章の所に昭和8年と書かれて
いました。
おもな登場人物は華族の人たちと特高警察です。
帯にミステリーと書かれています。
ミステリーだと思わず読んでいました。
事件が起こって犯人を探すというタイプのものとは違います。
退廃と享楽に彩られた帝都の華族社会・・・と帯に書かれて
います。
ロシア人の祖母を持った子爵の朝倉清彬が親友の伯爵家の
多岐川嘉人にカフェーに呼び出されたところから始まります。
カフェーには首を刺された男が死んでいます。
清彬はフランス生まれで両親が事故で亡くなる10歳まで
フランスで暮しました。
嘉人は軍人です。清彬は嘉人の妹の万里子に結婚を申し込む
つもりでしたが父親の多岐川伯爵に外人の血を持ったものは
許さないと反対されました。
清彬は大叔父と特高警察からスパイになれと言われます。
どちらも断ります。
天皇をないがしろにしようとする一派、共産主義の人々
軍隊や特高といった不穏な空気が流れています。
万里子が華族グループの共産主義の仲間だと警察に
捕まります。

当時の華族社会が描かれています。
食べるにも困る人々がいるのに優雅に暮しているわけ
ですが幸せそうではありません。
閉塞感がひしひしと伝わってきます。
それでも華族から抜け出しては生きていけないのでしょう。
なんだか息がつまるようなどうにもならない社会で、
何もできないし何をしてもしょうがないという感じが
します。ただ流れのままに生きていくしかしょうがない
と思わせる世の中です。

自由奔放にフランスで生きた清彬の両親の方が
ずっと人間らしくみえます。
清彬はこの後どうやって生きたのでしょう。

身をつくし 清四郎よろづ屋始末

2011-11-23 19:43:10 | 
田牧大和著"身をつくし 清四郎よろづ屋始末"を読みました。
時代小説です。
章ごとに分かれた話になっていますが全体を通しても
話はつながっています。
清四郎は前は南町奉行所に務めていましたが今は町で
よろず屋を開いてほそぼそと生きています。
わだかまりを抱いて生きています。
昔の知り合いの与力の木暮、同心の松田、煮売屋の女将
のお染らが清四郎のまわりにいます。
いろいろな仕事が持ち込まれます。

"おふみの簪"
簪職人の平治が相模屋から依頼された簪をだめだと
返されることが続きます。
そのうち平治が相模屋の女中につきまとっていると
つかまってしまいます。
平治のため奔走します。
この話はどうもふに落ちません。

ねたばれで書いてしまいます。
平治は数年前相模屋の妹だと知らずにおふみと会って
いました。
おふみはかたむいた相模屋のため助けてくれる相手と
結婚することが決まっていました。
平治はそのことを知りません。
心をこめて作った桜の簪を平治からもらいました。
おとせは黙って平治の前から姿を消しました。
体が弱かったおふみは数年後に亡くなりました。
婚家ではおふみは大事にしてもらっていました。
相模屋は何も知らされていない平治にずっとおふみの
ことを思っていて欲しいのです。
なんて勝ってなことをいうのだろうと思います。
おふみも罪なことをするもんです。
私にはわからないですが出合っただけでも幸せという
気持ちの二人なんでしょうか。

"正直与平"
与平は小間物の行商人です。酒饅頭を買い茶屋で休んで
いた時に酒饅頭を取り違えられます。
中に入っていたのはお金です。
与平は清四郎に自分の荷物を見つけ出して交換してきて
欲しいと頼まれます。
取り違えたのは赤ん坊づれの二人の侍です。

"お染観音"
煮売屋のお染が関わった事件です。
井筒屋の隠居が殺されます。犯人は女房のお登瀬だと
思われますがお染がずっといっしょにいたと証言します。
あげぐに自分が殺したといいだします。

清四郎は南町奉行から勘定奉行が金の分量をごまかした
小判を作っていることを知らされました。
南町奉行は勘定奉行から50両の口止め料をもらいました。
そのことを清四郎に訴え出るように頼みます。
自分は世話になった勘定奉行を訴えることはできない。
勘定奉行に殉ずる覚悟で部下に命じました。
清四郎は頼まれたとはいえ奉行を訴えたことから抜け
出せずにずっと苦しんでいます。
木暮、松田、お染、みんながそんな清四郎を心配して
います。

みんながいい人です。暖かい気分になれます。
シリーズ物かと思いましたがそうではないようです。

オー!ファーザー

2011-11-22 21:27:39 | 
伊坂 幸太郎
新潮社
発売日:2010-03

伊坂幸太郎著"オー!ファーザー"を読みました。
由紀夫には父親が4人います。
もちろん血がつながった父は一人です。
この本を読む前にRUN!RUN!RUN!を読んだので4人の
いいところを取り出して遺伝子操作された子供なのかと
錯覚してしまいました。
そんなSFじみた話ではありませんでした。
お母さんが4人と男と同時に付き合っていて由紀夫は
誰の子なのかわかりません。DNA鑑定すれば本当の父親が
わかりますが誰もはっきりさせようとはしません。
1軒の家で4人の男と1人の女と高校生の由紀夫が
仲良くいっしょに暮してきました。
4人の父親は
鷹:賭け事が好き。賭け事が仕事?
葵:バー経営 女性に声をかけるのが好き
勲:中学教師 体育の教師? スポーツ・格闘技が得意
悟:大学講師 知性派 何でも知っている

お母さんはこの本の中ではほとんど登場しません。
残業か長期出張で不在です。父と息子の話です。
由紀夫は頭が良くスポーツも得意です。
4人の父親にいろいろ教えられています。

自称ガールフレンドの多恵子はクラスメートです。
クラスメートの小宮山が長期欠席しています。
野球部でいじめられるタイプではなく引きこもると
いうのが信じられません。
選挙戦中の知事選挙は二人の対立候補で白熱しています。
中学の同窓生鱒二は不良にまといつかれて由紀夫に
救いを求めてきます。
鷹に連れられて行ったドックレース場で鞄すり替え
を目撃して事件に巻き込まれていきます。

2/3ぐらいまで話がどちらの方向に進むのかわから
なくてたいくつでいらいらしました。
残りでスピードアップして話は進みます。
それまでに張られていた伏線もぴったりと収まって
みごとにまとまりました。
この本はミステリーのジャンルなんですね。
家族を扱った話だという先入観で読み始めました。

父親たちと由紀夫との交流部分は楽しいです。
それぞれ与えるものが違う4人の父親がいてずいぶん
お徳です。
それでも全体の流れがおもしろかったとはいえません。
中学、高校生活を描いた部分は重苦しくてこんな
学生生活は嫌です。

RUN!RUN!RUN!

2011-11-21 20:08:05 | 
桂 望実
文藝春秋
発売日:2006-11


桂望実著"RUN!RUN!RUN!"を読みました。
ねたばれなしでは話しにくいのでねたばれです。
読んでみようという方はご注意を。

岡崎優は走ることが好きです。
裕福な家庭に生まれ育ちました。
二つ上の兄は医学部の学生です。
これまで常にトップの成績で走ってきました。
毎日体の状態や食べたものの記録をつけてます。
お父さんが長距離選手で箱根駅伝でリタイアした経験が
あり自分の夢を優にたくしています。
お母さんはお兄さんしか注目していません。

優の大学は新興大学で陸上部も昔からのしがらみは
ありません。最新の練習メニューを提供して部員を
サポートしてくれます。
優は陸上は個人種目といって部の仲間と交わろうとは
しません。
部員の岩本は優が拒否しても仲間として接してきます。
熱を出して寝込めば食事を作りに来てくれます。

兄が電車に轢かれて亡くなります。
自殺の可能性が強いです。
お兄さん一途だったお母さんは精神に異常をきたします。
正常でなくなったお母さんが兄弟の出生について話します。
遺伝子を操作して兄はお母さん好みの子に、弟は
お父さんが望む子に作られたのだと口にします。
お兄さんはそれを知ってしまったための自殺の可能性が
あります。

優の望みは箱根駅伝を走り、オリンピックに出ることです。
箱根駅伝にはDNA鑑定が取り入れられる見込みです。
優はそれを怖れて駅伝の出場を辞退します。
その代わりに補欠選手になった岩本のサポートをする
ことを命じられます。
誰かのために何かをするという意識がない優ですがしかた
なしに練習に付き合うことになります。

遺伝子操作という問題と、同じスポーツをする仲間と
交わって成長していくのだということを描いた物語です。
まだ今の技術で思いのままに人が作れるという話は
聞きませんがいずれできる様になるかもしれません。
そんなことしてもいいのかという課題はこれから
議論されるでしょう。

優は変ります。自分で意識して変ったのではなくまわりの
人たちによって変えられたといっていいでしょう。
いつの間にか変ったという部分は自然でいいです。

出生をカミングアウトした後は後進を指導する立場に
なります。
さまざまな困難が有りましたが仲間が支えてくれした。
なかなかいい本でした。

ドクターM殺人事件

2011-11-20 18:53:03 | 

吉村達也著"ドクターM殺人事件"を読みました。
とてもおもしろかったです。
最近のミステリーはあまりおもしろくありませんが
この本には納得できます。

雪に閉じ込められた山荘物です。
逃げ出せない状況下で次々人が殺されていく話です。
集まったのは5人、総理大臣から相談したいことがあると
いう手紙をもらって集まってきた人々です。
場所は長野のまわりに何もない山奥です。
やってきたのは次の5人です。

推理作家の校條(めんじょう)賢一
俳優の御木本和彦
英会話講師トーマス・ムーア
僧侶の槇原慈紹
水泳の金メダリストで二十歳の水野勝海
送ってきた車は5人を置いて帰ってしまいました。

奇巌城と言われている山荘は宿泊設備はなく食料も
ありません。あるのはカップラーメン10個のみです。
1階のみ暖房器具があり暖められています。
2階の鍵の掛かったへやを押し破ると犯人は二人と
書かれています。
お互いに疑心暗鬼になりパニック状態です。
外は嵐のような吹雪で雪が降り積もります。

最初の殺人は一番若い水野です。
人生経験の浅い水野がなぜこのような恨みをかうことに
なったのだろうと話に引き込まれていきます。

犯人が犯罪を起こす理由に納得がいきます。
どうしようもない激しい怒りや悲しみが基になって
いることがわかります。
かといって殺人を起こせば自分自身がまた怒りや
悲しみを残された家族や知人に与えることになり
つきることのない連鎖を引き起こします。
結局全員が死亡します。

読者に対しては真実は明かされますが、本の中
では真実は暴かれずに数人の人の胸のうちに
おさめられます。
Mというのは登場人物の頭文字がすべてMという
ことでつけられたものです。

公事宿事件書留帳 比丘尼茶碗と無頼の絵師

2011-11-19 20:49:45 | 
澤田ふじ子著"公事宿事件書留帳 比丘尼茶碗"と""公事
宿事件書留帳 無頼の絵師"の2冊を読みました。
シリーズになっていて10冊以上出版されているようです。
これも順番でなく適当に選んで借りてきたのでところ
どころ話の流れがわからない所があります。
それでもさほどのことではありません。
公事宿とは事件を起こして裁判を待っている人を置いて
おく場所です。牢屋のように部屋に入れられて自由では
ありませんが大切に扱われます。
公事宿を営む人は今でいう弁護士のような仕事をして
います。
連作短編集です。
公事宿鯉屋に居候している田村菊太郎がたぶん主人公です。
団子屋の美濃屋を経営しているお信が恋人です。

鯉屋の人たちといろんな事件に立ち向かいます。

おもしろくないことはないのですが読みづらいです。
たぶん文章に慣れていないからでしょう。
このシリーズが好きと思えたらいいですよ。
たくさんありますからずいぶん楽しめます。
これから先、別のものを読むかどうかわかりません。

比丘尼茶碗の最初の"お婆の斧"は迫力あります。
70過ぎのお婆さんが隣で寝ていたお爺さんを斧で
殺そうとして失敗して怪我をさせ鯉屋へ来ることに
なる話です。
結局はお婆さんの勘違いから起こった事件だったの
ですが長年連れ添った相手を殺すまでに激怒させる
お爺さんの行動とはなんでしょう。

しゃばけ

2011-11-18 20:23:24 | 
畠中 恵
新潮社
発売日:2001-12


畠中恵著"しゃばけ"を読みました。
一太郎の若旦那のシリーズは何冊か読んでいます。
順番に読まずに適当に読んできたので理解するのに
ちょっと苦しい時があります。
この話は前に読んだものの途中の話です。
順番に読まなくても楽しめるのですがやっぱり流れに
沿って読んだ方がいいようです。
正直言って若旦那のシリーズ物、そんなにおもしろい
ものではありません。
それでも結局は読んでいます。
肩がこらない気分転換にちょうどいい本です。

今回は一太郎の出生時のことが語られます。
一太郎の母違いのお兄さんがいることもでてきます。
いつもの妖怪たちが登場してます。
一太郎の側にいる仁吉に佐吉の二人。
一太郎がだまって外に出歩く時に身代わりになって
いた屏風のぞき。
ばれて仁吉にこてんぱんになぐられ屏風を壊されそうに
なってすねてしまいます。
やなりたちもかわいいです。

あと少しでつくも神になれた墨壷が、必死でつくも神に
なろうとして起こした事件に一太郎は巻き込まれて
いきます。
その過程で自分の秘密を知っていきます。


最近パソコンの調子が悪くて。
固まってしまって動かなくなったり、シャットダウン
が出来なくてしょうがないから電源落としたり、
非常に遅くなったりと、いらいらします。
壊れたらどうしようとひやひやしています。

かけら

2011-11-17 20:32:00 | 
青山 七恵
新潮社
発売日:2009-10-01


青山七恵著"かけら"を読みました。
"かけら"、"欅の部屋"、"山猫"の三篇から成ります。
なんでもない話だったり、生活の中でありそうな話です。
読み終わってそれでどうした、と言ってしまいそうです。
こんな話が自分の状況と合って心がちりちり痛むという
人がいるかもしれません。
あいにく私はふうーんと読み過ぎてしまいました。
読む人を選ぶ話だと思います。

"かけら"
家族5人で出かけるはずだったさくらんぼ食べ放題の
バス旅行に父親と二人で出かけるはめになった女子大生
の話です。
父と娘は話がはずみません。

"欅の部屋"
諒介は大学生の時に小麦と付き合っていました。
諒介のアパートの一階下に小麦が引越してきました。
小麦から言い出されて別れました。
しかし二人とも引越しませんでした。
ばったり出会うのを避けて暮していました。
4年経って諒介は別の女性と結婚することになりました。
小麦のことを思い返しています。

"山猫"
西表島に住む叔母から東京の大学へ行きたいという
高校生の従姉妹を数日泊めて案内して欲しいと頼まれます。
杏子は新婚です。
あいそのない従姉妹との数日間の出来事を描いた話です。

読んで楽しい気分になる本ではありません。
たぶんピタっと気持ちが合うという時はないと思います。
10/27

愛蔵版 初ものがたり

2011-11-16 19:46:14 | 
宮部 みゆき
PHP研究所
発売日:2001-05-24


宮部みゆき著"愛蔵版 初ものがたり"を読みました。
宮部さんの本はあまり読みません。読みづらくて。
でも中にさらっと読める本があります。
この本はそんな中の1冊です。
江戸時代の話です。
岡っ引きの茂吉には20歳の糸吉と45歳で元坂問屋の
番頭をしていて首になった権三の二人の下っ引きがいます。
事件物で連作短編集になっているのかと思いましたが
そうではないです。
事件も起きるのですが全体に話はつながっています。
富岡橋のたもとの屋台で稲荷寿司と汁物や煮物、焼き物、
はては菓子まで作って売っている親父が出てきます。
なにか訳ありなこの人、いったい何ものだろうと興味を
引きます。
茂吉は火盗改めに関係していた人ではないかと推測
しています。
よくここへ行ってはしゃべってヒントをつかみます。
出て来る食べ物がおいしそうです。
夜更けに夜空を見ながらおいしいものを食べるのは
なんかいいなぁと感じます。

霊感坊主という子供も出てきます。
実際に見える部分もあるらしい子なんですが両親に
振り回されあげく大怪我までしてしまいます。
稲荷寿司の親父が誰なのか結局明かされていません。
もしかしたら続きがあるのかもしれません。
でも知らなくてもいいか、とも思います。
NHKで放映されたと最後に書いてあります。
私は見てないです。

最後の章の糸吉の恋は愛蔵版に追加されたものだ
そうです。10/27