雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

名古屋音楽大学カレッジオペラ "フィガロの結婚"

2012-12-26 21:44:58 | 映画
名古屋音楽大学のカレッジオペラ"フィガロの結婚"を
観てきました。
17時から20時までの3時間です。
場所は名古屋音楽大学の成徳館12階のりっぱな
舞台です。
出演者は学生か卒業生だそうです。
歌は原語ですが大きな歌と歌の間の会話のような
感じの歌は日本語です。
原語の時は上部の垂れ幕に字幕がでます。
オペラはフィガロの結婚しか観たことがありません。
フィガロの結婚だけは好きで過去に何回か観ました。
学生さんたちだというので劣っているのかなと思って
いましたが本当にうまいものです。
歌もいいし演技もりっぱでした。
無料なんです。
席はかなり空いていました。
なんでこんないいものをもっとたくさんの人が観ないん
でしょうね。

鍵が消えた

2012-12-26 12:01:44 | 日常の出来事
用事があって自転車で出かけました。
用が済んでさて帰ろうとポケットに鍵をさがしました。
ありません。
バックに入れたのかとバックを引っ掻き回して探し
ましたが見つかりません。
鍵を紛失したようにどこか別次元へ飛んで行ったかと
思いました。
今回は鍵をかけたというはっきりした認識が残っていなくて
どこへ入れたかという記憶もありません。
年は取りたくないものですね。
再度ポケットをさぐるとなんとポケットに穴があいていて
穴から落ちてコートの下の方に鍵がありました。
あぁ、やれやれ。
予備の鍵を取りに家まで歩いて帰ってまた戻ってこなければ
いけないのかとうんざりしましたが助かりました。
さっそくポケットは繕っておきました。

今日は東京へ行ってきました

2012-12-25 22:19:45 | 日常の出来事
今日は東京を往復してきました。
姪が出産して赤ちゃんを連れて実家へ帰るので荷物持ち
の手伝いです。
みんな忙しくて私に役目がまわってきました。
地下鉄の駅を降りてから彼女のマンションまでの地図を
インターネットで事前に見ておき、地下鉄の駅の地図も
しっかり見ました。
ところが地上へ出たらわからなくなってしまいました。
あっちへうろうろこっちへうろうろです。
郵便局の裏というのをもとに探して郵便局を見つけた
のはいいのですが裏にマンションがありません。
ちょうどお昼時で食べ物屋さんの呼び込みの女性が
表に立って見えたので聞きました。
住所を見てここと丁目が違う、郵便局で聞いてあげると
いっしょに郵便局まで行ってくれて局員さんに
きいてくれました。
「あ、わかった」と表に出て「あの広い通りまで
行って左に行くと大きな郵便局があります。」
と教えてくれました。
こんなにも親切にしてもらって感激です。
ほんとにありがたかったです。
今度は自分がこの親切を誰かに返さなくてはいけない
ですがこんなふうにさらりとできるでしょうか。

赤ちゃんは新幹線の中で泣かずにお利口に寝ていて
くれました。
無事に実家まで送っていけてほっとしました。

ランの館へ行きました

2012-12-24 20:38:05 | 日常の出来事
去年のクリスマスにランの館でJAZZを聴いたことを
思い出しました。
今年は開かれないのかなとランの館のHPを見たら
去年と同じにJAZZピアニストのダニー・
シュエッケンディックさんのコンサートが開かれることを
知りました。
3時と6時の2ステージありますが3時のコンサートを
聴きに行きました。
今年はベースがなくてピアノだけの弾き語りです。
とてもすてきでした。
日本に来て25年だそうです。
故郷ジョージアを思って歌われた我が心のジョージアは
胸に響きました。

庭園のイルミネーションがきれいだということで日暮れを
待ちました。
4時から点灯されるということなのでもうすぐだなと
待っていました。
同じように待っている人がたくさんみえました。
しかし4時では暗くありません。
もうちょっとと待っていたら5時近くになってしまいました。
日が長くなる方に反転したのですね。
少し前は4時半で薄暗くなり5時では真暗でしたが今日は
5時でも薄明るかったです。
夕方になったら寒くなってしまって、寒さに負けて5時ごろに
帰りました。
イルミネーションを見るのなら5時過ぎからですので
5時の入り口は入場券を買う人が行列を作っていました。
3時前の庭園はほとんど人がいなくて閑散としていたの
とは大違いです。



3時ごろの写真です。

道具屋殺人事件 神田紅梅亭寄席物帳

2012-12-23 21:27:24 | 

愛川晶"道具屋殺人事件 神田紅梅亭寄席物帳"を
読みました。
図書館の棚でこの本を見つけました。
愛川さんの本は始めてです。
おもしろかったです。
シリーズになっていてあと3冊あるようです。
他の本を読むのが楽しみです。
落語の世界で起きた事件を描いたものです。
殺人もありますがちょっとした出来事が多いです。
寿笑亭福の助は山桜亭馬春の弟子でした。
師匠は脳血栓で倒れ落語家を辞めて舘山寺へ引きこもって
しまいました。
それで寿笑亭福遊の弟子となりました。
二つ目です。
亮子は福の助の妻です。私立高校の事務員をしています。
馬春は歩けません。言葉も不明朗でおかみさんにしか
意味が聞き取れなくておかみさん以外の人とは話そうと
しません。
文字盤の文字を指すことでコミュニケーションを図って
います。
安楽椅子探偵の役は馬春です。

連作短編集です。

"道具屋殺人事件"
福の助は兄弟子の福太夫に一方的に嫌われています。
後からやってきた弟弟子に追い越されてしまうのでは
ないかと恐れているのです。
黄金餅という馬春の得意とする難しい噺を一門の勉強会で
披露することに福太夫に仕向けられてしまいます。

前座が扇子を忘れてきて楽屋にあった扇子を持って
舞台に上がりました。
扇子を刀に見立てて引き抜く場面があり引き抜いたら
本当に抜けてしまいました。
刃物が仕込んでありそれには血がついており大騒ぎに
なりました。

仕込み扇子は脳血栓で倒れて意識不明の小喜楽師匠が
誂えたものとわかります。
小喜楽師匠は若い後妻を持ちました。
妻はどんどん浪費し浮気をするような人でしたが
師匠はそれでも大事にしていました。
妻は交通事故で亡くなっています。
殺されていたのは妻の浮気相手でした。
犯人は小喜楽師匠と思われました。

馬春を訪ねた福の助夫婦は事件の真相のヒントを
貰います。

一門会で今度は今までの噺に別のサゲを考えてみようと
いうことになりました。
福の助はくじでらくだをやることになりました。
思いつかなくて悩んでいます。
実はくじは兄弟子の福太夫の策略でらくだに当たるように
仕組まれていました。
馬春のところへ知恵を借りに夫婦で出かけます。

亮子は探偵に追跡されます。
話を聞いてみると弟弟子の桃屋福神漬が前につきあって
いた路恵が借金を残して行方不明になっていてその
行方を探しているといいます。
福神漬は名前を次から次へと勝手に変えています。
今は美麗という女性とつきあっています。

"勘定板の亀吉"
馬春の弟子だった亀吉は馬春が廃業した後なかなか引き
とってくれる師匠が決まりませんでした。
万年亭亀蔵が弟子にしてくれました。
師匠も苦労した人でとにかくお客さんをひきつけるものを
舞台にかけるという信条の人です。
亀吉もその考えを信じています。
それではずれることがない下ネタばかりをやっています。

亮子た勤める高校の先生が誰がどんな出し物をやったか
記録したネタ帳をコピーしてきて欲しいと依頼してきます。
警察に詐欺で疑われていてその時刻には寄席で小喜楽
師匠の壺算を聞いていたといいます。
しかしネタ帳には壺算をやったとは書かれていません。
家見舞と書かれています。これはこい瓶の別の言い方
だそうです。
小喜楽師匠の壺算を聞いたことがある人はいません。

寄席では食事をするのは自由だそうです。
福の助が実演して疑問を解き明かします。
こい瓶は下ネタの噺です。
この噺の最中にカレーライスを食べだした人を見たら
困ります。
とっさに噺を別の方向へうまく切り替えます。
それが壺算だったのです。
亀吉もいっしょに聞いて下ネタばかりではなく別の
ものもやろうという気持ちを起こさせます。

落語の出し物の説明をする部分が多いです。
落語をこれから聞いてみようとする人には入門書の
役目を果たすと思います。
いくつかの噺を一つの噺にしてしまうという方法が
2編、3編で出てきます。
実際にこんなことが行われているのでしょうか。

若桜(わかさ)鉄道うぐいす駅

2012-12-22 18:51:56 | 

門井慶喜著"若桜(わかさ)鉄道うぐいす駅"を読みました。
鳥取県の鉄道です。うぐいす駅は架空の駅ですが若桜
鉄道は実際にあります。
うぐいす駅をめぐって鶯村は二つに分かれて争っています。
村長の芹山豪造の一派は駅舎を壊して大学病院の
誘致を進めようと計画しています。
元大学教授の三之輪重次郎の一派はフランク・ロイド・
ライトの設計の駅舎を保存したいと願っています。
77歳の豪造と重次郎は幼馴染の友達でしたが、
駅舎のことでは対立しています。
豪造の孫の涼太は東京の大学院にいます。
祖父の豪造に呼ばれて駅舎には価値がないことを見つけ
出すか捏造するよう命令されます。
涼太は重次郎の孫弟子にあたります。
涼太は重次郎にも呼ばれて駅舎は壊してはならない価値が
あることを捏造するよう命令されます。

7月に駅舎のまわりで対立する二派が争いその時久世と
いう女性が発作を起こして亡くなりました。
涼太は恋人の悠花を連れてうぐいす駅にやってきました。
そこで話している時に現れたのが久世の息子の静雄です。

涼太は駅の図面を見つけて設計者がライトではなくその
弟子の遠藤新だと確信しました。
設計者ライト、共同設計者遠藤だと記載されていますが
当時ライトは日本にはいないことから実質の設計は遠藤
に違いないと考えます。

豪造が倒れて亡くなってしまいます。
重次郎は運動から抜けてしまいます。
涼太の恋人の悠花は涼太を捨てて久世静雄と交際しています。
静雄が駅舎保存を掲げて村長に立候補します。
涼太は病院誘致を掲げる一派に押されて対立候補として
村長選挙に臨むことになります。

結果は静雄が勝ちました。
涼太は静雄が村長の間は村には帰らないと村を去りました。

涼太の語りで綴られています。
軽い感じでさらさらと読めます。
物足りなさを感じますが駅舎が誰の設計かを探しだす
場面が興味深いです。
ライトは明治村で見られる帝国ホテルを設計した人です。
ずいぶん波乱にとんだ人生を送った人のようです。
涼太は策士です。
名誉教授である重次郎がふらふらしているいい加減な
人物として描かれています。
もっと骨がある人物かと思っていたのに見込み違いで
がっかりしました。

黄泉がえり

2012-12-21 20:38:18 | 

梶尾真治著"黄泉がえり"を読みました。
亡くなった人がよみがえって帰ってくる話です。
恐ろしい話なのかなと思っていましたがそんなことは
ありませんでした。
熊本が舞台です。
よみがえってくる人がいっぱいいます。
市役所に死亡届を取り消して欲しいといってくる人で
あふれています。
児島雅人のところは27年前に亡くなった父親がよみ
がえってきました。
雅人は現在38歳で、父は35歳で亡くなっていて
その時の姿で帰ってきました。

雅人の部下の中岡秀哉のところへは兄の優一が戻ってきました。
兄は子供の時におぼれる秀哉を助けて自分は亡くなりました。
とても優秀な頭脳を持っていて弟をかわいがっていました。
彼は子供の姿でよみがえりました。

秀哉が好きになった女性の相楽玲子のところへは交通事故で
亡くなった夫の周平が帰ってきました。

雅人の会社の元社長も帰ってきました。
マーチンという女性歌手も戻ってきました。
その数は何万人にもなります。
この現象は熊本だけの出来事です。
戻ってきた人にはずっと思い続けてくれた人がいます。
その人のところへ現れました。

中岡優一はどんどん情報を吸収していきます。
仕事を見つけて稼ぎさえします。
短い期間にどんどん体も成長していきます。
優一は弟や相楽周平と黄泉がえった人を支援する会社を
立ち上げるまでになります。

雅人の母は病気で入院しました。
もう数ヶ月の命です。

黄泉がえった人同士は何か繋がりを感じています。
協力して人を穏やかな心にすることができます。
病気の人を治すこともできます。

マーチンは積極的に歌を作りCDを作成します。
その歌は人々の心を掴みました。

数ヶ月がたちやがて黄泉がえりの人々は自分たちが
特定の日に去ることになることを感じとります。
その日に地震が起こり自分達は消えるとまわりの
人に打ち明けます。

優一は自分たちが別のものの一部分に過ぎないと
知ります。
そのものは生物といえるものかどうかわからないもの
ですが宇宙を移動できます。
地震のエネルギーを取り込んで自分のエネルギーとします。
しかしあまり大きな地震のエネルギーを取り込むと
それ自身が消滅してしまいます。
今度起きる地震はそれほど大きいものだといいます。
そのものは熊本から離れるだろうと優一は思います。

その日までに準備します。
優一は弟が黄泉がえり支援の仕事を失う代わりの
仕事のため特許を取れるよう計らいます。
雅人の父は優一の力を借りて死期が迫った妻の病気を
治します。

地震は数秒で収まりました。
人間に好意を持った不思議なものは自分を犠牲にして
地震を抑えました。
黄泉がえり達は消えました。
しかし一人相楽周平はどういうわけかこの世に残りました。

不思議な物語です。
こんなに大勢の人が戻ってきたら大騒動が起きそうな
ものですがそんなこともないようです。
生きていたときより穏やかになっていて家族にうまく
受け入れられています。
そんなふうに求められる人だけがもどってきたのでしょう。
少しの期間でしたが生きていた人も黄泉がえった人も
充分に思い残すことなく話し、行動することができた
ことでしょう。

赤ちゃんがいっぱい

2012-12-20 19:52:21 | 

青井夏海著"赤ちゃんがいっぱい"を読みました。
"赤ちゃんをさがせ"の続編です。
陽奈は助産院をリストラされてしまいました。
自宅出産を手がけている聡子は産休中です。
陽奈は胎児育児を行っているハローベイビー研究所に
勤めることになりました。
お産は扱わずマタニティーエアロビクスをしたり
講演を聞いたりして過ごすことが胎児にいい影響があると
いうことで妊婦さんを集めています。
陽奈は妊婦さんたちの相談を受けたり話し相手になる
のが仕事です。

奥園時夫は研究所のスーパーバイザーです。
時夫は幼いころ妹と共に天才だともてはやされました。
貧しい家族はやがて両親の離婚で兄は父と、妹は母と
暮らすことになり別れ別れになりました。
研究所の所長は芦田です。
妊婦さんに紹介している豪華病院の経営者が右尾です。
教材販売の会社経営をしているのが船木です。
三人は子供の時からの仲間で仕事上で強い繋がりが
あります。

18年前に研究所に赤ちゃんが置き去りにされたことが
あります。
またしても赤ちゃんが置き去りにされました。
赤ちゃんは陽奈が預かり、聡子の家に預けられました。
赤ちゃんが誘拐されそうになり二人の師匠の明楽先生の
家に移されます。

陽奈と時夫は怪しいところがある研究所の秘密を協力して
探ります。
時夫には研究所を追い出して知り合いの困っている
無認可保育園に使わせたいという目的があります。

事件を推理してくれるのは高齢の明楽先生です。
赤ちゃんが誰の子であるかがわかります。
芦田、船木、右尾の三人の関係もわかります。

ねたばれです。
赤ちゃんは時夫の妹の子です。
ずっと父や兄を恨んできました。
兄だけが天才教育を引き続き受けてきました。
自分は排除されました。
三人の秘密は右尾が、芦田と船木の同級生ではなく同級生の
兄で医師免許を持ってないということが致命的な弱みです。
右尾の弟は医師免許を持っていますが漫画家となって成功
しており右尾は弟になりすまして診察してきたのです。

結末はあんまりすっきりとはしません。
妹は恨んでいないで自力で学問をしたらいいでは
ありませんか。
できない環境ではなかったのにやらなかった自分が
悪いでしょう。
兄弟になりすまして医師を続けるなんてばれない方が
難しいと思います。

登場する陽奈に聡子のどちらも好きにはなれない
人物です。
このシリーズ読み続けてはいるのですけどいまいちです。

チョコレートTV

2012-12-19 21:04:43 | 

水野宗徳著"チョコレートTV"を読みました。
テレビ番組の制作に関わる人達を描いた
六篇の連作短編集です。
興味がない世界の話ですので話に入り込めませんでした。
数時間で読めます。

一話目はドキュメンタリーのプロデューサーの話です。
仕事がうまくいかない三橋は携帯電話を拾いました。
持ち主は一人暮らしの高齢者の女性です。
電話で話すうちに仲良くなります。
彼女は一人暮らしの老人の生活を映像に撮ることを
承知してくれました。

バラエティ番組ではADが熱湯に芸人を入れる場面の
ためお湯を張るよう命令されました。
44度とお湯の温度を厳命されました。
熱いお湯を入れて水で薄めようとしたのですが時間が
なく熱いまま持っていかれてしまいます。

最後は演出家の話です。
演出家の高橋は受ける内容なのか、人物なのか予測が
ついてしまいます。
同郷の年上の芸人のアカオと知り合いです。
人気があったのですがちょっとした流れの変化で
姿を見なくなりました。
食事に誘われその後コントのねたをFAXで次々に
送ってくるようになりました。
古臭い内容でうるさく感じていました。
高橋自身の挫折に、家族が家を出て行ってしまったことが
重なって弱っているときにアカオが駆けつけてきて
くれました。
アカオは徐々に復活してきます。

何晩も寝ないで働くのが当たり前、弱いものを切り捨てて
いくのが当たり前の世界です。
寒々としてくる話です。

快晴フライング

2012-12-18 20:04:29 | 

古内一絵著"快晴フライング"を読みました。
中学の水泳部の話です。
水泳部の部長のタケルが事故で亡くなってしまいます。
タケルが愛好会から水泳部に格上げできる努力をしてきました。
タケルは実力のない下級生の面倒をよく見ました。
学校にはプールがありません。
別の中学のプールを借りて練習をしています。
タケルが亡くなったことで部員はどんどん辞めてしまいました。
やる気のない顧問の柳田先生は愛好会へ戻すと言い出します。
龍一はそれまで他の部員の名前すら覚えていない無責任な
部員でした。
顧問の話に反発して残った部員で弓が丘杯大会のメドレー
リレーで優勝してみせると言ってしまいます。
他の三年生の部員は睦子のみです。
龍一、タケル、睦子は幼いころからの友人で水泳も幼い
ころよりいっしょにやってきました。

2年生で残ったのは有人、弘樹、麗美の三人です。
彼らは水泳部員とはいっても競技できる泳ぎができる
能力がありません。
特に弘樹は歩き専門で泳ぐことができません。

勧誘して入ってきた1年生は莉子、聖とケニアからの
留学生のマトマイニです。
聖はやる気がありません。
マトマイニは陸上選手で運動能力は高そうですが泳いだ
ことがありません。

市営プールですばらしいフォームで泳ぐ同じ中学の
生徒を下級生が見かけました。
龍一たちは誰なのか確かめにプールまで出かけました。
それは龍一の同級生の女子のエリカでした。
彼女は学校では誰とも口をきこうとはしません。
バリアを張ってひとりで過ごしています。
龍一はエリカを水泳部へ勧誘しますがにべもなく
断られてしまいます。

街でダンスファッション専門店シャールへ入るエリカを
見かけて龍一は店内へ入ります。
店長のシャールはドラッグ・クイーンです。
エリカは性同一性障害で、シャール以外にはうちあけ
られず苦しい毎日を過ごしています。
龍一は初めて体と心の性の違いに悩む人に出会いました。
エリカは女性として泳ぐのは嫌だ、男性として泳ぎたい
と思っています。
シャールが男性と見えるよう補正した水着を作ってくれます。

エリカはプールへやってくるようになります。
下級生たちはエリカの悩みは知りませんがすんなりと
受け入れてくれます。
エリカは下級生たちに的確にアドバイスしてやります。
下級生たちの泳ぎは上達していきます。

学区域戦に出場します。
数ヶ月前には泳げないで散々だった部員たちが目を見張る
活躍で優勝しました。
エリカは男性として出場しています。
顧問の柳田先生は部員の変わりようにびっくりです。

エリカを中傷するびらが撒かれたりといろいろありますが
弓が丘杯大会に出場します。
しかしメドレーでエリカにある出来事が起こって棄権
してしまいます。

弓が丘杯大会での優勝が部の存続の条件でしたが
部員たちの成長を見ては顧問も存続を認めないわけには
いきません。

性同一性障害で苦しむ人の心の内と、他人に無関心だった
生徒が部の存続をめざして人と協調してお互いを高め合う
ことを学んでいくと話です。
短期間であっさりと優勝はちょっとばかり調子いいと
思いますが気持ちいい話でした。

はなうた日話

2012-12-17 21:27:52 | 

山本幸久著"はなうた日話"を読みました。
8編の短編集です。

"閣下のお出まし"
五年生の一番は友達と喧嘩して泣きながら電車に飛び
乗りました。
会ったことがないお父さんのマンションへ向かいました。
部屋を開けたのは一番と同い年のはじめでした。
おとうさんがいっしょに住んでいる女性の息子です。
はじめは一番のことを知っていて部屋に引き入れます。
お父さんはよく一番の話をしていました。

"犬が笑う"
陸子は会社を辞めてスナックで働いています。
会社時代は上司と不倫していました。
上司は病気で亡くなってしまいます。
上司の奥さんがやって来て陸子が出した手紙を
突っ返してきます。
上司は驚くほどたくさんの女性とつきあっていました。

"ハッピー・バースデイ"
定年がまもなくという上司に部下の若い女性が食事
しましょう、となついてきます。
小さな子が親に掏り寄るような感じってどんな単語で
いったらいいのかなぁ。
そんな感じで女性からデート?に誘われます。
とまっどっている初老の男性が描かれています。

"普通の名字"
ミトコは校正の仕事のかたわら雑貨店でパートで働いています。
オーナーに見合いを持ち込まれます。
見合い相手が当日前に「当日にドタキャンします」と、
ことわりにきます。
女性と一対一で話せないからといいます。
しかし断りにきた今はちゃんと話しています。
ミトコは彼にその日は私もドタキャンして休日用の服を
みたててあげると、会うことを約束させます。

"コーヒーブレイク"
織部の彼女の香寿美は海外に留学してしまいました。
織部は会社の窓から犬の散歩をさせている人を見ていました。
犬が逃げてしまいました。
織部は会社から飛び出していっしょに犬を探してやります。
逃がした男は犬の散歩を仕事にしている人です。
彼はリストラされ妻がやっている会社に雇われ、犬の
散歩が初仕事です。
やる気のなさが現れています。
リストラされた会社の缶コーヒーを今でも飲んでいます。

"五歳と十ヶ月"
ミドリは売れない女優です。
撮影会のモデルの仕事の時に昔の同級生が娘を連れている
のに出会います。
おしゃまな女の子です。

"意外な兄弟"
須永は用紙を販売する会社の営業です。
営業を苦手に思っているのにもっとコミュニケーションが
必要な部署に移動になりました。
仕事にやる気がありません。
喫茶店で研究職をしている女性と会って彼女にバナナの
幹を原料に紙を作る研究をしていることを聞きます。
須永はバナナの紙の売り込み方を考えて企画書を
書きます。

"うぐいす"
サトヨは50年前に次郎さんと会いました。
畳屋をしていました。
見合いで出会いました。
彼の仕事場を訪ね仕事に集中している彼を見ていてサトヨは
次郎さんに恋をしました。
5年前に次郎さんは亡くなりました。
息子の一家と同居しています。
だんだん次郎さんの思い出が彼女の頭から消えていきます。

読んだ片端から忘れていってしまいます。
決してつまらないとはいいません。
いい内容だと思います。

おまえさん 上・下

2012-12-16 20:16:07 | 

宮部みゆき著"おまえさん 上・下"を読みました。
一度で書いてしまいますので長くなります。
記憶力が悪い自分の覚えのために書いておこうというのが
主目的ですので話が前後したり、あるいは間違っていたり、
ねたばれになったりしますがお許しください。

"ぼんくら"、"日暮し"のシリーズです。
平四郎、弓之助、おでこ、お徳、政五郎などお馴染みの
人たちにまた会えてうれしいです。
このシリーズの中でこの本が一番わかりやすく、
すらすらと読めます。
上下あって長いのですがいっきに読みました。

新しい登場人物は間島信之輔で平四郎の朋輩です。
定町同心になりたてほやほやの若者です。

本宮源右衛門は間島の遠い親戚で間島は大叔父と
呼んでいます。
源右衛門は親戚をたらい回しにされたあげく今は間島の
家に居候しています。
下巻の最後の方には弓太郎の兄の淳三郎が登場します。

お徳の店の近所で人が斬り殺されました。
病人のような感じの人です。
誰だかわかりません。

お徳の店の近所の八百源のおひでを目当てにしげしげと
店にやってきていた仙太郎がおひでを抱えて暴れ
まわっています。
間島がみごとな十手さばきで取り押さえました。

かゆみ止めの薬の王疹膏がひょうばんになって栄えて
いる生薬屋瓶屋の亭主の新兵衛が家の中で斬り殺されて
いるのが見つかりました。
店の戸締りは中からされています。
間島についてきた源右衛門は前に見つかった被害者と
同じ傷跡で犯人は同じと言い切ります。
瓶屋には十五歳の娘の史乃と後妻の佐多枝がいます。
佐多枝は裏に住んでいた医者栗原の妻でしたが栗原は
酒に酔って川に落ち五年前に溺死しました。
その数ヵ月後に瓶屋新兵衛と再婚しました。
娘は父が佐多枝と結婚したいために栗原を殺したの
ではないかと疑っています。

前に殺されたのは久助とわかりました。
ざくといって薬の調合をする職人でした。
大黒屋藤右衛門は一代前の主人の妹の子供です。
里子に出されて甥とは知らずに店で働いていました。
大黒屋藤右衛門と瓶屋新兵衛と久助は同じ時に大黒屋で
ざくとして働いていたことがあります。
同じざくに吉松がいました。
藤右衛門と新兵衛は吉松に新薬の開発を進めました。
新薬はできました。
吉松は仲間と打ち解けようとはしませんでした。
風呂で会った時に二人にかっとなる言葉を浴びせかけ
ました。二人は湯の中に吉松を沈めました。
ちょうどその場にいた久助に手伝わせました。
吉松は死んでしまいました。
事故死として処理されました。
藤右衛門は大黒屋の跡取りになり新兵衛は瓶屋を起こしました。
王疹膏は吉松が開発した薬です。
新兵衛は欲のため売り出したわけではなくかゆみに苦しんで
いる人達を助けるために売り出しました。
久助は村田という医者の元で何年かざくをしていましたが
辞めて出て行き殺される数ヶ月前にまた医者をたよって
やってきました。
吉松にはつきあっていた女がいて彼女は妊娠していました。
何度も吉松を殺したのはお前たちだろうと押しかけて
きていました。

おでこは政五郎とお紺夫婦の子供のように育てられました。
おでこの本当の母親はおきえといいます。
おでこが5歳の時亭主に死なれ、子供が5人いました。
そのうちのおでこだけをいらないとがんとしてゆずりません。
おでこはそのような経緯で政五郎に引き取られました。
政五郎はおきえと偶然出会います。
空樽問屋玉井屋の主人千蔵の妻に収まって若々しく
幸せそうに暮らしています。
しばらく後におきえが取り乱して政五郎に問題を
持ち込みます。
亭主の千蔵に飽きたからと離縁されそうなのです。
追い出されるという間際の千蔵が病に倒れて問題は
解消しました。
おきえはしっかりした女性で泣き叫んではきましたが
ずっと店の経営方法を学んで今後に備えていました。
政五郎は彼女を見直すことになりました。
おでこを捨てたのはおでこだけが好きだった男の子で
その男が逃げてしまったため、おでこといっしょに
いるのが苦しいというのが理由でした。

弓太郎の家でもごたごたは起きています。
長男が結婚したいという女は父親の妾が産んだ娘です。
もしかしたら異母妹に当たるかもしれません。
弓太郎と長男も喧嘩になっています。
父親の妾と娘が店に乗り込んできたときの様子を見て
長男はいっきに熱がさめてしまいこの件は収まりました。

大黒屋が告白した内容から吉松の女と生まれたかも
しれない息子が復讐をしているのではないかとの
想像されました。
しかしようやく訊ね当てた消息は、二人とも亡くなって
いるのではないかというものでした。

お継という夜鷹が同じ犯人によって斬り殺され川に
投げ込まれました。

間島は瓶屋の娘の史乃が好きになってしまいました。
しげしげと瓶屋に出入りするようになりました。
間島は純情で女性とのつき合いになれていません。

下巻で弓之助が関係者を集めて謎解きをして犯人を
指摘します。
犯人は佐多枝の前の夫の医者の栗原の弟子の松川と
瓶屋の娘の史乃です。
新兵衛は栗原を訊ね自分の罪を打ち明けたことが
あります。
松川はそれを聞いていました。
松川は新兵衛が栗原を殺したと思い込んでいます。
史乃は佐多枝を嫌い、父の過去の罪と栗原殺しを
信じて松川に加担して父親殺しをします。


間島は恋で判断ができなくなり犯人に、真実が
暴かれたとわかってしまう発言をしてしまいます。
史乃は姿を消してしまいます。

間島の失敗は大叔父の源右衛門がかぶってくれます。
間島の母親は源右衛門を邪魔にしていますが家の
対面のために源右衛門が家を出て行くことに反対
していました。
間島の家を出てお徳の家の二階で塾を開きたいと
思っている源右衛門はこの件を幸いに間島家を出ます。

上巻の最初に出てきた仙太郎の話がそのままになって
いましたが下巻では仙太郎を心配する人たちが何人かいます。
同じ長屋の隣の家の丸助、前の長屋でいっしょだった
おていがいつまでもさばきがきまらない仙太郎を
心配しています。

間島は瓶屋に出入りしているうちに今度は佐多枝に
恋してしまいます。
佐多枝は芯はしっかりした人ですが弱々しく見えます。
男たちが寄ってくるタイプの女性です。
佐多枝は見てもらったお医者の村田といい雰囲気に
なっています。
最初は明るかった間島はどんどん暗い雰囲気の男に
なっていきます。
人を見る目がないのでしょうね。
佐多枝と村田の恋でもう一人泣く女がいます。
村田の家の女中のおしんです。
自殺をしかけたところを止められお徳のところへ
引き取られお徳の店で働くことになりました。

仙太郎を早く牢から出すために弓之助の兄淳三郎が
一役買います。
5人の兄弟の中で唯一ふらふらと行く先の見通しが
立ってない遊び人です。
淳三郎は人の心を掴むことがうまい明るい人です。

松川と史乃の隠れ家が見つかります。
松川は抵抗した挙句水死します。
史乃は精神がおかしくなっています。
この時にも淳三郎は活躍します。

一応決着をみました。
仙太郎は長屋へ帰ってきて丸助の仕事を見習っています。
大黒屋の処分は決まっていません。

殺人犯を追うというのが一番の話の幹ですがいろいろな
逸話がその間に挟まります。
捕物の形をした人情話といっていいかもしれません。
読んでいて楽しい本です。
すっきり決着がつかなくてもいいです。
このシリーズは楽しいですね。

イニシエーション・ラブ

2012-12-15 19:52:08 | 

乾くるみ著"イニシエーション・ラブ"を読みました。
イニシエーションとは通過儀礼という意味だそうです。
最後の2行で仰天すると紹介記事には書かれています。
そのことにひかれて何が隠されているのか突き止めて
やろうと注意して読みました。
最後まで読んで問題の2行を読んでもこれは何を意味
するの?とぽかんとしてしまいました。
インターネットで解説を読んでしまいました。
やっとそういうことかと理解できました。
複雑に仕掛が施してあります。
しかし本として読んでいて楽しいかというと楽しくは
ありません。

side-Aとside-Bの2部に別れています。
side-Aでは大学4年生の鈴木夕樹と成岡繭との
交際が描かれています。
夕樹はマユにたっくんとよばれています。
たっくんはそれまで女性とつきあったことがなく
どうしていいかわかりません。
マユの方が積極的にたっくんをリードしている形です。
毎週金曜、後に木曜にデートしています。
マユに進められ運転免許を取りに教習所へ通っています。

side-Bではたっくんは就職しています。
静岡で就職したのですが東京へ何年間か研修にいくことに
なりました。
サイドBではたっくんの性格が変わっています。
積極的に仕事してます。
車を東京にもっていっており、毎週土日は静岡へ帰って
きてマユの部屋へ泊まっていきます。
会社では同じ新人の石丸美弥子と机を並べ共同で仕事を
しています。
美弥子につきあって欲しいと強引に申し込まれます。
マユがいることは話しています。
それでも強引な美弥子のアタックに、やがて二人は
つきあいだします。
静岡行きは毎週が隔週になっていきます。
たっくんは二人の女性とつきあいます。
マユの部屋で美弥子と呼んだことで、マユとの関係は
終りました。

こういう話です。
仕掛がなければつまらない恋愛物です。
とくにside-Aはなんでこんなつまらない恋愛話を
読まなくちゃいけないのだと思いました。

詳しく解説されているサイトが見つかりますので
これ以上は書きません。

読めない遺言書

2012-12-14 20:04:55 | 

深山亮著"読めない遺言書"を読みました。
竹原俊和は中学教師です。
父親が死亡したと連絡がありアパートを訪れます。
そこで遺言公正証書を見つけます。
財産をすべて見知らぬ小井戸広美に遺贈するとあります。
父は「おやど」という食堂をやっていました。
喧嘩ざたが多くて逮捕されてしまいました。
竹原と母は刑務所に面会にいかず、刑務所を出た後も
父と会っていません。

竹原は年が近い福井という教師とよくいっしょにいます。
福井は体育教師で熱血漢です。
竹原は一生懸命やっているポーズをとっていますが
覚めた教師です。
問題を抱えた生徒の一人の安田美羽花は両親の
過干渉に悩んでいます。
岡田太陽は頭がいい子ですが、学校にきません。

司法書士の無料相談に行って江尻良隆に出会います。
小井戸広美と遺言の証人の二人の身元調査をします。

遺書の証人となっている一人はホームレスの支援を
しています。
その関連の組織が開いたホームレス支援の炊き出しに
参加して小井戸広美がNPO法人ピースフロアの
ビラを配っているのに出会いました。
竹原は広美に惹かれていきます。
デートを重ね高級はブランド品を買い与えます。
そして広美は姿を消してしまいました。
デート詐欺だと言われやっとそのことに気づきます。
彼女の買い物のために使った金額は百万を超えました。

ピースフロアはホームレスを食い物にする悪徳な
組織です。
住居とはいえない場所を与えて生活保護費を搾取して
います。

広美への呼び出しの手紙を出して現れたのは男性です。
広美とはこの男性でした。
竹原がつきあっていたのは姉の香奈でした。
竹原の父は広美を助けたことがありそれからずっと
カメラマンになりたいという広美を見ていました。

福井が岡島の家の火事に飛び込んで怪我をする事件も
発生します。

香奈はピースフロウから抜けようとしますがそうは
させたくない組織からひどい目にあわされています。
結局ホームレス達の通報によってピースフロウは
警察に逮捕され香奈は助かります。

竹原は少ししっかりしてきます。
美羽花の進路について真剣に両親に話し説得する
ことができました。
岡島も火事後学校へ出てくるようになりました。

著者は司法書士さんだそうです。
それで公正証書の遺言がテーマになっているのですね。
ちょっと読みにくい本でした。
こうやってまとめてみてあぁ、こういう流れだったのかと
確認できました。
遺産問題はきれいに解決しました。

しかし最初から疑問に思ったのは竹原の母と息子は
なんて冷たい家族なんだろうということです。
喧嘩早いとはいえ家族をないがしろにしていた夫や、
父ではありません。
逮捕された時、刑務所、出所後となぜ家族として支えて
やらなかったのだろうと思います。
父親は完全に見放されています。
さみしかったことだろうと思います。
だからこそこういう展開の話になったということなんで
しょうけど。