雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

ギフト

2013-04-30 23:24:17 | 

日明恩(たちもりめぐみ)著"ギフト"を読みました。
作者さんの名前、読める人いるのかな。
死者の姿が見え、声が聞こえるという高校生が登場します。
須加原は元刑事ですが今はレンタルビデオ店の店員を
しています。
映画シックス・センスの前で涙を流している少年を
見かけます。

"とおりゃんせ"
少年が道路に飛び出すのを須加原は引き止めます。
少年が死者が見えるということを須加原は知ります。
彼も少年の体に手を触れるとその時だけ死者が見える
ようになります。
交通事故で怪我をした高齢の女性の姿がみえました。
捻子という女性は何か告げようとしていました。
信号が故障していて危ないと少年の明生に告げようと
しています。

"秋の桜"
この話で見えるのは犬です。
須加原の足元にいます。
虐待された哀れな姿です。
しかし須加原はこの犬にあったことはありません。
須加原が犬を飼いたいと思っていてこの犬は側に
いたのです。

"氷室の館"
この話は重苦しいです。
7歳の美沙が見えます。
19年前に亡くなっています。
隆という弟がいます。
ずっと弟を見守ってきました。
父親も母親も卑劣な人たちです。
いつか弟が彼らに怒りを向けるのではないかと心配して
美沙は弟の側にいます。
彼女は事故で池に落ちたのですがそのまま死を選び
ました。自殺です。

"自惚れ鏡"
とてもうるさい女性が現れます。
自分をすばらしい能力があって誰にも好かれていたと
言います。
狂言自殺が本当になって死亡しました。
彼女の知り合いの人に聞くと実際には仕事はできない、
嘘で塗り固めた人生でした。

"サッド・バケイションズ・エンド"
須加原は刑事の時に自転車を盗もうとしていた少年を
追いかけました。
少年は逃げて車に轢かれて亡くなりました。
そのことが心の傷となって須加原は立ち直れません。
明生は須加原を現場へ連れて行きます。
亡くなった少年を見せます。
少年の父親は警察官です。
少年の両親もまた苦しんでいます。
亡くなった少年も苦しんでいます。
彼らを会わせて本音を語り合わせます。

明生はアメリカへ留学する決意をします。
明生の能力を信じられない両親は不仲になりました。
自分がいない方がいいとの判断からです。
明生は誰もわかってもらえなかった苦しみを
須加原にわかってもらえたことに感謝しています。

死者が見えるという話は映画や本によくあります。
そんな中の一冊ですが読みやすい本でした。

なんじゃもんじゃ・宮の渡し ウォーキング

2013-04-29 19:54:28 | 日常の出来事
少しは体を動かそうとなごやかウォークという年に
何回か開催されるウォーキングに参加してきました。
今日は「なんじゃもんじゃ・宮の渡しコース」です。
熱田神宮公園を出発してなんじゃもんじゃの並木を
見ながら宮の渡しを通り熱田神宮を歩き元の公園へ戻る
という約1時間半のウォーキングです。
堀川沿いの緑が多くて気分がすっきりするコースでした。

受付が熱田神宮公園でした。
地下鉄の西高蔵から5分ぐらいのところです。
受付で男性が西高蔵から熱田神宮公園への道しるべが
なかったと大声で文句を言っていました。
このウォーキング、ほんとにいたれりつくせりなんです。
いったい何人の人が要所要所に立って道案内をして
くださっていることか。
ここまでお膳立てされてただ歩くってなんだかなぁと
いつも多少感じるのですが、まあそれもいいかと
こういう市や名鉄、JR等の会社の主催するウォーキングや
ハイキングにたまに参加しています。
今日は参加費百円(タオルとお菓子を貰いました)でしたが
ほとんどは無料です。
しっかりお膳立てしてもらうのが当たり前と文句を
言うのは違うような気がします。
サービスされて何も考えないで歩くでははつまらない
じゃないですか。
せめて要望は静かに伝えて欲しいものです。
人の振り見て我が振り直せですから自分もこれから
気をつけよう。

なんじゃもんじゃの並木がずっと続いていました。
この木がなんじゃもんじゃなんだ。
実は家の近くにこの木が数本の並木があります。
なんていう名前の木なんだろうと思っていましたが
なんじゃもんじゃだったのだとわかりました。
宮の渡しって橋の代わりに対岸から対岸へ舟で
渡しているのだと思っていました。
熱田から三重の桑名までの渡し舟だそうです。
でもなぜ桑名なんでしょう。
熱田から伊勢とかは行けなかったのでしょうか。
熱田神宮へ行くのは久しぶりです。
随分人出が多かったです。
約1時間半、ちょうどいい散歩でした。

なんじゃもんじゃ


宮の渡し

スタンダップダブル

2013-04-28 21:41:05 | 

小路幸也著"スタンダップダブル"を読みました。
大手新聞社の北海道支局のスポーツ記者の絵里は高校
野球の観戦をしていて不思議な高校を見つけます。
その高校は神別高校です。
ピッチャー康一、センター健一、キャッチャー信司は
一年生です。
健一と康一は双子です。
一年のめぐみはマネージャで何年も前から他の高校の
情報を集めています。
彼らは不思議な野球をしています。
打者が打つ前にすでに球の落下地点に移動を開始して
います。
指示はセンターがしています。
ピッチャーとキャッチャーとは何を考えているか
わかりあっています。
1年から3年まであだ名で呼び合うほど仲がいいです。
今年から田村という監督がつきました。
去年まで社会人野球をやっていた人です。
命令する監督ではなくチームのメンバーのことをよく
わかってくれて風変わりでそれでもみんなが納得
するアドバイスをしてくれます。

記者の理恵の前に山路という男性が現れます。
始めは偶然をよそおっていましたがしばらくして
神別高校の秘密をうちあけます。
メンバーの秘密、監督がやってきた秘密、山路の秘密。

彼らが目指すのは甲子園です。
北海道での予選を勝ち抜いていきます。
甲子園に立って全国へ散らばった仲間に姿をみせたい
との悲願のため戦います。

スタンダップダブルって打って二塁まで滑り込むの
ではなく立ったままで進む、余裕のある二塁打という
意味だそうです。
ダブルが双子って意味も含んでいるのでしょうね。
どうしてもかなえたいという願いのためがんばる
選手たちがすがすがしいです。

それでも終わりまで読んで何だか中途半端な気分が
してもやもやしました。
続編が出るみたいな情報があります。

母親ウエスタン

2013-04-27 21:48:29 | 

原田ひ香著"母親ウエスタン"を読みました。
帯に
「ママ、帰ってきて!!」それでも、さすらう女
男やもめにシングルファーザー、
母を欲する子供達の家を
転々としながら、
彼女が追い求めたのは、
愛でもなく、
家族でもなく、
永遠でもなく・・・。

と書かれています。
いったいどういうことなんだろうと興味をひかれます。
ベビーシッターか家政婦さんのように仕事として家々を
巡る人の話なんだと読む前は想像していました。
違いました。
子供がいて困っている家庭にいろんな手段で入りこんで
数日から数年いっしょに暮らします。
子供達はおかあさんとかママとか呼んで彼女広美に
なじんでいきます。
そして去っていきます。
本の構成は広美の過去のいくつもの家庭の子供達との
かかわりを描く部分と現在の広美を描く部分と
交互になっています。
広美は40過ぎになっていて、スナックのママを
しています。
彼女を本当の母親だと思っていた過去の子供達が
行方を捜しています。
彼女が力を貸して夜逃げをさせた家族がいます。
父親に虐待を受けそのままなら殺されかねない子供
がいます。
ハーフとして生まれた息子を人に会わせず牧場内だけで
暮らさせている人がいます。

昔に暮らした子供に会っても彼女はよく覚えていないと
答えます。
次の家庭にいけば過去の家のことは忘れていくと
いいます。
子供たちの父親とは親しくなっても心の底からそう
思っているわけではありません。
家に入り込む手段でしかありません。
なぜこんなことをしているのでしょう。
大人になった子供達の方が激しく母親だった彼女を
求めています。
彼女は一回だけ結婚したことがあります。
息子が生まれました。姑に家を追い出されました。
このことが発端になっていることは確かだと思います。
どこかの家庭に落ち着くという選択はできなかった
ものなんでしょうか。
そうできたら幸せに暮らせたのではないのかと
思わずにはいられません。
不思議な女性でした。

誘拐犯はそこにいる

2013-04-26 19:42:16 | 

メアリ・H・クラークとキャロル・H・クラークの
母娘の共著の"誘拐犯はそこにいる"を読みました。
あっさりしていておもしろかったです。
リーガンは私立探偵で、母はミステリー作家、父は
葬儀社の経営者です。
母が足を骨折して入院したため家に帰ってきました。
父と小さな子供2人いる運転手のロジータが、C・Bと
ピーティに誘拐されました。
宝くじに当たって裕福になったアルヴァィラが偶然に
事件に関わってきます。
彼女はアマチュア探偵として知られており警察にも
知り合いがいます。
犯人が事件を起こしたのは逆恨みですから家族が
考えても犯人に心当たりがありません。
ロジータの子供たちはまだ恋人とはいえない関係の
警察官のフレッドが偶然にも面倒をみています。
アルヴァィラの知り合いの刑事のジャックが事件を
担当しています。
父は電話で家族と話せた時に自分の居場所を知らせようと
必死に手がかりとなることを伝えます。
しかし妻にも娘にもなかなかそのヒントが指し示すことが
わかりません。

読みやすくわかりやすい話でした。
登場人物も親しみやすい人達です。
犯人の二人はこんな人達では成功させることは無理
だなと思わせる単純な人たちです。
それでも誘拐された二人はもうだめという瀬戸際まで
追い込まれます。
家族や親しい人達、アルヴァィラや警察が必死で
二人の居場所や犯人を追及していきます。

探偵★日暮旅人の贈り物

2013-04-25 20:46:41 | 

山田幸三郎著"探偵★日暮旅人の贈り物"を読みました。
作者はこの本を完結編にするつもりだったようでその
ような後書きがあります。でも続編が出ています。
この本では旅人の過去が明らかにされます。
預かっている灯衣(てい)の出生についても明らかに
なります。
雪路との関係も偶然に出会ったものではありません。
陽子と旅人との幼いころの関係もはっきりします。
前の巻で語られた様々な話の断片がこの巻ですっきり
収束しています。
物語としてはなるほどみごとだと思います。
でも内容があまりにも真っ暗で救いがありません。
市長、警察、暴力団が手を組んで世の中をまわして
いくなんて気分が悪くなります。
熊谷という心が壊れているような残虐な暴力団員の
行為もやりきれません。

彼らが捜し求めているのはジャーナリストの山田が
残した山田手帳です。
この手帳に書かれていることが表に出れば彼らは
大きな打撃を受けます。
旅人の両親の死や旅人が受けた誘拐、拷問、薬剤の
試験台にされ感覚を失うことになった理由がこの
手帳の行方です。

旅人はすべてを知りました。
でも彼は復讐しようとか世の中を良い方に変えよう
とかしようとはしていません。

話の終わりでもほとんど変わることがなかった
世の中ですが、変えようとする人達が現れ始めて
います。
これから変わっていって欲しいです。
こういう子供に残酷なことを平気でするという話は
見たくないです。
でも現実の社会で様々な残酷なことが幼児に対して
行われているのがニュースで流れています。
今日も流れていました。

大きな音が聞こえるか

2013-04-24 19:44:18 | 
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2012-12-01

坂木司著"大きな音が聞こえるか"を読みました。
高校生がやりたいということを見つけ実行する話です。
泳はサーフィンが好きな高校一年生です。
父親はIT企業の社長をしています。
一人っ子です。家族関係は良好です。
学校では部活をしてません。
打ち込めるものがなくこれでいいのかと思っています。
海でポロロッカのことを教えられます。
海が川を逆流してきて波がずっと押し寄せてくると
いうものです。
泳はこの波に乗りたいと思い立ちます。
場所はブラジルのアマゾン川です。
ちょうど母の弟の剛が仕事でブラジルに住んでいます。
まずアルバイトをやり始めます。
いろいろ試して夏休み中は引越しの手伝い、学校がある
間は土日は引越しで、ウィークディーは中華料理店で
ウェイターをやります。
大人たちと付き合い、知識の幅が広がったり世間を知ったり
します。
働いては安く海外旅行を繰り返している人に旅行会社を
紹介してもらって旅を現実のものとしていきます。
ブラジルでは叔父が付き合ってくれる了解も取りました。
両親も説得しました。
こうして3月にブラジルへ旅立ちました。

ブラジルでは叔父の知り合いの日系人の家で数日を
過ごします。
その家の同年代の女の子との出会いがあります。
現地でインターネットでポロロッカを船で追いながら
サーフィンをする場面を撮影しようとしている外国人
チームを知ります。
この船に代金を払い乗せてもらえることになります。
叔父さんもいっしょです。
彼は川の水の採集という仕事をすることにします。
英語をしゃべる撮影とサーファーとポルトガル語を
しゃべる操縦とコックという仲間です。
船の上でも安くしてもらうため雑用を引き受けます。
満月の日にポロロッカはやってきます。
泳は彼らと共に波に乗ります。

前半はちょっと退屈な感じがしましたが後半の船に
乗り波を待ち、波に乗る部分は泳の興奮や恍惚感が
伝わってきて読んでいる方もわくわくします。
帰ってからの泳は前の泳とは違っています。
帰った直後は父親は大人になってしまった息子に
さみしさを感じています。
外国で過ごして意見をはっきり言うようになります。
次をめざしてまたスタートです。
高校生の成長物語です。
よかったです。

シチュエーションパズルの攻防

2013-04-23 20:57:47 | 

竹内真著"シチュエーションパズルの攻防"を読みました。
銀座のバーが舞台の連作短編集です。

了は東京の大学へ行くことになりました。
了を赤ん坊のころ育ててくれたのは叔母の富子です。
叔母は銀座でバーを経営しています。
了は叔母の店を手伝うことになります。
店はミューズといい、叔母はミーコと名乗っています。
店にやって来るのは文豪や編集者などが多いです。
了は裏方でお客さんとはほとんど接しませんが
客の話を耳をすませて聞いています。
文豪の一人が辻堂珊瑚朗です。
珊瑚朗がミステリアスな出来事を解くという形態です。
叔母のミーコと珊瑚朗、人の苦労を見つめてきた人たちで
言動がしっかりしています。
ミーコに珊瑚朗に了と登場人物は好感が持てます。
雰囲気はいいのですがミステリー部分はあまりおもしろい
とはいえません。

探偵★日暮旅人の忘れ物

2013-04-22 18:47:15 | 

山口幸三郎著"探偵★日暮旅人の忘れ物"を読みました。
"探し物"、"失くし物"に続くシリーズ3冊目です。
連作短編集です。

"隣の静寂"
アキラはストリートミュージシャンでした。
最初に歌に耳を傾けてくれたのは静香という女性でした。
アキラはAKIRAとしてプロデビューしました。
しかし売れませんでした。
アキラは身を持ち崩していきます。
アキラを探して欲しいという依頼が旅人にありました。

"森の調べ"
春良の父の店で仲間4人でジャズのセッションを行って
いました。
大学を卒業しそれぞれの道へ進みました。
京子はアメリカへ音楽の勉強に行きました。
春良は20年経って店を継ぎました。
そこで皆が集まることを夢見ています。

"爆弾魔の憂鬱"
朝倉権兵衛は爆弾作りをしています。
今回は作るだけでなく人の集まる場所に爆弾をセット
することも引き受けました。
しかしセットしようとするとそこに現れるのは旅人と
灯衣です。
いくところいくところ二人が現れます。

"雪の道"
旅人と雪路雅彦との出会いの話です。
雪路は父親を嫌って仲間のリーダ格として街で過ごして
います。
ある日お腹をすかせて倒れていた旅人と出会います。
雪路は暴力団に目を付けられました。
雪の中で暴力を振るわれ誰も来なかったら死んでしまう
状況で旅人に助けられました。
その後雪路によって探偵事務所が開かれることになります。
灯衣は暴力団員が雪路に預けていき、旅人といっしょに
暮らすことになりました。

"夢のぬくもり"
刑事の白石が旅人を誘拐し残虐な行為をして旅人の感覚を
失わせた人物です。
今も暴力団と癒着しています。
白石は旅人のことを調べ始めます。
旅人が白石を拘束します。

この巻で雪路や灯衣とどうやって出会ったかわかります。
後ろの2作品が旅人自身の話となっています。
全体に読みやすかったです。
最後の話が途中で切れていますのでどうなったか
気になるところです。

名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ

2013-04-21 20:23:33 | 

吉永南央著"名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ"を
読みました。
紅花町珈琲屋こよみシリーズ3冊目です。
なんか重苦しい気分になる話でした。
文章も時々ひっかかって読み止ってしまうことが
あります。
そんなに好きなシリーズではないのですが何となく
読み続けています。

七十半ばのコーヒー豆と和食器の店小蔵屋の経営者の
お草さんが主人公です。
章ごとにエピソードはあるのですが全体として一つの
話になっています。
新聞記者になっている萩尾はよくお草さんの所へ
やってきます。
過去には家族との確執があり、好きな民俗学の研究で
発見を横取りされたこともありどこかうつうつとした
ものを抱えています。
美容院を経営しているミナホは萩尾と昔からの知り合いです。
二人はお互いに好意を持ちながらわざと避け合っています。
ミナホに一方的に思いを寄せているのがやはり古い
知り合いの藤田です。
ミナホの父が萩尾の高校時代の教師で民俗学の手ほどきを
した勅使河原先生です。

十数年前に近所のお寺から円空仏が発見されたことが
あります。
論文を書いて発表したのは先生です。
この発見は萩尾のものであって先生はそれを盗んだと
思われています。
円空仏はその時に行方不明になっています。

先生、萩尾、ミナホ、藤田と関係者4人はその時から
ずっと苦しんできました。
悪意を持って事件の発端を仕組んだ人物はいます。
しかしその人の思惑以上に物事が進んでしまいました。
長い時を経てやっと真実を表に出来るときが訪れます。

お草さんは彼らに寄り添います。
草や萩尾の知り合いの近所のレストランのオーナーの
バクサンや、草の友達の体が不自由になってしまった
由紀乃たちも彼らのことを心配して見守っています。

いろんな人が関係すると正しいことをしようとすると
傷つけてしまう人が出てくるということがあります。
物事はそうそう簡単には解決できないこともあるの
ですね。
彼らはやっと新しい局面を迎えられそうです。

子供についいってしまう話

2013-04-20 19:42:14 | テレビ・新聞から
今日の新聞に子供の時に親にお前は拾ってきた子だと
言われたことがあるかという記事が載っていました。
私、「橋の下から拾ってきた」と何度も言われました。
悲しかったかって、いいえ、ぜんぜん。
それが本当だったらいいねって思いましたもの。
誤解しないでください、家が居心地が悪かったと
いうわけわけではありません、楽しく過ごして
いました。
両親が本当の親で冗談でいっているのだとわかって
いました。
お話のひとつと、捉えていました。
それが本当ならどこかに本当の親がいて自分はお姫様
かもしれないみたいなお話です。
私は赤毛のアンみたいに空想家とはぜんぜん違いますが
この話はおとぎ話と捉えることができました。
30歳を過ぎたころ、ある人が子供のころ橋の下から
拾ってきたと言われるとものすごく悲しくてつらかったと
言うのを聞いて衝撃を受けました。
へぇ、同じ話を聞いてこうも人というのは違った感情を
いだくものなのかと思いました。
言葉だけではなくその時の状況が感情を左右させる
ということもあるのでしょう。
それまでこの言葉でつらいと思う人がいるという発想が
浮かびませんでした。

よくこういうことをいうのは人を傷つけるのだから
言ってはいけませんといわれることがあります。
たとえば「がんばって」というのはかんばっている
人にそれ以上どれだけかんばれというのだといわれます。
これだって受け取り方は様々で励ましてくれてありがとう、
と思う人もいればつらい、と思う人もいて千差万別です。
何を言っていいのか悪いのかはその相手によりけりです。
一度言ってみて相手がつらそうな顔をしたら二度は
言わないというしかないのではないかと思います。
また言われて嫌なことは私にはつらいと伝えても
いいのではないでしょうか。
なにより悪意を込めて言った言葉は相手を傷つけ
真心がこもった言葉は受け入れられるということ
なのでしょう。

ホワイトアウト

2013-04-19 20:51:05 | 

真保裕一著"ホワイトアウト"を読みました。
読んでいると映画のダイハードが浮かんできます。
設定が似ています。

富樫は奥遠和ダムに勤務しています。
雪が深い時期に軽装の登山者二人を見つけ仲間の吉岡と
救助に行きます。
しかし吹雪に見舞われ富樫が一人で救助要請に向かい
ますが、吉岡は死亡してしまいます。
それから三ヵ月後に吉岡の婚約者の千晶がダムを訪れて
来ることになりました。
富樫は仕事明けでしたが彼女を待ってダムに残っていました。

その日にテロリストたちがダムを占拠しにやってきました。
富樫は不審人物を追ってダムの外に出ていました。
ダムの職員たちは全員監禁されてしまいます。
千晶も捕まって食事作りを命じられます。

この後は富樫一人でテロリストとの戦いとなります。
山で仲間を死なせたことが重くのしかかっています。
絶対に仲間の婚約者やダムを守るんだという信念は
ここから生まれています。
まるで映画の様な話と思っていたら映画になっているの
ですね。
大勢のテロリストに挑戦するヒーロー物という決まった
話ですが、でも先を急いで読み進んでしまいます。
雪の中で食料も装備もなく戦うって現実には無理だよね
って思うのですがそこが小説の楽しいところです。

出会うのは黒いスーツ

2013-04-18 19:47:03 | 日常の出来事
夕方の6時ごろに名古屋駅の地下街を歩いていると
目に付くのは黒いスーツを着た女性たち。
全部の人が社会人1年生というわけではなかろうと
思います。
何年前から黒いスーツが制服みたいになったのでしょう。
気づいたらほとんどの人が黒です。
誰がこのスタイルがいいと決めちゃったんでしょうね。
すごく嫌いです。
きっと服装の規定なんてないのではないかと思います。
みんなといっしょで黒にしておこうとなってるのでは
ないかと思います。
退社時に黒いスーツを着ているということは1日中
あの格好なんでしょうか。
これから先働き続けるかぎり黒いスーツを着続ける
つもりなのかしら。
ああ、嫌だ。
就職活動では個性があり創造力が求められるとか。
それが就職したらとたんに没個性でみんなにあわせ
ましょうですか。
どこか変ではありませんか。

ずっと服装については自由な職場で働けてよかったな。
時に前の席の女性が真冬だというのにおへそが出る
格好をしいて目を丸くしたこともあります。
寒くはないのかと思いますが本人が平気というなら
それもいいでしょう。

蚊トンボ白髭の冒険

2013-04-17 19:49:14 | 

藤原伊織著"蚊トンボ白髭の冒険"を読みました。
白髭という名前の蚊トンボが達夫の頭の中へ住み着いた
という突拍子もない話です。
白髭は達夫に頭の中から話かけることができます。
達夫の心を読むことは出来なくて達夫はしゃべることで
会話します。
白髭は瞬間的に達夫に力を出させることができます。
達夫の昔の記憶を取り出したり、見たり聞いたりした
ことを記憶する力も持っています。
達夫は二十歳ぐらいの水道配管工です。

アパートの隣室の黒木という男を最初は不良少年から
次に暴力団から助けてやります。
黒木はレイトレーダとしてアメリカで名を知られる
仕事をし、日本へ戻って暴力団と仕事をすることに
なりました。
黒木の責任ではないが6億円の負債の追及をされ
逃げています。
追っている暴力団員に瀬川がいます。

増築の仕事を行っている家の施主の年上の真紀と
知り合いになります。
真紀が積極的に達夫の家に押しかけてきます。

達夫は黒木や瀬川と知り合い経済の仕組みなどを
聞くことになります。
真紀といっしょのところを盗撮されその映像をインター
ネットで流すと脅され達夫は事務所へ押しかけ
パソコンを全部叩き壊します。
そこにいたのがカイバラ・ジョージです。
彼はアメリカ育ちで過去に殺人を犯したといわれて
います。
ソフト開発をしています。
自分本位にしか物事を考えられないサイコキラーと
いっていい人物です。
執拗に達夫を殺そうとするカイバラとの戦いと
なります。

まだ若いのに人生を投げているような達夫です。
黒木や瀬川と堂々と渡りあえる度胸があります。
白髭の力を借りているところはありますがどこへ
でも突き進んでいく無鉄砲さもあります。
白髭と達夫はいい相棒です。
二人のやりとりはおもしろいです。
対立しているはずの黒木と瀬川もなかなかにおもしろい
人物です。
真紀はばかな女性といった感じを受けます。
女性とはそんなものだといっているようです。

カイバラというとんでもない男と出合ってしまったのが
運が悪かったということでしょうが、達夫ももう少し
やりようがあったはずです。
カイバラはパソコンを壊されソフト開発の三ヶ月の
仕事をフイにされたのを許さないといっています。
しかし後に達夫らはバックアップを手に入れて
います。
カイバラがバックアップを忘れているはずがありません。
仕事をフイにされたという理由は通りません。
カイバラは自分に嫌な思いをさせたというだけで殺人を
厭わない人物ですから理由はなんでもいいのでしょう。

蚊とんぼの寿命は短いです。
白髭の助けがなくなったら達夫はどうするのだろうと
思っていました。
達夫、白髭、黒木、瀬川と興味深い人物が登場して
おもしろかったです。

展覧会いまだ準備中

2013-04-16 21:59:21 | 

山本幸久著"展覧会いまだ準備中"を読みました。
美術館の学芸員の仕事小説です。

弾吉は就職して三年経った野猿美術館の学芸員です。
学生時代は応援団員でした。
大学院で学芸員の資格を取って今の仕事に就きました。
元気な先輩学芸員に囲まれて一番の下っ端として
使われています。
2、3年先の企画まで決まっています。
仕事での意見の相違で先輩たちは激しく言い争うことが
ざらです。
弾吉はまだ企画を立てたことがありません。

応援団の仲間だった韮山から遺産で手にした三匹の羊の
絵の鑑定を頼まれます。
ボテロと呼ばれる大学教授に相談します。
学生時代にザ・本物と読んでいた人がいます。
彼がその絵を乾福助のものではないかと教えてくれます。
ザ・本物は能力から何もかも本物の力を持っていました。
しかし学芸員の就職活動はことごとく破れ親の後を
継いでいます。
もう一人の応援団の仲間だった白柳は会社や仕事の不満を
抱えています。
韮山の中学生の息子のマサヒロは将来になりたい職業に
悩んでいて弾吉の元を訪れるようになりました。
運送会社で作品の運搬をしているサクラと知り合います。
いろんな人物が登場します。

福助は絵師ではありません。本草学のための動物画や
植物画を残した人です。
彼が起こした繊維会社が現在も続いておりそこへ
訪ねて行くことになります。
会社の目印に羊のアドバルーンが揚げられています。
山本さんの"一匹羊"を思い出しました。

弾吉はいつか福助の作品の展示を実現させようと
考えるようになります。
福助が時々弾吉の前に姿を現します。
幽霊ではなく過去からやってきた人という感じです。

仕事に対する様々な人たちの姿が描かれています。
ちょっと重苦しいです。

弾吉は福助の絵に出合ったことで仕事の意義を
見いだせそうです。