ディクスン・カーの"皇帝のかぎ煙草入れ"を読みました。
こんな有名な本を学生時代に読んでいないわけはないと
思いますが、読んでみてぜんぜん記憶にありません。
忘れたのだと思いますが忘れたのならまた楽しめますから
それもいいかと。
書かれたのは1942年だそうです。
70年も前の話です。でもぜんぜん古さがありません。
普通に読んでいけます。
昔の話だと思うのは馬車が出てくる場面です。
かと思うとフランスとイギリス間を飛行機で楽々と
往復してくる場面が出てきます。
飛行機が気軽に使われているのに馬車だって?と
不思議な気分です。
イブという女性が隣の家の婚約者の父親を殺したという
疑いで捕まり、お医者さんのキンロスが疑いを晴らして
やろうと活躍します。
イブはお金持ちで、だめ男の夫と離婚したばかりです。
今でいうDVとストーカーを合わせた男です。
別れた後で隣の家のトビイと知り合い家族ぐるみで
つき合っています。
トビイの父は骨董趣味で手に入れたばかりの皇帝の
かぎ煙草入れをイブの窓から見える向かいの書斎で、
見ている最中に殺されました。
殺された時にイブの寝室には元夫のネッドが復縁を
迫って押し入ってきていました。
ネッドが来ていたことを知られまいとしたため
ややこしいことになってしまいます。
イブは人を信じやすくて騙されやすい人です。
男を見る目がありません。
疑いはキンロス博士が晴らしてくれます。
よく考えられた計画でした。
ちょっと狂いが生じてしまっておかしな状況に
なってしまったのです。
昔からDVとかストーカーはあったのだなと変なことに
関心しました。
そんな男女関係がうまく書かれています。
イブは騙されやすい人ですが、男におぼれて未練が
断ち切れないという人でもありません。
おもしろかったです。