雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

翔ぶ梅 濱次お役者双六 三ます目

2013-06-30 18:45:32 | 

田牧大和著"翔ぶ梅 濱次お役者双六 三ます目"を読みました。
森田座の大部屋女形の濱次が主役のシリーズ三冊目です。
市村座の女形の平九朗から濱次を市村座へ欲しいと
言ってきます。
せりふも少ない端役の濱次です。
いったい何のためと不審がります。
やがて濱次が平九朗と姿が似ていて平九朗の次回の
出し物の早替りでいくつか濱次を替え玉にしようという
つもりだということがわかります。
森田座の中二階の役者たちは大騒ぎです。
濱次自身は相変わらずのんびりしていてどっちでも
いいという風です。
いったん替え玉となったらそこから這い出して上には
いけなくなると心配します。
濱次の師匠の仙雀は移ってもいいのではないかと
言い出します。

濱次が伸びる力を持っていることに周りの人々は
気づいています。
濱次自身がわかっていません。
端役でずっと芝居が続けられればいいと欲がありません。
濱次を見守っている人たちは歯がゆくてしょうがありません。
結局移る話は流れます。

今回の話はおもしろかったです。
たくさんの人が登場しますがみんないきいきと描かれて
います。
花形の役者も下っ端の役者もそれぞれがんばっています。
下っ端はどんなにがんばってもうまくても上には
上がれないと決まっているというのは辛いですね。
濱次はそれを破って花形になれると期待されています。
しかし本人は全然その気がないのは読んでいる方も
歯がゆいです。
シリーズになっていますが少しずつ前進していく
過程が描かれたらなぁと思います。
ずっとこのまま変わらないみたいですから。

山あり愛あり

2013-06-29 21:13:59 | 

佐川光晴著"山あり愛あり"を読みました。
周三は銀行員でした。
早期退職しました。
再就職先は故郷の大学で講師をすることになっています。
学生時代には登山をしていました。
登山の先輩の池島が岩場から転落死しました。
いっしょに行けなかった友人が自殺しました。
周三は成り行きから銀行員になりました。
不良債権の整理の仕事をしてきました。
世話になった弁護士に母子家庭を支援するNPOバンクを
設立するため手伝いを頼まれます。
音楽家の枝川から一億円の資金提供と発起人として
名前を出す許可をもらってくることになりました。
周三が歌った歌がきっかけで枝川と意気投合しました。
彼が弁護士と知合った出来事も話してくれます。
女性にひどい目にあわされたことがあり女性を
助けるNPOにためらいがありました。

周三は母と確執があります。
未婚で周三を生んでいます。どういういきさつで
周三が生まれたのか話してはくれませんでした。
母は評論家です。
女性差別を批判した激しい人です。
周三を生んだだけで両親にあずけっぱなしで母親と
して何もしませんでした。
母は年老いて意識不明の状態です。

周三はNPOの仕事を手伝うことにしました。
母子家庭に安い利子でお金を貸す仕事です。
危険な金融に頼ってぼろぼろにならないよう、
母子家庭の女性たちを助けようという仕事です。
敵視した暴力団に暴力を振るわれて意識不明になる
こともありました。
仕事に夢中になれなかった男性が意義を見出せる
仕事に出会ったという話です。
子供がいる専業主婦だった女性が離婚したりすると
生活を立て直すのは簡単ではありませんものね。
お金がない、仕事がないだと絶望的になってしまう
ことでしょう。
手助けしてくれるところはある、ということですが
そこにたどり着くのが難しいことです。
この話のお金を貸してくれるということですが
借りれば返さなくてはいけません。
借りれた、やれやれではないですから厳しいですね。

夏期限定トロピカルパフェ事件

2013-06-28 19:36:20 | 

米澤穂信著"夏期限定トロピカルパフェ事件"を読みました。
"春期限定いちごタルト事件"の続編です。
小市民をめざし事件には関心を持たず回避するのを
信条としている小鳩君と小佐内さんです。
前回のいちごタルト事件より一年以上学校以外で会って
いません。
高校二年生の夏休みになりました。
小鳩君は小佐内さんに夏休みの間にスイーツセレクションの
制覇に強引に引きずり込まれました。
スイーツの店が書き込んである地図をわたされます。

同じ高校の堂島健吾はやはり同じ高校の女子の川俣の
妹に姉のことを相談されています。
川俣は中学生の時薬物乱用にはまっていました。
グループのメンバーが補導されて薬物から抜けました。
しかしまた元のメンバーが集まり川俣は仲間に引き
込まれました。
彼女らは補導された時に裏切った者を探しています。

スイーツ巡りは続いています。
小佐内さんを家に迎えにいった時に彼女は誘拐されて
しまいます。
お金の要求がありました。
堂島の助けを求め彼女の居場所を探します。
小佐内さんから暗号のようなメールが届きます。
これを解くのに小佐内さんから渡されていた地図が
役に立ちました。

彼女を拉致したのは薬物乱用グループでした。
小佐内さんが密告者だとして報復しようとしていたのです。

警察に監禁場所を連絡して事件は解決しました。
この事件には裏があります。
すべてが小佐内さんが描いた筋書きです。
小鳩君は何かあると思いつつそのままにしておけなくて
スイーツ巡りに付き合ってきました。
小佐内さん、おっかないねぇ。
とても高校生とは思えません。
うんと大人が考えそうなことです。
小鳩君を信頼しているからこそできたことでしょうけど
もう少し打ち明けて話してもよさそうに思います。
警察や両親、先生等大人はぜんぜん信用されていない
のですね。
なさけないな、大人。
おもしろかったです。
小鳩君と小佐内さん、普通の高校生からかけ離れています。
こんな二人にあまり好意は持てません。

ダンス・ウィズ・ドラゴン

2013-06-27 20:59:26 | 

村山由佳著"ダンス・ウィズ・ドラゴン"を読みました。
ドラゴンが主題のよくわからない話です。
不思議な世界に漂っていればそれでいいのかもしれません。
オリエは夫の裏切りで離婚しました。
図書館の司書募集を知って応募しました。
図書館は井の頭公園の中にあります。
夜しか開きません。
図書館が人を選びます。
選ばれた人しか図書館にはたどり着けません。
オリエは図書館で働き始めます。
同僚に巽スグルという男性がいます。
オリエは用意された家に引越します。
オリエは図書館にやってきた占い師に満月の今日家の
屋根裏部屋へ行くように言われました。
オリエは屋根裏部屋でドラゴンに出会います。

スグルにはマナミという妹がいます。
スグルは妹に居場所を連絡していません。
妹がスグルを見かけて図書館にやってきます。
スグルの家は龍神様の水を守る家系でした。
子供の時に祖父から地下に湧き出る水を見せられました。
誰にも知らせるなという祖父の言葉を守らずに妹を
連れて行きました。
妹が高熱を出し翌日には母が亡くなっていました。
スグルもマナミも自分のせいだと思っています。

実は二人は再婚した父と母の連れ子同士で本当の兄妹
ではありません。
二人は故郷のあの地下へと向かいます。

最初はオリエの話かと思っていました。
途中からスグルとマナミの話へと変わりました。
ドラゴンが出てくるのですがこのドラゴンがどんな
ものだかわかりません。
人にとってプラスのものだとは思えません。
どういう存在なんだといいたいのでしょう。
すっきりとした終了の仕方をしていません。
中途半端な気分に取り残されます。

でもこの図書館の雰囲気はなんだかいいなぁ。
紛れ込んでみたい気がします。

犯罪

2013-06-26 22:46:27 | 

フェルディナント・フォン・シーラッハ著"犯罪"を
読みました。
ドイツの弁護士が書いた真実を題材にした話だそうです。
11話あります。

一番最初の話の"フェーナー氏"が衝撃的ですね。
お医者さんのフェーナー氏は若い時に結婚しました。
一生捨てないと誓いました。
すぐに奥さんが口うるさくてがまんならない人だと
気づきました。
がみがみと小言の言いづめです。
年老いるまで我慢してきました。
それなのにフェーナー氏は奥さんを斧で殴り殺しました。

"タナタ氏の茶碗"はちょっと嫌な気分です。
タナタ氏は日本人なのです。
留守にしている間に泥棒に入られお金や品物を盗まれました。
とても怒っています。
泥棒は少年達ですがあとから関わってきた者たちがいます。
彼らは次々に殺されていきます。
タナタ氏は品物を取り返します。
お金も表の顔では受け取りませんが裏で取り立てます。
相当な組織力がなければこれはできないでしょう。
こんな人物が日本人にいるのでしょうか。
血も涙もない大きな組織のボスといった感じです。

"ハリネズミ"
大勢の兄弟がいて全員が犯罪者です。
末っ子のカリムは頭が悪いふりをしていました。
内緒で勉強しITで収入を得られるようになりましたが
隠していました。
兄弟の一人が窃盗で捕まりました。
アリバイを主張しましたが無視されています。
頼りにならないと思われているカムリが無罪を勝ち取ります。
兄たちにはその理由は理解できません。

2012年の本屋大賞第1位との帯がついています。
へぇ、どうしてこの本が選ばれたの?

大崎梢リクエスト!"本屋さんのアンソロジー"

2013-06-25 20:20:01 | 

大崎梢リクエスト!"本屋さんのアンソロジー"を読みました。
前に読んだ"ペットのアンソロジー"と同じ企画です。
10人の作家さんの10の短編です。
大崎さんは書店員を経験されておられ書店をめぐる本を
何冊も書いてみえます。
他の作家さんはどんな話を書かれるのだろうと楽しみでした。

有栖川さんはミステリー作家さんらしくミステリー調です。
注文の本が届いたと電話したら本人が出ずにお経が聞こ
えてきたのでお亡くなりになったのだと店員は思い込みました。
本人が受け取りに来て店員はびっくりします。
店長は法事だったのだろうと推理します。
ありきたりの話だと言えばそうですがクスッと笑って
しまいます。

門井慶喜さんの"夫のお弁当箱に石をつめた奥さんの話"も
おもしろかったです。
緑雨警告の話を奥さんに話したらそんなふうに思っていたのと
怒らせてしまいました。
"寒い晩だな、寒い晩です。…"
と続く奥さんなんて鸚鵡返しに答えているだけという
奥さんを軽んじる警句です。
正反対の見方もある、それを見つけなさい言われました。
見つけられない間はお弁当箱はおかずの数が減っていき
とうとう石が詰められていました。
この警句どこかでみかけたような気がしました。
警句のように短いなら短歌で、それなら石川啄木かなと
思いました。
夫は短歌で正岡子規ではないかと思います。
私の推理もまんざらではないですね。
しかしどちらも間違いです。

回答はこれです。
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ

私、この歌の載っている本買いました。
思い出せないなんてだめですね。

似鳥鶏の"7冊で海を越えられる"もおもしろかったです。
海外留学に出発間近の男の人が本屋へ助けを求めてきます。
海外へ行くことを彼女に話していませんでした。
彼女は怒ってしまい会えません。
彼女からジャンルや大きさががはらばらの本が7冊
送られてきました。
男性はこの本の意味することを教えて、と本を配達した
本屋へやってきました。
電話で注文があってすぐに配達されています。
在庫がすべてあったのか、おかしいなと思いました。
やはりここにもヒントがありました。
本が意味していることは本の大きさが大いに関係して
いました。

大崎さんの話は後味が悪かったです。

マスカレード・ホテル

2013-06-24 23:00:27 | 

東野圭吾著"マスカレード・ホテル"を読みました。
軽い感じでさらさらと読めます。
ミステリーといえばそうですが、仕事小説の面が大きい
ように思います。
連続殺人と思われる殺人事件が三件続いています。
犯人が残していく手がかりから次に事件が起きるのは
一流ホテルのホテルコルテシア東京だとわかります。
犯人も被害者もわかりません。
警察は捜査員をホテルの従業員に潜り込ませることに
しました。
新田はフロントクラークとして監視することになりました。
新田の教育係は山岸尚美という女性です。
他にもベル・ボーイやハウスキーパーに扮しています。
フロント・クラークらしかぬ新田に尚美は外観から歩き
方などを厳しく指導します。
いろんな人がやってきます。
自分で煙草を吸っておいて禁煙室が臭うと暗にグレード
アップを求めてくる人がいます。
ガウンを持って帰ったと疑われるようしむけ、問い
正されたら持ってなくて脅そうとする人がいます。
宿泊客の情報は絶対に漏らしてはいけません。
客はいろんな手を使って聞き出そうとします。
各種トラブルが起きた時に尚美は的確に処理
していきます。
新田は尚美の職業姿勢に感嘆するようになります。
新田は短時間にフロント・クラークの仕事に慣れ
本来の仕事のみならずホテルマンとしてもしっかり
仕事をするようになります。
能勢という前に新田と組んでいた品川警察署の刑事が
います。
一見頼りなさそうで新田もそう思っていました。
しかし実際は切れ者で場所を動けない新田に変わって
しっかりと調べてきて新田をサポートします。
だんだんと事件の様相がわかってきます。
インターネットを利用した集団犯罪です。

事件が起ると予告されていた日は、狙われているに
違いないというお客の監視に力が注がれました。
しかし実際に狙われていたのは…

ホテルで働く人達がどのような信念の元にどのように
働いているのかがわかります。
誇りをもって働いています。

しかし一流ホテルに泊まることがない私にはちょっと
実感がわきません。
ホテルの従業員の人とはチェックイン、チェックアウトの
事務的な接触しかありません。
ずるいことを仕掛けてくる人たちはホテル側が実際は
どうなのかわかっているということを知っていながら
やっているのは、なさけなくてはずかしいことだとは
思わないのでしょうか。

犯行の動機は逆恨みです。
こんなことで殺されたらたまったものじゃありません。

新田と尚美の間にロマンスが芽生えるというありきたりの
展開になっていくのかと思いました。
そうなるかもというところで終わっていてありきたりに
ならなくてよかったです。
マスカレードとは仮面舞踏会のことだそうです。
お客さんは本来の姿に仮面を着けてやってくるという
意味のようです。

古手屋喜十為事覚え

2013-06-23 19:26:43 | 

宇江佐真理著"古手屋喜十為事覚え"を読みました。
宇江佐さんの本はほとんど読んでいると思いましたが
この本は読んでいませんでした。
古手屋とは古い着物を売っている店です。
江戸の庶民は古い着物で間に合わせていました。
柳原の土手には朝大八車で来て夕方店をしまって帰る
店が軒をつらねていました。
喜十もそうやって商売をしてきましたがおそめといっしょに
なって店をかまえました。
間口二間の狭い店です。
おそめは裕福な店のお嬢さんとして育ちましたが父親が
騙されて店は傾き両親を次々と亡くしました。
自殺しようとしたところを喜十に助けられました。
当時健在だった喜十の母親にやさしくされそのまま
居ついてしまいました。

それから六年後、母親は亡くなっています。
隠密廻り同心の上遠野(かとの)が店によくやってきます。
着物がらみの事件が起きると喜十の手助けを求めてきます。
上遠野が持ち込んだ話の調査の連作短編集です。
事件物というほどの話ではありません。
上遠野という人がなんともずうずうしい人で人に頼み
事をしておきながらただで飲み食いし泊まっていき
かかった費用は払おうとしません。
手伝ってもいっさい礼金なしです。
なんとも嫌な人物です。

"古手屋 喜十"
喜十とおそめとの出会いが紹介されています。
見つかった血まみれの黄八丈の着物の持ち主の探索を
頼まれます。

"蝦夷錦"
抜け貿易で手にした着物が盗まれました。
着物が出回って抜け貿易がばれたら大騒動になります。
回収を頼まれます。
小さくばらばらにされた生地は子供が生まれず離縁され
気がおかしくなった女が持っていました。

"仮宅"
吉原が火事で焼けたため喜十の家の近くに仮宅が設け
られ商売をしています。
そこで働いている花魁が地味な着物を買って預けていきました。
まもなく年季があけるというのに女は足抜けしました。

"寒夜"
上遠野の義弟の福太郎が寒い地方に行くことになり
寒さをよけるために皮の衣服の調達を頼まれます。
雪の降る夜に認知症の老女が裸に近い姿で凍死している
のが見つかりました。
息子夫婦が疑われています。
福太郎は極寒の状態に置かれると暑さと勘違いして
服を脱ぐということを知っています。
しかしそれをわかってはもらえません。

"小春の一件"
亡くなった父親の着物姿で寺の洗濯仕事をしている
小春という少女がいます。
材木屋で建築もする伊勢屋の次男の虎吉が夜に人気が
ない場所で怪我をして動けなくなっていたのを助け
家に連絡をしてくれた人がいます。
虎吉は女だったといい、家の人は男だったといいます。
小春だったのではないかと小春を家によび歓待しました。

"糸桜"
喜十とおそめの間には子供ができません。
ある朝店の前に赤ん坊が置き去りにされていました。
喜十は麗一という按摩にかかります。
麗一はある家の桜を切り倒そうとして捕まりました。
彼の過去に事情がありました。
赤ん坊の親は見つかりません。

軽い話で楽に読めます。

特急便ガール!

2013-06-22 21:03:59 | 

美奈川護著"特急便ガール!"を読みました。
上司を殴って一流商社を辞めた吉原陶子が主人公です。
同期だった三村に義兄が経営している会社を紹介されます。
社長の如月紘一郎とバイク便の菅谷亮、同じくバイク便の
如月沙織がいるバイク便ユーサービスです。
陶子はハンドキャリー担当として働くことになります。
電車を使って遠くにいる受け取り人に荷物を手渡しする
仕事です。

"奔走メッセンジャー"
陶子が仕事が出来るのかテストされます。
働くといっていないのに仕事を押し付けられます。
ハウスクリーニング業者から品物を渡され神戸へ
行くことになりました。
新幹線の扉を開けるとそこは届け先の家の前でした。
老婦人は意識が薄れている状態です。
届けたのは指輪です。
無理やり引き裂かれた最初の夫が持っていたものです。

"恋文ピアニッシモ"
大阪にいるヴィオラニストから楽器を演奏用と練習用を
間違えて持って来てしまったので演奏用を届けて欲しいと
依頼がありました。
ヴィオラを持って玄関のドアを開けたとたんに別の場所で
気がつきました。
大阪ではなく北海道にきていました。
そこにいたのはケースに入れられていた手紙の宛先の
男性でした。
彼女と彼は大学時代のオーケストラ仲間でした。

"新宿クライベイビー"
事務所の前に受取人が書き込まれた伝票と赤ちゃんが
置き去りにされていました。
事務所のみんなは伝票の手がかりから赤ちゃんの
引き取り手をさがします。
赤ちゃんは事情がある子です。
一卵双生児の姉妹の姉の卵子と夫との体外受精で生まれた子です。
夫が赤ちゃんを拒否して離婚に到りました。
赤ちゃんは姉か妹かどちらの子なのか?
陶子は赤ちゃんと扉を開けました。

"遠景ウエディングベル"
如月紘一郎、沙織、菅谷、三村の関係が書かれています。
紘一郎と沙織は弟と姉、会社の創立者で紘一郎の妻が
三村の姉の悠です。
悠、紘一郎、菅谷は大学の同窓生です。
悠は交通事故で亡くなっています。
紘一郎は会社を売ろうとしています。
それを止めようと陶子たちは奔走します。
悠の実家へ菅谷と陶子はバイクを飛ばします。
悠の残したウェディングドレスを手に陶子は紘一郎の
いる場所へ移動します。

普通の仕事小説かと思っていたら品物が行きたいと願う
場所へテレポートするという話でした。
登場人物がしっかり性格づけられていておもしろかったです。

キャベツ炒めに捧ぐ

2013-06-21 20:43:24 | 
著者 : 井上荒野
角川春樹事務所
発売日 : 2011-09-01

井上荒野著"キャベツ炒めに捧ぐ"を読みました。
それぞれ抱えているものがある60代前後の三人の
女性が主要人物です。
三人は「ここ屋」という惣菜屋で働いています。
江子が経営者で麻津子と郁子が働いています。

江子は離婚しています。
元夫はここ屋を立ち上げた時にいっしょに働いていた
女性といっしょになりました。
江子は今でも元夫に電話をし、家に遊びに行きます。
二人は受け入れてくれています。
どうしても過去に決別できません。

麻津子には昔からの知り合いの恋人がいます。
彼は一度別の人と結婚していますが今は一人です。
麻津子は彼のことが好きです。

郁子は夫と数年前に死別しています。
子供は二歳の時に肺炎で亡くしていて他に子はいません。
夫がただの風邪だと相手にしてくれなかったため病院へ
連れていくのが遅れて死亡させてしまいました。
大声で非難することはありませんでしたがずっと夫の
ことを恨んできました。

こういう背景を持った女性たちが料理をしています。
まだ若い米屋の配達員の進は三人のお気に入りです。
いろんな料理が出てきます。
章の名前が料理の名前になっています。
次の通りです。

"新米"
"ひろうす"
"桃素麺"
"芋版のあとに"
"あさりフライ"
"豆ごはん"
"ふきのとう"
"キャベツ炒め"
"トウモロコシ"
"キュウリいろいろ"
"穴子と鰻"

おいしそうですよ。
彼女たちの悩みはわかるのですが、わかるからこそ
あんまり聞きたくないという気持ちになります。
三人とも明るい女性です。

鎮火報

2013-06-20 20:22:38 | 

日明恩著"鎮火報"を読みました。
はずみで消防士になった人の仕事小説&ミステリーです。
鎮火報とは火事が鎮火して消防車が引き上げるときに
鳴らすサイレンだそうです。
そんなサイレン鳴らしている消防車みたことないです。

雄大の父親は消防士でした。
仕事一図で人を助けることが当然の人でした。
火災現場で雄大が子供の時に亡くなりました。
父親の生き方に反発して不良生活していました。
仁藤は子供の時に雄大の父に命を助けられました。
仁藤は現在消防士をしています。
雄大は仁籐に挑発されて消防士になりました。

火災現場で水をかけたら火が燃え上がりました。
そこは不法滞在外国人たちが住むアパートです。
入国管理局と警察が摘発した直後に火は出ました。
同じような火災が数件起きています。
天井裏に携帯電話で爆発する仕掛がしてあり、水をかけると
火が広がる石灰が撒かれていました。

小坂は不法滞在外国人の摘発にやたらと意欲を燃やして
います。
しかしそれとは反対に彼らに思いやりも持っています。
相反する感情を持っています。

雄大にはうんと年上のひきこもりの友人の守がいます。
守るは「あの人が死んだら自分も死ぬ」と言っています。
お金持ちです。
コンピュータ操作に優れハッカーです。
いろんなところへ入り込んで雄大が欲しい情報を調べて
くれます。

子供のころからの友人の裕二とは強い絆があります。

仁籐は交通事故で両親を亡くしていますがその死に
関わりがあるとして苦しんでいます。
自分を追い詰めて危険なところへ飛び込んで人を
助けるのが自分の使命と思っています。

小坂は自身は日本人です。
でも父親は外国人です。
そのことで子供のころは疎外されて育ちました。
生い立ちが仕事に影響しています。

藤田、富岡、生田、星野といい仕事仲間がいます。
一時は消防士を辞めると決意した雄大ですが、
続けていくことにしました。

雄大が語る形式です。
この語り口がちょっと読みにくいです。
守や裕二や仁籐などみんな興味深い人たちです。
おもしろかったです。
放火をした心理はわかったような、わからないような
感じです。
作者の別の作品の"そして、警官は奔る"でも不法滞在
外国人の問題は扱われています。
作者の関心が強いのですね。
百万円というような高額を払ってでも日本に来て、
日本人より低賃金に甘んじてきつい仕事をし、
逃げないように監視されそれでもなお日本は来る
だけの価値があるのでしょうか。

玉村警部補の災難

2013-06-19 19:20:31 | 

海堂尊著"玉村警部補の災難"を読みました。
チームバチスタのシリーズに出てくる玉村警部補が
過去の事件を回想して不定愁訴外来の田口医師に
語るというものです。

"東京都二十三区内外殺人事件"
東京へ出張に行った田口は白鳥と会い、いっしょに
食事をします。
その帰りに死体を発見します。
白鳥は田口に手伝わせて死体を移動させます。
翌日の夜に田口はまた同じ店に行きまた死体を発見します。
同じようなに死体を発見したのに昨日と今日ではその後の
処置がまるで違います。
発見した場所が東京二十三区からほんのちょっと
外れていたためです。
東京二十三区内では日本で唯一監察医療制度が機能
している地域です。
このことは最近はよくテレビでも取り上げられていますね。
東京二十三区以外では殺人が見逃されやすいそうです。

"青空迷宮"
テレビ番組の撮影現場で起きた事件です。
嫌われているタレントが迷宮の中でボーガンで目を
射抜かれて亡くなりました。
迷宮の中に置かれた何台ものカメラが撮影しています。
迷宮は低予算のため天上がありません。

"四兆七千億分の一の憂鬱"
山小屋の前で12月の雪が降る直前に殺害され4月の
雪解けで女性の死体が発見されます。
女性は浮気をしていました。
犯人は女性の服に残っていた血液のDNAからある男が
捕まりました。
男は否認します。
男は新薬の被験者となり採血を受けています。
女性の夫はその新薬の開発会社に勤務しています。

"エナメルの証言"
歯の偽装を請け負うそういう裏社会の仕事をしている
人がいるという話です。
技術はあるのに患者にうまく接することができなくて
歯科医になれなかった人が偽装を引き受けています。
行き倒れになった人の歯を姿を消したい人の歯に
見せかけるため抜いたりけずったりかぶせたりします。
その上で歯でしか身元確認できないように焼身自殺を
装います。
そんな死体が田口のいるAiセンターへ持ち込まれます。
死後にMRIやCTでスキャンして解剖することなく
死因を調べました。
この検査で偽装は見破られました。

玉村警部補が強烈な個性の加納警視正に引きずり
まわされて事件に対応します。
災難というのは加納警視正と共に仕事をするという
ことなんでしょうね。
作者のAi(死亡時画像診断)を普及させたい、監察
医療制度の不備を正したいという願いがこの本にも
込められています。

風雪の檻 獄医立花登手控え二

2013-06-18 22:44:42 | 

藤沢周平著"風雪の檻 獄医立花登手控え二"を読みました。
一はこちらです。

"老賊"
牢に入っている捨蔵は腹痛で苦しんでいます。
もう長くないと見られています。
登は捨蔵に娘と孫を探して欲しいと頼まれます。
娘は捨蔵が知っている家から何度も引越しをしています。
ようやく見つけた女は捨蔵を父ではないといいます。
女は捨蔵ともう一人の男が押し込みをしたのを偶然
目撃したため殺されるのを恐れて逃げ回っていました。
登は利用されたことに気がつきます。

"幻の女"
登はもうすぐ流人船で島送りになる巳之吉の手当てを
してやり、子供のころに近所にいたおこまという女の
話を聞きかされます。
おこまは今はどこにいるかわかりません。
登は探してやります。
おこまは小料理屋に勤めては客の金を抜いていました。
捕まって今は同じ牢内で巳之吉のすぐ側にいました。
登はおこまがすぐ側の牢内にいることを巳之吉に伝る
ことができませんでした。

"押し込み"
水茶屋で三人の男たちが相談しているのを目にしました。
そのうちの一人が捕まって牢に入れられました。
登に仲間に「じゃまがはいった。やめろ」と伝えて
欲しいと伝言を頼まれました。
彼らは押し込みに入る相談をしていました。
同じ店に凶暴な泥棒が同じ日に押し込みを計画しており
罪を彼らに押し付けようと計画しています。

"化粧する女"
捕まった房五郎は高瀬の拷問にあっています。
しかし白状しようとはしません。
房五郎の妻のおつぎは房五郎の仲間とねんごろに
なっています。
彼は仲間と妻に裏切られたのです。

"処刑の日"
大津屋は妾を殺害した容疑で捕らわれ処刑されることが
決まっています。
大津屋は無実を訴えています。
しかしもう生きる気力を失ってしまっています。
登が寄宿している叔父の家にいる従姉妹のおちえが
大津屋の妻と手代が船宿から出てくるのを見たと
登に話ます。
処刑の前日に真犯人は捕まりました。
しかし処刑の停止の連絡が来ません。

連作短編集ですが全体を通して道場の仲間の新谷弥助の
ことが出てきます。
弥助は道場の師範をしていますが出てこなくなりました。
よからぬ人たちと付き合っているのが目撃されています。

従姉妹のおちえとはゆくゆくは結婚するという暗黙の
了解が叔父の家族との間にできています。
1冊目ではおちえはわがまま娘として描かれていましたが、
2冊目ではおちえは段々と登に惹かれていき態度も
変わってきます。

ツナグ

2013-06-17 20:11:02 | 

辻村深月著"ツナグ"を読みました。
前に映画で見たものの原作です。
映画は原作に忠実です。
タレントが急死してファンだった女性が会いたいという
最初の話は映画ではなかったような気がします。

母と会った工務店の社長は映画では息子とうまく
いってなくてそれでおかあさんに会いたくなった
ように描かれていました。
本ではいい息子です。
自分に自信を失くしてお母さんに会いたくなった
という感じです。

ツナグの見習いの高校生のアユミの同じ高校の女子高生
を会わせる話は本を読んではっきりしました。
二人とも本心をさらけ出して話してません。
でも死んだ方の子はちょっと残酷なことしますね。
生きている方は一生苦しみを背負っていかなくては
いけません。
死者相手では今後和解をすることはできませんもの。
役者になるならそういう苦しみを知ったことはプラスに
なるのかもしれません。

ツナグが引き継いでいく鏡を他の人が見ると死ぬと
言われています。
アユミの両親は父が母を殺したと思われています。
そうではない、とアユミはツナグをやってわかります。

いい本でした。
でも、生きているうちにこれでもかというほど話は
しておかなくちゃ。
現実にはツナグはいませんから。

図書館での出来事

2013-06-16 20:00:27 | 日常の出来事
図書館で本を借り出口から帰ろうとしたら後ろから
呼びかける人がいました。
私に呼びかけているとは思いませんでしたが振り向いたら
警備員さんがいて本の持ち出しチェックの機械が鳴って
いると言いました。
貸し出し手続きをしないで本を持ち出そうとすると出口の
ところの機械を通った時にブザーが鳴るというあれです。

今日は本を返して、予約した本が届いていたのでそれを
受け取っただけで他の本には手をふれてません。
ですからうっかり手続きを忘れて持ってきた本があると
いうことはまったくありません。
図書館側の処理ミスか、機械の調子が悪いか、であるのは
はっきりしていました。
手続きのデスクへ行って鳴るそうですといって本を
渡しました。
再度機械に本を滑らせて処理してくれました。
(あれは何を本に対してしているのか不思議です)
そしていっしょに出口まで来て機械を通って鳴らない
ことを確認してくれました。
そして「すみません」と謝ってくれました。

ちょっとしたミスでなんでもないことと思いましたが
後から考えてみれば、警備員さんに呼び止められたのを
見た人は私が何か不正なことをしたと思ったかもしれません。
オー、なんてことだ!
図書館の職員さん、こんなことが起きないようしっかり
処理してくださいね。