雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

サラバ! 下

2019-02-28 21:00:00 | 

西加奈子著"サラバ! 下"を読みました。
ウズマキの巻貝の造形物の中に入って
あちこちに出没する者があらわれました。
ネットで情報が広がって大勢のシンパが
できました。
歩はそれが姉だとすぐわかりました。

付き合っていた写真家の紗智子が姉の写真を
撮りたいと願いました。
歩は断りましたが紗智子は貴子と歩抜きで
交渉し写真を雑誌に載せました。
この写真がもとで貴子はネットで叩かれ、
あっさりと見放されました。

こんな時に矢田のおばちゃんが亡くなりました。
姉に遺言が残されました。
「自分で自分の信じるものをみつけなあかん」
矢田のおばちゃんが言った言葉でした。
姉は海外へ立ちました。

歩は30歳を超えました。
多かった仕事はほとんどなくなりました。
母は再婚相手と離婚しています。

須玖と再会しました。
二人でいる時に鴻上とも再開し、三人での
付き合いが始まりました。

姉が夫を伴って一時帰国してきました。
姉は落ち着いた女性になっていました。
海外の多くの国を巡ってアメリカで
結婚しました。
母ともうまくつきあっています。

歩は姉から忠告されます。
「自分だけが信じられるもの、それが
あなたにはない」
「あなたには芯がない」
と言われます。

いままでとここで物事ががらりと逆転
します。
問題児だった姉が悩んだ末に突き抜けて、
反対に歩は自信を失っています。
仕事をせず図書館に入り浸っています。

姉はあっさりと変貌を遂げて登場します。
人は何かのきっかけで変わるものですから
それもありですね。
歩は今まで姉に翻弄されながらも頑張って
生きている風に見えました。
でも見方を変えると波風立てないように
生きてきただけという風にも見えます。
歩は、姉によって見ないようにしていた
現実をはっきりと突きつけられました。

父母が離婚することになった原因も知ることに
なります。
両親もKさんも起きてしまったことはさっさと
忘れるべきでしょう。
悩むなら人に見せずに心の中だけにして
おくものです。
このことが子供たちに大きな影響を与えている
のは確かです。

歩が悩み、先へと進んでいく過程が描かれます。
幼いころの友人のヤコブとの再会があります。

サラバ! 中

2019-02-27 12:31:05 | 

西加奈子著"サラバ! 中"を読みました。
日本に帰って来て両親は離婚しました。
祖母の家の近くに住みました。
家は父が買ってくれ生活費も父が出して
くれました。
歩は小学校に転校しました。
必死で馴染むよう努力しました。
姉の貴子は中学校へ転校しましたが、
馴染むことはできませんでした。

以前からの知り合いの矢田のおばちゃんは
前と変わってませんでした。
ただ集まってきた人たちがサトラコヲモンサマ
というものを拝むようになっていました。
矢田のおばちゃんが中心にいますが彼女は
教祖でもないし教義を説くわけでもありません。

歩はサッカークラブに入りました。
友人も出来ました。
中学校で孤立した姉は学校へ行くのを止めて
しまいました。

高校は男子校を選びました。
クラブはサッカー部を選びました。
姉はサトラコヲモンサマに傾倒しました。
この場所で姉は信者らの注目を得、落ち着きを
得ていました。

高校で須玖という親友を得ました。
同じサッカー部で、サッカーはうまいのですが
目立たない人物でした。
本を読み、映画や音楽の知識も深いものが
ありました。
家にも泊まりにきて本や映画などの話をしました。

阪神・淡路大震災が起きました。
須玖は地震で精神的な衝撃を受けて学校へ出て
こなくなりました。
こうして須玖とは会わなくなりました。

東京ではサリンが撒かれる事件が起きました。
新興宗教であると見なされたサトラコヲモンサマは
人々から糾弾され信者は去っていきました。
貴子はまたしても不安定になり自室に閉じこもり
食事をせず風呂にも入りませんでした。

姉は矢田のおばちゃんと話をしたあと部屋を出て
ちょうど転勤する父についてドバイへ発ちました。
歩は東京の大学に行きました。
家族はバラバラになりました。

母は離婚後、何人もの恋人を持ちました。

大学の最初の年は女性に声をかけては付き合いました。
映画を見るクラブに入りました。
女性部員の鴻上とは友人となりました。
就職活動はせずアルバイトをしていた店で文章を
書いたりしていたことからライターの仕事を
するようになります。

父が日本に帰り姉も戻ってきました。
祖母が亡くなりました。
母は再婚すると言います
父は出家をすると言います。

家族それぞれ波乱があるなぁ。
歩は女性とはその場限りか、付き合っても
深くき合うことを避けています。
姉は何を求めているのか。

勤務中の服装

2019-02-22 10:04:26 | 昔話
他の人のブログで通勤時の服装について
書かれていたのを読んで昔を思い出しました。
年を取ると過去を反復すると言いますが
この話もたぶん書いたことがあるでしょう。

勤めていた会社は田舎でした。
住宅地で田畑がちらほらしました。
名古屋駅から近いのですがちょっと離れただけで
あれっ、という場所があります。
若い男性社員の中には短パンに遊び着のような
Tシャツでやって来る人たちもいました。
海辺か山にキャンプに行く恰好です。
服装は自由と考える私でさえ長いパンツに
おとなしめのTシャツにしてよと思いました。
あの恰好で電車に乗ってきたのでしょうか。
まあ、自分の恰好だって似たり寄ったりですから
とやかくは言えません。
社内では作業着に着替えますから仕事中も
その恰好というわけではありません。

ある時通勤の服装について通達がありました。
その中に作業着であるジャンパー姿で来るな、
会社で着替えよというものがありました。
たとえ車通勤であっても作業着禁止です。
車でもダメって、これは何故と思いました。

この命令はトップが変わったら自然に忘れられ
また自由になってしまいました。
短い間だったと思います。

これもびっくりした服装です。
女性の派遣社員がやってきました。
彼女の服装に、えっと思いました。
お腹の部分がかなり見えているのです。
それも真冬にです。
その恰好何っという前に、寒くはないのという
思いが強かったです。
服装に関してどうこう言われる職場ではありません
でしたから誰も注意しませんでした。
彼女はいつの間にか来なくなっていました。

退職する間近にはジーンズで働いていました。
新卒で入社した時に男性社員にジーンズで
仕事したら駄目ですかと聞いたことがありました。
「うーん、ジーンズはねぇ…」って言われました。
女性はスカートが当然という時代でした。
時代は変わってジーンズ、というかパンツで働く
ことは何の問題もなくなっていました。

サラバ! 上

2019-02-20 13:46:55 | 

西加奈子著"サラバ! 上"を読みました。
中、下があってまだ読んでいません。
主人公は圷(あくつ)歩です。
上巻は歩が生まれた時から小学校の
低学年のころの話しです。
歩は父がイランに駐在している時に生まれました。
4歳上の姉がいます。
姉と母とは仲が良くありません。
姉は母に反抗し暴れ回ります。
父はおろおおし、歩はその流れに巻き込まれ
ないようそっと生きています。
一旦日本に帰り、母の家族の近くで過ごしました。
姉は小学校に行くようになっても問題を起こす
子でした。

再度エジプトへ4年の駐在ということで家族で
行くことになります。
家は素晴らしく広く、運転手とメイドがいます。
歩は日本人学校へ行くことになります。
姉はボーイフレンドが出来、彼と学校で一緒に
過ごし、家では電話をしています。
歩には同級生の友人ができます。
現地の人たちは人懐っこいですが交流はありません。

歩は現地の同年の男の子のヤコブと親友となります。
お互い言葉が通じ合うわけではないのですが、相手の
いうことが理解し合えます。
「サラバ」は二人の間で使われた言葉です。
日本語のさようならという意味でもあり、その他
いろんな意味を込めて二人の間で交わされます。

両親は不仲になっていき、家の中に不穏な空気が
漂います。
日本に帰りついには離婚することになります。

歩は心の友であるヤコブと別れることになります。

姉の方が一方的に母を嫌っています。
母も個性的な強い人です。
その理由ははっきりとはあらわされていません。
強い不満があるらしいです。
当事者もそうですが歩のような傍観者もこんな
家で暮らすのはつらいだろうなと思います。
でも母親は娘がこんなふうだったら悩んで苦しむ
のが普通でしょうが、この状態にそれほど
悩んでいる風はありません。
苦しんだりしたらこの家庭はもっともっと
悲惨な状況になったでしょう。
姉がこんなふうに自分の気持ちを暴れるという
形で現すことができることをうらやましく
思います。
子供であろうと自分の中に気持ちを押し殺して
生きるというのが多いのではと思います。
この二人はどうにも融け合わないのですから
家を出ていける年齢までやり過ごすしかない
のではと思います。

歩とヤコブの関係、人生でこんな風な相手に
出会えるのはまれでしょう。
こんな時間を過ごせたことは幸せなことですね。

お日柄もよく 日本橋物語8

2019-02-19 21:00:00 | 

森真沙子著"お日柄もよく 日本橋物語8"を
読みました。
蜻蛉屋のお瑛のもとに得意先の山城屋から
すぐ来て欲しいとの要請がありました。
行ってみると一人娘のお郁の結婚式当日でした。
しかしお郁は逃げたらしく探しても見つかり
ません。
顔形が似ているからと両親に身代わりを
頼まれます。
その間にお郁を見つけて辻褄を合わせると
いくことで無理やり引き受けされました。
庭先には池があり舟がもやってあります。
舟で出て行ったのではと乳兄弟権八が
追っていきました。

お郁のまわりにいる権八、夜番の猪蔵、女中のお珠、
桝屋伝兵衛、お郁自身、結婚相手の棚橋国義らの
それぞれの過去、未来が描かれています。

結局お郁は見つけ出され内緒でお瑛と入れ替わり
事なきを得ました。

お瑛はほとんと出番がありません。

最初は相手も承知の替え玉なんだろうと思って
いましたがそうではありません。
相手の家は武家です。
ばれたら命に関わるかもしれません。
そんな無茶な事をよく引き受けるなぁと思いました。
お郁がどうして逃げたのかははっきりとしません。
現代でいうマリッジブルーというものでしょうか。
それにしてもぎりぎりの時にこんな行動を起こす
なんて無茶です。

愛は味噌汁 食堂のおばちゃん3

2019-02-18 21:00:00 | 

山口恵以子著"愛は味噌汁 食堂のおばちゃん3"
を読みました。
佃にある昼は定食屋、夜は居酒屋のはじめ食堂
での出来事を描いたものです。
姑の一子と嫁の二三にアルバイトの万里で
営業しています。
若い万里が加わって新しいメニューがいろいろと
登場します。

歌手を夢見ていましたが諦めて主婦になった
女性がお昼を食べにやってきます。
諦めきれずテレビのカラオケ番組で勝つことに
全てを注ぎ込んでいます。
夫との関係は危ない状態になっています。

二三の娘の要が当てた福引ではじめ屋の4人は
はとバスツアーに行きました。
参加したのはホテルでの食事とニュー・ハーフ・
ショーでした。
ショーの後で席に来た看板スターは万里の
中学時代の同級生の伸皐(すすむ)、芸名メイ
でした。
メイはその後はじめ屋のお客としてやって
くるようになります。

辛子レンコンは評判がよかったです。
しかしあくる日に辛子レンコンのせいで
ポツリヌス菌の食中毒になったと怒鳴り
込まれました。
彼ら以外に食中毒を起こした人はいません。

テレビ局が他の3店と共にはじめ食堂を
紹介したいと言ってきました。
承知しました。
しかし万里の様子がおかしくなってきました。
他の店と較べて自信を失ってしまいます。

おいしそうな料理がいっぱい出てきます。
食べたくなります。
お店の人たちと常連の人たちが心地いい
雰囲気を作り出しています。

キラレXキラレ

2019-02-17 10:49:19 | 

森博嗣著"キラレXキラレ"を読みました。
探偵事務所で働く探偵たちが登場します。
最初は鷹知が主人公なのかと思っていましたが
一番登場するのは小川令子のようです。
小川は椙田の事務所の従業員ですが鷹知の
ところへ派遣されます。
小川の同僚の大学生の真鍋もいっしょです。
椙田はめったに事務所へ現れない経営者です。

満員で身動きのできない電車の中で女性が
カッターで切られる出来事が数件起きました。
鷹知はこの事件で冤罪で捕まった人物から
依頼を受けました。

事件に会った女性たちの関連性を警察は
つかめませんでしたが、小川らは被害者
4人の関連性を突きとめます。
被害者の一人が阿部雪江は椙田が小川を
雇う前に雇っていた女性でした。

犯人が誰かはなんとなく随分前の部分から
ほのめかされています。
どんでん返しがあるわけではなくあっけなく
終わっています。

すっきりしった読み応えではありません。
鷹知が活躍するわけではなく、椙田も
部下の話を聞いて知恵を貸すけど
表立っては何もしません。
もっとも椙田は部下は貸しているけど自分は
タッチしてない立場ですからこんなものですかね。

最後の場面で犯人と対決した小川を助けたのは
別のシリーズの登場人物の西之園萌絵でした。
彼女強かったのですね。

かはたれ 散在ガ池の河童猫

2019-02-13 21:00:00 | 

朽木祥著"かはたれ 散在ガ池の河童猫"を
読みました。
児童書です。
「かはたれ」とは漢字で書くと「彼は誰」で
夜明けがたの薄明、夕暮れ時など暗くなって
人を見分けられない状態の時を指すそうです。

小さな池の浅沼に八寸という河童が一人で
住んでいます。
前は八人の家族で住んでいましたが、他の池に
出かけてその池に住む河童たちに迷惑をかけて
いなくなってしまいました。
一番下の八寸だけが留守番していました。
他の池の河童たちからのけ者にされ孤独に暮ら
しています。

ある日長老に呼ばれました。
猫に姿を変えてやるから人間の観察をしてくる様
命令されます。
八寸は人間の世界に出かけていきます。

小学4年生の麻は丘の上の家に父親と住んでいます。
チェスタートンというラブラドールを飼っています。
母を亡くし悲しみから抜けられません。

公園で暮らしていた八寸はキウイを食べて体調を
壊したところを麻に助けられ家に連れてこられました。
八寸は麻の家で暮らすことになります。

体を洗ってやろうと水をかけると八寸は猫から
河童に戻ってしまいました。
八寸は麻にかくまわれました。
八寸と犬のチェスタートンとも近づきます。
月の光を浴びやがて猫の姿に戻りました。

麻は母を亡くしたことで他の人から離れ、やがて
話も出来なくなってしまいます。
心配した保健の先生からの手紙で父親は初めて
麻の心の状態を知りどうにかしなければと
気がつきました。

その後、ある出来事があり八寸はチェスタートンの
助けで故郷へ戻ります。
そこには八寸を待っている者がいました。

八寸と麻がそれほど語り合ったということは
ありません。
それでも二人共忘れたくない時間を共にしました。

静かな物語ですが気分が良くなる話でした。

菜の花食堂のささやかな事件簿 きゅうりには絶好の日

2019-02-12 14:23:24 | 

碧野圭著"菜の花食堂のささやかな事件簿
きゅうりには絶好の日"を読みました。
シリーズ2冊目です。
1冊目はこちらです。
靖子先生は料理教室を開いています。
優希は助手をしています。
1つの野菜を題材に数種類の料理の仕方を
教えてくれます。
靖子先生は不思議な事件に推理力を発揮します。

"きゅうりには絶好の日"
生徒の瀬川さんが赤い自転車の謎を話します。
駅前の自転車置き場に自分のと同じような赤い
自転車が置かれています。
この自転車はいつ通った時にも置いてあります。
でも使われてはいる様子。
昼も夜も置かれていていったいどういうこと
だろうと不思議に思います。

"ズッキーニは思い出す"
新しく生徒となった牧麻美は父子家庭で育ちました。
必要に駆られ子供のころから本を見たりして料理を
してきました。
自己流ですので料理に自信がありません。
運動会などの催し物の時には父方の叔母が豪華な
弁当を作ってくれました。
でも叔母は仕事を持っていて料理が上手くはありません。

"カレーは訴える"
ランチを食べに来た人に野川マルシェへの出店を
勧められます。
神社の境内で行われる催しです。
カレーを売ることになりました。
最初にやってきた女子高校生はライス抜きでカレーだけ
売って欲しいとの注文です。
カレーの販売は好評に終わりました。
カレーだけというお客が多かったです。
いったいどうしてかこの謎を靖子先生は解きます。

"偽りのウド"
生徒のあおいは農家で暗い地下でウドの栽培を
しています。
靖子先生と優樹は地下の室を見学させてもらいました。
次の教室ではウドを使った数種類の料理を作りました。
誰だかわからない人物のブログにこの時に作られた
料理がそのままに自分で作ったと載りました。

"ピクルスの絆"
生徒の香奈がもっと習いたいから弟子にして欲しいと
申し出ます。
弟子が持てるようもう少し収益をあげれたらとの
願いがあります。
好評なピクルスを瓶詰にして売ったらという案が
ありますが許可を取るためには設備投資しなければ
いけません。
異業種交流会をしている若者たちから自分たちだけの
料理教室をやってくれないかと頼まれます。
料理教室が開かれた数日後、参加した小島と田中が
訪ねてきました。
靖子先生の出生にまつわることが明かされます。
その結果、靖子先生の夢は…

いろんな料理が出てきます。
料理好きな人にはそれだけでも楽しいかも。

風のベーコンサンド

2019-02-08 21:00:00 | 

柴田よしき著"風のベーコンサンド"を読みました。
こんな話前に読んだ気がすると感じました。
似たような話があったんだろうと思っていました。
終わりの方で車で来た女性に道を聞かれる場面で
あぁやっぱりこの本読んでいたとわかりました。
過去のブログで探してみたらありました。
こちらを見てみてください。

彼女が喫茶店を始めた理由が過酷なものです。
主人公の奈穂は離婚調停中で、夫の滋は
モラハラで彼女を追い詰め心を壊してしまいます。
自分には非がないと彼女を自由にしようとしません。
怖いですね。
でも雪の中で遭難しかけて、やっと本心をもらし
離れてくれます。
現実の世界では殺してしまうまでつきまとう
人達がいて、そこまで異常な人物でなくよかった
とほっとしました。

寂れてきた高原で新規に生活を始めようと努力
する主人公が気持ちいいです。
ベーコンサンドの発案者の田中さんもいいですね。

読んでもさっぱりと忘れてしまうなんて悲しいです。

幻惑と死と使途

2019-02-07 10:42:33 | 

森博嗣著"幻惑と死と使途"を読みました。
建築学の助教授の犀川と、その大学の4年生の
学生の西之園萌絵が事件の謎を解くシリーズの
1冊です。
発刊順に読んでないようで犀川と萌はいつの間にか
婚約していました。
場所は那古野市のN大学となっていますが、
読んでいればここが名古屋市で大学が名古屋大学
だということはわかります。
作者の森さん自身が名古屋大学の助教授だった
そうです。
なぜ名古屋市ではいけないんでしょうね。

箱からの脱出が得意な有名なマジシャンの有里匠幻が
滝野ヶ池緑地公園の池で縛られ箱に入り、池に
沈められたのち引き上げられ生きて登場するという
ショーを行うことになりました。
犀川と萌絵、それに大学院生が見に行きました。
引き上げられた箱からは胸をナイフで刺された
匠幻が現れました。

匠幻には弟子が3人います。
有里タケル、ナガル、ミカルです。
葬儀で棺を霊柩車に乗せ走り出したところで
車は止まりました。
運転手は変な声が聞こえると言います。
棺を開けてみると匠幻の遺体は消えていました。

静岡でビルを爆破で解体をすることになり、
日本ではほとんどない解体方法を見学に大勢の
人が集まりました。
犀川の研究室の者たちも学会の帰りに見学する
ことになりました。
学会に参加しない萌絵はわざわざ車で見学に
いきました。
爆破の直前に有里ミカルがビルからの脱出を
行うと知らされていました。
ミカルは爆破されるビルの屋上にいて爆破の
直後に隣のビルの屋上に姿を移しました。
人々がそこに行ってみると彼女は殺されていました。

最初のページに匠幻らしい人物の語りがありますし、
つい最近トリックというマジシャンが主人公の
海外ドラマを見たばかりでしたのでほんのちょっぴり
ですがこんなことではないかと感じるものが
ありました。

びっくりする仕掛けです。
萌絵が人々を集めてこうだったのだと解説する
のですが、その後で犀川がもう一つひねった
真相を語ります。
こちらが真実でしょう。
驚きの真相でおもしろかったです。

犀川さん、優れた推理力を発揮するのですが
なかなか動こうとしない人です。
仕事以外に興味なさそうですし、なんか
いらいらしてくる人です。