雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

生還 山岳捜査官・釜谷亮二

2012-05-24 20:56:53 | 
大倉 崇裕
山と溪谷社
発売日:2008-08-29

大倉崇裕著"生還 山岳捜査官・釜谷亮二"を読みました。
山で不審な遺体が見つかった時に呼び出される山岳遭難
救助隊特別捜査係の釜谷亮二が主人公です。
語りは山の経験がまるでないのに推薦されて釜谷の
部下になった原田昌幸です。
釜谷が山が好きで事件の解決をひたすら求めるだけ
ではなく人間的な魅力がある男性に描かれています。
山での事件を扱う話の本はたくさん出ています。
すっと話の中に入り込めないものがあるのですが
この本はすっと入っていけます。
連作短編集です。

"生還"
滑落するとは思えない場所で女性が亡くなっていました。
黄色のダウンジャケットがナイフで突き刺してありました。
手足に脱臼、打撲があります。
ポケットにはたばこの吸殻、フィルムケースが入って
いました。
たばこの吸殻を投げ捨てて注意された男がいます。
恋人でしたが彼女の登山能力が男を抜いてしまい今回
別ルートで登り途中の山小屋で合流予定だった男がいます。

別の遭難の連絡もあり遭難者を探しています。
その人はフィルム写真を取りながら登山をしています。

事件かと思われた遭難ですが意外な方向へ展開します。
彼女の思いが報われ一人の人の命が救われました。

"誤解"
山小屋の管理者の二宮がポンプの点検にいったまま戻って
きません。
たまたま行き合わせた釜谷、原田が探しにいくと頭に
怪我をした二宮が見つかりました。
誰かに襲われ石をぶつけられました。
二宮は尊敬され慕われています。
釜谷、原田が山小屋にいた人たちに話を聞いていきます。
そして二宮が間違って怪我をさせられたことを突き止めます。
山小屋にはアルバイトの渡邊と友達の大野がいます。

"捜索"
息子が山に行ったまま帰らないと家族から連絡があり
捜索が始まりました。
大勢の人で捜索が始まりました。
釜谷、原田は管轄外の地へ出張で行っていました。
二人は捜索に加わりました。
いっこうに見つかりません。
やがて彼がどうして山に行ったのか理由がわかります。
体調を崩し入院中の老人がいます。
その人は毎年登山をしていました。
その人が行く山へ代理で登ろうとしていたのです。
それを手がかりにその山へ入ります。
捨てられたゴミからここを通ったに違いないと見当を
つけて追っていきます。
天候の晴れ間を狙って近くをヘリに飛んでもらいます。
木々の合間から光るものが見えました。

"英雄"
七冬山で雪崩が起きました。
山スキーをしていた学生が巻き込まれました。
雪崩に備えた装備をしていたので巻き込まれなかった
仲間がすぐ掘り起こして全員無事でした。
ところがその近くで別の人が亡くなっているのが
たまたま見つかりました。
5年前に七冬山で5人のグループが遭難しました。
一人が自力で下山して捜索隊に通報して他の4人を
救いました。
死亡していた伊崎はこのグループに接触して強請りを
行おうとしていました。
このメンバーが関わっているとみて釜谷らは調べています。

登山しない人にも読みやすいと思います。