篠田真由美著"玄い女神 建築探偵桜井京介の事件簿"を
読みました。
京介は大学院の三年生です。
蒼は15歳で京介の助手をしています。
10年前に知り合った狩野都からホテルを開業したからと
招待状がきます。
嫌々参加しようとしている京介に蒼が無理やりついて
いきます。
建物は裏に川が流れる山の中に建てられています。
招待されたのは10年まえ都とインドへいっしょに
行った女性一人と男性4人です。
インドで借りた家で彼らが集まっていたスナックの
店主の亜希人が殺されました。
密室で胸を潰されていました。
凶器と見られるものは見当たりませんでした。
病死として処理されました。
都はそのままインドで暮らしていました。
京介はその時高校生で旅行に参加していません。
都にその時の犯人を見つけて欲しいと依頼されます。
都は養子だという左手がない青年を連れてきています。
都は太り老けて見えます。死が間近いといいます。
そしてみんなを恨むと言い残して川に飛び込んで
自殺してしまいます。
昔のことを話したがらなかった人たちが語り始めます。
そして新たな殺人が起ります。
殺人が起ってから京介はやる気のなさを捨てて
元気になります。
読みやすかったです。
建物に関する薀蓄部分がほとんどありません。
ホテルの建物は古い建物ということでした。
この建物がいつのものかは蒼がメジャーでいろんな長さを
計ったという時に暗示されていました。
建物の歴史に興味がある人には物足りないかも知れませんが
そうでない者には楽に読めます。
あの人とあの人はもしかしてという予感はありました。
ですからラストの部分のびっくり感はありません。
深い愛情から真実を知りたいと願ったのでしょう。
でも端からみると一方的な愛情といえなくもありません。
人はそんな愛情を胸に抱いて生きていく力にすることが
できるものなんですね。
過去を掘り返して新たな事件を引き起こしてしまう
危険性を考えなかったのでしょうか。