雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

蓮花の契り 出世花

2016-11-20 10:25:23 | 

高田郁著"蓮花の契り 出世花"を読みました。
"出世花"の続編です。
青泉寺は湯潅と荼毘を行う寺です。
お縁は青泉寺で正縁という名をもらい三昧聖として
亡骸を洗い清め顔を修復し化粧を施す仕事をしています。
お縁は二十二歳になっていました。

明暦の大火でお縁は友人となった遊女のてまりの
消息がわからなくなりました。
数珠の修理を頼みに行った店で香弥と呼ばれるてまりに
そっくりな女性と出会いました。
彼女は記憶を失くしていました。
店主の与一郎の母に与一郎の嫁の香弥と思われ大事に
されていました。

お縁の母は夫と娘を置いて出奔し桜花堂という菓子屋の
女将となっています。
夫を失い義息子夫婦と店を守っています。
お縁に半年間桜花堂で暮らして欲しいと願ってきました。
嫁姑の仲がよくありません。
お縁は実母と暮らすことになります。

花火を見に行ってお縁は永代橋の崩落事故に遇いました。
大勢の人が亡くなりお縁は亡骸を整える手伝いを一生懸命
手伝います。

お縁は三昧聖として暮らす道を選び寺に戻ります。
お縁の事故の時の行為が瓦版になり知れ渡りました。
人びとから崇め奉られることが却っておかみの目に留まり
寺はt潰される危機に陥ります。
亡骸を清めることも禁じられます。
副住職の正念は還俗し家を継ぐことを求められます。
お縁はその妻にと求められます。

正念、お縁はどのような結論をだすのでしょうか。

死者のため心を込めて清めるお縁でした。

お奉行様のフカ退治 鍋奉行犯科帳

2016-11-18 21:37:51 | 

田中啓文著"お奉行様のフカ退治 鍋奉行犯科帳"を
読みました。
シリーズ6冊目です。
大阪の食べることが大好きなお奉行様の話です。
三つの話の中では最初の"ニシンを磨け"が断然面白いです。

"ニシンを磨け"
乾物を東北から運んでくる廻船問屋の食の旦那と呼ばれて
いる佐太郎は大きく儲けはしますが、派手にお金を使って
還元しています。
大阪の12の乾物問屋で乾物仲間を作っています。
ずっと金沢屋が取りまとめの行司をしてきました。
新規に仲間に入った辛松屋が行司の座を狙っています。
あちこちに手を廻して勢力は半々です。
辛松屋は行司になって乾物の値段をぐんと上げようと
目論んでいます。
お奉行や佐太郎は辛松屋に乾物の値段を牛耳られる
のをさけようと画策します。
乾物を使った料理対決で決着をつけることになります。
同心村越雄太郎の母のすゑのニシンの入った昆布巻は
格別のおいしさです。

"お奉行様のフカ退治"
四月のまだ寒い中、西奉行所の与力、同心たちは川で
水練を行ないます。
奉行は水練は眼中にありませんが、炊き出しの味噌汁が
目当てで見にきます。
フカが海から川へ紛れ込んできて水練の中へ突っ込んで
きます。
歌舞音曲の師匠をしている綾音は外を歩いていると
誰かにつけらている気がしています。
フカの問題と、綾音の問題の二つが描かれています。

"苦い味わい"
釣りのうまい子供の三平を小夜という幼い女の子が
慕ってくれるようになりました。
三平と小夜がが釣りをしている時に河童に会いました。
ナマズはキュウリで釣れます。
河童はキュウリが好きです。
化け物神社と呼ばれる神社には妖怪が出るという噂で
誰も寄り付きません。
神社には何がいて河童ははたして本当にいるのでしょうか。

ニシンは江戸では下魚とたとえ貧乏な人でも食べなかった
そうです。
大阪ではうまく料理をして食べていたそうです。
江戸の人はどうして見栄を張るんでしょうね。
数の子はお正月に食べるけど親のニシンは私も滅多に、
というか生涯で数えるほどしか食べたことが
ありません。
ニシンを売っているのをあまり見かけませんから
しょうがないですね。

キュウリって江戸時代にすでにあったのですね。
苦いと好かれていなかったとか。

スーツアクター探偵の事件簿

2016-11-17 13:01:54 | 

大倉崇裕著"スーツアクター探偵の事件簿"を読みました。
スーツアクターとは、怪獣映画やヒーローものの着ぐるみを
着て演技をする仕事をしている人のことだそうです。
そういう職業があると知りませんでした。
怪獣やヒーロー物はまず見ません。
演じているのは一時的なもので、一生の仕事としているのだと
思いませんでした。
初めての世界でなかなか話に入っていけませんでした。

椛島はスーツアクターとして活躍することを望んでいます。
スースを着てプールに落ち死にかけたところを太田に
助けられました。
太田は頑丈な体をしていますが世の中を生きていくことに
不器用です。
椛山は事故のあとスーツの中へ入ると息苦しくなり仕事が
できなくなりました。
太田に変わりをやらせます。
太田は着ぐるみを着るとアクターとして能力を発揮します。
太田は椛山のアパートに転がり込みます。
椛山は太田の世話人のような形になります。

いろんな事件が起きて、椛島は解決するよう求められます。
太田がアパートを追い出されたわけ。
主役のスーツアクターが飲み物に睡眠薬を混入されたこと。
マニアが欲しがるような物が度々盗難にあうのはどうして。
引退した監督が二十年ぶりに復帰しました。
監督宛てに撮影を止めるよう脅迫状が届きます。
監督から事件の真相を突き止めるよう頼まれます。

最後の事件は重い事件です。
監督らが引退することにした理由は何か、代役に立てられた
新米のスーツアクターが自殺したのはなぜか調べます。
そんな中、太田と椛山は暴漢に襲われます。

映画を潰すために太田は骨を折られるところでした。
まかり間違えば体が不自由になる可能性があります。
背後の人物は全く自分勝手な人物です。
普通の生活をしている普通の人物だからこそ、発想の
貧しさは異常です。
本の中の人物だとしても腹が立ちます。
こんなおかしな人物を、しれっと登場させて欲しくありません。

椛島と太田が相棒として活躍するのかと思いましたが
同居はしていても、椛島だけが活躍しています。
そのへんもちょっと期待外れでした。

鍵の掛った男

2016-11-14 13:36:24 | 

有栖川有栖著"鍵の掛った男"を読みました。
作者と同姓同名のやはり作家の有栖と、有栖の友人の
大学で犯罪社会学を研究している准教授の火村英生が
活躍します。
火村は入試の時期で仕事を抜けられなく、ほとんどの
場面を有栖一人で調べます。

有栖は面識のない有名な歴史小説家の景浦浪子に事件の
調査を依頼されます。
景浦は大阪での定宿として由緒ある小さな銀星ホテルで
過ごしています。
銀星ホテルに5年間住んでいた梨田稔という老人がベットの
足にカーテンのタッセルをかけて首を吊って亡くなりました。
警察は孤独のための自殺だと片づけました。
従業員や客にも愛されていた梨田が自殺するはずがないと
景浦は思っています。

梨田には身寄りがありません。
後に二億円以上の預金が残されました。
ホテルは若い桂木鷹史と妻の美菜絵と古くからの副支配人の
丹羽が中心のこじんまりとしたものです。
客はリホームのため滞在している萬夫婦、家族から追い出さる
形で時々泊まりに来る日根野谷、美菜絵の友人の露口芳穂、
音楽家の鹿内茉莉香と景浦と外国人です。

梨田は過去のことを語りませんでした。
鍵の掛った男とは、自分のことを見せなかったことを指します。
有栖はホテルに宿泊してホテルの従業員、泊り客だった人たちに
細かく梨田のこと、死んだ夜のことを聞いて廻ります。
梨田は週のうち大半はいろんなボランティアに参加し、あとは
美術館、図書館などを巡って過ごしていました。
宿泊者ともなごやかに言葉を交わしていました。
梨田の過去が少しずつわかってきます。

わりと早くに梨田の秘密が予想できました。
どうして実行できたのかも想像できました。
ホテルを拠点にしてわかったことがあればそこへ行ってみると
いう中心がある動きがおもしろかったです。
鍵が掛った男といいますが、この程度のことをそんな風に
言うのでしょうか。
ちゃんと周りの人たちと良好な関係を築いている人です。
ほとんどの人が自分の過去を見せたりはしません。
梨田が特に変わった人だとは思えないです。

有栖が一人の時は流れがゆっくりした感じですが、
火村が捜査に加わってからはあれよあれよと、解決に
向かいます。
犯人の殺害に至る理由がなんともやりきれないものです。
これは途中で予想できるものではありません。

人に知られたくない別の顔はあまり持たない方がいいですね。
知られて苦労したり信頼を失ったりするのは大いにエネルギーを
消費してしまいます。

表参道リドルデンタルクリニック

2016-11-12 11:59:41 | 

七尾与史著"表参道リドルデンタルクリニック"を読みました。
錦織デンタルオフィスは表参道にある有名人が訪れる
歯科医院です。
ここで働いているのは全員女性です。
月城この葉はここで働く美人の歯科医です。
高橋彩女は歯科衛生士で彼女の目線で描かれています。
推理力を発揮するのはこの葉です。

"追われる女優"
錦織デンタルオフィスには女優、監督など有名人が多く
訪れます。
女優の緒川優子が治療にやってくることになりました。
彼女は次の映画のために前歯を抜くよう迫られそれを嫌って
ここへやってきました。
マネージャーはどのように巻いても彼女を見つけ出して
追ってきます。
その理由をこの葉は見つけてしまいます。

"密室の心療内科医"
飯田橋は心療内科医です。
彩女と付き合っています。
葉の治療にクリニックに通っています。
この葉は飯田橋には妻子がいると彩女に忠告します。
治療室で一人だった時に飯田橋は毒薬で倒れました。
意識を取り戻し、自殺だったといいます。
しかしこの葉は自殺ではないと見破ります。
犯人が殺そうとした理由が無茶でありながら、哀れです。

"推理する女性歯科医"
学生時代にこの葉は父親を亡くしています。
階段から滑り落ちて事故死だと判断されました。
しかしこの葉は殺されたのだと思っています。
父親から歯形を託されました。
死に関係あるものです。
白骨死体が発見され、白骨の歯型と彼女の持っている
歯形が一致しました。
この葉は父親の死を調べ始めます。
死体は脚本家の中神佳織で父の昔の恋人でした。
サイコパスが関係した事件でこの葉と彩女も
あわや殺される手前で思いがけない救いの手が
現れます。

最後の話はこの葉自身が関係する事件でした。
彩女が事件の説明役を譲っていますが、この葉にして
欲しかったなと思いました。
おもしろかったです。

彩(いろ)は匂へど 其角と一蝶

2016-11-11 13:41:42 | 

田牧大和著"彩(いろ)は匂へど 其角と一蝶"を読みました。
"酔ひもせず 其角と一蝶"の続編です。
続編といっても時間は前の方へ移動しています。
この時代一蝶は暁雲と呼ばれています。
其角と暁雲が出会い、友達となります。
其角は芭蕉の弟子をしています。
芭蕉は街から離れた深川へ庵を移したばかりです。
暁運は庵で不思議な女性に会います。
現実の人なのかそうでないのかわからない感じです。
おかしな投げ文が何度か見つかります。

軽業師をしているうとという女性と巡り合います。
彼女は愛しい人をさがして琉球からやってきて十数年になります。
彼は将軍に挨拶に行く江戸上がりの楽士として琉球を出て
その途中に行方不明になりました。
小さな子供もいて、子供たちをかばってそのままいなく
なりました。
うとは彼はもう生きてはいないと諦めています。
せめて何があったかどこに埋められているか知りたいと
願っています。

芭蕉の周りで起こっているおかしな出来事はこの昔の
出来事に起因しています。

とても読むのに骨がおれました。
前の話はすらすらと読めて楽しかったのに今回の本は、何か話の
中に入れなくて読んでは休み、読んでは休みして何日も
かかってしまいました。
其角は人を怒らせるようなことを意識せずに言ってしまうような
人です。
暁運は幇間を第二の職業としていますから、反対に人の気持ちに
敏感です。
でも最後に推理力を発揮して、事件の全貌の説明をするのは
其角です。
芭蕉は不可思議な人物という感じがあふれています。

うとは琉球へ帰ります。

ファンヒーター点けました

2016-11-10 16:48:20 | 最近の話題
今季初めてファンヒーターのスイッチを入れました。
いつもの年は20日過ぎに点けていた気がするので
かなり早いです。
寒くて体を縮こまらせて固まっていましたが、暖かく
なるにしたがって体が緩んで力が抜けていきました。
暖かいっていいですね。
今年の灯油の値段は18リットル950円でした。
数年前の1700円ぐらいしていた時と較べると格段の
安さです。
暖かく過ごすという贅沢をしてもいいお年頃です。
寒さを我慢することなく冬を暖かく過ごしたいと
思います。

あきない世傳 金と銀 源流編

2016-11-10 12:53:29 | 

高田郁著"あきない世傳 金と銀 源流編"を読みました.
大阪の天満の呉服屋が舞台です。
この編では主人公の女性の幸の生い立ちと呉服屋の
五鈴屋で働き始める最初の部分が描かれてます。

幸は学者の父の元に生まれました。
学問を教える凌雲堂を開いていました。
幸も基礎的な手ほどきを受けました。
幸はもっと学問がしたいのですが母は女には必要ないと
わかってはもらえません。
兄の雅由は幸の理解者でした。

大きな飢饉が襲い雅由は病気となり亡くなります。
その後に父も失います。
九才の幸は五鈴屋に奉公に出されることになります。
五鈴屋には二代目当主の妻だった富久、店をずっと支えて
きた番頭の治平衛がいます。
現当主は四代目に当たる徳兵衛です。
三代目夫婦は息子たちが小さい時に亡くなっています。
当主の弟が惣次で商売熱心です。
下の弟が智蔵で商売に興味を持てず本を読むことが好きです。

五鈴屋の暮らしはとても質素です。
徳次郎は廓遊びに熱中しています。
嫁を持たせたら収まるのではないかとなりました。
嫁となったのは船場の格上の小間物問屋の娘の菊栄です。
菊栄は明るく店になじもうとし、神経も図太い女性でした。
幸には親切でした。
二年経っても子供が生まれず、徳兵衛は家に居つかずに
遊び歩いています。
菊栄の方から見切りをつけて出ていきました。
五鈴屋の商売はうまくいっておらず窮地に立っています。

幸はここでも知識を吸収しようと努力しています。
番頭の治兵衛は幸をよく見ています。

これから幸が商才を延ばしていく展開になるのでしょうね。
どうなるか楽しみです。

茶坊主漫遊記

2016-11-06 21:00:00 | 

田中啓文著"茶坊主漫遊記"を読みました。
背の低い老僧と、背の高い腐乱坊と呼ばれている僧が
旅を続けています。
途中で村人に物語を語って旅をしている彦七という
男を助け、彦七がついてきて三人で旅をすることに
なります。
老僧は死んだと思われている石田光成だと思われています。
徳川家光は三成を殺害するよう命じ、柳生十兵衛に
跡を追わせます。

大津では父の敵を打とうとしている者たちと出会います。
瀬戸内海の小島では何十年と海賊の残したといわれる
宝を掘り続ける男に出会います。
十兵衛は追ってきます。

老僧らは九州を目指しています。
島原、天草は厳しい圧制と、キリシタン弾圧で一揆が
勃発寸前です。
藩主はもっと緩めた政治をと説いても聞く耳をもちません。

老僧が九州を訪れたのは豊臣の再興のためではありません。
九州で一揆が起こらないようにしたいという思いから
でした。

薩摩の国にはやはり死んだと言われる豊臣秀頼がかくまわれて
いると言われています。
それを確かめる目的もあります。
秀頼には国松という息子がいるとも言われています。
国松の安全も心配です。

死んだと言われる戦国時代の中心人物たちが生きていたという
設定の物語です。
最後の方の話は突拍子もない話ですが、とてもおもしろ
かったです。
石田光成が明るくて優しく聡明な人物として描かれています。
冷たく暗い印象を持っていた三成が全然違った人物として登場
してきて、本来はどんな人物だったのだろうという興味が
わきました。

怪盗ルパン 真犯人を追え

2016-11-05 21:00:00 | 

モーリス・ルブラン著"怪盗ルパン 真犯人を追え"を
読みました。
児童書です。
南洋一郎の訳ではなく久米みのるの訳です。
3編あります。

"真犯人を追え"
ルパンはマンションに住む元歌手の女性の部屋に
黒真珠を盗みに忍び込みました。
暗闇の寝室で手を伸ばしたら、住人の女性の死体に
触りました。
悔しいルパンは真犯人から黒真珠を奪うことを考えます。

"奇怪な古城"
絵描きのベルモントはドバンヌの城に招かれます。
ルパンからの挑戦状が来たと、ルバンヌはイギリスから
シャーロック・ホームズを呼びました。
ベルモントはルパンに似ていると何度も言われます。
城の地下には秘密の通路があると言われています。
ルパンはやってきます。
大きな家具を部下に運び出させます。
自分は宝石を求めて部屋に忍び込みます。
そこで恋人だったネリ―に出会い、自分の行為を恥ずかしく
思い盗った者を返します。

"ユダヤのランプ"
シャーロック・ホームズはパリのダンブルバム男爵に依頼されて
ワトスンとパリへ向かいました。
ルパンから来るなという手紙を受け取りました。
パリへ着くと若い女性からも同じように来ないよう言われます。
ユダヤランプが盗まれた事件の調査を依頼されました。
調べていくと外部犯ではなく内部のものの仕業ではないかと
ホームズは考えます。
再度押し入ってきた泥棒にワトスンは刺されて重症を
おってしまいました。
ルパンがホームズの前に現れます。
何度も家庭の問題に首を突っ込むなと警告を受けたのには理由が
ありました。

最後の話はホームズ側から見た話しです。
ホームズのパスティーシュですね。
この話はホームズの話だったのかな、ルパンの話だったのかなと
読んでいて迷ってしまいました。
ホームズはイギリスへ帰ります。
ワトスンは全治4ヶ月の怪我です。
何も言及してないけど、ひとりパリへ置いてきてしまった
のでしょうか。
冷たいんですね。

ホームズとルパンって大体同じ時期に書かれているのですね。
小説の世界で超有名な探偵と怪盗が同時期に現れているなんて
おもしろいですね。

遠花火 見届け人秋月伊織事件帖

2016-11-04 21:00:00 | 
藤原緋沙子著"遠花火 見届け人秋月伊織事件帖"を
読みました。
古本屋のだるま屋には様々な情報が集まってきます。
情報を聞き、書き取って情報を必要とする人に売ります。
実に現代的な仕事ですね。
店主は吉蔵です。
聞き取っただけではなく噂の出所やその話にまつわることを
調べるのが見届け人です。
御目付の弟の秋月伊織、浪人の土屋弦之丞、元岡っ引きの
長吉の三人が見届け人をしています。

"遠花火"
鉄砲武具屋の近江屋は西山藩から由緒ある鉄砲の手入れを
頼まれました。
約束の日より早く藩の柏木が取りに来たので渡しました。
柏木は鉄砲を持っていなくなってしまいました。
柏木は女に入れ揚げて借金を抱えています。

"麦笛"
貸し舟屋の舟が船頭もろとも行方がわからなくなりました。
借りたのは呉服屋の店主の弟と、贔屓の芸者の美濃吉です。
二人は夫婦約束をしており、兄も認めています。
二人の遺体がみつかります。
美濃吉は複雑な過去があります。
関八州の野島に翻弄されてきました。

"草を摘む人"
西蔵寺は急激に有名になり人が押し寄せるようになりました。
そこには秀蓮尼という尼僧が住んでいて、男たちが尼僧を
慕って集まってきました。
寺に人が集まるようになって、秀蓮尼は姿を隠しました。
魚河岸で働く熊蔵がどこかへ隠しました。
彼女は命の危険があって逃げています。

"夕顔"
手習いの師匠の本田から遊女のあやめを請け出してきて
欲しいとお金を渡されます。
あやめは請け出され病気の夫の元へ戻ります。
あやめこと松乃の夫の小野木は、友人が江戸へ出仕中に
姦通したと疑われ二人で逃げました。
友人は女敵を討てと、藩から出されました。

見届け人というから外から見ているだけかと思ったら
どんどん関わっていきます。
探偵ですね。
読みやすかったです。

鵺の闇鍋 隠密味見同心六

2016-11-03 10:19:44 | 

風野真知雄著"鵺の闇鍋 隠密味見同心六"を読みました。
食物に関連した事件の短編と、主人公の魚之進の兄の
波之進が殺された事件が所々顔を出します。

"紅黒豆腐"
兄嫁のお静の実家からおかしな話を持ち込まれました。
線香屋の上野屋の婚礼に招かれました。
夫婦は幸せそうでないし、紅黒豆腐という縁起が悪そうな
物が出されました。
調べてみると嫁になるはずたった茶問屋の駿河屋の娘が
茶店でお茶を飲んでおかしな死に方をしています。
店の女中の娘を急遽嫁にした結婚式でした。

"鵺の闇鍋"
見習い医師たちが闇鍋を行っていて灯りをつけたら
そのうちの一人が殺されていました。
殺された男に話されては困ることがある人物が犯人だと
思われます。
闇鍋には食べたことがない肉が入っていました。
彼らは鵺の肉だと言い合っていました。
魚之進は残った鍋の肉を食べてみました。

"天狗卵"
天狗卵という大きな卵の目玉焼きが流行っています。
近所の神社の木の上に産み付けられたものを神主が
取ってきて店に卸しています。
卵は鶏ではなく大型の別の鳥の卵でした。
神主にはもっと別の悪だくみがあるのではないかと
考えます。

"おかまうどん"
陰間茶屋の街でおかまうどんが評判を取っています。
魚之進が食べに行って見ると釜場を外した親方が
外で言い争った声が聞こえ、殺されていました。
親方は場所柄、女物の衣装で仕事をしていました。
しかし実際はおかまではありません。
誤解が事件を生みました。

お静はずっと使わなかった蒸し器の中から奇妙な道具を
見つけました。
殺された夫が置いたのではないかと思います。
魚之進は仕事の合間にあちこち聞いてまわります。
それがフォークで西洋で食事の時に使うものだと知ります。
そのフォークがお菓子を食べるものに使うのではないかと
知らされます。
波之進が言っていたこの世のものではないような食べ物は
お菓子だったのかと考えます。

兄の死に関わっているのではないかと思われる丸川同心が
切腹をして死んでいました。

それぞれの事件は読みやすいです。
兄の死の真相に段々近づいています。
はたして何だったのでしょうね。

掘割で笑う女

2016-11-02 11:07:57 | 

輪渡颯介著"掘割で笑う女"を読みました。
時代小説です。
最初にいくつかの短い怪談が描かれています。
その後に藩の次席家老の檜山を暗殺する話になります。
暗殺を指示したのは郡山奉行江原又左衛門です。
料理茶屋に集まったのは7人です。
根森源藏が引き付け役で木谷が実際に暗殺します。
他の者はアリバイ作り役で、実行役の二人も部屋にいたように
装いました。
暗殺は実行されました。
供の家士は少しの間生きていて、女が主人のとどめを刺した
と言い残しました。
この女は幽霊だと思われました。

10年経ち、根森はまた同じメンバーで呼び出されます。
再度暗殺を依頼されました。
今度は10年前の依頼人の江原が暗殺相手です。
根森は今回も同じ役目、暗殺者は石丸です。
根森は掘割からのぞく女を目にしました。

平松左門は酒飲みの江戸の浪人です。
刈谷甚十郎が訪ねてきます。
左門は江戸での甚十郎の剣の先生です。
左門は幽霊話が大好きで臆病者の甚十郎に話をしては
怖がらせていました。

甚十郎は幽霊と間違えて女を斬った江原の家士を
追って江戸へ来ました。

いろんな幽霊話が挿入されています。
左門と甚十郎が座敷童の話から用心棒として隠居の家を
盗賊から守る話もあります。

藩を裏で操っているのが赤松頼母です。
左門は赤松に呼ばれます。

暗殺に関わった7人のうち根森以外は何者かに殺されて
います。
幽霊話と殺人の真実を左門は探ります。

幽霊話があったかと思うと暗殺の話、藩での話、江戸での話と
まとまりなく感じるのですが、最後に見事に1つに集約しました。
なるほど、こうなるのかという感じです。

しかしまともにぶつかるより暗殺の方が後々にいいのだと
いう言い分にはひっかかります。
暴力で片をつければいいということを現代にもってくれば
テロはいい方法だとなってしまいます。

一日中酒を飲んでいる左門が一見不思議に見える物事に
現実的な解釈を加えて解決していきます。
最初のうちは何の話なんだと思って読んでいましたが
段々と話が繋がっていくおもしろさがあります。