雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

捜査組曲 東京湾臨海署安積班

2015-03-31 21:00:00 | 

今野敏著"捜査組曲 東京湾臨海署安積班"を読みました。
テレビドラマでやっていた安積班を描いた本です。
シリーズになってたくさん出版されているのですね。
初めて読みました。
題名が音楽用語になっています。
カデンツァ、ラプソディー、オブリガート、セレナーデ、
コーダ、リタルダンド、ダ・カーポ、シンフォニー、
ディスコード、アンサンブルです。
10編の短編集です。
10編もあるのですからみんな短いです。
事件が起こってすぐに解決です。
ちょっと物足りないという部分もありますが気楽に読むには
いいのではないでしょうか。

臨海署には強行班に安積班と相楽班の二つがあります。
相楽は安積班をとても気にしていて多く手柄を立てたいと
やっきになっています。
村雨、須田、黒木、桜井、水野の安積班の面々や噂を
拾ったり、ばらまいたりする交通機動隊の速水など
個性的な人たちが登場します。
信頼しあって結束が強い安積班です。

本を読んでいて不思議に思うこと

2015-03-30 20:15:27 | 
本を続けて読んでいると不思議に思うことがあります。
まったく関連のない本なのに前に読んだ本に書かれていた
ことと同じようなことが次の本にも書かれているのに
気づくことがあります。
ランダムに選んだ本でどうしてこういことが起こるのでしょう。
たびたびありますが、皆さんにはありませんか。

今回は高橋克彦著"パンドラ・ケース"と井坂幸太郎著
"死神の浮力"の2冊で起きました。

パンドラ・ケースの中では
特に三島の本はドストエフスキーの『罪と罰』の展開に似ている。
犯罪は発覚しない限り罪ではない。強者が弱者を食うのは
当たり前のことなんだ。

死神の浮力の中では
「ドストエフスキーの『罪と罰』ってありますよね」本城が言った。
(省略)
「まさにそれは『罪と罰』の話の起点だ。優秀な人間は、犯罪を
犯してもいいんじゃないか、という」

なんで続けて『罪と罰』が出てくるんだろうと思いました。
『罪と罰』たぶん読んでいません。
学生時代に手に取ってもよさそうなのにね。
「太陽が眩しかったから」と言って人を殺したカミュの"異邦人"
は読みました。
『罪と罰』は今読めるかな。
元気な若い時でないと辛いかもと思ってしまいます。




春告げ坂 小石川診療記

2015-03-29 21:00:00 | 

安住洋子著"春告げ坂 小石川診療記"を読みました。
高橋淳之祐は若き医師として小石川診療所で働いています。
武士の家に生まれましたが父は上役の落ち度を下の者に
押し付けられ切腹して果てました。
淳之祐は医師の高橋の家の養子となり大事に育てられました。
実父の最後については詳しく聞いたことがありません。
小石川では看護人の中間たちの態度は悪く仕事をせずに
ばくちをしたり薪などの診療所の備品を売り払ったり
しています。
そんな者たちの中で伊佐治はいっしょうけんめい働いています。

息子は奉公に出ていて一人暮らしの仙蔵が入所してきます。
末期的症状です。
お文は小さな子供たちに文字などを教えていました。
彼女は肺の病気でやはり末期です。
人生に不満がいっぱいです。
女性に生まれてやりたいことが出来なかったことをうらんで
います。
子供たちが飴玉を手に見舞いにやってきます。

お瑛は診療所で下働きをしています。
もっといい仕事があるだろうにとまわりには言われますが
止めようとはしません。

どこかのお姫様が診療所の前で駕籠を止め苦しんでいるのに
であいます。
駕籠酔いであることを見抜いて手当をしてやります。

淳之祐のていねいな診療のやり方は上の者には認められません。
成績を上げなければくびだといわれます。
淳之祐は蘭方の医学を長崎へ行って学びたいと思うように
なっています。
父親の最後の時の気持ちを淳之祐は知ることになりました。

患者のためいっしょうけんめい働くということが認められる
ことではないということはさみしいことです。

仮面同窓会

2015-03-28 21:00:00 | 

雫井脩介著"仮面同窓会"を読みました。
洋輔は狐狸山高校を卒業して10年になります。
高校時代には生活指導の樫山にひどい仕打ちをされその後の
人生にまで影響をうけています。
樫山は生徒の上に君臨して支配することをめざしていました。
洋輔は友人の希一や和康や八真人らと樫山の指導を受けました。
洋輔の二つ上の兄は洋輔が小学六年の時川に落ちて亡くなり
ました。
高校の同窓会が開かれました。
久しぶりに友人たちと出会います。
同窓会には樫山も出席しています。

彼らは樫山に仕返しをしようと計画します。
ランニング途中に拉致して廃工場に連れ込んで高校の時に
さんざんやらされたこぶしを突き上げよいしょと声を上げる
動作をさせようというものでした。
実行に移し手足をテープで縛って置き去りにしました。
翌日に樫山が縛られたまま池に投げ込まれ殺されたことが
報道されます。

偶然出会った高校の同級生の美郷と出会い洋輔は付き合い
始めました。
美郷にはジョージという男のストーカーがいます。

洋輔が兄と会話を交わしている場面がよく登場します。
死んだ兄が人格の一つとして洋輔の中にいるのを思わせます。
八真人は頭が良く真面目な人物です。
それなのに不良の希一や和康とずっとつきあっています。

洋輔ら四人はどういうわけか樫山を殺したのは自分たちの
中の誰かだとお互いに疑っています。

結末はおそろしいものです。
やりきれない話です。
もともとの性格が悪という人もいるでしょうが、そうではない
のに抜けられない状況に陥ってしまうのはどうしてでしょう。
そうなる前に避ける方法は見つけられないのかと思って
しまいます。

春のなばなの里へ行ってきました

2015-03-27 09:09:58 | 最近の話題
昨日なばなの里へ行ってみました。
イルミネーションが素晴らしいと評判ですし、テレビで
3月31日までですとCMがよく流れていて行ってみるかと
出かけました。
イルミネーションの開始は昨日は6時25分でした。
名古屋を4時ごろに出発しても十分楽しめますが早めの
3時ごろに出発しました。
HPを見たら近鉄電車、バス、入村料、買い物のできる金券
付きの割引セットチケットがあることがわかってこれを利用
しました。
名古屋からは2890円です。
このうちの千円は買い物やレストランで使えますから
実質1890円で行って帰ってこられます。

今の時期がなばなの里の一番華やぐ時ではないかと思いました。
桜の花が満開です。もうピークは過ぎている感じです。
そのほかの花もいっせいに咲き誇っています。
広いお花畠にはチューリップが咲いています。
こちらはまだ咲いていないものが多いのですが、一部の場所
ではかたまって咲き誇っています。
きっと順番に咲いていくよう工夫されているのでしょうね。
咲いているのもきれいですがこれから咲くぞというつぼみの
一群も美しいです。
こういう塊に恐怖をいだく人もきっとみえるでしょうが
私は咲く前のエネルギーみたいでいいなと思いました。

イルミネーションですがさすがにすばらしいものです。
ナイヤガラの滝を現していてそこがいろいろに変化して
いきます。
プロジェクションマッピングのようにも感じられますが
あれは電球を操作しているんでしょうか。
壮大で美しいですが1回話のタネに見たら充分という
気がします。
会場は満員電車なみの混みようでした。

照明が当てられた桜の花の美しさはえもいわれません。
青空の中で見るのとは別の美しさです。
もっとも桜にしたら眠りに落ちる時間に起こされていて
迷惑このうえないと思っているに違いありません。

あと少し、桜とチューリップとイルミネーション、今の
時期はいいですよ。

カメラを持っていくのを忘れました。
写真はなしです。

ドリトル先生の楽しい家

2015-03-19 21:00:00 | 

ロフティング著"ドリトル先生の楽しい家"を読みました。
子供のころは数冊しか本を持っていなかったと思います。
その一冊が"ドリトル先生航海記"です。
文字通り擦り切れるほど何度も読み返しました。
本当に好きでした。
シリーズになっていて何冊もあることは知っていました。
いつか他の本も読むんだと思っていました。
中学だか高校だかの図書館に全シリーズ揃っていました。
他のものを手に取ったのはいいのですが、ぜんぜんおもしろく
ないんです。
これはどういうことなんでしょう。
これは同じように好きだったアルセーヌ・ルパンも同じです。
持っていたのは"水晶栓”だったと思います。
大人になったら全部読むんだと心に決めていました。
ところがこちらもおもしろくないんです。
本というものはおもしろいと思う時期があるのかもしれません。

ひさしぶりにドリトル先生の本を手にしました。
作者が亡くなった後に発見した短編を奥様が本にしたものだ
そうです。

犬が過去の出来事を語る船乗り犬は親切にしてくれた少年と
助けたり助けられたりする話です。
船は難破してしまうのですが海に放り出された少年を犬は
島まで連れていき助けます。

雇い主の馬を盗もうとして馬が逃げ出します。
ドリトル先生の元にいる犬たちが馬の行き先を調べ出し
悪人たちのしようとしていたことを探り出します。

旅行中に立ち寄った村ではつばめの羽を飾ることが流行って
つばめたちが大量に殺されています。
つばめが先生に助けを求めてきます。
先生は鳥たちに昆虫を取ることを止めるよう提案します。
昆虫が増え続け蚊に刺されたりと人間たちはたいへんなことに
なりました。

このような話が7話あります。
久しぶりのドリトル先生は楽しかったです。

黒龍荘の惨劇

2015-03-18 21:00:00 | 

岡田秀文著"黒龍荘の惨劇"を読みました。
おもしろかったです。
伊藤博文や山懸有朋が総理大臣だったころの明治時代の
話です。
月輪龍太郎という探偵のもとに漆原安之丞の秘書が仕事の
依頼にきます。
脅迫状が舞い込み、主人の漆原は出かけたはずが館の
中で首がない状態で殺されました。
月輪はたまたま出会った杉山を助手に黒龍荘へ行きます。
黒龍荘には4人の妾と医師と精神がおかしくおしこめられた
親戚の男に秘書が住んでいます。

次々に住人が殺されていきます。
病弱で寝ていた一人を除いて首が無くなっています。
刑事が事件を調べ、警備をする警察官が何人も配置されて
いる中で事件は起きています。

漆原は政界や財政界と深い繋がりをもっています。
彼は信念も信条もない男で国を売ることさえ何の痛みも
感じずに行える人物です。
売国行為がはっきりしてさすがに誰からも相手にされず、
相手からさえ命を狙われる状態に追い込まれていました。
金銭的にも破産状態です。

とうとう黒龍荘に住む7人全員が殺されてしまいます。

真相はびっくりするものです。
まったく人を人と思わない行為です。
しかしこんな残酷な話が突拍子もないと言えないものです。
最近の現実の殺人事件の残酷さ、どうにも理解できない
出来事は本の作り事の話を超えていると感じます。
精神をコントロールされ殺されると分かっていても逃げだす
ことができないという話、なぜといいたくなりますが
現実にあります。

なでし子物語

2015-03-17 21:00:00 | 

伊吹有喜著"なでし子物語"を読みました。
つらさを抱えた人々の話でしたが気持ちよく読めました。

耀子は父を幼い時に失い母は子供を顧みずあげく子供を
置いて逃げました。

立海は高齢の父の遠藤龍巳と十代の母の元に生まれました。
母は意に沿わない生き方を捨てて去りました。
子供は父が強引に自分の手元に残しました。

照子は龍巳の息子の龍一郎の妻です。
龍一郎は元々病弱で若く亡くなっています。
病弱な龍一郎と大柄な照子でしたが龍一郎は短い人生の
中で照子を慈しみました。

遠藤家は林業から他の産業にも進出した裕福な家です。
出発地の森林地帯に常夏荘という家があります。

照子は大学生の息子とも舅とも合わないため常夏荘に住み
おあんさまと呼ばれています。
生きる目的を失くしています。
耀子は常夏荘で働く祖父の元に送り届けられます。
立海は病弱で学校に行っておらず常夏荘で暮らすことに
なります。
立海は小学1年、耀子は4年です。

耀子はいじめられ続けてきました。
勉強も遅れダメな人間なんだと思い込んでいます。
ここでもいじめられがまんしてきましたがとうとう学校に
行けなくなる状態になります。
立海には青井という家庭教師がついています。
彼女が耀子と立海の勉強をみてくれることになります。

立海と耀子は深く心が繋がりあいます。
青井の助けも大きいです。
常夏荘で働く人々も二人を見守てくれます。
彼らがいっしょに過ごしたのは短い間ですが密度の濃い
日々です。
それぞれが強くなっています。

いじめを書いたものは多くありますが、そこからどうやって
抜け出すかを書いたものがほとんどありません。
ただただいじめられ破滅していくのを読むのは苦しいです。
この本はいじめから抜け出す一つの方法を示していて
おだやかな気持ちで読めます。
手を貸してくれる何人かの人がいたら前に進むことが
できることもあると示しています。

付添い屋六平太 龍の巻 留め女

2015-03-16 21:00:00 | 

金子成人著"付添い屋六平太 龍の巻 留め女"を読みました。
時代小説です。
秋月六平太の家は信州十河藩の供番をしていましたが
お家争いに巻き込まれて父親は切腹しました。
六平太は浪人して母と妹と暮らしていましたが、母は亡く
なりました。
母は義母で妹とは血の繋がりはありません。
浪人したばかりのころは荒れていました。
女に子供を産ませ、女が亡くなって子供は里子に出しました。
今は落ち着いています。
付添い屋といって女性の芝居見物や買い物などのお伴をする
仕事をしています。
妹の佐和は裁縫をして家計を助けています。
六平太には髪結いをしているおりきという好きな女性が
います。

妹は兄のことを慕っています。
縁談がきても断ってしまいます。

街でお腹をすかしていたおつぎという大柄な女を連れて
帰ってきます。
苦労をして生きてきた女です。
好きな男を探しています。
男の方からおつぎを探しだして連れていきますが、六平太は
見世物小屋に売られたおつぎを見つけてしまいます。
女をだましていきている男でした。

佐和に裁縫をさせてくれる呉服屋から縁談がきます。
佐和は断りました。
六平太は嫁に行けと佐和に強く言います。
気持ちにけじめをつけて佐和は結婚して家を出ます。

読みやすい話です。
題名が付添い屋ですから付添いという仕事の上で起こる
あれこれを描いたものかと思っていたのですが、仕事上の
ことはほとんどありません。
浪人の六平太のまわりで起こるあれこれです。

雪のマズルカ

2015-03-15 21:00:00 | 

芦原すなお著"雪のマズルカ"をよみました。
芦原さんの"ミミズクとオリーブ "のシリーズは大好きです。
同じような雰囲気を求めたらまったく違って戸惑います。
明るさや軽やかさはありません。
ハードボイルドです。
笹野里子は探偵です。
夫は女と車に乗っていて事故を起こし死にました。
夫の死がどのようなものだったのか里子は知りたいと思って
います。
四つの事件から成ります。

"雪のマズルカ"
寝たきりの富豪から道を踏み外した高校生の孫娘を救い
出してくれるよう依頼をうけます。

"氷の炎"
芸能人の村田から付き合っているやはり芸能人のもえが
どのような人間であるか調べるよう依頼をうけます。
里子は彼女とは知り合いです。
彼女の過去を追っていきます。

"アウト・オブ・ノーウェア"
残酷な殺人が起きています。
里子に犯人を捜すよう依頼がきます。
二人の少年が施設で暮らしていました。
二人は施設から逃げました。
一人は頭脳で、もう一人は腕力でお互いを支えあっていました。

"ショウダウン"
里子の夫がどういう人だったのか、亡くなった時の状況が
どんなものだったのか語られます。
夫の跡を継いで探偵になったというので仲の良かった夫婦
だったのかと思っていましたがぜんぜん違いましたね。

里子は強いです。
普通の判断基準を持った人ではありません。
さみしい人です。

オニマル 異界犯罪捜査版 鬼刑事VS殺人鬼

2015-03-14 21:00:00 | 

田中啓文著"オニマル 異界犯罪捜査版 鬼刑事VS殺人鬼"を
読みました。
オニマルの三冊目です。
鬼でありながら忌戸部署の刑事をしている鬼丸と、警視庁の
刑事であり陰陽師のべにー芳垣が活躍する話です。
三話に別れていますが、長編の真中に別の話が挟まって
いる感じになっています。
ですからややこしいです。
連続殺人が起きます。
家族7人が殺されます。
頭を潰されていますが、人の力ではできません。

ベニーがアメリカで知り合った女性から助けを求める
手紙がベニーの元に届きます。
彼女は歌手です。
連絡先が書かれてなかったため彼女に見つけられずに
殺されて見つかりました。
彼女は無茶なレコーディングをして事務所と揉めていました。

別の家族7人が同じように殺されました。
前の家族との関連は警視庁の移転工事に関係した人物が
いるということです。

巷には低級な物の怪が湧き出るように現れるようになりました。
強い力を持つ鬼よりも十倍以上も強い力を持つものとの
対決です。

前巻までは怪しく見えても犯人は人間でしたが今回の犯人は
人間ではありません。
これからはそちらの方に話は向いていくんですね。
オニマルと犯人との対決の場面に出会ったベニーはオニマルを
犯人だと思って陰陽師の呪をオニマルにしかけます。
ベニーの力の強さをオニマルは身をもって知ります。

犯人の正体をオニマル、ベニーとも知ります。

おもしろかったです。
昔の人々は鬼だとか物の怪といっしょに生きてきたんですね。
そんなものはいないという人でも鬼門を気にする人は
多いですものね。

時計を忘れて森へいこう

2015-03-12 21:00:00 | 

光原百合著"時計を忘れて森へいこう"を読みました。
若杉翠は高校生です。
小淵沢近くの清海のシーク協会の深森譲と森で道に迷った
時に助けてもらい知り合います。

清海って場所が出てきますが清里のことだと思って読めば
いいです。
清里は何十年という昔にゆっくりと歩いたことがあります。
現在はかなり変わったらしいです。
清海は昔行った清里の雰囲気です。

護は森林の整備をしたり清海で開催される各種の講座の
運営をしています。
翠が関わった出来事を護に打ち明けて、護が真実を見つけたり
解決したりします。

第一話
翠は友人の理恵が「アワタシガ、コロシタ」と叫びその後
坂崎先生が理恵を叩いたのを聞きました。
あとからきたもう一人の友人の冴子は先生を糾弾して
事を表ざたにしようとしています。
その時理恵は単身赴任した父が交通事故に遇ったのを
知った直後でした。

第二話
清海の教会で結婚式を挙げる予定だった加寿美が交通事故で
亡くなりました。
彼女は結婚相手の草平に告げずに一人で旅行に出ていました。
草平は彼女の行動を疑ってどんどん心を閉ざしていきます。
翠はシークの職員のこずえと加寿美の行動の意味を知ろうと
調べ始めます。

第三話
冬のシークの三泊四日の合宿で知り合った弥生が入院して
いることを知ります。
この時の合宿では民話の作家を講師に合宿中にお話しを
参加者がそれぞれ作りました。
それ以外に雪の戸外で自然とふれあったりいろいろな
催しがありました。
弥生は悩みがあって拒食症のような状態になっています。

清里の自然が浮かんできて、もう一度のんびりと歩いて
みたいなと思ってしまいました。
清々しい気分になる本でした。

約束の森

2015-03-11 21:00:00 | 
著者 : 沢木冬吾
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日 : 2012-03-01

沢木冬吾著"約束の森"を読みました。
ハードボイルドでした。
奥野侑也は元警視庁公安部に勤めていました。
子供がもうじき生まれるという時に妻は大量の血痕を
残して行方不明になりました。
侑也は退職して生きる気をなくしその日暮らしをしています。
葉山ふみは母親が無責任な人で出生届さえ出していません。
小学校も中学校もいっていません。
体が不自由になった叔母の面倒を一人でみてきました。
坂本隼人は自衛隊の隊員でしたが事故で右手を失い除隊
しました。
侑也は警視庁公安部の緒方に頼まれモータモウテル光芒で
働くことになりました。
サイロをリホームした家でNという組織をおびきだすため
Nの幹部の娘だというふみを囮として侑也が父親、隼人を
弟として三人で暮らし始めました。

Nという組織は現実にはないものだと侑也や警察でさえ
思っています。
スカベンジャーいう死体処理から殺人までやっている
警察官数人が創設者というNとは別の組織を誘き出そうと
する思惑も一部の警察官にはあります。

光芒ではマクナイトという名のドーベルマンの犬が飼われて
います。
客が置いて行ってしまった犬です。
ひどい扱いを受けていて人に不信感を持っています。
侑也はマクナイトを引き取り犬の信頼を得る努力をします。

それぞれ過酷な問題を抱えてきた三人がだんだんと信頼
しあうようになっていきます。
マクナイトはとても優秀な犬だったことがわかってきます。

後半は何十人もの人を携えてやってきた組織との戦いです。
守ってくれるはずの警察もほとんどやられてしまって彼らは
自分たちで戦いをすることになります。
マクナイトも彼らを守ります。

戦いの場面は一度窮地を抜けてもまたしても絶体絶命の
状態に追い込まれて厳しいものです。
以前は生きる気をなくしていた彼らですがそんなことは忘れて
しまったようです。
三人と犬とオウムの疑似家族の絆がいいです。

黒猫の約束あるいは遡行未来

2015-03-10 22:45:20 | 

森晶麿著"黒猫の約束あるいは遡行未来"を読みました。
黒猫シリーズの5冊目です。
このシリーズ、理解できない部分が多いのですがそれでも
手に取ってしまうという本です。

フランスの大学に招かれて黒猫が行ってしまって1年
経ちました。
付き人は学会で発表するためロンドンに行きました。
イタリアには建築途中で建築家が失明し自殺してしまった
ため建築途中の塔があります。
設計図も引き継いだ人もいなくて建築が中断していた塔の
建築が再開され塔が成長していきます。
誰がやっているのかわかりません。
黒猫は塔の調査を依頼されフランスの教授の孫娘の
マチルダとイタリアへ出かけます。
一方付き人はロンドンで映画監督のトッレ監督に映画出演
を頼まれます。
付き人はトッレ監督の生まれ故郷のイタリアへ行くことになります。
トッレは塔を作った建築家の息子です。
塔を含む屋敷の現在の持ち主は日本人のヒヌマになっています。

付き人の撮影が行われるのは祭りの日です。
塔が崩れ落ちす。
黒猫と付き人はこの時に偶然にもイタリアで再会しました。

塔の成長した謎、トッレの15年前の出来事、ヒヌマの
家の従業員の一斉の解雇などの謎があります。
マチルダは黒猫にあこがれています。
黒根と付き人はそれぞれ相手を思っています。
しかしこの二人の恋はぜんぜん進んでいきません。
現代の男女かって言いたくなります。
シリーズがこの先も続いても二人はこのままなんでしょうね。

読むのは楽に読めるのですが、立ち止まって考えると
いったいこの出来事はなんだったのだと感じます。

15年間連絡を取らずに約束をしてよく出会えたものだと
感心します。
トッレと彼女のそれぞれはこれから先、心おだやかに
暮らしていけるのでしょうか。

最後のマチルダの驚きはそういうことだったのですね。
知らなかったのはマチルダと読者です。
秘密でもないのにマチルダに真相を教えなかったのは読者を
驚かせるためですか。

ポオの文学の解釈はまったく理解できません。
学者さんはこんな難しいこと考えるんですか。

藍のエチュード

2015-03-06 21:00:00 | 
著者 : 里見蘭
中央公論新社
発売日 : 2014-06-24

里見蘭著"藍のエチュード"を読みました。
上野の東京藝術大学の剣道部の5人を描いたものです。
粟生野壮介、日本画専攻三年、剣道部主将
方眼寺綾佳、弦楽専攻二年
新田梨奈、デザイン科四年
弓削諒二、彫刻科四年
高杉唯、油画専攻三年

唯が剣道部に入部してきます。
剣道部OBでカリスマ美術商の飴井匡は唯が半年後に
行われる初段試験に唯が合格したら契約を交わすと
約束しました。
唯はまったく剣道を知りません。
壮介が唯の指導をすることになります。

唯は絵を描くのも食事を疎かにして心骨を注いで描きます。
剣道の練習も真剣です。
画で生きていくことにまっすぐです。

綾佳は裕福な家の娘です。
プロのバイオリニストを目指していますが、伸び悩んでいます。
壮介のことが好きです。

壮介は父と息子の二人で暮らしてきました。
裕福でない家です。
先生になろうと思っています。
壮介も綾佳が好きです。

梨奈は就職活動中ですが軒並み落ちています。
妻子持ちの男と不倫をしています。
彼女の感覚は遊びです。
相手は離婚して結婚するといっていますが、口先だけだと
思っています。
しかし相手が本当に離婚しようとしているのに慌てます。
彼女は諒二とも付き合っています。
妊娠が発覚します。

諒二はいいかげんな男で愛情がなくても次々と女性と
付き合っています。

どの人にも好感が持てません。
学生っていろいろ経験して無茶して失敗する時期なのかも
しれません。
それにしてもなんか幼い気がしてしまいます。
一番がんばっているのは唯です。
でも彼女には付きまとっている母親がいます。
きっと一生、心もお金も搾り取られることでしょう。
それでいいのだと彼女は思っているようですが、これは
共依存というものです。
どこかで決別して欲しいものだと思います。

三年後にはそれぞれ頑張って生きています。