雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

図書館の殺人

2016-07-31 21:00:00 | 
著者 : 青崎有吾
東京創元社
発売日 : 2016-01-29

青崎有吾著"図書館の殺人"を読みました。
"体育館の殺人"、"水族館の殺人"、"風ヶ丘五十円玉祭りの謎"
のシリーズの最新作です。
高校二年の裏染天馬が探偵役です。
殺人は図書館で起きました。
裏染と同じ高校の有紗の、大学生の従兄の恭助が、
山田風太郎の"人間臨終図鑑"という本で殴り殺されました。
死亡時刻は夜の十時ごろです。
ドアは暗証番号で開きます。
一般人の彼がどうやって図書館に入ったのか。
11時ごろに図書館から逃げる男を自販機に飲み物を
買いに来た有紗に目撃されています。
裏染は警察に頼まれ事件を調べることになります。

持ち出し禁止になっていた本が一冊消えています。
犯人はトイレにいた形跡があります。

裏染は犯人である条件から迫っていきます。

犯人を見つけ出す過程は面白いです。
理詰めで考えていきます。

しかしこの犯人には違和感を抱きます。
いくら逆上しても殺人を犯すでしょうか。
そのあとも冷静に後始末をして去っています。
殺された恭助にしても、なぜ夜中に図書館に忍び込むような
まねをするのでしょう。
彼がしたことは、よくやるなぁと言われる程度のいたずらです。
このことで人生を棒に振ってしまうほど、世の中は許す余裕が
ないのでしょうか。

読み終わって、すっきりしたという感じがしません。

かんかん橋の向こう側

2016-07-30 21:00:00 | 

あさのあつこ著"かんかん橋の向こう側"を読みました。
津雲という温泉地の田舎にある食堂「ののや」に
集う人々を描いた話です。
かんかん橋は新しい橋が出来て使う人はほどんど
なくなった石の橋です。
ののやは奈央が一人で切り回しています。
夫は結婚三年で亡くなり、高校生の義理の娘の真子と
暮らしています。
真子は看護大学を目指していて、そうなれば家を
離れることになります。

ののやに集まる人たちをモデルにしたブログ小説の
KANKAN騒動記のファンで、津雲にあこがれて
東山陽一郎という青年がやってきます。
東山はののやの常連客の看護師の久本と息子の和久の
家に住み着きました。

野々村の妻は何年か前に亡くなりました。
鍵の掛った箱を見つけ、東山に開けてもらい中を見て
妻のことを考えてしまいます。

東山は追われています。
ののやに現れた稲留は東山の過去を奈央と和久に話します。
稲留は東山を見つけたら殺そうとしています。
和久は東山を逃がそうとしますが見つかって絶対絶命です。

ののやは、常連客の魚屋の池内夫妻、写真館の国見、
公務員を退職した野々村、看護師の久本と息子の和久らの
明るくずけずけ言い合う会話でいつも賑わっています。

若い人たちはほとんど町を出て行ってしまいます。
離れて暮らすことになるのがわかって子供たちと
生活しているのは辛いですね。
とはいっても、都会であろうと同居するということは
少ないですし、会えなくなるわけではないのですから
どこでも同じなのかもしれませんね。

よこまち余話

2016-07-29 21:00:00 | 
著者 : 木内昇
中央公論新社
発売日 : 2016-01-22

木内昇著"よこまち余話"を読みました。
不思議な話です。
よくわかりません。
時代は明治のあたりなのでしょうか。
長屋に住む人たちが登場します。
お針子として着物を縫ったり修繕を頼まれたりして
生活しているお齣。
お齣の家に入り浸っている向かいの家の老婆のトメ。
魚屋の浩一と浩三の兄弟。
お齣の家に出入りしている糸屋。

お齣とトメはちゃんと人間の体ですが、今を生きる
人ではないらしいことがわかってきます。
トメは子供のころに吉原に売られ、そこでの生活に
決して馴染めなかった様子です。

浩三の家は生活が苦しいです。
浩三は中学に行きたいと思っています。
母はその夢を叶えてやろうとします。
中学生になって浩三は遠野という昆虫に夢中になっている
先輩に出会います。
遠野とお齣は夫婦だったらしいです。

何を言わんとしているのかつかみとれません。
トメもお齣も一度死んだ人なんでしょう。
この世に大きな未練を残している人が再度人生を
やり直して未練を断ち切っているのでしょうか。

彼女らがいなくなって近所の人たちは彼女らが存在した
ことすら覚えていません。
ただ浩三のみ忘れることなく覚えています。
再度の人生であろうと覚えている人が一人もいないのは
かりそめの人生であろうとも、存在しなかったことに
なってしまいますものね。

女神 探偵・竹花

2016-07-28 21:00:00 | 

藤田宣永著"女神 探偵・竹花"を読みました。
東京で探偵をしている竹花のところへ大阪のロッカー屋から
宅配便が届きます。
中はがらくたです。
送ってきたロッカー屋へ問い合わせると荷物の持ち主の
山本浩信はホームレスで亡くなっており、10日経っても
こなかったら竹花へ送るよう頼まれたということです。

荷物を引き取りたいとう男がやってきます。
山本が父親だとメールで教えられたという女優の立花清香が
立花のところへやってきます。
事務所に押し入られ山本のバッグが盗まれます。

大阪を知らない立花は大阪の探偵の明珍太郎と知り合います。
大阪で殺人が起きます。
東京でも清香が殺されてしまいます。
犯人と疑われた男優の依頼で事件の調査を始めます。
やがて22年前の殺人事件へと繋がっていきます。

22年前に山本が自家用車の運転手として働いていた家でコインの
盗難と、数日後に同居していた息子の奥さんの妹(姉だった?)が
殺されました。
犯人として息子が逮捕され投獄されましたが、無実を主張していました。

話があちこち飛びますし、場所も大阪、東京です。
気を付けていないと何が何だかわからなくなってきます。
なぜいまさら山本の持ち物を探し回るのか、関係がなさそうな娘の
清香が殺されなければいけないのか話は複雑です。

大阪の探偵の明珍のキャラクターがいいですね。
この人が登場すると楽しくなります。
それなのに最後の場面では…

昔の殺人と、今回の殺人となんとも嫌な事件です。
清香の殺人はあまりにも理不尽です。

山本がバッグを竹花に送ってきた理由って最後まで読んでも
さっぱりわかりません。

ミモザの島に消えた母

2016-07-27 19:31:59 | 映画
映画を見てきました。
「ミモザの島に消えた母」です。
アントワンは10歳の時にミモザの島と言われるノアール
ムーティエ島で母を溺死で失いました。
その時、妹のアガッタは5歳でした。
30年経ちました。
母のことは家族の間で禁句になっていました。
アントワンは母の死の真相を知りたいと思います。
妹はどうして知りたがるのか理解しようとしません。
父も祖母も、再会した昔の使用人も話そうとしません。
彼は使用人から渡された母の遺品の中の時計から
真実に近づいていきます。

父や祖母と激しい諍いを起こした数日後に祖母は亡くなります。
葬儀の場でやっと真実を知らされます。

知らないということは重くのしかかることだったでしょう。
妹は知らなくていいという態度だったのに、真実を知ったら
ころっと変わって激しく憤っています。
上映中の映画で詳しくは書けません。
この二人にとって真実を知るということはよかったことでしょう。

ノアールムーティエ島は本土とは海の中の道を通って行き来
します。
この道は満潮になると海の中へ消えてしまいます。
ミステリーにはうってつけの島ですね。
日本にもこんな島があったような、なかったような・・・

いい映画でした。

今日は雨模様

2016-07-26 09:27:43 | 日常の出来事
先ほどは雨がポツポツ降っていましたが今は止んで
いるみたいです。
窓を開けていると蝉の声が大きく聞こえてきます。
どこで生息しているんでしょうね、この街中で。
頑張っていきているんだねって言ってやりたいです。

最近家の近所には野良猫が3,4匹出没します。
猫は好きですが、この野良猫たちは嫌いです。
昨日、エアコンの室外機の上で気持ちよさげに寝ているのを
見つけました。
近寄っていって覗き込みました。
触って噛みつかれたりひっかかれたりするのは嫌です。
どうして追っ払おうかと考えていたら、猫の方が気がつきました。
大慌てで逃げようとしました。
その慌てようときたら、むかっとしていた気持ちが消えて
おかしくなりました。
体を制御しきれず、室外機と壁との間に背中から落ちました。
下に落ちてしまうほどの隙間がありません。
上の方に引っかかり、あせって足をバタバタしています。
ようやくに這い上がってきて最速で逃げていきました。
しかし数メートル行ったところで何事もなかった様に
立ち止まって、こちらを無視しています。
まったく人をばかにした態度で、いや実際に「何だよ
人間なんてどうってことないよ」って思っているんでしょうね。


雨がまた降りだしました。
蝉の声は止みました。
雨宿り中ですね。


誰にも探せない

2016-07-25 11:38:42 | 

大崎梢著"誰にも探せない"を読みました。
伯斗と晶良の祖母たちは幼いころからの友人でした。
祖母たちがもう一人の友達に書いてもらった消えてしまった
村の地図を見て話しているのを盗み聞きしました。
甲斐の国、山梨県の武将穴山梅雪が隠したと言われる
埋蔵金が地図の六川村にあるに違いないと考えました。
小学校5年だった彼らは夏休みを内緒で地図にある村を
探し回りました。
彼らは道に迷った時、崖から落ちそうになった時に同じように
山を歩き回っている人物に助けられました。
その一年だけで伯斗はすっかり熱がさめ、それだけではなく
晶良を避けるようになり二人は疎遠になりました。

伯斗は東京の大学に、晶良は地元の大学に進みました。
突然伯斗が現れ晶良にまた村探しをしようと誘います。
昔見つけた廃村までたどり着き直前に誰かがいたことに
気づき、近くの温泉宿にも情報を求め行きました。
伯斗は中島が死んだとの連絡を受け東京に戻り依頼
連絡が取れなくなります。

山で怪我をした田中が見つかります。
晶良は埋蔵金を探すサークルに所属しています。
サークルの仲間の吉井と田中に会いにいきます。
診療所の医師は昔助けてくれた国分でした。

田中がいなくなり晶良と吉井は跡を追って山へ入ります。
伯斗のバイト先の女性三咲と出会います。
暴力的な危険な男たちも山に入ってきます。

この後は彼らとの命がけの攻防戦です。
伯斗が何をしようとしていたのか、どうして子供の時に
埋蔵金探しを止めてしまったかの理由も明かされます。

最初のうちは物語にあまり入り込めませんでしたが
再度山に入ったあたりから格段におもしろくなりました。

埋蔵金か、宝くじの方が確率高いかも。
でもロマンがありますね。
一度山の中を探し回ってみたい、子供のころの彼らの様に。

バートラム・ホテルにて

2016-07-21 21:00:00 | 

アガサ・クリスティー著"バートラム・ホテルにて"を
読みました。
セント・メアリー・ミード村に住むミス・マープルは
姪の招きでロンドンのバートラム・ホテルに2週間滞在
することになりました。
エドワード王朝時代の雰囲気を保ちながらも現代的な
施設も加わっており、フロントや給仕、ドアマン等の
サービスも完璧です。

マープルは買い物に出かけたりして過ごしますが、ホテルの
人びとの様子をよく見ています。
21歳になったら父親の遺産が自由にできるエルヴァイラが
宿泊します。、
娘のエルヴァイラと夫を捨てた冒険家の母親のべスも泊まって
います。
べスと付き合いがありながら娘とも付き合っている悪党の
ラジスローヌ・マリノスキーもホテルに出没します。

ロンドンでは大がかりな窃盗団が暗躍していて警察は
躍起になって捜査しています。

ペニファザーという物忘れが激しい牧師がホテルに荷物を
置いたまま行方不明となります。

後半になるまで事件は起きません。
すでにホテルに泊まっていないエルヴァイラがホテル前で
発砲され庇おうとしたドアマンが撃たれて死にました。

デイビー主任警部がホテルにやってきてマープルと
出会います。

ホテル内の出来事や漏れ聞いた話から真実を見抜いたマープルと、
デイビーはホテルの秘密にたどり着きます。

ホテル自体が重要な役割を果たしています。
はっきりとした事件が初期の段階で起きる物語と違って
ちょっとばかり退屈です。

エルヴァイラは人生の岐路に立っています。
このままでは破滅へ一直線という感じですが、マープルや
デイビーは手を差し伸べてやれるんでしょうか。

青列車の秘密

2016-07-20 21:00:00 | 

アガサ・クリスティー著"青列車の秘密"を読みました。
クリスティーのものはだいぶ読んでいるのでこれも
たぶん読んだことがあるだろうと思っていました。
読んたことはあるようです。
覚えているのは犯人はあの人たちということだけです。
ポワロが活躍します。

舞台はイギリスとフランスです。
アメリカの大富豪のルーファス・ヴァン・オールデンは娘の
ルースに高価な宝石を買い与えます。
娘は青春時代に恋人のド・ラ・ルーシェの間を引き裂かれ、
その後デリクと結婚しましたがうまくいっていません。

キャサリンは両親を亡くし、セント・メアリー・ミード村で
長年老女のコンパニオンをして暮らしてきました。
老女が亡くなって遺産はキャサリンに贈られました。

お金に不自由しなくなったキャサリンは旅行に出ました。
青列車(ブルー・トレイン)に乗ったキャサリンは列車内で
ルースに合い、彼女に悩みを打ち明けられました。

ルースが列車内の自室で殺されて発見されました。
列車には、夫のデリク、また付き合い出したド・ラ・ルーシュ、
そしてポアロが乗っていました。
父親が買い与えた宝石が奪われていました。

ルースは付いていたメイドを途中の駅で降ろしています。
オールデンには雇ったばかりの優秀な秘書が側にいます。
ポアロが事件解明に雇われます。

犯人は恋人のド・ラ・ルーシュか、破産の危機にあって
離婚を迫られている夫のデリクが妻の遺産目当てで
殺したのかと疑われます。

仕事を持たず、ギャンブルや女性との遊びにふけるのが
日常という人たちのことはわかりません。
いつか財産を食いつぶすことはわかりそうなものなのに。

デリクはキャサリンに魅かれていきます。
いくら愛のない結婚だとはいえ、妻の遺産を手にしたばかりで
別の女性に交際を申し込むなんて無神経だと思うのですけど
こういうことは普通のことなんでしょうか。

ポアロが名指す犯人はあの人でした。
殺した理由は、殺人が平気だからなんて親は許せませんね。
死を呼ぶ高価な宝石なんて手にしないに越したことは
ありませんね。

シャーロック・ホームズの不均衡

2016-07-19 21:00:00 | 

似鳥鶏著"シャーロック・ホームズの不均衡"を読みました。
題名に惑わされました。
題名はあまり関係ないですね。
天野直人は高校卒業しました。
妹の七海は今度小学4年になります。
両親が殺され養護施設で育ちました。
直人は施設を出なければいけない年齢です。
妹と離れたくありません。
二人に援助を申しでる人がありました。

会うために長野のペンションに出かけました。
そこで不思議な殺人事件に出会います。
ペンションの従業員が雪が積もった駐車場で殺されたのが
発見されました。
客も従業員の誰もが犯人ではありえない状況です。

七海が謎を突き止めます。
彼女は天才であることがわかっています。
世界には天才を見つけて拉致し、短期間に知識を
出しつくさせて使い捨てる組織があります。
日本の天才を見つけ出し拉致しようと暗躍しています。

七海と直人はそれを阻止しようとする御子柴家の
辰巳に協力することになります。
家政婦であり武術の使い手の雪村さん、銃の使い手の
石和と組織が起こす事件に対決することになります。

なんともおもしろい発想の話です。
ここまでただ利用しつくそうということはなくても、
知識を持った人を勧誘するということはありそうですね。
日本から頭脳が流失していくとはよく聞きますから。

不可能な事件の謎解きはあまりおもしろくありません。
登場人物中で雪村さんが一番好きかな。

過ごしやすいです

2016-07-18 08:33:21 | 日常の出来事
今年の夏は過ごしやすいです。
エアコンほとんどいりません。
いつもの夏の夜はエアコン入れないとむわっとした熱気に
包まれます。
今年は綿の毛布を掛けて寝ています。
朝までそのまま掛けています。
暑くて目を覚ますのではなく寒い、と目が覚めたことが
数回あります。
変ですね。
でも子供のころの夏ってこんな風でした。
久しぶりに昔に戻ったような気がします。
こんなことを書いている数日後にはいつものめちゃくちゃ
暑い日がやってくるかもしれませんね。

大川契り 善人長屋

2016-07-15 10:11:05 | 

西條奈加著"大川契り 善人長屋"を読みました。
"善人長屋"、"閻魔の世直し 善人長屋"に続いて
シリーズ3冊目です。
長屋の差配は質屋ですが裏で故買屋もしています。
長屋に住むのは加助一人を除いて皆表の家業以外に裏の
仕事を持っています。
掏りとか美人局とかの小悪党です。
今回の本は連作短編集です。

"泥つき大根"
差配の儀右衛門の息子の倫太郎が長屋を訪ねてきました。
義母が若い男と結婚すると言い出しました。
怪しい男を調べて欲しいと頼みます。

"弥生馬"
お勝という少女と知り合います。
奉公先で辛い目に遭わされすさんでいます。
掏りの安太郎のことを知っているようです。

"兎にも角にも"
荷車の荷が崩れて怪我をした梅蔵を加助が連れてきます。
荷主の佐野屋が'兎にも角にもと'という高価な杖を貸して
くれました。
親切でしたことがあだとなり梅蔵は質屋に押し入りました。

"子供質"
加助が小さな子供と女中のおいまを連れてきました。
だまされて路銀を取られてしまいました。
おいまは一人で人を連れてくるからと子供を置いて行って
しまいました。
子供は元気に動き回ります。
体を見ると火傷やあざだらけです。
長屋の者たちは虐待を疑いますが意外にも…

"雁金貸し"
儀右衛門にはお縫の他に姉のお佳代がいます。
お佳代は両親を嫌って家には寄り付きません。
夫の次吉から借金で困っていると連絡がありました。
三両しか借りていないのに証文はいつのまにか五両に変わって
いました。
そのからくりを長屋の者たちは突き止めます。

"侘梅"
唐吉と文吉の兄弟の話です。
唐吉が内緒で出かけるようになりました。
弟は心配で兄の後を付けました。
男の侍と会っているのを知ってびっくりします。

"鴛鴦の櫛"
この話は次の話と続いています。
またしてもトラブルを持ち込んできたのは加助です。
駒吉という怪我をした男を連れてきて手厚く看病してやります。
駒吉は手遅れで亡くなってしまいます。
兄と会う約束だったと、辞世の句を残しました。
兄を見つけ出し葬儀を出してやりました。
その数日後に彼らは押し入ってきました。
押し込みの一味で、隠してあった金を出せとせまります。

"大川契り"
何も知らない儀右衛門一家ですが、女房のお俊と娘のお縫を
連れ去られ、無くなった金を見つけ出すよう迫られます。
お俊はお縫に儀右衛門と結婚した経緯をお縫に語って
聞かせます。
傲慢になったため一瞬にして不幸の底に落ちました。
そんな状態にあったお俊と儀右衛門は結婚しました。
お縫は一味のお金を隠した経緯と駒吉が残した辞世の句から
何が起こったのか推理します。

シリーズに馴染んできたのか面白かったです。
長屋の他の人たちの裏を知らず、いつも問題をしょいこんで
くる加助がいいですね。
善だけではなく多少の悪があってもいいという雰囲気はどうかと
思います。
人それぞれ出会ったことに感じる痛みは違いますから。

黒猫の回帰あるいは千夜航路

2016-07-12 09:40:22 | 

森晶麿著"黒猫の回帰あるいは千夜航路"を読みました。
黒猫シリーズの六作目です。
ポオの作品の話、音楽の話等に造詣があれば深くこの本を
楽しめるでしょう。
私には難しくて半分もわかりません。
それでも雰囲気を楽しんでいます。
若くして教授をしている黒猫と同級生だった付き人の
博士課程の女性の物語です。
黒猫は美学の教授です。
付き人は作家ポオの研究をしています。
今回は短編集になっていて区切りがあって割と楽に
読めます。
黒猫はパリの大学で2年間教えていましたが、突然
戻ってきました。

"空とぶ絨毯"
ペルシャ美学の教授が絨毯と共に消えてしまいました。

"独裁とイリュージョン"
学生時代に黒猫に付きまとっていたミナモが現れました。
今、離れに間借りしている人形作家が作った自分をモデルに
した人形が消えた不思議を解いて欲しいと依頼します。

"戯曲のない夜の表現方法"
劇作家鞍坂の追悼式に黒猫と付き人は参加しました。
鞍坂に見出された女優の今利麻衣が不満を口にしていました。
自分を主役にした作品を作ると約束したのに見つから
なかったのです。

"笑いのセラピー"
黒猫の姉の冷花は展覧会の帰りに付き人に出会います。
子供のころの出来事を話します。
自分たちはひどいことをしてしまったのではないかと
話ます。

"男と箱と最後の晩餐"
東京-徳島間の豪華客船に黒猫と付き人は仕事に向かう
ため乗りました。
大きな箱を抱えた男性に出会います。
恋人との最後の別れのために乗ったといいます。
このクルーズは真夜中の晩餐が売り物です。

"涙のアルゴリズム"
コンピュータのAIと人間とがJAZZの作品を作曲し
優劣を競うことになりました。
付き人は黒猫に代わって審査員の一人として参加する
ことになります。
作品は人が作曲した作品の方が優れていると思われるのに
AIの作品を聴いて作曲家は涙を流しました。

黒猫と付き人はお互いに好きあっているのにじれったく
進行しません。
最後は二人は前進したようです。
これでシリーズ幕引きかなと思わないではありませんが
さて、まだ続くのでしょうか。

特捜7 死者の盟約

2016-07-10 21:00:00 | 

麻見和史著"特捜7 死者の盟約"を読みました。
警察小説です。
民家の庭で頭を包帯で巻かれた死体が見つかります。
見つかった鍵で開けたロッカーには薬品に漬けられた指と
男女二人が写っていました。
亡くなったのは市野、投資家として成功しています。
息子の翔太が誘拐され身代金の要求があります。

調査中に同じように顔に包帯を巻かれた女性の死体に
行き当たります。
前に見つかった写真に写っていた女性で西村幸恵です。

写真に写っていた男性が真鍋遼一で、十一年前に行方不明に
なっています。
行方不明になる前に及川素子と付き合っていました。

翔太の誘拐事件は一向に解決しません。
犯人は峰岸信夫という男を連れてこいと要求してきます。
最初に亡くなった市野の家に顔を出した男です。
彼の家から別の指と真鍋と別の人物が写った写真が
発見されます。

やがて峰岸の死体が、もう一人の死体といっしょに発見
されます。
西村由紀恵も指と写真を持っていました。

殺された人たちが知り合いだったことがわかります。
真鍋は使い走りをさせられていました。

刑事の岬は所轄から応援にきた里中弘美とコンビを組まされ
事件に当たります。
たくさんの物をかばんに詰め込んで持ち合いています。
そんな物が役に立っています。
切れるようにはみえない里中が本質にせまっていきます。
里中がいいです。
誘拐された子供が可愛そうです。
一生トラウマを抱えることになるのでは。

警察が過去に犯罪を見抜けなかったばかりに起こった
連続殺人事件です。

群衆リドル

2016-07-09 21:00:00 | 

古野まほろ著"群衆リドル"を読みました。
閉じ込められた館で次々と殺人が起きる孤島物です。
話自体は面白かったのですが、どうしてこの作者は
変わった言葉を使いたがるのでしょう。
日本といえばいいのに帝国だとか、東京を帝都だとか
いうのでしょう。
他の作品も同様です。
言葉の響きがいいから、というわけではなく何か
主義主張があって使っているのだと思います。
でもいい加減うんざりしてきました。
絶対読まないとは言い切れませんが、今後この方の
本は読まないと思います。

リドルというのは作者から読者に途中で犯人を当てて
下さいと挑戦する形式の話のことだったと思います。
たしかに途中で聞かれます。
きっとあの三人の内の誰かだと思いました。
論理的に導き出したのではなく、ドラマで有名な人が
キャストされていれば、ははん、この人がきっと犯人なんだ
なと思う程度のことです。
でも当たりました。

夕佳は浪人生です。
パーティに招待されました。
恋人である大学生で過去に世界的コンクールでいい成績を
収めた八重洲家康を主催者の許可をもらって連れていきました。
橋で他から隔離された山の仲の山荘に九人が集まりました。
八重洲を除く八人に罪を犯したから死ぬことになるのだと
宣言されました。

次々に殺されていきます。

犯人が復讐を誓うその本当の理由はともかく、その手段が
そんなの有りって思ってしまいます。
探偵役の八重洲の傲岸な態度もちょっと嫌ですね。