雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

公園散歩

2012-08-31 20:48:00 | 日常の出来事
自転車であちこち走ってきました。

庄内緑地公園内に咲いていたひまわりです。
8月も終わります。ひまわりもなんだか出番が終わった
ような雰囲気でさびしそうに見えます。



庄内緑地公園です。広くて緑がいっぱいです。
平日の夕方だったからかほとんど人はいませんでした。
手入れが行き届いていて散歩するにはいい場所です。



ノリタケの森です。
恐竜が何匹かいます。
夏休みも終わりもうそろそろ恐竜たちの出番も終了かな。

麿の酩酊事件簿 花に舞

2012-08-30 20:46:59 | 

高田崇史著"麿の酩酊事件簿 花に舞"を読みました。
主人公の勧修寺文麿はお屋敷住まいです。
祖母のまつゑと執事の大原と暮らしています。
三十一歳で、仕事はしていません。
祖母に結婚相手を探すことを迫られています。
"見合い厳禁"、"手助け無用"、"独力発掘"、"自力本願"
という家訓です。
文麿はお酒に弱いです。
飲んで意識が朦朧として頭をぶつけると突然しゃっきと
して事件をたちどころに解決してしまいます。
しかし翌日になると話を聞いたことも自分が解釈した
こともすべて忘れています。
それで女性には振られっぱなしです。

"ショパンの調べに"
文麿はピアノを習いだしました。
先生は山崎るみです。
るみは将来を嘱望されていましたがあることから
人前で弾けなくなりました。
音大時代に同級生が転落死しました。
その原因は自分だと思っています。

"待宵草は揺れて"
茶会に参加した人が毒薬を飲んで亡くなりました。
どうやって毒物を口にしたかわかりません。
茶碗を次々に渡していって飲みました。
どこからも毒は発見されませんでした。

"夜明けのブルー・マンデー"
女性バーテンダーの心の重荷を解いてやります。
彼女は以前に働いていた店で信頼していた人に
裏切られたと思って傷ついています。
コンテストに出場するためのカクテルの作り方を
盗まれたと思っています。

"プール・バーで貴女と"
玉突きの店から出て行った人が死にました。
毒殺でした。
どこからも毒は発見されません。
ビールは自分で自動販売機から買って飲んでいて
それ以外に口にしたものはありません。

毒殺の話は2話あります。
ピアノ、お茶、カクテル、玉突きとどの話も
それぞれについて専門的に詳しいです。
へー、そんなんだって感じで読んでいます。
酔っ払って話を聞いて解決するという安楽椅子探偵物です。
酔っ払って絡むようなところがあり少々見苦しいです。
酔いがさめるとすべて忘れているというのはなんとも
哀れです。
酔わないと能力のスイッチが入らないというのは当人に
とって無いも同然の能力だと思います。

蘭方医・長崎浩斎 大江戸謎解き帳

2012-08-29 19:57:35 | 

永井義男著"蘭方医・長崎浩斎 大江戸謎解き帳"を
読みました。
長崎浩斎という人は実在の人のようです。
でもこの本はフィクションです。
浩斎は十九歳で富山の医者の息子です。
蘭学、医学を学ぶために百日間の約束で江戸へ
やってきました。
油屋の娘のお喜世と出会います。
岡っ引きの新六親分はお喜世の親戚です。
浩斎とお喜世は事件に巻き込まれます。

"両国・麦藁蛇の怪"
お喜世の従姉妹のお民の死体が見つかったから来て
欲しいと新六の子分が呼びにきます。
お民は茂助と駆け落ちしましたが食い詰めて江戸へ
戻ってきていました。
顔形がわからないほど傷んでいます。
それなのに茂助はお民が昨日の朝は生きていたと
いいます。
お喜世と医者の浩斎がやって来ました。
死体の状態と茂助の言い分の違いを調べます。

"神田・男女身二つの怪"
上半身と下半身に切断された遺体で上半身が男性の
もので、下半身が女性のものの遺体が見つかりました。
心中した男女をそれぞれ切断して片付けようとして
見られて放り出していったもののようです。

"本所・猩猩音呼の怪"
無尽講で二十両の大金を手にした大沢屋甚兵衛は
その直後から行方不明になりました。
甚兵衛は婿養子です。
鳥屋の忠兵衛は甚兵衛の妻のおゆみと結婚したいと
思っていたのに果たせませんでした。
甚兵衛が妾を住まわせていた家から白骨死体が
発見されました。
忠兵衛はこの白骨は甚兵衛だといいます。

浩斎とお喜世はお互いに惹かれあっていますが
江戸にいられる約束の期日がきて浩斎は富山に帰って
いきます。
帰った浩斎はあっさりと許婚と結婚してしまいます。
読者としては拍子抜けする淡い恋でした。

それぞれの話はそれほど感心する部分はありません。
ごく当たり前の解釈という感じがします。
ちょっと物足りない気がします。

深川澪通り燈ともし頃

2012-08-28 20:30:28 | 

北原亞似子著"深川澪通り燈ともし頃"を読みました。
澪通り木戸番小屋の夫婦お捨と笑兵衛が登場します。
十何年前にNHKのテレビドラマで笑兵衛は神田正輝で
お捨は池上季実子で放映されていました。
二人の雰囲気が好きで見ていました。

この話は長編です。お捨と笑兵衛は登場しますが
ほんのちょっとだけしか出てきません。
木戸番小屋の近所に住む人々の生活や人生を
描いたものです。
木戸番小屋の二人は追い詰められた時にあそこへ行き
さえすればと多くの人の心のより所になっていました。
お捨は明るくて笑い声が素敵な初老の女性です。
笑兵衛は口数は多くありませんが意見がましいことを
言わずに手を差し伸べてくれます。

一話、二話となっていますが連続していると思って
いいです。
一話は政吉が中心の話です。
孤児で子供の頃はかっぱらいで飢えをしのいでいました。
中間、塩売りなどをしてきました。
喧嘩をして怪我をして木戸番夫婦に手当てしてもらい
知り合いました。
字を教えてもらい流行っていた狂歌を始めました。
狂歌が認められるようになりました。
結婚して女房のおきくに煙草屋をやらせて自分は狂歌を
仕事としていました。
政吉にまったくかまわれなくなったおきくは店の
雇い人と逃げてしまいました。
政吉は狂歌仲間とのいざこざから狂歌から離れて
ぼてふりの塩屋へ戻ります。
労咳の遊女おうたと付き合い始めます。

二話は仕立て屋のお若が中心の話です。
お若は若い娘たち三人を雇って仕立物をしています。
年のうち数ヶ月江戸へやって来る妻子がある薬売りと
何年も付き合っています。
おえはお若の幼馴染です。
おえいはお若をいつも気にして負けまいとしています。
おとよは長屋に住んでいましたが藍玉問屋の五兵衛の
妻になりました。
三次郎はおとよの弟です。ふらふらして仕事は長続き
しません。
この人たちの心のうちが描かれます。
お若は身勝手な男と別れられず将来の孤独を恐れています。
おとよは姑に浮気を疑われて赤ん坊を連れて家を飛び出して
きます。
五兵衛は始めのうち姑といっしょにおとよをせめていました。

木戸番夫婦が貧乏ながら明るく幸せに暮らしているのに
引きかえ他の登場人物たちはうつうつとして人生を
楽しまず暗い雰囲気です。
対照的でわかりやすい設定ですがなんで皆こうも人生を
楽しんでないのと思わずにいられません。

福家警部補の再訪

2012-08-27 22:06:05 | 

大倉崇裕著"福家警部補の再訪"を読みました。
"福家警部補の挨拶"の続編です。
福家警部補は女性の刑事です。
読んでいるとどこかで会った人物を思わせます。
コロンボです。犯人はわかっていてどうやって追い詰め
ていくかという形式をとっています。
連作短編集です。

"マックス号事件"
原田は警備保障会社の社長です。
会社を立ち上げる前は強請をしていました。
当時の仲間の直巳が過去をばらすと強請ってきました。
原田は直巳をマックス号という船のクルーズに誘いました。
船室で直巳を殺します。
疑われるはずはない計画でしたがもろくも崩れ去りました。
福家が船に密航の形で乗り込んでいたからです。
別の事件の調査で船に乗り降りそこなってしまい、そのまま
船上で調査していました。
直巳の殺人も福家が調査します。

"失われた灯"
藤堂は有名な脚本家です。
古物商の辻に強請られています。
ストーカーまがいの役者希望の三室を利用して辻を
殺す計画を立てます。
三室を別荘で稽古しようと誘い出します。
自分を三室に誘拐監禁されていた風を装います。
三室を監禁しておいて辻の家に行き殺害し放火とある
品物を手に入れます。
そして正当防衛と見せかけて三室を殺害します。

"相棒"
山の手のぼり・くだりの内海と立石は売れていた
漫才師でしたが今はまったく昔の人気はありません。
立石には独立して再起を図る話が来ています。
しかし内海は師匠の一周忌までと後半年は解散したく
ないといいます。
練習に使っていた別荘で立石は内海を事故に見せかけて
殺す計画を立てます。
内海にはある秘密がありました。

"プロジェクトブルー"
玩具会社の社長の新井は完成品の制作代行やフィギア
モデルの原型を作っている西村に強請られています。
会社を興す前に怪獣ソフビ人形の複製品を作って
売りました。
西村を事故を装って殺します。
アリバイは福家によってみごとに覆されます。

福家のとぼけた感じいいです。
女性刑事だというと驚かれるというのは前作同様
ちょっと鼻につきます。
かなりコロンボを意識していると思います。
読んでいるとコロンボの顔が浮かんできます。

魔女は甦る

2012-08-26 19:54:56 | 

中山七里著"魔女は甦る"を読みました。
これはすごい話です。
小説の中のお話ではなく現実に起こっているのではと
思われてそこが一番怖いです。
グロテスクな場面を描いた部分が多くあります。
こうも平気で人を物として扱えるのかと過去の部分、
現在の部分で思います。

ドイツのスタンバーグ製薬の日本の研究所の社員だった
桐生隆の何十にもばらばらにされた死体が発見されます。
場所は茨城の田舎です。
研究所は数ヶ月前に閉鎖になっています。

少年たちがドラッグを飲んで破壊的な行為をしています。
彼らが使ったのはヒートというスタンバーグが開発した
薬です。
一旦摂取すると体から抜けません。

スタンバーグ製薬は第一次大戦前から怪しげな薬品を
開発しています。
大きな勢力を持っています。

刑事の槇原と警察庁の宮條が事件を追っていきます。
もうひとり桐生の恋人の薬学部の学生の毬村美里も
事件を追っています。

桐生のすざましい過去が語られます。
家族を災害ですべて亡くしクラスぐるみ、地域ぐるみの
いじめを受け引き取られた叔母に毒殺されかけています。

宮條の過去もすざまじいものです。
刑事の宮條に報復のためその妹を薬物づけにしました。
妹は薬物中毒で亡くなっています。

スタンバーグ製薬の建物の近くの地域では猫が消えて
いきます。そして赤ん坊まで親が目を離したわずかな隙に
消えました。

槇原と美里がラストあたりに敵地に乗り込んで行きますが
このへんは命の危険があるのになんたる軽々しい無謀な
ことをするのかとちょっとあきれます。
おまけに相手のスイッチを入れるようなまねをして
自分の命を大事にしなさいといいたくなります。

実際に殺害した犯人は書かずにおきましょう。
ただただスタンバーグ製薬の人間としての普通の感覚を
失ったもののぶきみさを感じます。
何年も続いてきた組織は善悪を超越した独自の主義を
正しいものとして組織内の人を飲み込んでいくのでしょう。
いつかこういう力は倒れることがあるのでしょうか。

これからも被害がおきそうな状況でぜんぜん解決されて
いなくて終わっています。

音楽を文章であらわしてすごいと思った"おやすみ
ラフマニノフ"の作者の中山さんの作品です。
まったく違った設定や雰囲気でびっくりしました。

チェーン・ポイズン

2012-08-25 20:00:00 | 

本多孝好著"チェーン・ポイズン"を読みました。
36歳の女性が会社勤めに行き詰まりを感じ辞めます。
ブログをやっていましたがそれにも絶望して死にたいと
思います。
公園で「もう死にたい」とつぶやきます。
それを聞いていた人がいて一年後に苦痛なく死ねるものを
あげるから生命保険に入るなり準備してその日を
待つようにと言われます。

雑誌記者がいくつかの自殺に疑問を持ちます。
一人は妻子を殺された男でもう一人は突発性難聴と
なったバイオリニスト、それにOLです。
彼らはアルカロイドという毒物で死んでいます。

元OLはポスターをぼんやり見ていて声をかけられます。
そこは児童養護施設です。
高齢の女性が工藤という職員一人とボランティアとで
やっている私設の施設です。
いくところのない彼女は施設を訪れ始めます。
だんだんとそこの人達になじんでいきます。
園長は病気で長くないことがわかります。
息子は施設を閉めて土地を売ろうとしています。
彼女と工藤は存続させるための案を練ります。
園長は自分にまかせてといいますが結局は息子の
いいなりになってしまいます。
数ヶ月後には出て行かなければいけません。
彼女は死ぬつもりで生命保険をかけています。
そのお金でなんとかしようと考えています。
工藤や子供たちは道行く人々に助けてと訴えます。
ホームページで窮状を訴えます。

記者の調査と施設と関わった彼女との話が交互に
出てきます。
立ち直ったように見える彼女は結局死んじゃったのと
思わせる描き方です。

早い時期に話の仕掛けが見えてしまって最後の
あっと言わせようというところでは驚かなくて
やっぱりという感じです。

施設の存続は子供たちの作戦勝ちでしょうか。
そんなにうまくはいかないと思うけど。
それにそれはかなり違法めいています。
でもおもしろかったです。

記者はほとんど真実をつきとめました。
けど彼女のところまでたどり着かなかったようです。

東雲の途

2012-08-24 19:54:34 | 

あさのあつこ著"東雲の途(しののめのみち)"を読みました。
"弥勒の月"、"夜叉桜"、"木練柿"のシリーズの最新刊です。
町人の姿をした武士と思われる若者が刺されて川に
投げ捨てられて発見されます。
小暮はその男の腹の中から瑠璃を取り出します。
若者が最後の力を振り絞って自分で腹の中へ隠したと
思われます。
小間物屋の遠野屋清之介の所へ捨ててきた嵯波藩の
武士の伊豆小平太が訪れます。
殺された侍は弟で引き取ってきてくれと頼みます。
嵯波藩では勢力争いが何年も続いています。
一方が清之介の兄でもう一方は今井です。
若者が持っていた瑠璃は勢力争いに影響がある物です。

清之介は過去を断ち切って商人として一生を送りたいと
願っています。
しかし過去は追いかけてきて清之介の前に何度も現れます。
伊佐治に引き寄せているのだ、きっぱりけりをつけ
なくてはいけないと言われます。

清之介が殺した母親代わりに育ててくれたすげに
子供のときお守りだと渡されたものがあります。
その中にも瑠璃のかけらが入っていました。

争っている二つの勢力は藩のどこかに瑠璃の鉱脈が
あるのだと思って探しています。
しかし清之介は藩にはない、海外から持ち込まれた
物だと判断します。
勢力争いを止めさせ藩の財政を安定させるために
清之介は故郷の藩をめざします。
伊佐治も清之介についていきます。

瑠璃がどういう事情で藩にあったのかを探します。
調査結果と新しい産業を興す計画を今井に提案します。

その提案を呑んで起こされた長期間の産業は成功して
藩は潤うようになりました。

このシリーズがこれで終了したという雰囲気です。
なんか物足りないです。
伊佐治はわかりやすいひとですが小暮と遠野屋の
二人は上辺だけしかわかってないような気がします。
こんなうつうつとした気分で終了なんてそれはない
よねって思います。
問題は解決してしまって続けると話題はなくなって
しまったのですか。
小暮と遠野屋のシリーズもっと読みたいです。

やさしい死神

2012-08-23 19:51:29 | 

大倉崇裕著"やさしい死神"を読みました。
見たことがある登場人物と思ったら前に読んだ"三人目の
幽霊
"の続編でした。
題名はおどろおどろしい感じですが内容は実際はほのぼの
とはいかないまでもやさしさのある話です。
落語界でおきたちょっとした出来事の真相を追います。
落語専門誌の「季刊落語」の女性編集者の間宮緑の目線で
書かれています。
編集長は牧大和です。

"やさしい死神"
栄楽師匠は高齢で体が思うように動きません。
横になっていて弟子達が交代で面倒をみています。
かつて花朝という有望な弟子がいましたが、破門して
しまいました。
栄楽が頭を打って入院しました。
見つけたときに「死神にやられた」と言いました。
落語に死神という演目があります。
枕元に死神が座ると助かりません。
死神をごまかすために布団をくるりと回して死神を
足元にくるようにするという話です。

"無口な噺家"
如月亭の前の書店へ二日続けていたずらで救急車が
やってきます。
文喬師匠は倒れて再起は出来ないだろうといわれて
いましたが努力し復帰して公演することになりました。
師匠には文三、伸喬という有望な弟子がいます。
しかし逆境に落ちたことがない二人には何かが
足りません。
文喬の復帰後最初の高座の最中にもいたずらで救急車が
やってきます。

"幻の婚礼"
梅太郎師匠は小学校の時の同級生の遠藤友実子に結婚式の
司会をして欲しいと頼まれます。
梅太郎は引越しを繰り返していて同級生といわれても
誰だったか思い出せません。
でも司会を引き受けます。
結婚式の当日に式場へ行ってみるとそんな結婚式は
ありませんでした。
もらっていた出席者の中に実在する人物が一人いて
彼女から友実子がずっと前に家を出て行方がわからないと
教えられます。
父親のDVから逃げたのです。
誰が何のため仕組んだ結婚式だったのでしょう。

"へそを曲げた噺家"
華駒亭番治は腹を立てると高座をほっぽって席を
立ってしまうような人で実際に席を立ってしまいました。
華駒亭駒平は番治の師匠ですが昨年亡くなりました。
築地亭は赤字で存続が危ぶまれています。
駒平はあちこちから本を持ち出して、亡くなった時
には5冊の本が鞄の中にありました。
弟子が返してまわりました。
駒平が最後に演じようとしていたのは富久という
富くじにあたった話しです。
駒平は新しい話を演じる前には話しの内容と同じ
ことをしてみようとする人でした。
そのころあちこちに泥棒が入りますが、盗まれた
ものはありません。
泥棒を何を探しているのでしょう。
築地亭の未来はいかに。

"紙切り騒動"
松の家京太は京楽の弟子です。
京楽の家で見つけた切り絵に魅せられて落語を捨てて
切り絵で生きていきたいと言いだし、京楽に破門され
てしまいます。
その絵は紙切り光影という京都の切り絵師です。
緑は京太に頼まれ京都に光影を探しにいきます。
しかし短い期間にひとつの劇場にしか出場していな
かった光影の行方は見つけられません。
資料を先回りして持っていってしまう人がいます。
謎に包まれた光影は実は意外な人物でした。
結局京楽は京太の熱意に負けてしまいます。

嫌な気分になる話はありませんので安心して読めます。
一癖あるおもしろい人達が登場します。

幸せになる百通りの方法

2012-08-22 19:49:50 | 

荻原浩著"幸せになる百通りの方法"を読みました。
短編集です。
読み終わったら覚えていない話が多いです。
その時の状況とか心の状態とかで心に届かないと
いうことはあります。
今の私にはあまり伝わってきませんでした。
中の一つの"ベンチマン"が一番わかるかな。

突然リストラされました。
家族に打ち明けられません。
毎日今まで通り家を出ます。
息子は大学へ行けというのを聞かずに家具職人と
して働き始めます。
公園のベンチに座って時を過ごします。
夕方にある男と出会います。
このベンチを寝床として夜間に使用しているホームレスです。
彼とベンチを昼と夜で交代で使用します。
ホームレスの男は人に見られてこの寝場所を追い出される
ことを恐れています。
二人はベンチにメモを残しておくことで交流しています。
ある朝行ってみると彼は意識を失っていました。
救急車を呼んでやります。
突然うちあける気になり妻に電話をしてリストラされた
と告げました。
妻は「早く帰っていらっしゃい。なんとかなるわ。」と
明るく言ってくれます。

これから先も続くと思っていた道が突然断ち切られたら
どんなに辛いか想像がつきます。
そんな世の中はおかしいです。
いっしょになんとかしようとしてくれる人が側にいて
この人は幸せです。
仕事は楽しくしなければいけません。
安心して働けるのでなければいい仕事はできません。

吉祥時の朝比奈くん

2012-08-21 22:47:45 | 

田中永一著"吉祥時の朝比奈くん"を読みました。
短編集です。
あんまり心に残る話はありませんでした。

本の題名になっている"吉祥時の朝比奈くん"について
書いてみます。
朝比奈は同棲していた女性と別れて住む所がなかった
時に哲夫という先輩の家にやっかいになったことが
あります。
朝比奈が喫茶店にいた時にカップルの男女が店に
やってきて喧嘩を始めました。
だんだんエスカレートして女性が椅子を振り上げて
投げました。
それが朝比奈に当たって怪我をしました。
喫茶店で山田真野が働いていました。
この出来事で朝比奈は真野と知り合いました。
彼女は結婚しており遠野という子供がいます。
朝比奈と真野と遠野でしばしば出かけるように
なりました。
朝比奈は真野に惹かれています。

実は朝比奈が真野と知り合ったのには裏があります。
真野の夫は哲夫です。
哲夫には恋人がいて離婚したがっています。
自分に有利になるように離婚するために朝比奈を
使ったのです。
喫茶店での喧嘩も芝居でした。
朝比奈の裏切りで真野が最悪の事態になるのは
免れました。

朝比奈と真野は惹かれています。
真野は故郷へ帰っていきます。
この先どんな展開になるかはわかりません。

別れさせ屋のことは最近よく聞きます。
ひどい話です。どうしてこれが犯罪でないのでしょう。
不利な条件で離婚することになります。
引っかかった方が悪いということになってしまいます。
朝比奈は最後で踏みとどまりましたが、それで許される
ものではないでしょう。
一旦は引き受けたのです。
この人はそういう人です。
朝比奈と真野がうまくいくはずはないと思います。

茨姫はたたかう

2012-08-20 20:35:16 | 

近藤史恵著"茨姫はたたかう"を読みました。
整体師の合田力に、精神的な問題を抱えた従業員の
恵と歩の姉妹、歩が好きな近所の出版社の記者で
整体の患者の小松崎が登場するシリーズの1冊です。
"シェルター"、"カナリアは眠れない"の2冊目に
あたります。

梨花子は本屋で働いています。
弟が結婚して両親と同居することになり家を出て一人
暮らしをすることになりました。
職場の後輩の水科に親切に仕事を教えました。
水科に付き合って欲しいといわれて彼を避けるように
なりました。

マンションの1フロアには3軒の家があります。
梨花子の他にイラストレータの早苗とホステスの
礼子が住んでいます。
礼子に誘われて礼子の家で食事をすることがあります。
礼子の彼のホストの亮治といっしょになることがあります。

マンションの管理人の息子は黒沢です。
女性ばかりのマンションでちょっとあやしい感じです。

梨花子の郵便物が誰かに見られています。
鍵を掛けておいてもはずされています。

ストーカーは誰かという話とおくびょうな女性が
合田達や隣人達と出会って強くなっていく話です。
ストーカーは梨花子の周辺にいる水科、亮治、黒沢
などのうちの誰でしょう。

拒食症を抱える歩は小松崎と少し距離が縮まったみたいです。
ミステリーといえばそうなんでしょうが、あまりそれ
らしい感じがしません。
登場する人物がそれぞれおもしろいです。
合田が重要な登場人物なはずなのにあまりめだたない
ような気がします。
もっとたくさん活躍して欲しいです。

一日江戸人

2012-08-19 22:17:49 | 

杉浦日向子著"一日江戸人"を読みました。
杉浦さんはNHKで放送されていた"コメディーお江戸で
ござる"で江戸の風習などの解説をしてみえた方です。
この本は江戸の庶民の風習や生活を書いたものです。

親子三人の長屋暮らしで一月生活するのに約十~十五日
働けば暮らしていけたそうです。
独身者なら月に六、七日働けばよかったそうです。
長屋にはゴロゴロしている怠け者が多かったという
ことです。
長屋住まいの人たちはものすごく貧乏なんだとテレビ
ドラマを見ていると思わせられていたのですが
どうも違うみたいですね。
それにしてもいい生活です。
現代人みたいに働いていないとどう暮らしたらいいか
わからないという人向きではないかもしれません。

江戸の人たちは人生の楽しみ方を知っていました。
服装でも現代の若者と共通したところがあります。
ぞろっとだらしなく着こなすという着方を喜んで
していた人たちもいるようです。

挿絵がいっぱいあるのですが単行本なので小さいです。
もっとゆったりした絵で見られたらいいのに残念です。

室内楽コンサート2012 名フィルの日

2012-08-18 22:05:03 | 音楽
コンサートに行ってきました。
"室内楽コンサート2012 名フィルの日"という
コンサートです。
会場は伏見のしらかわホールです。
このコンサート12時から20時近くまでの8時間
演奏されます。
毎年行われているようです。
8時間というのにびっくりしておもしろそうとチケット
を買いました。
料金は1500円でお徳です。
演奏するのは名フィルのメンバーとOBや助っ人の
人達です。
ずっと同じメンバーが演奏するのではなく3人から
20数名からなるグループで演奏されます。
数グループ掛け持ちしている演奏者もいます。
全部で14グループありました。
3部構成で間に30分の休憩が入る予定でした。
しかし演奏が伸びてしまってどちらの休憩も15分しか
とられませんでした。
ほとんど8時間演奏を聞いていました。
行く前は最後まで聞けるか怪しみました。
途中で耐えられなくなって抜け出してしまうかもしれない
と思いました。
でも聞けるものですね。
退屈せずに最後まで聞きました。
1部だけ聞いて帰る人や途中から入場する人など都合に
合わせた聞き方をされている方もみえます。

楽器の種類は多いですし、いろんな構成のグループが
あります。
演奏内容もクラッシックらしいクラシックからジャズ、
ポピュラー、ブラス等飽きないよう工夫されています。
それに間のおしゃべりも皆さんじょうずです。
なかには慣れないためかたどたどしい方もみえますが
それもほほえましいです。
普段の名フィルの演奏会ではしゃべるということはなく
演奏者の個性はまったく見えません。
一人一人の個性が見えて今回みたいな演奏会はとても
いいですね。
親しみがわきました。

でも終わったらお腹がすきました。
途中の休憩に持っていったパンを食べました。
でも私はちゃんとした食事を取らないで偏ったものを
いくらたくさん食べてもお腹がすいてしまうたちです。
食事休憩があったらいいのにと思います。
途中で会場を抜けても再入場ができるようですから
自分の判断で抜けなさいということなのかもしれません。

いちばん気に入ったグループは"トリオ de ブランチ"です。
来年もきっとこのコンサートは開かれると思いますので
興味を持たれた方はどうぞ聞いてみてください。

午後になってすぐ雷が鳴る土砂降りだったみたいですね。
演奏中で気づきませんでした。
朝は青空というわけではありませんでしたが雨が降る
なんて雰囲気はぜんぜんなくて驚きました。
演奏が終了した時には雨は上がっていてとても涼しく
なっていました。

ガールズ・ストーリー おいち不思議がたり

2012-08-17 18:20:01 | 

あさのあつこ著"ガールズ・ストーリー おいち不思議がたり"
を読みました。
題名から女子中学生か高校生の話と思います。
しかし違います。江戸時代のお医者さんの娘のおいちが
主人公の話です。
ガールズ・ストーリーという題名は合わないなぁと思います。
この本は題名で損している様に思います。

おいちは不思議な能力があります。
大怪我をした人がやってくるのがわかります。
亡くなった人が見えて話ができます。
伯母がおいちに縁談を持ってきます。
相手は生薬屋の鵜飼屋直助です。
直助の前妻のお加世は亡くなっています。
お加世が亡くなる3ヶ月前に女中のお梅が亡くなっています。
おいちにはお梅の幽霊が見えます。

二人の死をおいちは岡っ引きの仙五郎に助けて
もらいながら調べます。
直助はお加世と結婚する前に女中のお梅と付き合って
いて結婚したいと思っていました。
しかし父親に反対され商売のためお加世と結婚しました。
お加世は気性の激しい人で夫に辛く当たりました。
家の人は辛い日々を送っていました。


以下ねたばれです。ご注意を。
お梅を毒殺したのはお加世です。
お加世は夫の直助までも殺そうとします。
それを知った直助の父親の直右衛門が毒薬をすり替えて
お加世を死なせます。

直助が殺されかけました。
危ういところで助かります。
お絹という女中がいます。
彼女はお梅のお母さんです。
お梅を殺したのは直助だと吹き込まれて殺害を図りました。
お梅を操っていたのは番頭の佐助です。
借金があって直助を殺しあわよくば店主になれないかと
考えたのです。

事件が収まっておいちのところへお梅とお加世の
幽霊があらわれます。
お加世も悲しい人生だったのです。
おいちに胸の内を吐き出してお礼と感謝の気持ちを
述べていきます。

過去の事件、今の出来事とややこしいです。
殺された女性たち悲しいですね。
彼女たちの願いを聞いていっしょうけんめい動き回る
おいちは元気で明るい女の子です。